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HipHop,R&B,Soul,Funk,RareGroove,DanceClassics,Garage,House・・・など、私が気に入っているMixTape,MixCD,その他もろもろを紹介するブログです。
DJ MURO 「Diggin' Heat '97」(改訂版)
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 突然の復活・・・約3か月ほど、仕事に翻弄されていて、ブログを更新することができませんでした(涙)

 季節は冬から春、そして夏に向かおうとしています・・・

 こんなタイミングで恐縮ですが、その3か月前にあたる2月ごろに公開しようと思っていた、冬の宿題をやっと公開です!!

 「ミックステープっていいな~」と思う大名作の紹介です!!





1.Diggin' Heatについて

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 今回は、我らのKing of Diggin'こと「DJ MURO(ムロ)」さんの名作シリーズ「Diggin' Heat(ディギン・ヒート)」の第1作目を紹介します。

 このブログが始めたばかりの2008年に紹介したことがある作品ですが、ほんと重要な作品なので、ちゃんとした形で紹介したいな~と思い、今回の紹介になりました。

 まず、作品の紹介の前に「Diggin' Heat」というシリーズを紹介したいと思います。

 このDiggin' Heatは、「聴いているだけで心が暖まる」というコンセプトのもと、冬の時期になるとリリースされる人気シリーズになります。

 近年も新作がリリースされており、お好きな方は多いですよね・・・

 MUROさんらしいジャンルを超えた幅広い選曲が楽しめる内容で、MUROさんの代表シリーズである「Diggin' Ice」の冬版と言っても良いぐらい、聴いているだけでチルれる内容は最強です!!
 
 特に、上記のテープでリリースされた4部作はクラシックでしょう!!

 これらは1997年~2000年の冬にリリースされたもので、MUROさんが重要なミックステープを連発していた時期の作品なので、内容が素晴らしく、私自身、今でも大好きな作品となっています!!

 そして、このシリーズの中では、私は今回紹介する「第1作目(1997年)」が一番好きで、Diggin' Iceと同様に、冬の時期になると、つい聴いてしまう作品になります!!


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 なぜ、この第1作目が好きなのでしょうか・・・

 私なりに考えた結果は、MUROさんの選曲やDJミックスが「意欲的たっだ時期の作品」だから、です・・・

 それこそ、この作品は、上記の写真の通り「Diggin' Ice 96」「Diggin' Ice 97」の間の時期にリリースされています・・・

 それぞれのテープが発表された明確な月日は分からないのですが、イメージでは、それぞれが半年間隔でリリースされています・・・
 そのためか、Diggin' Iceの96と97で披露されていた「選曲の広さや深さ」、「DJミックスの自由さ」、「全体的なストーリーの描き方」が似ていますよね・・・

 そして、このことに気付き、Diggin' Iceを意識しながらHeatの97を聴いてみました・・・

 素直に感じたのは「MUROさんが自由に選曲やDJミックスをしている」ことで、それをあえて表現すると「意欲的」なんですね・・・

 それは、MUROさんが掘りの過程で出会った曲達を、ジャンルや既成概念にとらわれず、自分の選曲とDJミックスを駆使することで、誰も聴いたことがない「音楽=ミックステープ」を表現するために「意欲的」だったのかもしれません・・・


 なんともまとまりのない話ですが、結論は「ヤバい時期に作られたヤバい作品」と言うことでしょう!!

 ではでは、今回は、このような背景がありますので、Diggin' Iceの96と97を再紹介した記事のように、A面とB面のそれぞれを、ほぼ選曲順に紹介したいと思います!!

 特に、「選曲」「DJミックス」のポイントとなるところを整理しながら、これらを積み重ねてできた「グルーブ」、そして全体的な「ストーリー」を意識して、紹介したいと思います!!
 そのため、A面とB面のそれぞれのミックスを「起承転結」の4パートに分けて、ストーリーの動きも含めて紹介させていただきます!!

 なお、この記事の公開を持って、2008年の記事は「旧記事」とさせていただきます。ご承知ください。


【参考記事】
・DJ MURO MixTape 作品リスト
・DJ MURO 「Diggin' Heat 97」(旧記事)
・DJ MURO 「Diggin' Ice 96」(完全版)
・DJ MURO 「Diggin' Ice 97」(改訂版)






2.選曲の方向性について

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 今回は、A面とB面をそれぞれ詳しく紹介をしますので、まずは選曲面の概要から紹介したいと思います。

 この作品は、先ほども紹介した通り「聴いているだけで心が暖まる」というコンセプトを元に、選曲の方向性は「暖かい」「甘い」「多幸感」といったキーワードがポイントになっています。
 A面は「暖かい」「甘い」が強く、B面は「多幸感」が強い選曲となっています・・・多幸感は「夢のような幸せな感じ(ドリーミー)」と説明した方が良いかもしれないですね??

 そして、MUROさんは、これらのキーワードを表現するため、様々なDJミックスを施しながら選曲を進めます。

 ただ、調べれば調べるほど、その選曲された「ジャンルの広さ」にヤラれます!!

 それこそ、Diggin' Iceでも中心としている70年代~80年代のSoulやR&Bは多く選曲していますが、このHeatでは、もっと選曲の幅が広がっています・・・
 詳細は、実際の作品紹介の方で詳しく紹介しますが、SoulやR&Bのほかに、90年代R&BやUK Soul、JazzやRareGroove、Raggae、Disco、HipHop、Pops、Rockなどが選曲されており、レコード屋さんだったら、それぞれが別の棚どころか、フロアーが異なるぐらい、ジャンルの幅が広い選曲となっています!!

 少し脱線しますが、今回、この記事を紹介するにあたり、持っていない収録曲はレコード屋さんで探したのですが、左下の「Player」は、ほんと探すのに苦労しました・・・

 このアーティストは、ジャンル的には「70年代Rock~AOR」になり、ユニオンだとSoul~Dance系のお店ではあまり売っていない類のアーティストで、どちらかと言うとRock系のお店で販売されているものになります。
 そのため、不慣れなRock系のお店にも足を運び、ひたすら70年代ロックの「P」の棚を捜索しましたが、出るのはPhil Collinsの顔ばかり(笑)で、出会うのに結構苦労しました・・・

 この辺は、実際にレコードを買って、自分で掘ってみないと分からないかもしれないですね・・・

 ただ、やっぱり「堀りが深い」ですよね・・・Diggin' Iceの96や97も、相当ジャンルの幅が広かったですが、このHeatの97の広さも驚異的かもしれないです!!


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 また、ジャンルの幅の広さは、角度を変え、もっとディープな方向にも向かっていました。

 それこそ、当時からレア盤だった「The Sisters Love / Give Me Your Love」のような7inchもプレイしていて、LPや12inchとは違うコーナーで販売されている曲も選曲していますね。

 ただ、この7inchよりも衝撃的だったのは、A面の1曲目「Caron Wheeler / Soul Street」で、なんと1992年に「CDのみ」でリリースされた曲を、MUROさんは「CDでプレイ」していたようです!!

 私自身、この曲は、MUROさんがよくプレイする曲なので、きっとレコードがあるのだろうと思っていたのですが、どんなに調べてもレコードのリリース情報がない曲でした。
 そして、この作品を再紹介しようと、一念発起して収録曲のことを深く調べ始めたら、MUROさんのインスタで、この曲をCDでプレイしていると思われる写真が投稿されており、これで「CDでプレイしている」ことに気付きました。

 CDでプレイ・・・

 少し話が脱線しますが、CDでのDJプレイとなると、パイオニアさんから発売している「CDJ」シリーズが必要です。ただ、このテープがリリースされた1997年だと、まだCDJシリーズ自体、アナログ・ライクな柔軟な操作性はなく、かなり使いづらい存在となっていました。
 つまり、1997年時点では、「CDでプレイする」はそこまで普及しておらず、むしろ「アナログでないとダメ」な空気感が強かったと思います。

 CDじゃなくて、アナログでないとダメ・・・

 このことは、1997年ごろにDJを志していた若者であれば、強く理解していただける考えでしょうか・・・

 これまた脱線話で恐縮ですが、DJ業界で人気な曲は、レコードだと高額になることが多い反面、それらの曲は一般市場向きにもCDでもリリースされていて、その人気な曲はCDであれば安価に買うことができました。

 そのため、そういった人気曲を、レコードではプレイできない場合、恥を忍んでCDでバレないようにプレイしていましたね・・・

  私が高校生だったころ、どうしても自分用のミックステープに「Buddha Brand / 人間発電所」や「Lamp Eye / 証言」といった日本語ラップの人気曲で、アナログは高額すぎて買えない曲があると、そのCDを買って、アナログでのミックスの途中に、その曲のCDでプレイしました・・・(^^;)
 それも、CDJではなく、家のCDラジカセからラインでミキサーに繋ぎ、心のどこかで「負けている・・・」と思いながらプレイをしたものです・・・

 つまり、かなり偏屈な考えですが、1997年の時点でCDを使うのは、ある意味で「反則」だったと思います。


 話をMUROさんに戻すと、こういった背景がある中で、「誰も掘っていないものを掘る」というMUROさんのポリシーが、レコードを超えてCDでの選曲に繋がったことは、MUROさんの堀りの凄さが分かる貴重な話ではないでしょうか!!

 そして、こういった「幅広さ」が、DJミックスをすることで「一つのストーリー」になることも素晴らしいことです!!





3.A面の紹介

(1)起 1曲目~6曲目

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 では、A面から紹介しますね!!

 まず、1曲目は前述した「Caron Wheeler / Soul Street」、2曲目は「The Whispers / Come On Home」、そして、3曲目では「Solomon Burke / Over And Over (Hugging And Loving)」をゆっくりと選曲し、メロウで暖かい選曲が素晴らしいです!

 BPMでは70~80の間ぐらいで、90年代のUK SoulやR&B、そして70年代のSoulを、こういった一つの流れで選曲しつつ、独特の暖かいグルーブでまとめてくるあたりは流石です!!
 まるで、暖かいカフェオレを飲んでいるかのようで、こういった「黒くて甘いグルーブ」を作らせたら、MUROさんに敵うDJはいないでしょう・・・素敵な出だしだなぁ~

 また、両方の曲とも、ほぼアルバムの中に隠れていた良曲になります・・・
 こういったシングルカットされていない良い曲を選曲してくるのも、MUROさんの素晴らしさです!

 なお、先にA面全体の流れを紹介しておくと、実はDiggin' Iceの96と同じ流れになっており、遅めのBPMから段々とBPMを上げていき、最後の方ではBPMを100程度まで上げ、盛り上がりのピークを作っていく内容になっています。
 今回の紹介では、この「盛り上げの過程」も含めて紹介したいと思います!
 

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 そして、3曲目からカットインでプレイする4曲目は「Minnie Riperton / Here We Go」です。イントロの印象的なメロディーを活用し、BPMをさりげなく80台に上げていきます。
 4曲目のMinnie Ripertonは、AZやLord Finessのネタ曲として有名で、こういったネタ曲という観点も含みつつ、メロウなグルーブを少しだけ上向きに進めていく流れは、今後の展開を踏まえると、上手い選曲です!

 そして、個人的には次の5曲目「Player / Baby Come Back」が衝撃でした・・・

 まず、4曲目からは、メロディー繋ぎでこの5曲目にスムーズに繋ぎます。ただ、5曲目に入ると、どこか熱のこもったボーカル曲になり、グルーブ自体をさらに上向きに進めていきます。

 あれっ、実際の元曲を聴くと、なんか地味な印象が残るメロウな曲だぞ?
 なぜMUROさんのミックスだと、こんなに躍動感がある曲になるんだろう??

 そう、ここでMUROマジックです!!

 実はピッチを「+4」までピッチアップしてのプレイでした!!

 原曲と比べると、結構豪快なピッチアップですが、このピッチアップにより前曲のメロディーとかみ合い、かつ、グルーブを上げていく曲として機能させているですね!
 ほんと、サラッとミックスしていますが、こんなマジックが効いているとは!!


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 そして、5曲目の絶妙なグルーブの切れ目を利用し、HipHopライクにカットインするのは、6曲目の「Tevin Campbell / Can We Talk」です。もー、90年代前半を代表するR&Bの名曲ですね!!

 まず、このテープにおいて、この曲の「ミックス方法」に驚いた方は多いのではないでしょうか?

 それは、出だしはHipHopライクな「Remix」から入り、サビに入る直前で「オリジナル」にスイッチする展開ですね・・・

 文字に起こすとなかなか表現しづらいですが、実際に聴いてみると素晴らしくドラマチックなミックスに仕上がっています!!
 言葉での説明になり恐縮ですが、私なりの分析を入れてこのミックスを紹介してみますね。

 まず、この曲は、Babyface作の甘く切ないメロディーに、Tevin Campbellの甘酸っぱい歌声が重なり、甘さとほろ苦さが重なった名曲になるかと思います。
 
 そう、MUROさんは「甘さ」と「ほろ苦さ」を上手く分けつつ、それぞれが効果的に出るように、このミックスを施したのだと思います!

