また、3か月ぶりの登場ですね・・・更新が遅くて、すみません!
今回は前回に続き、ディスク・ガイドに関する紹介の第2段です!
1.はじめに 今回は、1970年代~80年代のダンスミュージックの一つである
「Disco(ディスコ)」 や、その延長線上にある
「House(ハウス)」 の
ディスク・ガイド を紹介したいと思います!!
DiscoやHouseはジャンルとして大きいので色々なディスク・ガイドがあり、これら参考にレコードを購入している方は多いかと思います。
私自身も今回紹介するようなディスク・ガイドを参考にしながら、Discoに関する知識を蓄え、結果的に様々なレコードと出会うことができました・・・これには感謝の一言です。
そして、前回の記事でも紹介しましたが、私自身、ディスク・ガイドから様々な知識が吸収できたので、感謝の気持ちを込めてこれらの本を手放すために、今回の記事でディスク・ガイドのことを紹介することになりました。
手放すことについては、前回の記事に詳しく書いてありますので、この記事と併せてお読みください!
※参考記事 ●素晴らしき「Disc Guide(ディスク・ガイド)」の世界 その1 和モノ編 そして、第2回目のテーマである
「Disco(ディスコ)」 という音楽は、私が一番好きな音楽ジャンルで、長くブログをお読みの方なら私がDiscoを好きなことを多少は御存知かと思います・・・
例えば、持っているレコードの中で一番枚数が多いのはDiscoで、特にDJ向けに発売されたシングル盤である
「12inch」 はかなり頑張って買いました!
それこそ、このブログでは、記事の最後に「独り言」と称して私の日常のボヤキ(?)を書いていましたが、その中でユニオンのDiscoのセールに並び、鉄火場でゲットしたDiscoの12inchのことをよく報告していましたね・・・
おかげさまで、レインボーな背面でおなじみのSalsoulの12inchだけでも写真のように結構な量を所持することができました・・・自分で言うのもなんですが、結構頑張ったなぁ~
ただ、私の場合は、
ディスク・ガイドでDiscoの曲を知った部分よりも、実は「ミックス作品に収録された曲」や「クラブでDJがプレイした曲」を聴いてDiscoの曲を知り、その中で素直に「カッコイイ」と思った曲を探していた 方が多かったかもしれません。
いきなり本題のディスク・ガイドを否定するような話ですね・・・
冷静に考えると、私の場合は、ディスク・ガイドのような紙からの情報以上に、ミックス作品やクラブといった実践の場でDiscoの曲を知った部分は強かったと思います・・・ある意味で「生きたディスク・ガイド」で曲を覚えたのかもしれません。
しかし、Discoのレコードって12inchというシングル盤が多く、かつマイナーな曲も多いことから、レコード屋さんで探すのが大変なんですよね。
それこそ、大半の曲が写真付きのジャケットではなく、レーベル共通の穴あきジャケットなので、レコードのセンターラベルだけを見て探す形になります。
そのため、私の場合は
ディスク・ガイドで探している曲の特徴等を勉強して、それでお目当ての曲を探すことが 多かったです。
例えば、探している曲のレーベルのセンターラベルを覚えることから始まり、その曲の12inchは「USはPromoのみで白いセンターラベル」とか、「長尺はジャケ付きのフランス盤のみ」とか、「オリジナルはFrankford/Wayneの刻印あり」とか、ディスク・ガイドからこういったマニアックな情報を掴み、それを元に探すことが多かったです。
今でこそDiscogsがあればどの時代・どの国のレコードも探すことができますが、Discoについてはどれが音圧が良いか、どれがDJプレイに適したミックスが施されているか等の細かい違いがあり、こういったプレス違いの情報を持つことが重要になると思います。
つまり、
自分が「どれを買うか」の判断をするための能力を身に付ける 必要があるのです・・・こればかりは、Discogsを眺めているだけでは得られないことなので、ディスク・ガイドを通して結構勉強したと思っています。
また、
音を聞いただけでは分からない情報 を、これらのディスク・ガイドから得ていた部分も強いと思います。
それこそ、後でも紹介する高橋透さんやDJ Noriさんの紹介文は、実際の現場でDJをしていたからこそ分かる
