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HipHop,R&B,Soul,Funk,RareGroove,DanceClassics,Garage,House・・・など、私が気に入っているMixTape,MixCD,その他もろもろを紹介するブログです。
Shazam X 「The Best of KRS-ONE & BDP」
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 え~、1月になり、ほんと寒い日が増えてきましたね・・・暖房を入れても寒いので、毛布にくるまりながらブログ作業をしています(^^;)

 前にもお話しましたが、私は結構な冷え性なようで、寒さに弱いんですね・・・今年の冬は、特に寒さが応えるようで、辛いっすね~

 そんなわけで、寒さとはあまり関係ない、この作品の紹介です~


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 今回は、NYのDJである「Shazam X(シャーザム・エックス)」さんが1997年ごろに制作した「KRS-ONE」楽曲のみをミックスした作品を紹介します!

 まず、Shazamさんですが・・・テープを相当深く掘っている人しか知らないと思うので、分かる情報だけ紹介しましょう。

 Shazamさんは、どうやらNYのブロンクス出身のDJ/Producerで、唯一情報が分かるDiscogsからの情報によると、割とプロデューサー寄りの活動をされていた方のようです。
 もう、全然情報がなく、検索をすると、もれなく楽曲検索アプリの大先生の方にヒットする(笑)など、詳細が分からない方なのですが、90's Underground的なシングルを数枚残すなど、それなりに活動をしていた方かと思います。

 ただ、テープ馬鹿としては、上記の「Best Of」系のテープを出してて、結構有名なお方だったかな~と思っています。

 Shazamさんが作ったBest of系は、今回紹介をするKRSの他にもEPMD、Mary J Blidge、渋いところでBoot Campなど、割と渋いラインを突いており、個人的には結構ツボなお方になります。
 また、最後で紹介しますが、日本製のブートもあるなど、当時は結構人気があり、NYでもそれなりに売れていたのではないかと思います・・・ただ、そこまでメジャーかというと、決してそうではなく、部類的には「B~C級」になるかも??

 んで、この「Best Of」系のテープですが、ミックステープの中では結構人気の高いジャンルかと思います。

 それこそ、USであれば、Tape KingzからリリースしてたMister Ceeのベストは有名だし、日本でも割と出しやすいジャンルなので、かなりの作品が作られています。
 また、聞く側としても、そのアーティストの「美味しい」ところを簡単に聞けるので、手が出しやすいジャンルですよね・・・これは今も昔も変わらないかと思います。
 
 なお、私としては、ミックステープにおける「Best of」系においては、以下の二点が重要だと思っています。

 一点目は、このBest系は、いわゆる「教科書」的な役割を果たし、売れやすいジャンルでありながら、聞いた人が「そのアーティストのことを勉強できた」意味が非常に大きいことです。
 この点は、日本ではその価値が大きく、90年代中ごろぐらいだと、急にHipHopがブームになり、過去の名曲を知ろうにも、簡単には触れることが出来なかったので、こういったテープは非常に役立っていたと思います。
 特に、こういった「一人のアーティストを深堀すること」は、Frontとかの専門誌では特集されていたものの、それを「音」で聞くのは結構大変だったので、その辺の需要を上手く取り込んでいたかと思います。

 そして、二点目は、こういった「Best of」が、アーティスト側のプロモーションとして価値があることが認められたことで、アーティスト側の協力が生まれ、その後のUSの「Mix Tape」文化を作っていった点です。
 実は、今回のShazamさんを含め、ある程度プロが作ったBest ofは、そのアーティストに許可は得て作られており、更にシャウトアウトや未発表曲の提供など、その対象アーティストが結構協力している部分が強く・・・それは、結果的に「そのアーティストのプロモーション」に繋がることを踏まえて作られた部分があります。
 時期的には90年代中期位からだと思いますが、NYにおいては、ストリートで売れる「ミックステープ」の影響度はほんと大きく、アーティスト側もその価値を知っていて、協力をしていたんでしょう・・・
 その後、00年代位になると、DJ DramaとかのMix Tapeのように、完全にアーティストのストリートプロモーション用の作品としてリリースされるようになり、この文化を作る上では、スタートはこの「Best Of」だったのかな~と思っています。

 まあ、Best Of系は、選曲に縛りがある以上、実はアーティスティックなミックス作品が作れないことの方が多いので、私の評価としては下がるのですが、こういった価値はあるので、馬鹿には出来ない作品かと思います・・・


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 んで、作品の紹介をする前に、今回のテープのお題である「KRS-ONE(ケアレス・ワン)」さんにも触れておいた方がよいでしょう・・・

 まず、私は、KRSを通してHipHopを学びました・・・うん、KRSこそ「HipHop」だと思います!!