 それこそ、HipHopライクなRemixは、前曲からスクラッチ・カットインでラフに入りつつ、淡々と鳴るドラムが「ほろ苦さ」を演出しています・・・
 この部分のTevinの歌声は、どこか気持ちを抑えているイメージが湧いてきます・・・まるで気になる子に「Can We Talk For A Minutes ?(少し話してもいい?)」と声かけするのを躊躇っているような感じです・・・

 なお、このRemixは、サビなどでは、ドラムパターンにTop Billin'のドラムフィルが入るのですが、MUROさんはこのドラムフィルを上手く外してプレイしていますね。おそらく、このドラムフィルが入ることで「淡々と鳴るドラム」がブレるので、あえて外したのだと思います。

 そして、淡々と鳴るドラムの上で、Tevinの歌はその歌力も相まって段々とグルーブを高めていきます。
 まるで、暗いトンネルを進んでいく中で、徐々に目の前に光の出口が見えてくるようです・・・

 そして、その光の出口が見えるか見えないかのサビの直前でオリジナルにカットイン!
 Tevinの「♪Can We Talk~, For A Minute~」と歌った瞬間、目の前が急に明るくなり、このサビが美しいまで甘く輝いています!! 
 
 もう、この瞬間だけでも美味しいのですが、歌が2番に進んだら、前半でダークに「ほろ苦さ」を演出していた分、2番以降は「甘さ」が強調された演出になり、気づいたらTevinの歌声に引っぱられてしまいます・・・

 もう、これこそ「DJ」にしか思いつかない「ミックス」ですよね!!

 このミックスにより、Can We Talkがもつ「甘さ」がさらに際立ち、90年代前半のR&Bに特徴的な快活なグルーブも輝き、ほんと曲の良さが100点満点に光っています!!

 うん、このミックスを聴いて「Can We Talk」の良さに気付いた方は多いのではないでしょうか?

 また脱線しますが、この曲、90年代末から00年代初期にかけてはホント人気な曲で、オリジナルのレコードは高額でしたね・・・

 上記写真の2枚は、右のオレンジラベルのがRemix、写真付きのジャケのはオリジナルが入っているレコードで、どちらも扱い的には「プロモ」になり、流通枚数はあまり多くないです。
 それこそ、90年代末から00年代初期にかけては、どちらも価格は1万円を超えていて、レコード屋さんの壁に目玉商品として飾っていても、すぐに売れてしまう人気盤でしたね・・・

 もちろん、MUROさんがプレイした1997年の時点で人気な曲でしたが、もしかしたらこの作品以降、さらに人気が増したかもしれないですね??



(2)承 7曲目~11曲目

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 6曲目の「Tevin Campbell / Can We Talk」では、大胆なスイッチミックスをしたことにより、このA面のミックスの流れも大きく変わっていきます。
 それは、A面の起承転結の流れにであれば「起」から「承」に変わったタイミングになり、これ以降、前半の落ち着いたグルーブから快活さを伴った上向きのグルーブに切り替えて、ミックスのストーリーをさらに進めていきます。

 それこそ、7曲目には「The Deele / Two Occasions」を選曲、8曲目には「Zapp / Computer Love」を選曲し、甘いグルーブを維持しながらBPMを86~88程度にアップしていることに気付きます。

 実は、この背景には、6曲目の「Tevin Campbell / Can We Talk」の選曲がポイントになっており、6曲目の時点でBPMは86まで上げてありました。
 そのため、7~8曲目で小出しにBPMを上げていくことが、ストーリーの進め方として違和感がないのですね・・・

 Diggin' Ice96でも、こういったBPMコントロールの上手さが光っていましたが、MUROさんは、聴いている人が気付かないレベルで、徐々にBPMを上げていくコントロール技術はホント上手いですね!!

 また、7~8曲目で選曲する80年代の快活なR&Bの「気持ちいいグルーブ」を巧みに操り、この作品が求める「聴いていてホッとするグルーブ」に転化しているのも上手いですね!!


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 そして、この気持ちいいグルーブを維持して、9曲目には「Body / Footsteps In The Dark」という90年代R&Bの曲を選曲します。
 曲自体はあのIsley Brothersのカバー曲で、IsleyのRonald Isleyも客演している名曲です!!

 ただ、ここでは、この後の「選曲とDJミックスのコンビネーション」がカッコよすぎです!!
 
 まず、この曲の2番に入ると、そのRonald Isleyの歌声が一瞬だけ聴こえる部分があるのですが、そこをブリッジにして、絶妙なタイミングで10曲目「The Isley Brothers / Between the Sheets」にカットインします!!
 これが、ほんと絶妙なタイミングで、10曲目がもつ「甘さ」を引き出したプレイをしたと思ったら、矢継ぎ早に10曲目をネタにした11曲目「Hasani / Baby Be Mine」にスイッチします!!

 皆さん、お気づきでしょうか?

 この辺りは「Isley Brothersの関連曲のクイックミックス」なんですよね!!

 それこそ、この関連曲繋ぎは、この作品では多用されており、A面だと、6曲目の「Tevin Campbell / Can We Talk」から7曲目の「The Deele / Two Occasions」は「Babyface」繋ぎですよね・・・
 また、B面でも様々な関連性を意識した関連曲繋ぎが炸裂しており、流石ですよ・・・

 特に重要なのは、無理に関連曲繋ぎをしているのではなく、あくまでも全体的なミックスの流れで関連曲繋ぎを行っている点です!!

 私としては、この部分は起承転結における「承」として、少しずつピークに向かっていくために重要な部分だと思います・・・

 そう、甘くメロウなグルーブとビート感が強調されている曲を、クイックミックスを駆使してスピーディーに選曲することで、聴いている者の心をさらに暖めていたのです・・・

 ジェットコースターで言えば、まるで一番盛り上がる頂上に向けて、ゆっくりと上に向かって登っていたのですね・・・その頂上は、気づいたらもう目の前でした・・・



(3)転 12曲目~15曲目

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 そして、ジェットコースターが上に登り切ったところで、カットインで入れてくるのが12曲目「Maze feat. Frankie Beverly / Can't Get Over You」です!!

 もー、このA面は「この曲のためにある」と言っても過言ではないでしょう!!

 この曲のもつ優雅で甘いメロディーと、Frankie Beverlyの甘い歌声が相まって、まさにDiggin' Heatを象徴する「聴いているだけで心が暖まる」曲ですよね!!

 それも、ビートレスで多幸感に溢れたイントロからカットインすることで、ジェットコースターにおける一番頂上での滞空状態を演出し、そこから本編に入っていく感じは、まさにジェットコースターが下に向かって滑空するかのようで、上記の甘いメロディーと歌声が大爆発する効果があります!!
 
 うん、この選曲とDJミックス、そしてここまでのストーリーの作り方は、まさに「ミックステープ」ですよね!!

 それは、普通に聴いたら得られない「輝き」を、DJのアイデアによる選曲とDJミックスを重ねることでストーリーが生まれ、その結果、プレイする曲が「輝く」ことに外なりません!!

 私自身、このMUROさんのミックスを聴いて、この曲が好きになり、この曲が収録されたLPから始まり、US盤やUK版の12inchを揃えました・・・
 Mazeというと大名曲の「Before I Let Go」ばかりに注目しがちですが、私としてはMUROさんのおかげで「Can't Get Over You」の方が好きになりました・・・

 そう、MUROさんの選曲においては、こういった注目されない曲の「魅力を開花させる」のが最強ですよね!!

 それこそ、Maze自体、80年代は大ヒットしたグループなので、レコードの値段はそんなには高くはないですが、この曲が収録されたアルバム「Silky Soul」(1989年)はメジャーヒットもしたことから、そんなには値段が高くないですよね。
 むしろ、DJ的には80年代前半に出された「Before I Let Go」とか「Joy And Pain」などの曲が愛されていて、このアルバムはスルー気味だったと思います・・・

 このような背景がある中で、「Can't Get Over You」をピークで使うわけですよ・・・

 掘るという行為は、誰も知らないレアな曲を掘るだけでなく、シーンからスルーされている曲をカッコよくプレイすることも含まれます・・・
 MUROさんは、ほんと堀りのプロですね・・・それは今も昔も変わっていません!!


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 ただ、MUROさんは、この曲でピークとせず、これ以降の「結」に向けた次の展開を仕込んでいました・・・

 13曲目には「The DeBarges / Saving Up (All My Love)」、14曲目には「Tony! Toni! Toné! / Anniversary」と選曲し、グルーブ的には落ち着いた展開にしています。なお、Tony'sはレコが買えず、苦し紛れでテープアルバムを参考写真に置いておきます(笑)

 そして、15曲目には「Hi-Tension / Peace On Earth」を選曲し、ストーリーを少しだけ変えてきます。

 まず、14曲目のTony'sでは、次の展開を見据えて「哀愁」なグルーブを出した選曲を行い、あえてグルーブを落とします。
 そして、15曲目でもこの「哀愁」は少し強調されていて、サビ終わりのブラスソロで、この哀愁感がカッコよく強調されていますね。

 ただ、ここで重要なのは、15曲目の時点でBPMは100になっており、実は「ダンサンブル」なグルーブを急に入れてきたことです。

 まず、注目すべきは、12曲目の「Maze feat Frankie Beverly / Can't Get Over You」で、実はこの時点でBPMは95でした。
 この、Mazeのプレイが上手いな~と思うのは、12曲目より前はBPMが86~88だったのに対して、12曲目のMazeはイントロのビートレスな部分からカットインすることで、BPMを一気に95まで上げていたのですね。
 
 そして、13曲目のDeBarges、14曲目のTony'sも、曲は落ち着いたグルーブの選曲ではありますが、実はBPMは94前後で、ダンサンブルなBPMを隠し持っていた選曲でした!!
 その上で、カットインで15曲目の「Hi-Tension / Peace On Earth」に行くわけですが、説明した12曲目以降の仕込みがあったことから、BPM100のカットインが成立し、違和感なくダンサンブルな要素を光らせることに成功しています!!

 そう、気づいたら聴いている者は、うまく「ダンサンブルなグルーブ」に乗せられ、最後のピークに向けて期待感を持って進んでいくのです・・・!!



(4)結 16曲目~19曲目

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 そして、16曲目に「Brandye / How Long」を挟み、17曲目には「The Sisters Love / Give Me Your Love」、18曲目には「High Inergy / Lovin' Fever」を選曲し、Sister Soulの連発ですね!!

 まず、これらの選曲は、15曲目の流れからBPMは95~98で選曲されており、ダンサンブルな要素を含ませつつも、女性ボーカル特有の暖かさが印象的な選曲となっています。

 そこには優しい温もりもあれば、力強さもあり、17曲目の「The Sisters Love / Give Me Your Love」の力強いボーカルに心が引っ張られますね!
 また、18曲目の「High Inergy / Lovin' Fever」には、ガールズグループ特有の可憐さがあり、聴いていてウキウキしますね!

 そして、これらの選曲により、気づいたらグルーブが段々と高まっています・・・

 そう、それは、まるで12曲目のMazeで行ったような、次の曲を盛り上げるための「期待」を高めているのです!!


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 そして、最後の19曲目「Ta Mara & The Seen / Affecttion」をプレイします・・・
 オーラスにふさわしく、この曲は「最高にいい曲」になっていますね!!

 まず、この曲も、12曲目のMazeと同じく、意外なタイミングでのカットインです・・・
 いや、この曲が一気に華開くことを計算した上でのカットインですね!!

 それこそ、13曲目以降で積み重ねた「ダンサンブル」だったり、「力強さ」だったり、「華やかさ」だったりの要素を、ここで華開くように、徐々にグルーブを高めたいたからこそ、このカットインが成立するのだと思います。

 そして、本編に入ると、この曲のビート、メロディー、歌詞、全てのこの歌の要素が輝いていて、聴いている者の心を優しく癒してくれます・・・

 それも、「Ta Mala」ですよ・・・

 まず、このジャケは「ない」ですよね(笑)
 私自身、このテープを聴いて、この曲に興味を持った20代中頃に、この曲を掘ったらジャケに少し引いた記憶があります・・・

 ただ、このグループ、流れ的にはミネアポリス・ファンクの流れから派生したグループなので、演奏は間違えなしで、80年代のアメリカのポップスの良さを表した名曲だと思います。

 こういった背景がありつつも、MUROさんのまさかの「Ta Mala」です・・・もう、輝きまくりで、ほんと素晴らしい曲として聴かせてくれます!!

 Mazeもそうですが、なんでこんなに意外性のある曲を、なんでこんなに「カッコよく」プレイできるんだろう・・・

 うん、これこそMUROマジックです!!




 
4.B面の紹介

(1)起 1曲目~4曲目

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 では、こちらではB面を紹介します!!

 こちらも緩めのBPMから徐々にグルーブを上げていく展開になっており、個人的には、全体的に「多幸感」に満ち溢れたグルーブが印象的な選曲&ミックスになっています!!
 なお、以下では「多幸感」という言葉は少し硬いので、「ドリーミー(Dreamy)」という言葉にして紹介をしたいと思います。

 まず、1曲目では「Dr. Buzzard's Original Savannah Band / Hard Times」からゆっくりとスタート・・・メロウでドリーミーなこの曲を、B面の最初にもってきたのはドンピシャですね!

 ただ、この1曲目から繋いでいく2曲目「Dennis Brown feat. Jean Adebambo / Since You Came Into My Life」は、なんと「Reggae(レゲエ)」です!!