「Discoの魅力」 を明確に示してくれて、大変参考になりました・・・
なんでしょう、どうしたら「そのDiscoの曲が光るのか」といったアイデアが含まれた紹介文なんですよね・・・こういったアイデアを吸収したことも勉強の一つになるかと思います。
※参考記事 ●Mixtape Troopers ジャンル一覧「MixCD DanceClassics、Garage」 ●Mixtape Troopers ジャンル一覧「Party Report」 また、今回の記事では、Discoの延長線上という範疇で、Discoがもつ4つ打ちの魅力を引き継いだ音楽ジャンル
「House(ハウス)」 のディスク・ガイドにも触れたいと思います。
私としては、
HouseとDiscoは「ダンス・ミュージック」という名の同じジャンル だと思っています。
この理解は結構重要だと思っていて、HouseとDiscoは別々の音楽ジャンルではなく、むしろ親子や兄弟のようなジャンルなんだと思っています。
それは、歴史的な流れを考えてもそうだし、4つ打ちのリズムの作り方だったりが根拠になります。
ただ、何よりも、
House系のDJがここぞという時にDiscoをプレイして盛り上げている 点が一番分かりやすく、こういった背景があるから、Houseのディスク・ガイドにもDiscoの曲が紹介されています。
そのため一般的には「Houseのディスク・ガイド」と思われているものも、今回はDiscoのディスク・ガイドとして紹介したいと思います。
以下では、私の視点で3つのパートに分けて紹介します・・・お暇な時にお読みくださいね!!
2.90年代、00年代前半のディスク・ガイド (1)The Disco Era 1973-1981 発行 1993年 DANCE TRACKS DATA NETWORK
いきなりマニアックな本からで恐縮ですが、これは「アナログ時代のDJの苦労」が分かる一冊になるでしょう!
この本は、どういった方が作られたかは分かりませんが、日本で作られた同人誌に近いもので、
Discoの有名・無名の曲の「BPM」を紹介 しているレアな一冊になります!
まず、BPMのことを紹介しておくと、BPMは「Beats Per Minute」の略で、 1分間の拍数を示したものになり、曲のテンポを表す単位のようなものになります。
例えばBPM100であれば、1分間に「ドン、ドン」というドラムのキックの音が100回鳴ることを示しており、数が減るとテンポは遅く、数が増えるとテンポが速くなります。
そして、多くのDJはこのBPMを頼りに選曲を行っています。
それこそ、クラブで踊っていると同じテンポの曲が続く方が踊りやすいので、DJ達は次の曲を探す際に今プレイしている曲に近いテンポの曲を探しながら選曲を進めていることが多いです。
中古でレコードを買うと、レコードの目立つところに「108」といった数字が大きく書いてあったりしますよね・・・
これは、その曲のBPMをDJが調べて書いたものになり、レコードにBPMを書いておけば、今プレイしている曲のBPMに近い曲が曲を聴かずとも分かるため、BPMを書くDJが多かったとされています。
ただ、このBPM、基本的には自分で調べるものなので、90年代であれば
「BPMカウンター」 を使って手入力で調べていたり、なかなか地道な作業が必要でした。
私自身、ミックス作品をブログで紹介する際、今でもプレイした曲のBPMをスマホのアプリを使って手入力で調べているので、この「地味に面倒な作業」の大変さを理解しています・・・
そこで、このような本が作られ、DJ達はこの本を参考にDisco系の曲にBPMをメモっていたのだと思います。
1993年というと、日本でHouseの音楽が根付き始め、その源流であるDiscoが
「Garage(ガラージ)」 としてプレイされ始めて頃かもしれないので、こういったDJの需要に応えていたのかもしれないですね。
なお、ディスク・ガイドとしても面白く、1993年の時点でかなりマニアックなDiscoのタイトルまで紹介しており、なかなかの一冊です。
あと、蛇足ですが、参考写真のVestaxのBPMカウンターを調べていたら、フラットに紹介している記事があまりなく、辿り着いたのは私のブログの紹介記事でした(^^;)
上記の記事で引用した写真は、下記の記事で紹介していますよ~
