それこそ、Club Jazzシーンからの依頼は多く、国内であれば「United Future Organization / Good Luck Shore (Muro Mix)」から始まり、今でも大名曲な「Sunaga T Experience / It's You (It's Muro Mix)」等のRemixを作られています。 また、海外からの依頼もあり、「Truby Trio / A Go Go (DJ Muro Remix)」や「Tony Touch / I Wonder Why? (Dance And Shake Your Boosty Remix)」等のClub Jazz~Breakbeats~House寄りなRemixを作られています。
写真は、2005年頃、MUROさんがDJをしたパーティーのフライヤーで、私が実際に参加したものになります。 渋谷のHarlemで不定期開催をしていたロングセットパーティー「Back To Old School」、新木場ageHaで開催していた「Fever」、そして新木場ageHaで開催されたMUROさんの活動20周年を祝うパーティー等、懐かしいですね・・・
例えば、MUROさんがDJを担当されていたラジオ番組「Hip Hop Journey - Da Cypher - 」でも、たまにDJミックス中にエフェクターを利用したプレイを披露していました。 このことを詳しく紹介すると、1998年頃のMUROさんのDJを私が特別編集した「Da Cypher's Choice Vol.4」では、1時間02分を過ぎたところで「New Birth / Never Can Say Goodbye」にエフェクトをかけて、カットインで「Opaze / Reminde Me」を選曲していることが確認できます。
【トラックリスト】 01 Queen / We Will Rock You (Ruined By Rick Rubin) 02 DJ MURO / Super Disco Breaks 5-8 Theme (※1) 03 Afro Cuban Band / Something's Gotta Give 04 Omega Force / You Can Make It 05 Lee Austin / Tutti Frutti 06 Banbarra / Shack Up 07 Stretch / Why Did You Do It 08 Shinehead / Chain Gang (Rap) 09 TD Records (Mr.K) / Feelin' James 10 Choco The New Harlem Sound / My Little Donkey 11 TD Records (Mr.K) / Feelin' James 12 Chill Rob G / Let Me Show You (Ultamix Vocal Remix) 13 Claudja Barry / Dance, Dance, Dance 14 Disco Twins & Starchild / Do That Right 15 The Real Roxanne with Hitman Howie Tee / Bang Zoom ! (Let's Go-Go) 16 Roxanne Shante / Have A Nice Day 17 Diana Brown & The Brothers / Hot Pants 18 Kid Capri / Joke's On You Jack (Remix Inst) (※2) 19 Just The Two Of Us / Most Valuable Poet (M.V.P) 20 Cold Cut / Say Kids What Time Is It ? 21 Big John Hamilton / Big Bad John 22 Blowfly / Sesame Street 23 The Marvelous Three & The Younger Generation / Rappin All Over 24 Fresh Band / Come Back Lover
(※1)この曲は、「Tears For Fears / Head Over Heels」と「Biz Markie / Make The Music With Your Mouth, Biz (Dub Version)」を使ったMUROさんのオリジナル曲をプレイしていると思われます。そのため、DJ MUROのオリジナル曲として掲載します。詳しくは本文をご参照ください。 (※2)このRemixのインストはプロモのみに収録と思われますが、1か2のどちらかを使用しているかは調査不足で分かりませんでした。
まず、この2曲目の出だしは80年代のヒット曲である「Tears For Fears / Head Over Heels」のピアノリフから始まり、「♪Super, Disco, Breaks, Hey ! Five, Six, Seven, Eight・・・」とのボイスフレーズの繰り返しがあり、その後にBizの同曲の後半でTJ Swanが歌っている部分になります。 ただ、このTJ Swanの部分は、写真の12inchには収録されていないものになり、調査した限りだとYou Tubeにはアップされている「Dub Version」が近い音源で、実際に何を使用しているのかは分かりませんでした。
これらを整理すると、この2曲目は「MUROさんが独自に作った曲」になると判断し、上記のトラックリストでは「02 DJ MURO / Super Disco Breaks 5-8 Theme」と勝手に設定しました。 前述した「2.この作品の背景」で紹介したように、この第2段では純粋な2タンテ×1ミキサーを超えたDJを行っている部分が多いことから、こういったオリジナルの曲を用意することは十分に理解できます。
そして、7曲目は、6曲目のブレイクを活用しながら、7曲目のイントロの太いベースラインを活用したカッコいい入り方だ・・・ さらに、出だしの曲に入るところの歌い方(♪I’ve been thinking about what you have done to me~)だったり、中盤のフォーンフレーズだったり、B-Boyの胸に熱いものを呼び起こす、素晴らしい選曲になっています。
ただ、7曲目の「Stretch / Why Did You Do It」は、原曲は70年代のイギリスのロックの曲でもっとブルージーな歌い方です・・・ 一方で、MUROさんのミックスを聞くと、ブレイクが前に出て、ボーカルもファンキーな歌い方に変わり、躍動感にある曲になっています・・・
例えば、9曲目では、Danny Krivitが制作したCut Upの名曲「TD Records (Mr.K) / Feelin' James」の中で出てくる「♪One, Two」というボイスフレーズが光ったブレイクを4小節だけ挟み、ボイスフレーズがアカペラで「♪One, Two, Three, Four」と入ったところで10曲目「Choco The New Harlem Sound / My Little Donkey」のイントロをカットインします。 その後、10曲目のビートレスな部分で、子供のクセになるボイスフレーズで首を振りながら、ドラムネタの「Funkadelic / You'll Like It Too」のブレイクが始まり、もー、大爆発です!