 正確にはReggaeの中の一ジャンルである「Lovers(ラバーズ)」で、それもLoversの中では屈指の名曲を、あのDennis Brownが歌ったカバー・バージョンでプレイですよ・・・

 1曲目で暖められたドリーミーなグルーブを、一瞬のブレイクを見抜いて2曲目にゆっくりとカットインすると、不思議と繋がっていて、最高にドリーミーな展開が始まります!!
 ある意味で、1曲目のビートレスな展開を2曲目のインタルードのように使い、2曲目に違和感なく繋いでいますよね・・・こういうDJミックスも上手いですね~

  いやー、レコード屋さんで売り場が違う曲を、「ドリーミー」というグルーブだけで繋げていく術は流石です!!


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 そして、3曲目はLovers繋ぎで「Courtney Pine feat. Carroll Thompson / I'm Still Waiting」を選曲し、間違えないタイミングでスクラッチ・カットイン!
 こちらではReggaeのグルーブで上手く繋いでいき、徐々に3曲目の生き生きとしたビートとメロディーを強調し、全体的なグルーブを高めていきます。

 さらに、4曲目は「Blue Mink / You Are The Sunshine Of My Life」で、こちらも間違えないタイミングでスクラッチ・カットインし、曲のポジティブな雰囲気に、気分も高揚していきますね!!

 まず、ここで紹介したいのが、2~4曲目は「カバー曲」繋ぎであることです!!

 3曲目はDiana Rossの名曲を80年代~90年代にUKで活躍したサックス奏者がリリースした名カバーで、多くの方がMUROさんのパワープレイでこのカバーを知り、好きになったかと思います!!

 そして、4曲目は言わずとしれたStevie Wonderの名曲を60~70年代に活躍したUKのロックグループがカバーした曲で、男女混成の美しい歌声のハーモニーが印象的です。
 もう、ジャンル外もジャンル外な名カバーで、今となってはRareGrooveクラシックですが、MUROさんのプレイを通して知った方は多いはずです・・・こういった掘り、そしてミックステープでの披露は流石です!

 ほんと、こういった選曲上の細かい仕掛けを入れつつも、それが分からなくても「聴いて楽しむこと」ができる選曲やDJプレイには、ほんと頭が上がりませんね~

 そして、この辺りでは「スクラッチ・カットイン」を多用していて、上手く選曲を盛り上げています!!

 4曲目については、スクラッチしてからのショートミックスになっていますが、ほんと、絶妙なタイミングで、絶妙な具合でカットインしてきますよね・・・
 なんでしょう、スクラッチ・カットインをすることで、段々とビートが強直されるというか、気づいたら緩く首を振ってしまいます・・・

 この辺りの序盤の選曲は、BPMを83~85ぐらいに設定して、全体的に緩いグルーブを作りつつも、「承」に向けて徐々にグルーブを高めています。
 MUROさんのプレイでは、そのイメージもあってなのか、全体的に「ドリーミー」というグルーブを前に出しつつも、スクラッチ・カットインを繰り返すことで、ビート感を高めていき、グルーブを徐々に高めていることが伺えます。



(2)承 5曲目~9曲目

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 そして、4曲目の美しいハーモニーが切れる絶妙なタイミングで、5曲目に「Juicy / Satisfied」を優しくカットイン!

 もー、気づいたら、ビートの流れに乗せられているのもあり、メロディーを鼻歌しながら、「♪I'm Satisfied~」と優しく歌ってしまいますよ!!
 イメージは、起となる1~4曲目が夜明けに向かって太陽が昇っていく感じとしたら、この5曲目で夜が明け、優しい朝日が差し込んでくる感じです・・・綺麗な朝日だなぁ~

 さらに、6曲目「Sunrize / I Need You More Than Words Can Say」では、タイミングよくカットインがしながら、グルーブをしっかりと繋ぎ、さらに太陽のポジティブなグルーブを広げていきます!
 この曲も、サビをつい鼻歌してしまうぐらい、ドリーミーで気持ちいいですね!!

 この5~6曲目の2曲だけで、全体的なグルーブに明るさを足していて、非常に上手い選曲です。

 ただ、選曲を深く掘り下げると、どちらも「アルバムの隠れた1曲」で、作品自体もあまり知られていないアルバムだと思います。
 それこそ、5曲目の収録アルバムは、後に「Sugar Free」が大ヒットしたグループの1作目だし、6曲目はThe Isley Brothers関係のミュージシャンが集まった単発アルバムだし・・・今となっては、ジャケは知られているけど、あまり知られていないアルバムになります。

 ただ、MUROさんは、こういった「あまり知られていないアルバム」の「アルバムのみの良い曲」を選曲し、上手くDJプレイするのがほんと上手いです!!!

 特に、探してきた良い曲を、その曲が輝く適切なタイミングで、最良の方法でDJプレイしている点は素晴らしいです!
 例えば、実は6曲目は軽くピッチアップしたプレイをしていて、DJプレイにおける細かい調整が隠れているのです・・・この辺も流石ですね~

 また、ストーリーの作り方も上手く、この5曲目からギアを1段アップさせている点は、非常に上手いと思います。

 それは、BPMを見ると分かるのですが、2~4曲目までは83~85辺りだったのが、この5曲目では92にアップしています!
 これは、聴いている側はなかなか気付かないのですが、4曲目から5曲目の絶妙なカットインの裏に、こうしたBPM操作が隠れていたのですね・・・

 なお、この2曲、こうして写真を並べると、ジャケの方向性も同じですね・・・この辺も狙っているのかな??


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 そして、だんだんとドリーミーなグルーブが高まってきたところを狙い、またもやスクラッチ・カットインで7曲目「Carly Simon / Why」を選曲し、さらにグルーブを繋げていきます。
 曲の雰囲気やコーラスが似ているからか、5~6曲目の鼻歌感(?)を維持したグルーブの繋げ方で、この曲もつい歌詞(メロディー)を口ずさんでしまいます・・・

 まず、A面ラスのTa Malaもそうですが、ポップスシーンでヒットした曲を上手く選曲してきますね!!

 Carly Simonと言えば70年代から活動する女性シンガーソングライター(SSW)として有名で、どちらかというとロックの範囲のアーティストです。
 この曲自体は82年にあのCHICがプロデュースしたダンサンブルな曲で、後に「A Tribe Called Quest / Bonita Applebum」のUKリミックス(Why? Version)でネタになったこともあり、多少はHipHop界隈でも知れた曲でしょう・・・

 ただ、これをミックステープの中に入れてくるのは流石のセンスです・・・

 個人的には、この曲の奥にある「レゲエのグルーブ」を上手く引き出したDJプレイになっていて、盛り上げていくグルーブと、和ませるグルーブを共存させているところが、次への展開に繋ぐ上で非常に上手いな~と思いました!


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 そして、8曲目は「The Force MD's / Let Me Love You」をスクラッチ・カットイン、9曲目の「Kurtis Blow / Daydreamin'」もカットインで選曲・・・
 なるほど、しばらく上り調子のストーリーの作り方だったから、緩急を作る意味で7曲目で違うグルーブを提示しておき、これらの曲で和ませるグルーブを入れてきたのですね・・・

 ただ、この2曲はジャンルが「HipHop」の曲ですよ・・・・和ませる選曲でHipHopを使うとは!!

 もちろん、両方の曲とも歌を中心にしている曲だし、曲自体もメロウで、このB面のテーマとも言えるドリーミーな感じが多く含まれています。
 それこそ、7曲目のKurtis Blowの曲は、ほぼLPのみの曲ですが、タイトルからしてまさにドリーミーですよね。
 
 そして、この2曲、実は10曲目に繋げるために仕込まれていた曲とも言えます・・・

 例えば、8曲目まではBPM92のところ、9曲目はBPM104で入れ、さりげなくギアを1段階上げています・・・なるほど、そのためのスクラッチ・カットインだったのですね!!
 また、両曲とも、曲自体のグルーブは優しい口当たりですが、ビートもしっかりとしていて、段々とビートに引っ張られていくグルーブむ含まれていました・・・

 そして、9曲目の「Kurtis Blow / Daydreamin'」のタフなビートの上で、次の曲の美しいメロディーが流れます・・・



(3)転 10曲目~13曲目

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 もー、この作品が好きな方であれば、この選曲とDJミックスはキラーですよね!!

 10曲目は「The Style Council / The Lodgers」で、このB面のピークの1曲になります。

 まず、選曲のストーリー、そしてDJミックスが上手いですよ・・・

 この前にあたる7~9曲目では、BPMは上側に設定しつつ、選曲のストーリーを強調するため、あえて和ませる選曲にしており、この曲が爆発するように設定していたのですね!
 また、このような爆発が引き起こすように、9曲目のタフなビートの上で、この曲のビートレスなイントロを上手く乗せ、本編に入ったら爆発するような展開にしているのも上手いです!!

 この部分は、何度聴いても引き込まれ、背筋がゾッとします・・・特に入る間際のストリングスのメロディーといったら最高ですね!!

 それも、選曲するのが「スタカン」ですよ・・・
 ある意味で、この作品の中で「異色中の異色の選曲」ですよね・・・

 まず、The Style Council(スタイル・カウンシル)のことを説明すると、あのPaul Weller(ポール・ウェラー)が組んでいたUKのロック系のグループで、そのオシャレな風貌や様々な音楽を内包したスタイルがヒットし、UKを超え、全世界でヒットしたグループになります。
 そのため、このレコードは、一般的には「ロック」のもので、表向きには「クラブ」や「ミックステープ」と親和性は高いとは言えないかもしれません・・・

 ただ、wikiなどを読むと、Paul Weller自身がもともとブラックミュージックに憧れ、その音楽感を体現するべく、伝説的なパンク~モッズバンドThe Jamを解散し、このグループを組んだとされていて、音楽自体は「黒さ」を求めたグループだったと言えます。
 そのためか、クラブを意識したミックスの12inchもリリースされていて、ある程度は「クラブ」の人にも知れ渡っていたグループと言えるかもしれません。

 しかし、このHeatで面白いのは、この曲のシングル(12inch)があるにも関わらず、実際にプレイしたのは「LPバージョン」です。

 ただ、これが大正解・・・もう、ドリーミーすぎて最高ですね!!

 LPバージョンの煌びやかなグルーブを、素直に爆発させていて、ほんと素敵です・・・


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 そして、スタカンで盛り上がった後、これまたスクラッチ・カットインで11曲目には「After 7 / One Night」を、さらに12曲目では「Stephanie Mills / What Cha Gonna Do With My Lovin'」を選曲し、次の展開を見据えて、少しだけグルーブを落ち着かせます。
 なお、After7がテープなのは察してください・・・この曲が収録されているLPが、なかなか出会えないのです(汗)

 まず、選曲ですが、Rockの次はR&B、そしてDiscoですよ・・・ほんとジャンルの幅が広いですね!!

 個人的には「After 7 / One Night」は、MUROさんが良くプレイしていたWayne Wonderのカバー曲で好きになった曲だし、Stephanie Millsもクラブに通っていたら朝方に聴いて好きになったし・・・ほんといい曲ですね。

 ただ、ここで上手いな~と思うのが、選曲のストーリーの中で「谷」を作るところですね・・・

 DJミックスは、ずーっと盛り上げっぱなしでは、本当に盛り上げたい曲が光らないことがあります・・・
 そのため、あえて「谷」というそこまで盛り上がらない曲をプレイし、盛り上げるための仕掛けを作ることがあります・・・

 そして、MUROさんは、この仕掛けの「谷」を作るのがホント上手いです!!

 この2曲も、良く聴くと、曲自体には熱があり、大変ドリーミーな曲ですが、次の曲を盛り上げるために、あえて和ませる意図を隠して選曲したと思われます・・・


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 その次の曲、13曲目は「Archie Bell & The Drells / Don't Let Love Get You Down」ですね・・・もー、MUROさんクラシックの一つですよ!!

 この13曲目も、10曲目のスタカンと同じく、本編に入った瞬間のメロディーの出方がカッコよく、聴いていて「最高」です・・・ここでも背筋がゾッとしますよね!
 そして、曲に入ってからのベースラインの躍動感、ボーカルの熱さ・・・全てがドリーミーで最高です!!

 DJミックスの詳細を説明すると、まず、入り方が異様にカッコよく、12曲目のStephanie Millsのサビ終わりで「♪What Cha Gonna Do・・・」とリフレインし始めたところで、一瞬のスキをついて、結構強引にイントロのドラムロールをカットインします・・・
 ただ、この入り方が間違えなく、その後、ベースの利いたドラムブレイクが入り、それが聴いている者に期待を持たせるブレイクになり、その後にあの美しいメロディーが・・・ほんと、計算しつくされたタイミングで、効果的に13曲目のArchie Bellを光らせています!

 そして、ここで最も重要なことは、13曲目のArchie Belが「+5.5」のピッチアップでプレイしていたことです!!

 もちろん、これまでの選曲のグルーブやBPMを維持するために、BPM100強に設定した結果かもしれないですが、私としては、この曲がもっとも光るテンポを考えた上で「+5.5」を選択したと信じています・・・

 だって、もう、普通のテンポの「Don't Let Love Get You Down」を満足に聴けないよ・・・MUROさんの+5.5でないとダメな体になっているのだから!!

 A面でも要所要所でピッチアップを披露していましたが、ほんと、ピッチアップはMUROさんの伝家の宝刀ですね・・・MUROさんのセンスと判断に脱帽です!!