※参考記事 ● 素晴らしき「DJ機材カタログ」の世界 (2015年10月) ● 素晴らしき「DJ機材カタログ」の世界 別館② Vestax(ベスタクス) (2)The Ultimate Disco-Graphy 2001!! 発行 2000年 ぶんか社
著者 HIDETO KOBA
そして、こちらは、ど真ん中な「Discoのディスク・ガイド」でありながら、
DJ/レコード・ブームだった2000年前後の「レコード相場の勢い」 が分かる、貴重な一冊になっています。
まず、このディスク・ガイドの序文には
『ダンス・ミュージックの熱狂的なファン、もしくは12inchシングルの熱狂的なコレクターのためのガイドブックを作りたい』 との企画趣旨が書いており、このディスク・ガイドは、まさにこのことを体現した一冊となっています。
70年代~80年代のDisco、Dance Classics、Garageから始まり、これ以降に華開いたダンス・ミュージックとしてHouseやTechno、HipHopやR&B、さらにはHi-NRG~Euro Beatまで網羅された究極の一冊で、ここまで12inchに特化したものは類を見ないと思います。
著者のHIDETO KOBAさんがどのような方かは分かりませんが、このディスク・ガイドを読む限りでは、80年代初期からディスコに通い、ダンス・ミュージックを幅広く理解しているお方のようで、ジャンル分けもさることながら、そのジャンルの中の細かい違いをページごとにサブジャンルの設定をしていて、かなり知識のあるお方と読み取れます。
各レコード紹介のコメントも的確で、かつドマニアックな内容が多く、ほんと勉強になります・・・個人的には、日本独自の「ディスコ」的なものというのでしょうか、例えばRockやPopsの12inchとか、Hi-NRG、さらにはAvexのプロモなんかは、このディスク・ガイドから教わったと思います。
そして、このディスク・ガイドが面白いのは「2000年前後のレコード相場」が記載されていることです。
ディスク・ガイドの中では、紹介したレコードの説明の一部に相場(価格帯)に関する記載があり、安い順にD→C→B→A→特と示されていて、これが今となってはビックリすると思います。
例えば、写真の「Chaka Khan / What Cha' Gonna Do For Me」のUK盤の12inchは「特」と書いており、これは5万円以上を意味します・・・
確かに、この12inchは、
UK盤のみが12inchでリリース されており、クラブのアフターアワーズには必須なスローダンサーな曲として有名で、今でもソコソコな値段はしますが、今の相場からすると5万円にはビックリですね!
ただ、この値段、あながち間違っていないですよね・・・
2000年前後にレコードを買っていた方なら分かるかと思いますが、このころは全体的にDJに人気だった曲のオリジナルは異常に高く、その一つがDisco系のレコードだったと思います。
それこそ、若かりし頃、Discoの12inchが欲しくなりはじめ、これ系の品ぞろえが良いと評判だった渋谷のタートル・レコーズさんに行ったら、恐ろしい値段のオンパレードで何も買えずに帰りました・・・
あと、若干記憶が曖昧ですが、西新宿のBeat Collector'sさんでもEueo Beat系のレコードで同じ思いをしたような記憶があります・・・
昔はレコードの値段が高かった話だと、昔書いた記事
「俺の履歴書」 の補足記事として分析編を用意し、その中で
「当時の高価買取リストを元にした資料」 を作りましたが、紹介したChakaの12inchの値段は、2005年ごろでも15,000円と推測しているので、やっぱり昔は高かったんですね~
※参考記事 ● 「俺の履歴書 - 分析編」 (3)House Legend - New Edition ※写真・右
発行 2002年 アウトバーン ※初版は1997年
編集 remix編集部 & 若野行博
(4)House Music Bible ※写真・左
発行 1998年 ペンデュラム
編集 巽英俊
これらの本は、ブログを開始した2008年に紹介したことがあり、ディスク・ガイドというよりも
「House~Dance Musicの歴史本」 に近いと思うので、この項ではオマケ的に紹介します。
当時の拙い文章で読みにくいかと思いますが、これらの本は下記の記事で紹介していますので、ご興味があれば、ご一読ください!