 今となっては、なかなかKRSから影響を受けたという人は少ないかと思いますが、90年代にHipHopを聞き始めた人にとって、KRSからHipHopを学んだ方は大変多いかと思います。
 
 それこそ、ZeebraさんやYou The Rockさんなどは、KRSから相当影響を受けていて、私も、ジブさんやユーさん達が語る「KRSの熱さ」を通して、相当影響を受けました・・・
 ユーさんに至っては、自分のアルバムでKRSの名曲「Outta Here」の自分訳な日本語での語りかけ曲(!)を入れるなど、相当KRSから影響を受けてましたね・・・


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 そして、なぜ「KRS」かです・・・私としては、HipHopというか、人間としての「熱さ」や「ラージさ」に勇気づけられ、相当な影響を受けたかと思います。

 KRSの歴史的な部分は、それなりに調べればあると思うので割愛しますが、私もYouさんと同じく、KRSの名曲「Outta Here」には相当影響を受けました・・・

 ● 「KRS ONE / OUTTA HERE」 You Tubeへリンク

 まず、大前提として、私たち世代だと、ZeebraさんがFront誌において、HipHopの名曲を対訳した連載(Word is Bond)があり、それで初めてこの曲の「意味」を知ったと思います。

 この曲は、いわゆる「Back in the Dayz」もので、自分の昔を振り返る内容なんですが・・・もう、KRSの懐(ふところ)の深さが分かるリリックで、こういうマインドこそ「Hip Hopだ!」と思わせる内容です。

 それは、彼自身が凄い辛い人生を送りつつ、サビで「♪No doubt BDP is old school, but we ain't goin' out ! (BDPはオールドスクールだけど、俺たちはどこにも行かないぜ!)」とブラストさせる部分に集約されていると思います!

 KRS自身、自分を救ってくれた恩人であるDJのScott La Rockを、BDPがメジャーに上がる前に不必要な暴力の弾丸により彼を失い、その後、非暴力やコンシャスな道を進み、世間に影響を与えるも、HipHopが段々と金満主義や暴力至上主義の方向性になっていき、この影響も含め、Scottの良心だったBDPが解体する結果になった後で・・・リリースされたソロ曲として、こんなことを胸を張って言えるのが熱すぎます!
 また、少しズレる話ですが、このソロ作の時点で、KRSも一世代前のラッパーになっていたことを含めると、実はこの曲のトラックはJames BrownのFunky Presidentをドラムネタにしてて、このネタ自体も、この曲がリリースされた1993年の時点では古くなったネタだけど、ProduceをしたDJ Premierの使い方がフレッシュで、それこそ「古くても、アイデアやセンスが良ければOutta Here(どこにも行かない)しないんだ!」みたいなことも暗喩(思い込み?)してて、最強ですね!

 もう、KRSって、本当に「熱い」んです!

 名言やパンチラインも熱いですが・・・人間が忘れてはならない「熱さ」、そして「ラージさ」があるんですよ・・・

 それが、このラインにも表れているし、それ以上に、自分が作った作品には必ず、無くなったScottをリスペクトして「Overseen By Scott La Rock (スコットが見守ってくれている)」とクレジットしてて、それも熱いです・・・
 また、MCネームであるKRS-ONEは「Knowledge Reigns Supreme Over Nearly Everyone(=知識はほぼ万人を制する)」の略になり、こういったインテリジェンスがある一方で、非常に人間臭い一面も強く、その辺のラージさもヤバいっすね・・・

 私自身、HipHopは、90年代の中ごろ、周りのHipHopブームに乗って気づいたら好きになっていましたが、ファッション的な部分よりも、こういった「文化としての熱い考え方/姿勢」に影響を受けた部分が多かったです・・・


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 では、作品の紹介をしましょう!

 まず、この作品は選曲を見る限りだと、1997年ごろ、ちょうどKRSのソロ3作目「I Got Next」がリリースされる直前ぐらいにリリースされたようで、憶測ですが、このアルバムのストリート向け宣伝という要素も含めて企画されたのかな~と思います。
 理由は、B面の後半でその3作目の楽曲が選曲され、トラックリストにおいては、その曲には「New」と注釈があったり、3作目の名曲「Step Into The World」は、この曲の副題である「Rapures Delight」と記載されているところを見ると、3作目が世に出る前に作られたのかな?

 んで、選曲から紹介すると、KRSを知る上で重要な曲たちを、なるべく制作順にまとめており、なかなかの出来です。

 それこそ、A面はKRSがソロになる前のグループである「BDP(Boogie Down Productions)」の曲が中心になり、A面の頭では、本人登場でKRS御大のありがたいイントロの後、大名曲な「Boogie Down Productions / South Bronx」から選曲し、聞いてて熱くなります!
 また、South Bronxの後は、B-Boy Records時代の曲をメドレーしたり、コンシャスなKRS、つまりEdutainment(教育と娯楽の造語)な先生スタイルが全面にでた「Boogie Down Productions / You Must Learn」を選曲したり、流れに沿った選曲は分かりやすいです。
 なお、You Must Learnは、オリジナルから、Get Up And Dance使いのRemixに流れる展開で、こういった小ネタも要所要所であり、グッときます。