(4)結 14曲目~18曲目

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 そして、14曲目には渋い80’sR&B「The McCrarys / (Baby) I'm For Real」で盛り上がったグルーブを維持しながら、15曲目には「Shirley Bassey / Feel Like Makin' Love」を選曲して、グルーブを休ませます・・・
 もちろん、Roberta Flackのカバーで、BPMは100を切ったJazzyなアレンジが心を落ち着かせます・・・聴いている人は「終わりに近づいているのかな?」と思わせる選曲ですね。

 ただ、MUROさんは、もう一つボムを仕込むため、あえてこの選曲をして、明確な「谷」を作っています・・・

 その後、そのボムに向かうため、Shirley BasseyのJazzyなグルーブの裏にある、熱いボーカルを利用して、サビ終わりの「♪Oh Baby~、Oh~Baby」とグルーブが高まった一瞬のスキをつき、16曲目には「Heatwave feat. Jocelyn Brown / Feel Like Making Love」を選曲・・・急に華やかな展開にストーリーを変えていきます。

 もちろん、この15曲目~16曲目は「カバー曲繋ぎ」となっており、それだけでレベルが高いのですが、同じカバー曲を橋渡しにして、落ち着いた曲から明るい曲に切り替えること、そしてそれが「次の曲たち」を光らすためのシフトアップとして仕込まれていたことが含まれています・・・


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 そして、その「次の曲たち」の一つが、17曲目の「Thelma Houston / Saturday Night, Sunday Morning」です・・・もー、MUROクラシックの一つですよね!!

 みんなで叫ぼう・・・「MUROさん、ありがとう!!」

 16曲目から17曲目へは、割と緩くカットインして、まずはイントロのブレイクをプレイし、そこから徐々に熱い歌詞でグルーブを盛り上げていく感じにしていて・・・なんでしょう、クラブで聴いたら「みんなが一つになる」、そんなプレイの仕方ですよね・・・

 私自身、MUROさんからこの曲を教わり、今でも大好きな曲です・・・

 そして、MUROさんが現場で愛し続けている名曲ですよね・・・

 このテープがリリースされた1997年頃は、現場では「こんな感じ」でMCを入れて、お客さんを煽りながらのDJプレイをしていいました・・・ちょうど10分目ぐらいのところでThelma Houstonがプレイされますが、ヤバいですね!!
 
 そして、私自身は、2005年前後にHarlemで不定期開催されていたMUROさんのロングセット「Back To Old School」で、上記のようなプレイでこの曲を聴き、さらにこの曲が好きになった記憶があります・・・
 もちろん、このテープがリリースされた直後から、ラジオとか他のミックス作品でも選曲していたので好きになった曲ではありますが、現場でのプレイを聴いて、さらに好きになった曲の一つです・・・ほんといい曲ですね!!

 そう、この曲は、MUROさんが「現場」でプレイし続け、自身の「鉄板曲」として仕上げてきた流れがあり、その成果がこのHeatでの選曲とDJプレイに反映されています・・・
 それだけ思いがある曲だから、B面の最大のピークの一つにしていたのでしょう・・・ありがとうございます!!


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 ただ、MUROさんのストーリーは、これでは終わりません!

 18曲目のエンディング曲には、これまたMUROさんクラシックの「Leon Ware / Why I Came To California」を選曲し、前曲で盛り上がった空気を、少しクールダウンしつつ、テーマであった「ドリーミー」な部分を完結させる、最高の選曲を魅せてくれます!!

 ある意味で、17曲目のThelma Houstonと18曲目のLeon Wareはセットで、この2曲を光らせるために、このB面があったと言っても過言ではありません!!

 この曲も、MUROさんから教わった曲の一つです・・・

 それこそ、MUROさんがDJを担当していたラジオ番組「Hip Hop Journey - Da Cypher -」で、何度も披露された曲で、HipHopしか知らなかった高校生の私は、素敵な曲だな~と思いながら、次第に好きになっていきました・・・
 そして、この曲が披露されたDJミックスは愛聴テープとなり、独自編集したテープ(DJ MURO / Da Cypher's Choice Vol.4)を作り、この曲目当てに何度も聴いた記憶があります・・・

 正直、このジャケから想像もできないドリーミーな曲(笑)ですが、私としては、MUROさんに「自分の音楽の幅を広げてもらった1曲」だと思っています。

 そう、MUROさんは、ミックステープを聴いている人の「音楽の幅を優しく広げてくれる先生」なんですね・・・

 MUROさん、これからも素敵な「ミックステープ」を聴かせてくださいね!!





5.さいごに

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 だいぶ公開まで時間がかかりましたが、この作品の良さや素晴らしさはある程度紹介できたでしょうか??

 選曲、DJミックス、ストーリーとも素晴らしく、ミックステープの鏡のような作品です!!

 今回、ここまで力を入れたのは、MUROさんの作品を評価した時、どうしても「Diggin' Ice」が前に出てしまい、今回の「Diggin' Heat」が前に出ることが少ないな、と思ったのがきっかけです・・・

 そして、この作品自体を掘れば掘るほど、収録曲の掘りの深さだったり、DJミックスの凄さだったり、ストーリーの素晴らしさだったりが含まれていることが分かりました・・・
 
 そのため、かなり時間をかけてしまいましたが、一つ一つの良さを整理し、紹介させていただきました・・・ちょっと自信ないですが、ある程度は紹介ができたかな?


 では、興味がある方は、この作品を聴いてみてくださいね!!

 なお、最後に蛇足・・・

 紹介をするにあたっての一番のきっかけは、実は、B面18曲目のLeon WareのUSプロモ12inchが、昨年の年末に念願かなって私の手元に舞い降りてきたことがきっかけです(^^;)
 この12を聴いてみたら、フッとHeatの97のことを思い出し、ちゃんと紹介したいと思った次第です・・・音楽って不思議ですね~





<Release Date>
Artists / Title : DJ MURO 「Diggin' Heat '97」
Genre : Soul、R&B、UK Soul、Jazz、RareGroove、Raggae、Disco、HipHop、Pops、Rock・・・
Release : 1997年冬
Lebel : KODP No Number
Notice : 2011年にCD再発があり。





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●資料集

1.トラックリスト


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 テープ版の(※1)は、誤表記であることが分かりました。また、上記の作品紹介でも掲載していたので、整理する意味で、下記に掲載します。

【side A】
Caron Wheeler / Soul Street
The Whispers / Come On Home
Solomon Burke / Over And Over (Hugging And Loving)
Minnie Riperton / Here We Go
Player / Baby Come Back
Tevin Campbell / Can We Talk
The Deele / Two Occasions
Zapp / Computer Love
Body / Footsteps In The Dark
The Isley Brothers / Between the Sheets
Hasani / Baby Be Mine
Maze feat. Frankie Beverly / Can't Get Over You
The DeBarges / Saving Up (All My Love)
Tony! Toni! Toné! / Anniversary
Hi-Tension / Peace On Earth
Brandye / How Long (※1)
The Sisters Love / Give Me Your Love
High Inergy / Lovin' Fever
Ta Mara & The Seen / Affecttion

【side B】
Dr. Buzzard's Original Savannah Band / Hard Times
Dennis Brown feat. Jean Adebambo / Since You Came Into My Life
Courtney Pine feat Carroll Thompson / I'm Still Waiting
Blue Mink / You Are The Sunshine Of My Life
Juicy / Satisfied
Sunrize / I Need You More Than Words Can Say
Carly Simon / Why
The Force MD's / Let Me Love You
Kurtis Blow / Daydreamin'
The Style Council / The Lodgers
After 7 / One Night
Stephanie Mills / What Cha Gonna Do With My Lovin
Archie Bell & The Drells / Don't Let Love Get You Down
The McCrarys / (Baby) I'm For Real
Shirley Bassey / Feel Like Makin' Love
Heatwave feat. Jocelyn Brown / Feel Like Making Love
Thelma Houston / Saturday Night, Sunday Morning
Leon Ware / Why I Came To California

(※1)テープのトラックリストでは「Brandye / I Love The Way You Love」となっていますが、正しい曲名は「How Long」になります。おそらく、アルバムの収録曲の1曲前のタイトルを記載したと思われます。



2.ジャケット

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 Diggin' Iceでは、ミネラルウオーターなどのジャケットをサンプリングしていましたが、Heatの97は、上記の「Zippo社のオイル缶」をサンプリングしていました!
 なお、この缶は旧缶と言われているそうで、今は黒色の缶に変わっています・・・個人的には、テープ清掃において、Zippoのオイルはマストなので、黒缶は馴染みの相棒です!





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DJ Tsubasa(t-Ace) 「TheTruth」
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 最近は3週間に1回ぐらいで、なかなか中途半端な更新ですね・・・すみません(^^;)

 ただ、こんなペースではありますが、昨年から自宅のテープ整理&研究により、紹介したいネタは溜まっているので、コツコツと紹介していきたいと思います・・・

 では、溜まってたネタからの紹介です~


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 まず、この写真を見て「えっ、なぜ?」と思う方が多いでしょう・・・

 今回は、人気ラッパー「t-Ace(ティーエース)」さんのDJ時代のミックステープを紹介しますね!!

 まず、t-Aceさんはご存知ですよね・・・

 t-Aceさんは「エロ神クズお」の異名を持つラッパーで、YouTubeでの音源公開やライブ活動等による精力的な活動があり、今や日本を代表するラッパーの一人かと思います。
 それこそ、HipHopファンにとっては好きか嫌いかが分かれるところでしょうが、自分のキャラクターをしっかりと作り出し、自身の手の中で活動を進め、しっかりと稼いでいる点は、もっと評価されても良いのかな・・・どうでしょう??

 そして、t-Aceさんについては、活動の初期をひも解くと、もともとは「DJ」だったと言われています!


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 DJについては、t-Aceさんのwikiに以下の情報が記載されています。抜粋して紹介しますね。

・茨城県水戸市を拠点とし活動する日本のラッパー。本名は、住谷翼。
・14歳(1995年)の時に地元の友人や先輩の影響でヒップホップと出会い、DJとして活動を始める。
・16歳(1997年)の時に茨城県の水戸市に戻り、鳶職をしながら音楽活動を再開した。
・21歳(2002年)の時に水戸市からメジャーデビューしたLUNCH TIME SPEAXに影響を受け、ラッパーに転身した。


 そう、t-Aceさんは、日本屈指のHipHopタウンだった「茨城県水戸市」で、「先輩たち」の影響を受けて「DJ」を開始し、21歳頃(2002年ごろ)まではDJとして活動をしていたんですね!
 
 もう「水戸市」「先輩たち」という単語をだけで「間違えなし!」ですよね・・・

 水戸は、日本語ラップにおいて重要ラップ・グループの一つである「Lunch Time Speax(ランチタイムスピークス)」を代表に、HipHopという音楽や文化が大変盛り上がった都市として有名で、様々なDJ、ラッパー、トラックメーカー、ダンサー等が活動していました。

 特に、水戸においては「DJ」の層が異様に厚く、水戸発のミックステープは他都市と比べて作品数が多く、どの作品も内容が良いことから全国流通をした作品も多いです・・・その事実だけでも、水戸のDJ層の厚さが理解できます。

 上の写真は水戸発のミックステープの一部で、前述したLunchのDJ Denkaさん、そしてDJ Tanpeiさん、DJ Suuさん等の作品は全国的にもヒットをしたので、ご存知の方も多いでしょうか?
 また、最近の私の研究では、現在も水戸で営業中のレコード屋さん「Under Pass Tracks」が、ある時期はテープレーベルとしてローカルのDJ達の作品をリリースしていたことが分かり・・・うん、水戸は「ミックステープ」が熱かった都市ですね!!

 参考で、比較的有名な水戸関係の作品は、下記にリストアップしてありますので、ご確認くださいね~

 ●参考 DJ Denka / 水戸関係 作品リスト


 そんな水戸という都市で、t-AceさんはHipHopが好きになり、先輩達の背中を見ながらDJの活動をしていたら、当然ながら「ミックステープ」を作りますよね!!

 私自身、1980年生まれで、t-Aceさんと年齢が近いことから、中学生ぐらいでHipHopに出会い、そして先輩の背中を見たことでDJをはじめたことは凄く理解ができます・・・
 それが、Denkaさんといった剛腕の先輩たちが周りにいたら、自然と濃いHipHop街道を進みますよね・・・それは、今回紹介する作品を聞いても、その「濃さ」が分かりましたよ!