※参考記事 ● remix編集部 「House Legend - New Edition」 ● ペンデュラム編集部 「House Music Bible」 そして、今回の記事ではディスク・ガイドに特化している部分のみを紹介します。
まず、「12inch」と書かれた写真の方は
「(4)House Music Bible」 のディスク・ガイドの部分になり、タイトルのとおり80年代中期からのHouseの重要な12inchを紹介しています。
両方の本とも、基本的にはHouse、またはHouseの源流となるGarageの有名DJ達へのインタビュー、さらには関連コラムが充実したもので、その関連コラムの一つとしてディスク・ガイドが掲載されています。
この2冊はディスク・ガイドがメインではないので、ディスク・ガイドのページはそこまで用意されていないですが、両方ともディスク・ガイドの内容は充実しており、個人的にはかなり勉強させてもらいました。
特に、もう一つの写真の
「(3)House Legend - New Edition」 の方は、Houseの曲の紹介の前にDiscoの曲を丁寧に紹介しており、これがグレイトですね!!
執筆者はDJ Noriさん、DJ Hiroさん、さらにはKing Street SoundsのHisaさん、ManhattanのHouse担当者だった小林弘道さん、DJ Harveyの盟友としておなじみのDJ Marboさんが参加しており、
DJらしいコメント の数々にヤラれます!!
それこそ、「このUS盤のプロモが一番音がイイ」とか「Paradise Garageでのプレイが印象的」のようなコメントが多く、12inchコレクターとしてマストな情報が多いですね!!
どうも、Discoに関しては、
一般的なディスク・ガイドよりも「DJらしい実用性」 があった方が私にとっては良かったようです・・・
その意味では、DJやクラブ、ダンスカルチャーの歴史を紹介する本もディスク・ガイドとして十分に機能していたと思います・・・
※参考記事 ● DJ関連書籍 「ダンスカルチャー 歴史・紹介本」 3.00年代後半以降のディスク・ガイド (1)House Music Archives - 超ハウス・ディスク・ガイド 発行 2006年 Rittor Music
監修者 巽英俊
ここからは2005年以降に刊行されたディスク・ガイドを紹介します。
私としては、この頃から本格的にDiscoの12inchを買い始めたので、この2005年という区切りが個人的にしっくりとしています・・・
その中で、このディスク・ガイドは読まれた方が多いのではないでしょうか?
私自身もかなり読んだ一冊で、結構ボロボロになってしまいました・・・
こちらは2006年に発行されたもので、DJ系の季刊誌「Groove(グルーブ)」を発行していたRittor Music(リットー・ミュージック)さんから刊行されたディスク・ガイドになります。
タイトルの通り「House(ハウス)」に焦点を当てた一冊で、12inchのレコードを中心に合計2,000枚の作品を紹介しているHouseの名ディスク・ガイドになります。
ほんと丁寧に作られたディスク・ガイドで、Houseというダンスミュージックの進化を丁寧に紹介しており、70年代のDiscoから始まり、80年代のGarage、Houseの原型を作ったChicago House、そして全世界に広がった様々なHouseが紹介されています。
特に、このディスク・ガイドが素晴らしいのは、Houseというダンスミュージックを生業(なりわい)にしているDJやバイヤー、ライターが多数参加しており、しっかりと歴史的背景や該当曲の良さを紹介していることです。
DJであれば、DJ Noriさん、高橋透さん、TokさんといったParadise Garageを体験して日本にHouseを持ち込んだDJや、Gomiさん、Hiraguriさん、Cheeさんといった様々なタイプのHouseを得意とするDJが参加しており、的確なレビューが素晴らしいです。
個人的には、
Noriさんや透さんといったParadise Garageを現地で体験した世代のレビュー にヤラれ、Discoの曲がさらに好きになりました・・・
Noriさんや透さんのレビューは、Paradise GarageやSaintといった70年代~80年代のNew Yorkのクラブ、つまりその後のクラブ・カルチャーを作ったともいえるクラブの思い出を交えながら、他にはない味のあるレビューとなっています。
なんと言えば良いのでしょうか、これらのクラブに遊びに行き、DJたちがプレイする曲に酔いしれながら踊っている感じがするんですよね・・・
私自身、Paradise Garage、そしてこのクラブのレジデントDJであるLarry Levan(ラリー・レバン)より様々な影響を受けました。
ただ、それは、
Paradise GarageやLarry Levanのスピリット(魂)を受け継いだクラブやDJを通して影響を受けた と言えます・・・
そして、この影響により、Discoのことがもっと好きになりました。
高橋透さんやNoriさんのレビューは、まさにParadise GarageやLarry Levanのスピリット(魂)を体験させてくれる内容で、ほんと勉強になりました。
こういったことに興味がある方は、ぜひ読んで頂きたい一冊です!!