 また、ソロ時代の曲も、A面後半からB面の中盤にかけて選曲され、当時はみんな選曲した「KRS-ONE / MC's Act Like They Don't Know」や、自身のレーベルFront Pageからアンダーグラウンド向けリリースされた「KRS-ONE / Rappaz R N Danja」などの渋い曲も多く選曲されています。
 ソロ時代も、BDPも含め、割と渋い部分は攻めてて、それこそLPのみの曲も多く選曲してて、まるで「シングルの曲だけがKRSじゃないんだよ」と言わんばかりで良いですね・・・全体的には、割と大雑把でありながら、KRSの魅力をしっかりと伝える選曲にはなっています。

 ただ、ただ・・・説明は「これだけ」になっちゃうんですよね(^^;)

 残念ながらDJミックスには独創的な部分はあまりなく、割と淡々とDJしてて、まるで「コンピレーション」みたいな感じを覚えます。

 また、私たちが思っている「KRSの熱さ」をそこまでは代弁してなく、大好きな「Outta Here」はワンバースのみ、それもサクっと選曲してるんですよね・・・
 やっぱり、ミックステープであれば、創造的な部分は欲しく、KRSの魅力をバシっとだせるキメ曲を作るべく、選曲の流れがグルーブの作り方があっても良かったのかな~と思います。

 でも、USらしいラフな作りが、KRSの持つストリート的な質感を生んでるのも事実で、この空気感は真似できないかも・・・
 たぶん、日本人が作ると、変に生真面目になってしまい、そういったラフさが出せないんですよね・・・これは不思議です?


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 そんなわけで、今週はKRS週間になり、大名作の1stのテープ版も聞きこんでしまいました(^0^)

 個人的には・・・このミックスよりも、1stのテープの方がヒットだったかも?
 アルバムを通して聞ける点も大きいですが、寒い冬の夜道でBoom Bapさせながら聞く「Outta Here」は最強ですね・・・もー、PremierとKRSのタッグが改めて最強だと感じました(^0^)

 なお、毎度のごとく、仕事帰りに夜道で聞いているわけですが・・・白い息を出しながら、30半ばのスーツ姿のオッサンが、このテープを聞きつつ、歌詞に合わせてラップしている姿こそ、私は「Hip Hop」だと信じています(^^;)

 では、Shazamさんのテープ、そんなには遭遇しないですが、B~C級が好きな方は探してみてくださいね~
 
 



<Release Date>
Artists / Title : Shazam X 「The Best of KRS-ONE & BDP」
Genre : HipHop
Release : 1997年ごろ
Lebel : Shazam X No Number


Notice : プレスレーベルについて

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 上記のRelease Dateでは、Labelを「Shazam X」としましたが、ジャケには写真の「P:Type Grapics」のマークが記載されています。

 このP:Typeですが、90年代中期から中ごろのNYのミックステープには頻繁に確認ができるマークで、名前だけを信じれば、その作品の「ジャケット」を制作した集団を表している、と思われます。
 それこそ、DJ Spinbadの初期作やX-Men等のコスリ系DJの作品には全てこのマークが付いていて、NYの中ではTape Kingzとは違う方向性のDJ達の作品には、このマークが付いています。

 そのため、ある意味で、Tape Kingzと同じように「テープレーベル」と見なすことも出来ますかね・・・

 実際に、このマークの付いているテープは、だいたい作りが同じ(マクセルのテープを手刷り→テープ本体に紙のラベルを張り付け)なので、テープ自体もP:Typeの人が作っていた可能性が高そうです。

 なお、Tape Kingzの白黒ジャケに対して、USらしい原色感バリバリで、かなり雑なカラー印刷のジャケは、マニアになると愛らしくなるのには困ったものです(^^;)
 ただ、P:Typeモノは、割としっかりとデザインしてて、今回のKRSのように雑誌風のデザインは悪くはなく、Tape Kingzよりは凝っていたように思えます?


Notice : 日本版のブートについて

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 左:USプレス(オリジナル)  右:日本コピー(ブート)

 今回のShazam氏のBestテープは、前述した教科書的な理由も含めて、日本でも流通してたようですが、NYのオリジナルプレスの他に、日本でコピーされたブートテープも流通していました。

 今回のKRSにおいては、上記のように日本コピーのブートがあり、日本コピーの方は、ソニー製の国産テープを用いた裸テープで作られています・・・
 私が確認した限りだと、EPMDでも日本ブートがあり、時代的に需要があったからコピって売ってたんだろうな~と思いました。

 なお、このKRSでは、堂々と「90分」と日本語が書かれていて、直球で「日本でコピりました」と言わんばかりですが、EPMDのテープでは、その日本語部分をカッターで削ってあるという、涙ぐましい努力の痕跡が・・・こういうのは大好きです(^0^)
 また、関連で蛇足っておくと、当時の日本コピーについて、詳しい方の話だと、こういった「日本でコピってるのがバレる」ことを嫌がる本格派は、アメリカから格安な空テープを持ち帰り、それでコピって売ってたそうです・・・こういう地味な努力も大好きです(^0^)







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