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 そして、今回の作品紹介の前に、あえて「脱線する話」も入れておきますね・・・

 まず、今回の作品を紹介するにあたり、この作品が「本当にt-Aceさんの作品なのか?」という疑念もありました・・・

 それこそ、このテープを手にとっても「t-Ace」とは書かれてないし、t-Aceさんのディスコグラフティには書かれていない作品なので、本当に「t-Aceさんの作品なのか」と問いかけられたら、自信をもって「そうです」とは言えないですね・・・

 そのため、しばらく、この疑念に悩まされた「私の経過」を説明しておきたいと思います・・・

 まず、私自身、正直なところ、いつこのテープを入手したかは記憶がないのですが、気づいたら持っていました・・・
 ある時期から、とにかく知らないテープがあれば真っ先に買うようにしていたので、どうやら数年前に買っていたようで、たぶん、ユニオンの下北店あたりで、100~300円程度で購入したと思います・・・

 ただ、こういった「知らないテープ」はとりあえず購入はしますが、あまり聞くことはなく、すぐ私の記憶から遠のいてしまいます・・・

 このテープも、たぶん、買ってすぐに殆ど開かない「マイナーDJ箱=未整理箱」に収納され、収納したと同時に、自分の記憶からこのテープを持っていたことが消えてしまいます・・・5000本ぐらい持っていると、買ったものを全て覚えられないのが悩みです(汗)
 
 そして、月日が経ち、ある時期からヤフオクでこのテープが「t-Aceさんの作品」として出品されるようになり、一部のミックステープ・マニアはザワついたかと思います・・・

 私自身もザワつきましたが、凄い欲しいものではなかったのと、本当にt-AceさんのDJ時代のテープであるのか確証が得られないと思ったので、その時点では傍観しました・・・

 そして、その後、何かのきっかけで家掘りしてたら普通に発掘し、それも2種類も持っているとが分かりました・・・


 まあ、嬉しい反面、自分の管理の悪さに軽く凹むのですが、私ですらこの作品がt-Aceさんの作品と気付かないので、何もリリース情報が無ければt-AceさんのDJ時代の作品とは気づかないですよね・・・

 たぶん、ヤフオクの情報がない限り「水戸にいた謎のDJ」としか判断がつかなかったと思います・・・ミックステープ道は、厳しい道のりなのです(汗)


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 そして、本題の「本当にt-Aceさんの作品なのか?」に話を戻すと、答えは「t-Aceさんの作品」で間違えないでしょう!!

 この2本、タイトルは「The Truth」と同じタイトルになっていますが、それぞれ別の作品となっており、収録曲から判断すると、手前のは2001年~2年ぐらい、奥のは2002年ぐらいに作られたものと考えられます。

 おっ、2002年ですよ・・・

 前述のwikiの情報に従うと、2002年はラッパーに転身した頃なので、この作品がt-Aceさんの「DJ時代」の作品であることは証明できますかね?
 
 もちろん、この作品でのDJ名「DJ Tsubasa」が本名の「翼(つばさ)」からきていることは理解できるし、作品のアートワークがLUNCHのGocciさんだったり、作品に水戸関係者のフリースタイルが入っていたりするので、このテープが「t-Aceさんが水戸でDJをしてた頃の作品」であることは実証できます。

 そして、そして・・・個人的には、このテープの内容が「水戸っぽさ」満載で、そのことにより、この作品が「t-Aceさんの作品」であると確証しました!!

 では、今回は2001年~2年ぐらいに作られたとされる作品の方で、t-Aceさん、いや「DJ Tsubasaさん」の良さを紹介したいと思います!!


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 まず、選曲面から紹介です!

 選曲は、2001年頃のニューリリース系のHipHopを中心とした内容なのですが、個人的には「水戸の黒さ」が光った内容だな~と思いました。

 例えば、写真の「P. Diddy fea. Busta Rhymes & M.O.P. / Bad Boy For Life (Remix)」であれば、ビルボードヒットもした曲のRemixになり、客演したBustaとM.O.P.の熱いラップが最高で、ストリートでもヒットしたRemixかと思います。
 Tsubasaさんは、このようなビルボードヒットをした曲なんかも選曲してくるのですが、ラップが熱かったり、トラックもネタ感があってボトムが太いのを選んでる傾向が見えます・・・

 そう、これが「水戸の黒さ」だと思います!

 それこそ、DJ Denkaさんがそうであったように、選曲する曲が黒くって、気づいたら首を振っているんですよね・・・

 この「黒さ」を、私自身が上手く説明できないのが悔しいですが、P. Diddyの曲でも黒さを見抜いている時点で、グッときます・・・
 うん、選曲するTsubasaさんは「水戸のグルーブ」を引き継ぎつつ、なかなか素晴らしい選曲をしてくるな~と思いました!

 また、この黒さを高めるのは「2枚使い」です!!

 このP. Diddyの曲も、ガンガン2枚使いを入れてきて、その黒さを高めていきます・・・というか、2枚使いが上手い!!

 それこそ、Denkaさんの話になりますが、Denkaさんも太い2枚使いが印象的で、ある意味で「HipHopは2枚使いをすると、更に黒くなる」を実証していたお方かと思います・・・
 きっと、Tsubasaさんも、そういった先輩達の2枚使いを見て育ったんでしょう・・・時に太く、時に繊細な2枚使いが、選曲する曲の黒さを更に引き立たせていて、メチャクチャカッコいいですね!!


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 そして、その2枚使いが最高に光っているのが、水戸クラシックの「Lunch Time Speax / Beat On Tactics」でしょう!!

 イントロブレイクからタイトに2枚使いを入れつつ、歌詞で「♪ランチ、タイム、スピークス」と歌う部分があれば、つかさず2枚使い・・・
 そして同じく歌詞で「♪へーイ、ディージェー、D、E、N、K、A~」と歌う部分があれば、やっぱり2枚使い・・・

 私は、この2枚使いに目頭が熱くなりました・・・

 この2枚使い、水戸のHipHopを作った「Lunch Time Speax」という大先輩達へのリスペクトに外ならず、自然と目頭が熱くなりました!!

 それこそ、この作品のアートワークでランチのGottiさんが参加されてたり、A面の最初にはフリースタイルでTAD'Sさんが参加(それもKashiさんと共に!!)されてたり、ランチ勢との交流は太かったのでしょう・・・
 そして、t-Aceさん、いやTsubasaさん自身が水戸でDJをしてたから、DJ Denkaさんとも交流はあったでしょう・・・この部分の2枚使いを聞くだけでも、Denkaさんからの影響を感じて止まないです!!

 そして、そして・・・この部分を更に分析すると、「言葉」を上手利用した2枚使いですよね!!

 それこそ、選曲したHipHopの曲の中で、目立たないけど味のあるパンチラインを見逃さず、そこを強調するかの如く、2枚使いを入れてきます・・・
 なんでしょう、2枚使いをすることで、初めて「あっ、このパンチラインって最高じゃん!」と気付く感じですね・・・

 うん、私の妄想を含めてですが、後にt-Aceとして大成する素養「みんなが盛り上がる言葉を見抜き、その言葉で盛り上げる」感覚を、DJ時代から持っていたのかもしれないですね!!
 

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 今回、どうしてもレコが揃わず、借り物写真で紹介したので、最後はアウトテイクの写真でまとめましょう・・・P.Diddyは意外と入手困難でした・・・

 まず、まとめると、t-Aceさんが「HipHop」であることが分かる1作です!!

 そのへんのDJより選曲もDJも上手いし、何よりも「水戸のグルーブ」が最高に気持ちよく・・・こういった良さは、結果的に今のt-Aceさんの良さに繋がるのかな~と思いました!

 気になる方は探してみてね!!





<Release Date>
Artists / Title : DJ Tsubasa(t-Ace) 「TheTruth」
Genre : HipHop、R&B、日本語ラップ・・・・
Release : 2001年~2002年ごろ
Lebel : No Lebel No Number

Notice : フリースタイルの参加
 A面では、TAD'S A.C.とKashi Da Handsomeが参加しています。B面では、Woodsman、Co-Chin、Jose、Q-Rip、Marsという5名が、M.T.C. Finestとして参加しています。




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<独り言>

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 まず、先週のBig-O(オオスミ)さんの突然の訃報には驚きましたね・・・

 お昼、食後に休憩がてらTwitterを見てたら、この訃報のニュースが出てて、思わず「えっ、ほんと・・・」と言葉に出してしまい、周りの同僚を驚かせてしまいました・・・ 

 ●WWD 訃報 デザイナーのオオスミタケシ氏が47歳で死去

 
 私自身、大好きなラッパーの一人で、日本語ラップが好きだった高校生の頃(1996年~98年)は、メチャクチャ好きなラッパー=アイドルの一人でした・・・
 
 うん、オオスミさんの温和な性格を表した、どこか優しさとユーモアのあるラップ、だけど確実に記憶に残るフローとパンチラインは絶品で、ほんと才能があるお方でしたね・・・
 また、この点は、あまり整理できていないのでアレですが、オオスミさんは色々なDJのミックステープにフリースタイルで参加してて、それも上手かったですよね・・・

 ガキの頃のアイドルが、お亡くなりになられるのは、ほんと寂しいです・・・

 そして、才能がある方は、なぜ、早く天国に行かれるんだろう・・・


 うん、安らかにお眠りください・・・


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 そして、オオスミさんがお亡くなりになられた日・・・・実は、この日の夜は「待ちに待っていた日」でした!!

 なぜなら、我らのMUROさんのラジオ番組「King of Diggin'」で、なんと「山下達郎セット」を披露するからです!!

 ●Tokyo FM King of Diggin'  『DIGGIN' 山下達郎』


 当日の夜、このプレイを聞かせていただき、思わずTwitterで「こんなシーンを待ってたぜ!」と呟いてしまったぐらい・・・嬉しかったです!!

 このブログを長くお読みの方ならご存知でしょうか・・・

 2014年12月のブログでこんなことを書いていました・・・

 『来年は、MUROさんによる「山下達郎ミックス」が聴きたい!』

 たしか、意欲的なミックスCDが一般市場でリリースされるようになったこと、和物人気がジワジワと上がってきたことを踏まえて、ミックスCDの将来を期待して、こんな宣言をしたようです・・・

 結果的に、このことは、毎年毎年、ことあるごとにアピールしてたり、MUROさんとお会いした際にもお伝えしたり・・・なんとしても実現したかったことになります!!

 だって、この日本のDJ業界で、達郎さんの良さを一番最初に教えてくれたのは「MUROさん」だから・・・

 また、オフィシャルなミックスCDを達郎さんの了解を得て、現実的に作れるのは、MUROさん以外にいないから・・・


 こんな思いを抱きながら、MUROさんのミックスを拝聴しました・・・

 聞いた後の私の素直な感想は「やっぱり作品じゃないと満足できない」でした!!

 確かにSparkleのカットインには思わず「きゃ~」と声が出てしまったけど、達郎さんの世界はもっと深いし、MUROさんだったら、その深さを更に掘れるはずです・・・
 
 2021年の夏、MUROさんによる達郎さんミックスがCDで聞けることを望みます・・・


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 そんなわけで、最後は、やや遅れてしまったけど、今年のMuroさんのHeatで・・・

 今年のHeat、全体の方向性だったり、選曲の深さだったり、流石ですね!!

 ここ最近、緊急事態宣言でもあるので、少し早めに家に帰るようにしてて、夕食後、これを聞きながらゴロゴロしているのが幸せです・・・

 仕事の方は緊張感のある毎日だけど、こうやって幸せな時間があるのはイイことなんでしょうね・・・
 


 ではでは、また次回をお楽しみに~







 
DJ A.Vee 「Back When Skills Mattered」
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 気づいたら、今年初めての記事ですね・・・あけましておめでとうございます!

 去年ぐらいから、極端に更新頻度が落ちてしまい、恐縮です・・・
 今年も、こんな感じで、月1に近い更新になるのかな・・・忘れた頃に更新するような形になると思いますので、お暇な時に覗いていただければ~と思います!

 では、年末年始のお休みの時に「気づいたこと」があったので、このテープを紹介します!


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 今回は、90年代後半に、良作ミックステープをリリースされていたNYの「DJ A.Vee(エイ、ビー)」さんの作品を紹介します。

 まず、A.Veeさんは、USのミックステープを主に買っている方でも、知っている方は少ないかなと思います・・・

 バイオを簡単に紹介すると、90年代中頃よりNYを中心にHipHop系のDJ活動を開始し、あの「DJ Spinbad(スピンバッド)」と共に活動をされていたお方になり、Spinbadと同様に濃いミックステープをリリースしていたことから、結構人気だったお方になります。

 Spinbadについては、昨年の11月、突然の逝去でシーンに衝撃が走りましたね・・・

 今回紹介するA.Veeさんもそうで、自分の「大の親友」が亡くなったことを悲しまれていました・・・

 A.Veeさんのインスタを拝見すると、Spinbadとの思い出を語るかの如く、若い頃からここ最近までの写真を貼られてて、段々とお互いが「おじさん」になっていく感じに、A.VeeさんとSpinbadとの絆を感じました・・・
 また、 英語なのですべては理解できませんでしたが、A.Veeも参加したDJ Cityの追憶対談の動画でも、Spinbadとの思い出を語られてて、改めてSpinbadの偉大さを感じました・・・


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 そして、A.Veeさんについては、実はSpinbadの活動を「あること」を通して陰で支えていたお方になります。

 それは、ミックステープの「ジャケットのデザイン」です!!

 実は、A.Veeさんは、DJ活動と並行してミックステープのジャケットのデザイン業も行っていて、写真の「Veesigns Graphics(ビーサイン・グラフィックス?)」という屋号で活動をされていました!!

 ある程度、ミックステープを買われている方だと「このロゴ」には反応するでしょうか?