なお、同じようなディスク・ガイドでいくと、2014年に発行された
「HOUSE definitive 1974-2014」 も、Houseの源流としてDiscoのことを紹介しており、大変良いですね!
こちらもお勧めです!
※参考記事 ● Larry Levan 「Live at the Paradise Garage」 ● DJ/Club専門誌「GROOVE」について (2)bounce book - All About Disco Music 発行 2007年 Tokyo FM 出版
次は、レコードでDiscoを買っている方だと結構スルーしている一冊で、実は内容が濃いディスク・ガイドの紹介です!!
こちらは、
Tower Recordのフリーペーパー「bounce(バウンス)」 の名前で発行されたもので、
基本的にはCDで買えるDisco系作品を紹介しているディスク・ガイド になります。
まず、タワレコのbounceですが、私世代だとお世話になった方が大変多いフリーペーパーかと思います。
bounceはタワレコの販促の一環で毎月25日発行しているフリーペーパーで、タワレコでプッシュしたい新曲等を紹介したものになります。
販促用のフリーペーパーと考えると、殆どの人は「濃い内容ではない」と思うでしょう・・・
ただ、この
bounceはフリーペーパーの域を超え、お金を払って買ってもいいぐらいの内容の濃さ で、私自身、相当な影響を受けました!
例えば、90年代後半は、あのSuburbia~Free Soulを牽引していた橋本徹さんが編集長を務めていたことから、Free Soul系の音楽として過去のSoul、Rare Groove、Discoを紹介したり、最新のクラブミュージック~ユースカルチャーとして、Hip Hopや日本語ラップ、House等を詳細に紹介していました。
90年代後半の私はお金がない高校生~大学生だったので、橋本さん時代のbounceは毎回手に入れ、様々な濃い情報が無料で手に入れてました・・・うん、bounceにもお世話になったなぁ~
そして、この本については、どういった経緯で発刊されたかは分かりませんが、紹介したbounceの方向性を踏まえて、様々な進化をしていった「Disco」という音楽を丁寧に紹介しています。
ライター陣も優秀な方が多く参加し、大石始さん、林剛さん、出嶌孝次さん(現在のbounceの編集長)、JAMさん等が執筆しており、レビューとして紹介される曲~アーティストはCDで買えるアルバム単位での紹介が多いですが、初心者でも分かるよう丁寧に情報が整理されています。
また、コラムの位置づけとして関係者へのインタビューや視点を変えたディスク・ガイドも掲載されており、それこそ70年代のクラブシーンを進化させたNicky Siano(ニッキー・シアーノ)のインタビューや、当時は異色だった和モノ・ディスコの紹介等、かなり深い内容になっています。
このディスク・ガイドは、まだ簡単に買えるはずなので、気になる方はお手に取ってくださいね!!