 例えば、写真下のように、Veesignsがデザインしたミックステープでは、大親友のSpinbadの名作「80's Megamix」から始まり、Lord Finesse、Jazzy Jeff、Roc Raida、Total Eclipse、DJ Riz等、様々なDJのミックステープのデザインを担当しました。
 
 私自身、昨年末にSpinbad周辺のDJのことを調べてて、A.Veeのテープに記載されたDJブッキング用の電話番号と、このVeesignsの電話番号が同じことに気づき、初めて「VeesignsのVeeは、A.VeeのVeeじゃん!」と気づきました・・・
 もちろん、Veesignsのことは知っていたし、A.Veeのことも何となく知っていましたが、あの巨体でこんな素敵なジャケを作られていたことに、結構、ビックリしました(^^;)

 そして、私自身、いつからか、Veesignsの独特なジャケの質感が好きになっていて、このVeesignsのロゴがあれば、知らないDJでも絶対に買うようにしていました!
 それこそ、Spinbadの作品が好きだったのもありますが、どれも良い作品が多く、ある時期から「レーベル買い」的に信頼できるロゴになっていました。

 何とも言えないですが、A.Vee自体、DJとして活動されていたこともあるので、DJとして信頼が出来る人のジャケしか手掛けていなかったのかもしれないし、ミックステープを作ったDJも、A.Veeだったら信頼してジャケを依頼できたのでしょう・・・
 そのことがあるからか、このVeesignsのロゴが入っている作品は、恐ろしく内容が良いのが多いのかもしれないですね・・・もちろん、A.Veeさん自身の作品もヤバいです!!

 では、A.Veeさんの作品の中で、HipHop濃度が非常に濃かった「Back When Skills Mattered」という作品の紹介を通して、A.Veeさんの良さを紹介したいと思います!!



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 この作品は1998年リリースの作品で、タイトルの「Back When Skills Mattered(DJスキルが重要な時代に戻ろう、かな?)」が示す通り、A.Veeのスキルがしっかりと表現された作品となっています!!

 まず、選曲面から紹介すると90年代の前半から後半のHipHopクラシックを中心に選曲した内容で、もー、嫌いな人がいない選曲になっています!!

 HipHopのレコードを買われている方なら、この写真を見ただけで「はい、大好きです!」となる選曲ですよね・・・

 A面であれば、「Leaders Of The New School / Sobb Story」から「UMC'S / One To Grow On」に繋いでいく形でスタートし、「Pete Rock & C.L. Smooth / Straighten It Out」「All City Productions ‎ / Unsolved Mysterme」、そして「Diamond D / I'm Outta Here」等で温めていく感じで・・・ド定番ではないけど、外せないクラシックで盛り上げていく感じが上手いですね!!

 また、B面であれば、「Nas / Half Time」で首を降らしつつ、そこから「Mad Skillz / Nod Factor」「Tha Alkaholiks / Next Level (Diamond D Remix)」等、90年代後半の外せないクラシックで首を降らせていく感じが最高ですね!!
 なんとなくですが、全体的にLarge Professorっぽい感じのトラックの曲を中心に選曲をしてて、最後の方では「Slick Rick / It's A Boy (Large Professor Remix)」を選曲する等、気づいたら首を振っています・・・もしかしたらLarge教授のことがお好きなのかな??

 うん、こういう「HipHopヘッズ」な選曲、嫌いな人はいないでしょう・・・

 きっと、A.Veeさんがガキの頃に好きだった曲、その流れでDJになって好きになった曲を素直に選曲しているのでしょう・・・

 なんか、DJプレイしながら、ノリノリで各曲のパンチラインをライムしている感じがして、大変素敵な選曲となっています!!


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 そして、前述した「選曲」をさらに良くしている要素として「2枚使い」と「構成力」があります!!

 やはり、この2点を強みにしていたSpinbadと共に活動をしていただけあり、この2点はホント上手く、作品の良さを更に盛り立てます!!

 例えば、A面であれば、最初の方で「A Tribe Called Quest / Hot Sex」から「Akinyele / Ak Ha Ha! Ak Hoo Hoo?」に繋いでいく流れで、Akinyeleでのスピード感の出し方が素晴らしいです!

 まず、Hot Sexは、前曲から同曲のインストで入り、頃合いが良いタイミングで曲の方にスイッチし、そこからPhifeの1バース目の出だし(♪Aiyo, put one up for the Phifer・・・)を鬼2枚使いし、もー、カッコよすぎです!
 そして、グッとくるのが、同曲の2バース目のQ-Tipのド頭のライム(♪where ya at?)から、かなり突然なカットインでAkinyeleのインストを入れて、すぐにAkinyeleの「♪Ak」という声でスクラッチソロを入れてから、曲の方にスイッチし、スピーディーな展開に首振りです!!

 言葉にすると分かりにくいですが、このようなDJプレイをすると、Akinyeleの曲に「スピード感」がつき、最高に首振りです!!

 分析すると、A.Veeさん自体、2枚使いやスクラッチも相当出来るので、DJミックスをするときは「インストを先に繋いで、そこから2枚使いやスクラッチを絡めていく手法」を多用しています・・・
 これはHipHop系DJの伝家の宝刀と言っても良い手法ですが、まずは基礎体力として2枚使いやスクラッチが上手くないと出来ないでしょう。

 ただ、A.Veeさんは、この基礎体力がありつつも、繋いだ曲が盛り上がるような展開を作っているんですよ・・・
 これこそ「構成力」の賜物で、パッと聞いたらすぐ終わる部分でも相当センスのある構成力が光っています・・・


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 そして、「2枚使い」と「構成力」は、B面でも発揮されていて、特にB面最初の流れはでは、選曲の幅を広げつつも、更に上手い「構成力」が光っています!!

 まず、この部分の1曲目は「Stezo / It's My Turn」をプレイしますが、上手く2枚使いを絡めることで、同曲の肝となるビート(It's A Ney Dayのブレイク)の破壊力を更に高めていきます・・・
 特に、このビート感が強い同曲のイントロブレイクを鬼の2枚使いでこすり倒していくのがカッコイイし、1バース目の序盤の「♪There's no way that the crowd can sit down」の「crowd can sit down」の部分を、ファンキーに2枚使いしてくるのもカッコイイです!!

 そして、個人的には「ここからの展開」が上手いな~と思いました。

 まず、あえて「HipHopではない曲」を選曲してきます・・・

 実際には、「Chuck Brown & The Soul Searchers / Bustin Loose」「7th Wonder / Daisy Lady」といったブレイクネタ(サンプリングネタ)を選曲するのですが、これらに上手く2枚使い等を入れながら、ブレイク感を強めたプレイになっているので、聞いていると「HipHop」として聞こえます・・・
 ただ、分かる人が聞けば「おっ、HipHopから軸を外したのかな?」と思うでしょう・・・

 そして、ここで「構成力」の上手さが出ます・・・

 「7th Wonder / Daisy Lady」を2枚使いすることでHipHop的なグルーブを出しつつも、同曲のもつ明るさが出るか出ないかのタイミングで「Black Sheep / Flava Of The Month」をスクラッチカットインしてきます!

 これが絶妙なタイミングで、聞いていると「来たー!」となる展開です!!
 Black Sheepの持つクールでダークな感じを際立たせるため、あえてDaisy Ladyを前に置く選曲と構成力は上手すぎです!!

 つまり、選曲の流れであえて「谷」を設け、Black Sheepが盛り上がるような構成にしていたんですね!!

 こういった点は、Spinbadも多用していて、むしろその点が秀でたので、他のDJの作品よりもミックステープの内容が優れていたと私は考えています。
 それこそ、先ほどの「Akinyele / Ak Ha Ha! Ak Hoo Hoo?」や、ここで紹介した「Black Sheep / Flava Of The Month」は、Spinbadの「That's My Sh??!!」という作品で、この作品と同じように上手く選曲し、テープの中で肝の曲となっています。

 この点を踏まえると、Spinbadの周りでは、お互いが切磋琢磨してスキルを磨き、スキルを共有していたことが分かります・・・

 そして、A.Veeさんも、Spinbadと切磋琢磨をしてたから、こんな素晴らしいミックステープを作れたのでしょう!!



 そんなわけで、HipHop万歳な作品の紹介でした(^0^)

 是非、A.Veeさんの作品、そしてVeesignsがデザインした作品に触れる機会があれば、聞いてみてくださいね~





<Release Date>
Artists / Title : DJ A.Vee 「Back When Skills Mattered」
Genre : HipHop、Funk、RareGroove・・・・
Release : 1998年
Lebel : Veesigns Graphics No Number


<小ネタ集>
1.Veesigns Graphicsについて


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 まず、今回取り上げたVeesigns Graphicsは「デザイン会社」になり、いわゆる「レーベル」ではないとされています。

 ただ、Veesignsがデザインしたテープ、特に1996年~1998年ごろに作られたテープの大半は「マクセル製の家庭用生テープ」を使用していて、テープ本体のインデックスを手貼りで付けている仕様が多いです。

 そうなると、同じデザインのミックステープが、同じ仕様で作られていた訳です・・・
 普通に考えたら、同じ人が手作業でプレス作業をしていたことが想像できます・・・

 明確な答えは出ませんが、この点を踏まえると、Veesigns Graphicsが「テープのプレス等もしていた」のは想定でき、ある意味で「テープのレーベル」として機能していたとも言えるかもしれないです・・・


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 なお、手製で作っていたことから、プレスした時期で微妙にジャケットの内容が違うことがあり、マニアにはタマランごちそうです・・・

 上記は、今回紹介した作品なのですが、微妙な色違いが発生しており、中の情報も微妙に違います・・・家掘りで2本あることに気づきましたが、仕様違いで良かったです・・・(^^;)



2.Veesignsと似たデザイン会社

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 今回紹介したVeesignsと同じ90年代中頃~後半に、NYのミックステープのジャケをデザインしていた会社では、写真の「P-Type Graphics」も有名で、こちらも「イイ味」を出しています!!

 こちらは、割とメインストリーム系のDJの作品のジャケを制作していて、パッと保管箱から出せたのだとDJ ClueとかShazam X等のジャケを担当しています・・・
 こちらもこちらで、独特の質感がたまらなく、個人的には、こっちのジャケの質感が後のNYのミックステープのジャケに影響していったのかな~と思っています。

 なお、こちらも大半が手製プレスで、デザインと共にテープのプレスもしていたような匂いがあります・・・
 また、Tape Kingzの90年代後期の作品(カラーで、それぞれの作品にジャケがあるタイプ)では、ここの会社がデザインを担当してることもあり、純粋なデザイン会社として対応もしていたようです・・・

 誰に必要な情報かは分からないですが、引き続き、こういった情報が出せるよう、ミックステープの研究を行います・・・がんばろう(^0^)




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<独り言>

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 緊急事態宣言もあったりで、ここ最近、仕事がちょっと忙しい状況です・・・

 それもあって、レコ屋さんに行くのは少し足が遠のいています・・・
 まして、こういった状況だと、なかなか不要不急の外出はしづらいですね・・・

 そして、レコ屋さんに行けたとしても、仕事の帰りに短時間だけ寄る感じになってしまい、少ない時間をフル活用すべく、鬼の形相で掘り掘りしているようです(^^;)

 昨日の土曜日も、そんな感じで、平日に出たゴツいテープが残っていることを薄く期待して、会社帰りに一瞬だけ下北のユニオンに行きましたが、平日放出のは無くなっており、シュンとしながら、少ない時間で必死に掘り掘りしていましたよ・・・
 ただ、運が良かったのか、当日にテープの追加放出があり、そちらは欲しいのをしっかりとゲットさせていただきました・・・ありがとうございます!!


 あと、ブログの動きについても、私の尻に火をつける意味で、1つ報告です!!

 昨年の年末に、あるレコ屋さんで、長年探していた1枚が買えたことがきっかけで、ある大物作品を再紹介しようと考え、少しづつ作業をしています!!

 ここ1年、重要作品の再紹介が増えましたね・・・

 まず、おかげさまで私の手持ちレコが豊富になってきたこと、そして、作品の分析や紹介がレベルアップしたことで、重要作品をちゃんと紹介できる状況になってきました・・・

 そして、重要な作品ほど、皆さんに「聞いてほしい」と思うので、しっかりとした紹介にしたいと思うこと・・・

 こういった背景があり、再紹介が増えたような気がします・・・

 その大物作品の紹介がいつになるかはアレですが、少しづつ、作業を重ねていきますので、しばらくお待ちくださいね~




 ではでは、今回はこんなもんで・・・次回をお楽しみに!!








 
[DJ A.Vee 「Back When Skills Mattered」]の続きを読む
Danny Krivit 「Grass Roots」
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 今年も1年が終わりますね・・・早いな~ 

 今年は、音楽を聴いている時間と余裕がなく、ただ毎日が目の前を過ぎていき、気づいたらもう年末です・・・
 そのため、MTT的な活動が出来なかったなぁ・・・来年は頑張れるかな??

 そんなわけで、ここ最近、何となく聞いてたら「やっぱり良かった!」な作品の紹介です~



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 今回は、大好きなDJである「Danny Krivit(ダニー・クリビット)」さんが2001年に発表した作品で、Dannyさんの「音楽の根幹」となる曲達を選曲した名作「Grass Roots」を紹介しますね~

 Dannyさんについては、過去の記事で色々とご紹介していますので、詳細は以下よりご確認くださいね~

 ● Danny Krivit ミックス作品リスト


 まず、この作品は、UKの再発系レーベル「Strut(ストラット)」がリリースした作品の1つで、リリースした2001年当時、かなりヒットした作品となっています!

 ほんと、このレーベルを通して様々なコンピレーションやミックスCDがリリースされましたね・・・いやいや、お世話になりっぱなしな素晴らしいレーベルです!!
 それこそ、ミックスCDの歴史において最重要作品とも言える「Larry Levan / Live at the Paradise Garage」をリリースしたレーベルと言えば、イメージがつくでしょうか・・・

 このレーベルは、Disco~Garage~Houseといった70~80年代のダンスミュージックの再発に定評があり、これらの音楽の良さを広める手法として、積極的に「ミックスCD」をリリースしていたレーベルになります。

 もちろん、コンピレーションも多くリリースしているのですが、このレーベル自体が「DJが作る音楽」という点を強く意識している点がポイントで、その意味では、今回のDannyさんはこのレーベルのキーパーソンの1人とも言えます。
 例えば、今回紹介するミックス作品だったり、2003年に発表した「Edits By Mr. K」のようなコンピ作品だったり、さらに、これらの作品で披露したリエディット曲の12inchリリースだったり・・・ある意味でStrutの「イメージ」を作ってた1人だと思います。

 そのイメージとは「過去に埋もれてしまった曲を、DJの力で光り輝かせる」ことだと思います・・・

 Strutの作品は、DJミックスでも、コンピでも、そしてリエディットでも、この考えの元で作られており・・・これを聞いたリスナーは、その過去に埋もれた曲の良さに気づくのです・・・

 そして、もう一つ重要なのは「普通のCD屋さんで買える」状態でリリースされていたことでしょう!

 このレーベルは、ちゃんと著作権をクリアして、一般流通が出来るようにしていました・・・ミックスCDを買ってると、こういった点に疎い所もありますが、これは重要なことですね!
 それこそ、こういった曲を知らない人が簡単に知ることができたり、さらには全世界に流通させることもできたり・・・こういった点も非常に評価できると思います!

 ではでは、こういった良さを踏まえて、Dannyさんの作品を紹介してみましょうね~



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 この作品は2CD仕様になっており、さながらテープのA面とB面のような構成になっています。
 そのため、今回の紹介ではCD1~CD2の順に、それぞれの最初と最後の曲だけで紹介してみたいと思います!!

 まず、CD1では、 LOFT CLASSICSである「The Blackbyrds / Happy Music (12inch Mix)」から渋くスタートします!
 ジャンル的にはJazzFunk~RareGrooveな楽曲ですが、古くからNYのDiscoシーンで愛された名曲です・・・Dannyのこういう黒い選曲は素敵ですね!

 この作品では、DannyさんがDJとして影響を受け、自身のルーツになっている曲を選曲しているのですが、選曲がビックリするぐらい広いのにヤラれます・・・

 それこそ、CD1では、直球なDiscoやGarage以外にも、BlackbyrdsのようなJazzFunk~RareGrooveのような「黒いグルーブの曲」を多く選んでおり、流石の手腕です・・・
  他にも、50年代のJAZZからはじまり、Afro、Rock、NewWave、HipHop、House、さらにはGospelなんかも選曲し、とにかく選曲の幅が広くてヤラれます・・・
 また、曲によっては、その曲の良さを更に引き出すためにDannyさんによるリエディットが施されており、選曲した曲が更に光ってプレイされています・・・

 そして、このような幅広い選曲をDannyのDJを通して聞くと、それらの色々なジャンルの曲が一体となり、聞いてて大変「気持ちいい」です!!

 CD1では、全体的に「黒いグルーブ」を主軸に様々なジャンルの曲を選曲し、BPM的にはミッドテンポ程度の楽曲で進めていくことから、聞いてて気持ちいいんですよね・・・
 なんでしょう、リラックスしながら踊れる感じで、DannyさんのDJに身を任せてしまう、そんな素敵な選曲になっています・・・

 そして、この後も、様々な黒いグルーブを表現しながらミッドテンポ程度のBPMで進めていきつつ、徐々にグルーブを上げていくDJが最高です(^0^)



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 そして、 CD1のラストは、個人的にも大好きな「Patrice Rushen / Number One (Long Version)」です・・・黒いグルーブで躍らした後、突然、心地よい日差しが入ってくる感じで、素晴らしいタイミングでの選曲です!!

 そして、この時点でお気づきの方もいるかな・・・ここではレコードの話をしましょう!

 この作品では、色々なジャンルの曲を選曲しているのですが、Dannyらしいのが「12inchのレコードのみに収録のバージョン」を多く選曲しているんですね!!
 それこそ、このNuber Oneであれば、12inchのみの6:44のLong Versionを選曲していたり、先ほどのBlackbyrdsも12inchのみの長尺バージョンを選曲しています!

 こういうところもDannyさんらしいですね・・・

 Dannyさん自身、生粋のDJでありながら生粋のレコードコレクターとして有名で、素敵なのは、そういったレコードを「聴きやすい形で紹介」してくれることです・・・

 それこそ、レコードコレクターという人は、そういったレアなレコードほど、周りに広めようとしない習性があります・・・ある意味で独占欲があったりするので、昔のコレクターほど、そういった傾向は強かったと思います。

 ただ、Dannyさんは、そういった傾向はなく、むしろ積極的にDJでプレイして、笑顔で「これ、イイだろ?」と優しく語りかけてくるんですよね・・・
 レコードがレアとか、そういうことは関係なく、イイ曲を素直に選曲し、素直にプレイするDannyさんの良さが、この作品でもしっかりと表現されています・・・ 

 うん、こういったところもDannyさんが優れたDJである証拠ですよね・・・

 なお、ドマニアックな話も1つ入れておくと、選曲の中で、1976年にTom MoultonがLarry Levanに贈ったとされる特別エディットのアセテート盤「Little Sister / I’m The One, You’re The One (Tom Moulton Mix)」を選曲しています・・・
 うん、この曲も満面の笑みで「これ、最高だろ!」とプレイしていることが想像できます・・・もちろん、最高です!!



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 ただ、レコードコレクターとしたら、その笑顔の「これ、イイだろ?」が、その後の辛い「修羅の道」を歩むきっかけになったりもします・・・

 例えば、CD2の第1曲目では、後にSalsoulで大活躍したInstant FunkのTSOP時代の「Instant Funk / Philly Jump」を選曲します・・・

 Phillyマナーなスムースかつダンサンブルな曲でありながら、Instant FunkらしいFunkな感じが光った素敵な1曲で、CD2の選曲の流れをスタートさせるのに持ってこいな1曲です。
 CD2は、CD1で見せた黒さを少しだけ抑えて、グルービーな流れを前に出した感じになっています・・・その意味では、このInstant Funkは上手いスタートの切り方になっています!

 そして、この曲、かなりマイナーな曲ですが、これを選曲してくるDannyさん、流石の選曲力の高さですね・・・

 当然ながら、この曲が、このCDを聞いて好きになりましたよ・・・

 そして、その瞬間、私にとっての修羅の道が始まりました・・・そう、このオリジナル12inchを探す旅です・・・

 いやいや、このレコにはホント出会えなかったですね・・・(^^;)

 このレコ、結構な値段がするのもさることながら、出現率が異様に低く、探し始めて5年ぐらいの今年の夏、某ユニオンで出現してくれ、やっとゲット出来ました・・・
 コロナ禍で大変な中での突然の出会い・・・最初に出た値段に軽く尻込みし、少し寝かして割引で買ったのは秘密(笑)ですが、レコード買うのも楽じゃないですよね・・・

 私の話で恐縮ですが、Dannyさんからは音楽の素晴らしさを教わったと同時に「レコード掘りの厳しさ」も教わったのです・・・

 それは、正しくは「いい曲は自分の足で探しなさい!」という意味かもしれないです・・・

 Dannyさん自身、もう還暦を超えた大ベテランですが、日夜「良い曲」を探していることが有名で、それは最新の曲だったり、古い曲だったり・・・ほんと、曲を掘ってられるんですよね!
 有名な話だと、日本に来日された際、最初に行くのはレコード屋(笑)とも言われてて・・・ほんと「音楽に情熱がある人」なんですよね・・・

 そう、大先輩が頑張っている後姿を見たら、私たちも頑張らないといけませんね!!



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 そして、CD2も最後の1曲を紹介しましょう・・・この流れでこのレコはビックリされた方もいるかな?

 最後はなんとクラシックな「Bill Withers / Lovely Day」です・・・いやいや、イイ曲ですね!!

 前述したとおり、CD2はグルービーな選曲になっていますが、段々と熱いボーカルモノを増やしていく選曲で、聞いていると段々と体が熱くなってきます・・・
 その流れで、オーラスにLovely Dayです・・・もう、クラブの朝なら、皆で歌ってますよね!!

 これもDannyさんの真骨頂・・・ここぞという時の「ド定番」の選曲です!!

 クラブでのDJプレイでも、ミックス作品でも、タイミングを間違えると、このような「ド定番」の曲って、諸刃の剣になることもあり、それまで作り上げたグルーブを崩壊させちゃうこともありますよね・・・
 それは、ド定番だからこそ、皆が持っている曲のイメージがあり、そのイメージと合致しないと、今までの作っていたグルーブからコースアウトしてしまうことがあるからです・・・

 ただ、Dannyさんについては、ほんと絶妙なタイミングで選曲してきます・・・

 このLovely Dayも、ほんと絶妙なタイミングで、聞いてみないと分からない「素晴らしい多幸感」があります!!

 これは、Dannyさんの熟練の技ですね・・・最高です!!



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 う~ん、まとまりのない紹介になりましたが、Dannyさんの深い選曲と、それを具現化するDJプレイが生きた素晴らしい作品です!!

 そして、そして・・・何も考えずに聞いても楽しめる作品です!!

 これこそ、Dannyさんへの誉め言葉で、DannyさんのDJは「素直に体を預けられる」のです・・・

 そう、Dannyの音楽が「間違えない」ので、体を預けられるんです・・・

 それは、現場のDJもそうだけど、ミックス作品でも体が預けられます・・・これはDannyさんにしか出来ない「マジック」ですよね!!

 結構買いやすい作品なので、気になる方は、是非、聞いてみてくださいね~





<Release Date>
Artists / Title : Danny Krivit 「Grass Roots」
Genre : JazzFunk、RareGroove、Jazz、Afro、Rock、NewWave、HipHop、House、Gospel・・・
Release : 2001年
Lebel : Strut(UK) STRUTCD014






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<独り言>

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 え~、まず、このブログの年中行事なので、このことから報告です・・・

 今年の「MTT大賞」は開催中止としました・・・

 まあ、コロナで大変だったり、私自身の音楽的活動が縮小したり、そして、そもそもミックス作品があまりリリースされていない状況では、開催が難しいな~と思い、初の開催中止(?)とさせていただきます・・・

 う~ん、新作となると、殆どMUROさんのミックスCDしか買ってないんですよね・・・

 でも、今年のDiggin' Iceが良すぎてICEの1997を再紹介したり、名作Hawaiiian Breaksのオフィシャルリリースを祝してオリジナル作品を紹介したり・・・なかなか素敵な年だったなぁ~
 ただ、残念な話ですが、日本国内での業務用カセットテープの製造終了に伴い、ICEやHeatなどでリリースされていたテープ版は今年で終わりのようですね・・・これは残念だ!!

 一応、これも高齢な過去の対象履歴だけは掲載しておきますので、お暇な時にお読みくださいね~

【MTT大賞 過去一覧】
●2009年 DJ 吉沢dynamite.jp 「ニュースクール 歌謡ダンスクラシックス!」
●2010年 該当作品なし(大賞ノミネートのみ発表)
●2011年 該当作品なし(大賞ノミネートのみ発表)
●2012年 関口紘嗣 「Le Temps des Cerises - さくらんぼの実る頃」
●2013年 Ultimate 4th 「Rubber Funk」
●2014年 Grooveman Spot 「Historical Taboo」
●2015年 Danny Krivit 「Mr.K Salsoul」
●2016年 該当作品なし(大賞ノミネートのみ発表)
●2017年 DJ Krutch 「N-Unstoppable」(奨励賞)
●2018年 該当作品なし(大賞ノミネートのみ発表)
●2019年 該当作品なし(大賞ノミネートのみ発表)



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 ただ、ここにきて「大変嬉しいボム」がリリースされました!!

 それは、写真の「V.A. / Share That Disco Of Love 」というタイトルのHMV限定のコンピレーションで、Disco~DanceClassicsの直球レーベルである「Salsoul(サルソウル)」と「Solar(ソラー)」の美味しい楽曲をコンパイルした作品になります。
 内容的には、両レーベルの楽曲を上手く混ぜ、それぞれのレーベルの魅力である「多幸感」や「爽やかさ」といったグルーブを上手く表現してて、なかなかの内容です・・・個人的にはCD1とCD2のSalsoul締めが、クラブで踊ってたからこそ分かる曲なので、グッときました!

 詳細は下記のリンクよりご確認くださいね~

●HMV限定コンピレーション・アルバム『Share That Disco Of Love』



 そして、この作品がなぜボムかというと、このCDを作られた「HMV/ローソンエンタテインメントの山口さん」にご縁があるからです・・・

 古い話で恐縮ですが、このブログの「パーティーリポート」で、たびたび登場する「Y君」という名前にご記憶はありますでしょうか・・・

 そう、この「Y君」が、この山口さんだったのですね!!