※参考記事 ● Books of 「Suburbia Suite」 - サバービアとフリーソウルについて (3)The First Book of Club Jazz - クラブ・ジャズ入門 発行 2007年 Rittor Music
著者 沖野修也
この項の最後は、実際にはDiscoのディスク・ガイドではないですが、私としてはDiscoのディスク・ガイドの一つとして紹介したい一冊です。
こちらは、あの有名DJである
沖野修也(おきの・しゅうや) さんが2007年に執筆された一冊で、いわゆる
「Club Jazz(クラブ・ジャズ)」の魅力を紹介した一冊 になります。
Club Jazzという音楽ジャンルを定義するのは難しいですが、あえて言うなら「DJ以降のクラブでプレイされる踊れるJazzの曲」と言えば良いでしょうか?
私としてはDJがプレイすることによって「聴いている人を踊らせることができるJazzの曲」がClub Jazzになるかと思っています。
沖野さん自身、名著である「DJ選曲術」でも紹介しているように、どんなジャンルでも「DJの選曲とプレイによって、聴いている人を躍らすことができる」ことを自負されていることから、自身のルーツであるこれらの曲で「いかにして躍らせるか」を自分流に紹介しているのが本著になります。
そのため、この本では沖野さんの経験やClub Jazzの歴史的な流れを整理しながら、このジャンルの魅力を丁寧に紹介されています。
そして、なぜこの本をDiscoのディスク・ガイドとして紹介するかというと、それは、クラブで踊っていると「Discoの曲の一つとしてClub Jazzがプレイされる」からです。
個人的にはDanny Krivit(ダニー・クリビット)さんがClub Jazzの範疇の曲をDiscoの曲のようにプレイしていて、かなり影響を受けました。
それこそ、普通に聴いたらJazzな曲なのですが、Dannyさんがプレイするとつい踊ってしまう素敵な曲に生まれ変わります・・・
もちろん、70年代~80年代ぐらいのJazzの曲だと、曲自体にDisco的なグルーブが含まれていることは事実なのですが、そのグルーブを上手く前に出しながら、原曲の良さも出していて、ほんとヤラれました。
うん、
Discoって、実は「ジャンルの枠に囚われない音楽」 ですよね・・・
一般的にはDiscoは、煌びやかで軽快な4つ打ちのイメージがありますが、私としては
汗だくで踊るイメージ の方が強いです・・・
その中では、煌びやかなイメージだけにとらわれず、
とにかく踊れる曲がDisco だと思っています。
沖野さんのこの本は、そういった一つのイメージにとらわれないことを丁寧に紹介し、DJミックスによってさらにその音楽が光り輝くことを分かりやすく紹介しています。
本著の最後には、ディスク・ガイドとしてClub Jazzの名曲を紹介しつつ、その曲をDJミックスすることで「どのように輝くか」を詳細に説明しており、流石、沖野さんの本だな~と思いました!
また、Club Jazz系のディスク・ガイドだと、沖野さんもインタビューで参加している
「Jazz Next Standard - Fushion / Crossover」 が秀逸ですね!!
基本的にはアルバム単位での紹介ですが、監修の小川充さんらしいClub Jazz以降の視点、つまり「ダンスフロアーで踊れる曲」という視点も含めて紹介しており、大変良いですね!!
※参考記事 ● 沖野修也 「DJ選曲術」 ● Danny Krivit ミックス作品リスト 3.海外のディスク・ガイド (1)The Disco Files 1973-78: New York's Underground, Week by Week 発行 2009年 Dj History.Com(UK)
著者 Vince Aletti
最後は海外発行のディスク・ガイドを紹介します。
まず、こちらは2009年に発行された一冊で、「Record World」というアメリカで発行されていた音楽系の週刊誌(?)に掲載していた
コラム「The Disco Files」の1973年から1978年の連載をまとめたもの で、Discoの歴史を紐解く上で大変貴重な一冊となっています。
前述したDanny Krivitさんも
「The most accurate documentation of the birth of disco in existence!(現存するディスコの誕生の最も正確な記録)」 として謝辞を贈る等、当時の動きを正確に伝えている一冊です。
内容的には、このコラムの著者であるVince Aletti(ヴィンス・アレッティ)さんが、当時、様々なディスコを巡りながら書いた記事を時系列に掲載しています。
記事の中身は、クラブ業界のホットな情報を中心にしつつ、ニューリリースの曲の紹介、各クラブのヒットチャート等を紹介しており、結果的にこの1冊で約2000曲のレビューと、800ものクラブチャートが掲載されています。
個人的には、この本の
クラブチャート を食い入るように読み、当時のDJ達がどういった曲を選曲していたのかを勉強していました。
それこそ、LoftのDavid Mancuso、Paradise GarageのLarry Levan、さらには現在も活動しているDanny Krivit等のチャートが掲載されており、それらのチャートには直球Discoだけではなく様々なジャンルの曲を選曲していることが分かり、勉強になりました!