【参考記事】
●Joe Claussell 「Contact 1 Year Anniversary」(@Contact 2017/04/01)
●DJ Kaya 「Somebody 2 - Chnged Your Mind」 ※独り言に書いてあります



 山口さんは、まだ20代半ばの若者で、大学生になりDiscoにハマり、徐々にクラブやレコードに目覚めたそうで、私はその過程で出会いました・・・
 確か4~5年前、まだ大学生だった山口さんとフロアーで出会い、クラブでもレコ屋でも会うようになり・・・ここ最近も、レコ屋でたまにお会いします・・・
 
 私自身、人とコミュニケーションをとるのがそんなに上手くないのと、一回り、いや二回りぐらい若い人と話すのがどうしたら良いのか分からなかったので、今でもドキドキしながら話しています(笑)が・・・今回の突然のリリース話は、私のことのように嬉しいです!!

 うん、「私の踊っている姿」や「レコードやテープを掘っている姿」を見てくれた後輩が、こうしてDiscoのCDをリリースするんですもん・・・嬉しいですよ!!

 一回りも二回りも違う若者と、クラブのフロアーで踊る私・・・日ごろのうっ憤を飛ばすかの如く、躍動しながら踊る私・・・
 どうやら、山口さん自身、そういった踊っている姿を見てくれて、もっと「音楽」を、もっと「ダンス」を好きになっていったようです・・・

 そして、レコ屋で真剣な眼差しで掘る私・・・セールの時は、さらに切れ味のある眼差しで掘る私・・・
 こういった姿も見てくれてたようで、「レコード」ももっと好きになってくれたようです・・・LPから12inchに買い替えをしている話を聞いた時、ちょっと嬉しかったですよ~

 きっと、山口さんは、色々な音楽や人に触れあって、今の山口さんがおられるのでしょう・・・
 ただ、もしかしたら、私の背中も、今の山口さんの一助にはなったのかな・・・作品を聞かせていただき、そんな思いを自分勝手に抱きました・・・

 ほんと、偶然も偶然ですが、今回のDannyの作品とも通じる「音楽愛」がそこにありましたよ・・・

 うん、山口さんの「音楽愛」が伝わる、大変良いコンピでしたよ!!

 ぜひぜひ、次は「ミックスCD」を作りましょうよ・・・SalsoulだったらDazzle Drumsさんで作って欲しいです!!

 
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 んで、ここからは掘り関係の近況報告で、1年の締めのお話をしますね・・・

 まず、レコード関係のお話しから・・・

 今年の私は、コロナの影響等があり、なかなか時間が取れず、レコード屋さんに行く回数が減りました・・・
 ただ、限られた時間でお店に訪れ、店員さんの頑張っている姿や、いつも通りレコードをサクサクと掘っていると、心のどこかで落ち着きを取り戻す自分がいました・・・レコ屋さんって、なんで落ち着くんでしょうね??

 そして、今年のレコードの堀りは、買っている枚数は少ないけど「欲しかったゴツい」の巡り合えた1年だったなぁ~と思い返しています・・・

 私が好きなDisco12inchの話で恐縮ですが、4~5月の緊急事態宣言の間に皆さんが断捨離をしたのか、結構なゴツいのがレコ屋さんに流れ、6~9月はセール級のレコが普通に平日放出されてて、1人でザワついていました(^^;)
 ただ、すぐにレコ屋さんに行けないので、数日後にお店へ伺ったらお目当てのは売れ残っています・・・もう、即決で購入したり、このタイミングで売れてないのであれば少し寝かせてもイケると判断し、割引になったら購入したり・・・しましたよ(^^;)

 おかげさまで、Clyde Alexanderのオリジナル、CerronやGlays KnightのCanadaのみ12inch、そして、今回紹介したInstant Funkなど、欲しかったゴツいのと巡り合えましたよ・・・
 そして、コロナ禍なので、家で過ごすことが多いこともあり、出会ったレコ達を自宅で軽く踊りながら聞く喜び・・・オリジナルにしかない音の太さと優しさが、疲れた私の心と体を癒します・・・
 
 まあ、大きな動きはなかったけど、結果的にレコードに元気を貰った1年だったかもしれないですね!

 来年も良いレコードと出会えますように・・・



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 そして、今度はテープの話です・・・

 まず、今年は全然買ってない・・・というか、テープが全然市場に出ない状況でしたね(^^;)

 先ほどのDisco12inchの出方が断捨離系だったので、テープも出るかな~と思ったら、そこまで大きい出物はあまりなく、小出しでチョンチョンといった感じですね・・・
 まあ、それなりに回収はしている状況ですが、今年はもう少し欲しかったな・・・来年に期待だ!

 でも、テープ馬鹿なので、こちらはしっかりとゲットさせていただきましたよ・・・

 これは、有名オーディオメーカー「オーディオテクニカ」の企画で、同社が始めるオンライン・ミックステープ・ショーのローチン企画として作られたミックステープで、渋谷にある「Face Records」で購入者特典として配布されたものになります。

●《オーディオテクニカ》発のグローバル・プロジェクト「Analogue Foundation」より “One hour Mixtape”シリーズが始動。



 このテープ、恐ろしいのが「5本1組」になっていることで、内容もKenseiさんをはじめ、STRUGGLE FOR PRIDEの今里さん、ジブさんの息子さんであるRENさんなど、最強の人選となっており、この情報が出た瞬間も1人でザワついていました(^^;)

 そして、結構ギリギリなタイミングでお店に寄らせてもらい、ちょうど欲しかったレコの購入と併せて無事にこのテープを頂きましたよ・・・
 なお、ちょっと恥ずかしい話もあり、私は「この5本のうちの1本を選ぶ」と思い込んでいて、会計の際に元気よく「Kenseiさんで!」と言って、店員さんに「5本進呈しますよ!」と優しく教えてくれ、妙にドキドキしながらテープを貰いました・・・

 このテープ、まだ、あまり聞けてないので、お正月休みのお楽しみにしようっと!!

 


 ではでは、今年はコレで終わりです~

 来年も、同じようなペースになりそうですが、地味に頑張りますのでよろしくお願いします!!

 では、また来年です~♪








 
R.I.P. DJ Spinbad (再編集記事の紹介)
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 だいぶ時間が経過してしまいましたが、このことだけは私が「書かないといけない」ですね・・・

 最大級のリスペクトを込めての紹介です・・・



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 既にご存知の方も多いかと思いますが、2020年11月10日、NYを拠点に活動するDJである「DJ Spinbad」さんがお亡くなりになられました・・・

 ●New York Post 「DJ Spinbad, iconic NYC musician, dead at 46」

 ●fnmnl 「80s Megamix」などのミックスCDで知られたDJ Spinbadが死去したとの報」


 こんなに人の死が悲しくなるのは久しぶりです・・・

 この訃報を知ったのは、彼の死の数日後、会社に着いた朝、コロナで日課になっている体温測定をしながら、Twitterを見ていたらこのニュースが流れてきて、思わず「えっ」と口から言葉が出るほどの衝撃を受けました・・・

 そして、そして・・・心の中では大泣きをしました・・・

 だって、だって、世界で一番の「ミックステープDJ」がお亡くなりになられたのだから・・・

 その日は、普通に仕事はしたけど、私の心の一部は欠けたままとなりました・・・こんなに悲しい思いをしたのは久しぶりです・・・


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 世界で一番の「ミックステープDJ」・・・この言葉に偽りはありません。

 私自身、Spinbadのテープを聞いてミックステープの魅力を知り、ミックステープの大ファンとなり、そして、その魅力を伝えるべく、このブログを開始して、10数年が経過しています・・・

 その間、多くのミックステープを聞かせていただき、そして紹介をさせていただきました・・・

 そうした中で、いつも思うことがあります・・・

 私の思う「ミックステープ」は、Kid Capri、DJ MURO、そしてDJ Spinbadが作り上げた・・・ということです。

 この3人が「ミックステープ」を作ったことで、私が愛して止まない「ミックステープ」が作られたのだと思います・・・

 そう、それは、ジャンルや時代に関係なく、そのDJの自由な発想の元で、プレイした音楽を更に光らせる「最高の音楽」です・・・

 そうした音楽が納められているのが「ミックステープ」であり、私は、この「ミックステープ」が大好きなのです・・・

 そんな「ミックステープ」を作った一人であるDJ Spinbadさんが、若くして天国に旅立ちました・・・

 悲しいですね・・・悲しいよ・・・


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 ただ、「悲しいよ」で終わったらいけないよね・・・

 Dev Largeさんがお亡くなりになられた時、ふっと「教わった掘りは掘りで返す」という言葉が頭をよぎり、その言葉を、私は「ブログの記事」にして返しました・・・

 うん、あなたにも、そうしたいよ・・・

 Spinbadのミックステープには、ほんと影響を受けました・・・

 うん、心の底から「影響」を受けました・・・

 だから、だから・・・あなたに恩返しがしたいよ・・・


 そのような思いがあり、だいぶ時間を頂きましたが、この「名作テープ」の記事を書き直しました・・・


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 ●DJ Spinbad 「"Rocks The GasBah!!... " The 80's Megamix」

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 記事自体は2011年に書いたもので、その2011年の記事を大幅に加筆修正しました。

 うん、私が出来る最大級のリスペクトを込めて書き直しました・・・

 私自身の人生を振り返った時、Spinbadのテープと知り合っていなかったら、今の自分はいないと思います・・・

 もし、このテープを聞いたことがない、いや、衝撃を受けたことがない方がおられましたら、是非、この作品の音源を聞いた上で、読んでいただければ幸いです!!


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 いつもなら、もっとダラダラと書いてしまうところですが、今回はコレだけです・・・

 DJ Spinbad、あなたは世界で一番の「ミックステープDJ」でしたよ!!

 天国でもDJしててね・・・そして、素敵なミックステープを作ってね・・・


 ありがとうございました!!



<追伸>
 Spinbadさんのヤバさが分かる作品として、以下の2本もお勧めします。
 また、Spinbadの作品を紹介したリンク集も貼り付けておきます。
 よろしかったご確認ください!!

 ●DJ Spinbad 「That's My Sh??!!」

 ●DJ Missie 「Missie」

 ●「DJ Spinbad」 作品リスト







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<独り言?>



 ここからは、いつものMTTに戻りますね!
 
 いやいや、更新が遅れてすみませんね・・・仕事が忙しくって、作業が全く進みませんでした・・・
 
 この記事の更新については、頭の中では再編集するための整理はできていたのですが、それを実行するための時間がなく、やっと先週ぐらいから時間が出来たので、チョコチョコと書き直していて感じでした・・・

 その中で、一番時間がかかったのが、上の動画でした・・・

 記事で紹介した「Maneater」の2枚使いを紹介するための動画ですね・・・

 何に時間がかかっていたかというと・・・2枚使いをするために、体に「DJ」を呼び戻す作業に時間がかかったのです(^^;)

 笑い話じゃないですが、40過ぎたオッサンが、5年ぶりぐらいにまじめに2枚使いをしたら、そりゃー大変なことですよ!!

 DJ勘を呼び戻す以上に、体が思い通りに動かないのです・・・

 そして、普段使わない筋肉を使うので、変なところが痛みます・・・

 特に、2枚使いをしながらトリックを入れることが、頭では手に命令をしているけど、手が思い通りに動かないのです・・・昔はある程度は同じようにトリックも出来たんだけどなぁ~

 なので、体に無理な命令ばかりしていたので、ここしばらくは、40肩との戦いでした・・・(^^;)

 結果的に、最高にド下手な2枚使いとなりましたが、Spinbadの素晴らしさを紹介できる内容にはなったかな??

 お暇なら、動画も見てくださいね~




 そして、Spinbadの更新作業を行っている間に、もう一つ、悲しい訃報が届きました・・・

 あのManhattan Recordsの元バイヤーで、DJ/Producerとして活躍されていた「Mr. Itagaki aka Ita-Cho」さんがお亡くなりになられました・・・

 ●plumskinz 「訃報」

 ●DJ MURO 「Instagram 1時間でいいからあの日に戻りたい・・・」


 Ita-Choさんの場合は「堀りの大先輩」がお亡くなりになられた感じの寂しさがありました・・・

 Ita-Choさんが、日本のレコード文化に残した功績はホント大きいですよね・・・

 それは、私たちが好きで止まない「レコード掘り」の色気や怖さを、あの大きな体から発していたことに他ならないと思うからです・・・

 残念ながら、Ita-Choさんとお話ししたことはありません・・・

 それこそ、何かのイベントで、Ita-Choさんが販売で出店されていて、飾ってあったテープのことをお伺いしたら、鋭い視線で「●●●●円」と返され・・・怖い思いをしたことがありました。
 ただ、TwitterでRTしたテープを紹介した後、分からないことについてTwitterを介してItagakiさんから反応があった際、真摯に答えてくれて・・・ああっ、私の「掘り」を認めてくれたんだな~と思ったりもしました・・・

 うん、掘りってやつは、言葉には出来ないけど・・・素敵だよね・・・

 よろしければ、Ita-Choさんのテープを紹介した記事を貼り付けますので、ご一読くださいね!

 そして、Itagakiさんも天国で安らかにお休みくださいね・・・

 ●Mr. Itagaki aka Ita-Cho 「Bambu - 27 Groovy Breaks」




 では、今回はここまで・・・

 次回をお楽しみに~