また、ディスク・ガイドとしても秀逸で、このコラム自体がクラブやDJ向けに作られている部分が強いので、実際にリリースされている12inchやLP、曲によってはプロモから紹介しており、かなりヤラれます。
どちらかというと、ディスク・ガイドと言うより歴史本に近いものですが、気になる方は探してくださいね~
なお、蛇足ですが、インターネット前というか、00年代中盤より前にDJやレコードのことに興味を持った世代だと、海外の本や雑誌を結構読んでいた世代になるかと思います。
時期的には80年代末から00年代初めぐらいまでで、日本国内でも価値のある音楽専門誌が多かったのも事実ですが、どうしても情報が少ない部分があったので、海外から輸入された本や雑誌を読む必要があったと思います。
私自身もそうで、例えば、ある時期からHipHop専門誌の「Source」は輸入されていたものを毎月買っていたり、DJ以降のレコード系音楽誌「Wax Poetics」は海外版を創刊号から買って読んでいました。
ただ、これらの輸入の本や雑誌は、簡単に再入荷しないので
「ある時に買っておかないと、後で買えない」 ものでした。
そのため、海外の本や雑誌は、少し高くても無理して買っていました・・・みなさん、どうでしょう??
(2) The Bootleg Guide To Disco Acetates, Funk, Rap and Disco Medleys 発行 2008年 Disco Patrick(Netherlands)
著者 Disco Patrick
最後は、今でもこのディスク・ガイドを超えられるものがないほど、最強にマニアックな一冊です!
こちらは、
オランダのDisco系有名コレクター「Disco Patrick(ディスコ・パトリック)」 さんが自費出版に近い形で発刊したディスク・ガイドで、
70年代~80年代に作られたDiscoやHipHopのBootlegなRe-Edit、Mega MixやMedleyのレコードを紹介した一冊 です。
まず、ここで紹介するものは、70~80年代のDJ達が既存の曲を独自の視点でリミックスしたレコードになり、一般的には出回らない
「DJに向けのレコード」 になります。
それこそ、今であれば「Re-Edit(リエディット)」という言葉が定着していますが、DJ達がクラブでプレイしやすく、プレイしたら盛り上げやすくするために、独自のリミックスを施した曲とも言えます・・・
このディスク・ガイドは、こういったレコードを中心に紹介しており、そのコレクション内容に驚愕してしまうほど、恐ろしいディスク・ガイドとなっています。
特に、冒頭で紹介されている
「Discoのアセテート盤」 の紹介にはヤラれました!!
まず、Discoにおけるアセテート盤の位置づけを整理しておくと、DJ用のリミックスが施された曲を、そのDJのためだけだったり、ごく少数の人に配るために、アセテートという素材で作られたレコードがこれになり、盤の性質上、何度もプレイ出来ないことから、テスト的な意味で作られたものになります。
このディスク・ガイドでは、こういったDiscoのアセテートのレコードを、有名リミキサー「John Morales(ジョン・モラレス)」のインタビューを交えながら、詳細に紹介しています。
個人的な記憶で恐縮ですが、このディスク・ガイドが出た前後に、
新宿のユニオンでアセテートDiscoの代名詞であるSunshine Soundの原盤がかなりゴツい値段で出て て、「Discoのレコードは奥が深いんだな~」と思ったものです・・・
また、Discoだけでなく、HipHopに関するレコードも紹介しており、Cut-Up系の開祖ともいえる「「Double Dee & Steinski / Lesson 1, 2 & 3」等を当時の資料を交えて詳しく紹介しています。
今となっては、Discogsで探せばこういったアンダーグラウンドのレコードの情報を知ることができるわけですが、こういった先駆者がレコードを掘り、丁寧な紹介があったことで情報が整理され、「今」があるんだな~と思いました!!
4.終わりに 最後は、今回の記事を書くにあたりパソコンのHDDの写真を探していたら、
2007年~8年ごろのユニオンのディスコ系セールの告知ポスター を撮影したものが出てきたので、ついでに紹介です・・・
この頃はDiscoのことを勉強中だったので、これらのフライヤーを見てからセールでそのレコードを実際に手に取り、値段やレコメンドしている情報を読んでDiscoの知識を高めていました・・・どれも高すぎで買えないものばかりでしたが、これも生きた教科書でしたね~
今回の記事は、何となく処分しようと思っていたディスク・ガイド系の本の中から「Disco」というテーマで本を抜き出し、何となく書いてみました・・・なんとか形にはなったかな?
私自身、やっぱり「音楽で踊ること」が好きなので、こういったDiscoのレコードは肌に合うようで、今回の記事を書いていて、改めてDiscoのことが好きなんだなぁと思いました。
そのためか、これまで買ったDiscoの12inchを聴きながら書いていたので、また時間がかかってしまいました・・・もっと、ポンポンと書いていかないと終わらないですね・・・
なお、最後のDisco Patrickさんの本を改めて読むと、
個人の力で「情報を整理する」ことの凄さ にヤラれ、
いつかはミックステープの本を作りたいなぁ~ と改めて妄想してしまいました!
ここ最近、なかなかブログに向き合う時間がないのでリアリティーがない話ですが、引き続きブログの更新を通して情報の集積に努め、情報が溜まったらミックステープの本を作ろうかと思います!!
何十年後かになるかもしれませんが、長い目でお待ちください・・・
では、ディスク・ガイドの紹介はまだまだ続きますので、よろしくお願いします!
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<独り言>
久しぶりに独り言です・・・というか、次回の予告かも??
まず、結婚してから、私自身の中で変化があり、あまりMTT的な動きが少なくなり、最近はレコードやテープを殆ど買わなくなりました・・・
これには私もびっくりで、人間って生活が変わるとここまで生活スタイルが変わるんだなぁと思っております・・・
ただ、通勤時に可能な限りミックステープは聴いており、ここ最近は
ストックしているミックステープの中から1本の作品を時間をかけて真剣に聴く ようになりました。
それこそ、
ここ最近のMUROさんの作品紹介 のように、1本の作品を深く聞いて、その作品のことを深く研究するようにしています・・・
今現在は、
春に公開した「Super Disco Breaks 1-4」 の続きで、
金色の5-8 を深く研究しています・・・
金はブログを開始した直後に紹介したことがある作品 ですが、何度も何度も聴いて、深く分析すると、作品作りにボムな仕掛けや選曲が多く、ヤラれます・・・
次回はディスク・ガイドの紹介はお休みし、こちらの金を紹介する予定です~
ではでは、引き続き、よろしくお願いします!!
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コメント
Hideto Koba
『The Ultimate Disco-Graphy 2001!!』著者のHideto Kobaです。
わたくしのディスク・ガイドのご紹介、ありがとうございます!!
2023/05/26 URL 編集
mixtapetroopers
コメントをいただき、ありがとうございます!
まさか、著者様からコメントをいただけるとは・・・メチャクチャ嬉しいです!!
Ultimateは、ほんと影響を受けたDisc Guideで、あのガイドがあったから、Disco 12inchの世界に深く侵入できたのだと思っています!!
今後とも、よろしくお願いします!!
2023/05/27 URL 編集