この構成はホント上手いですね!
なんでしょう、ちょっと暗かったクラブのフロアーが、一瞬だけ真っ暗になったけど、10曲目のYou'll Like It Tooのブレイクが鳴った瞬間、フロアーがまばゆい光に囲まれて、皆で「わー」となっている感じがします・・・ こういった効果を演出するため、9曲目でブレイクを4小節だけ挟み、10曲目を光らせていたのですね。
そして、当時は殆ど知られていなかったドマイナー曲「Choco The New Harlem Sound / My Little Donkey」を、ここまで上手く光らせてくれたことも最高です!
それこそ、第1弾だと、Lesson 1の「Kev-E-Kev & AK-B / Listen to The Man」がそうで、MUROさんのパワープレイを通して、聴いた人がやっとその曲の良さに気付きます。 ただ、そのパワープレイの中では、MUROさんにしか出せない「マジック」が施されており、これが非常に大きいです。
そして、10曲目のドラムネタを繋げる形で、11曲目として「TD Records (Mr.K) / Feelin' James」の中で「Funkadelic / You'll Like It Too」を使用した部分を上手く選曲します。
まず、11曲目もクイックミックスのために選曲されており、You'll Like It Tooのブレイクの中で「♪One, Two・・・」とアカペラでカウントする部分を上手く使い、そのタイミングで次の12曲目「Chill Rob G / Let Me Show You」にクイックで繋いでいきます。 それも、実際に11曲目でプレイしたのは1小節だけで、恐らくレコード係と連携しながらクイックミックスを行ったのでしょう・・・このサクサクとした展開は非常に気持ちいいです!
11曲目の「TD Records (Mr.K) / Feelin' James」はCut Upの曲なので、様々なブレイク、様々なネタが飛び出す曲になり、指摘したYou'll Like It Tooのブレイクが出る部分は曲の中盤の2分30秒前後の所で登場します。 さらに、「♪One, Two・・・」とアカペラでカウントする部分も、You'll Like It Tooのブレイクの途中で登場します・・・そのため、意図的に「この部分を使う」と考えていない限り、この1小節は選曲しないでしょう。
そして、12曲目のChill Rob Gの元ネタ曲である13曲目「Claudja Barry / Dance, Dance, Dance」を絶妙なタイミングでカットインします。 この頃にはBPMが106位までに上がっており、13曲目のファンキーだけど踊りやすいグルーブに乗せられ、気づいたら踊ってしまいます。
例えば、その後の15曲目では「The Real Roxanne with Hitman Howie Tee / Bang Zoom! (Let's Go-Go)」を選曲し、その次の16曲目は「Roxanne Shante / Have A Nice Day」を選曲・・・名前を見れば一目瞭然で、ここは「Roxanne」で繋いでいます。
そして、17曲目「Diana Brown & The Brothers / Hot Pant」を選曲し、以降はファンキーなグルーブを高め、BPMを段々とアップしていきます。
この辺は、手持ちのレコードが無いため説明を割愛しますが、後のSupe Funk Breaksに繋がるようなHip Hop meets Funk的な選曲とDJミックスをしていて、大変上手いですね。
例えば、20曲目で「Cold Cut / Say Kids What Time Is It ?」で、James Brownの声ネタ等がコラージュされているブレイクを1小節だけ入れて、すぐに21曲目「Big John Hamilton / Big Bad John」を選曲し、イントロブレイクで熱い2枚使い・・・ 21曲目は、言わずとしれたBig Daddy Kaneの「Warm It Up, Kane」ネタのFunk45で、B-Boyならこの2枚使いにグッときますよね!
11曲目の「TD Records (Mr.K) / Feelin' James」と同じように、Cut Up系の曲の中で勢いがある部分を上手く利用することで、次の曲のファンキーさを加速させていて、本当に上手いですね・・・
うーん、それにしても、この辺の選曲のレコードも、ちゃんと買っておけば良かったなぁ~
【23曲目~24曲目】
そして、ファンキーな流れを引き継ぎ、レアOld Schoolな23曲目「The Marvelous Three & The Younger Generation / Rappin All Over」に繋ぐことで、この曲のスペーシーなグルーブを前に出し、Lesson 5の最後の曲として24曲目「Fresh Band / Come Back Lover」を選曲し、Lesson 5は気持ちよいエンディングに向かいます。
【トラックリスト】 01 Audio Two / I Like Cherries 02 5 Star Moet / Let Me Love You 03 Mr. X & Mr. Z / Kick It Wicked 04 Kevie Kev (Waterbed Kev) / All Night Long (Waterbed) 05 Earth, Wind & Fire / On Your Face 06 The Electric Power Band / Sugar Daddy 07 Ultimate Ⅲ / I Want You Back 08 The Mafia / ABC 09 G-Force / ABC 10 Hi Skool Prods. (McCray & Mazda) / Where Is He DJ ? (※3) 11 Owen Gray / Groove Me 12 Baba Yaga / Too Cool To Be True 13 Double Dee & Steinski / Lesson 3 (History Of Hip Hop Mix) 14 Tongue 'N' Cheek / Encore 15 Gary Criss / Amazon Queen 16 Erasmo Carlos / Se Voce Pensa 17 Mickey Mouse Disco / It's A Small World 18 McFadden & Whitehead / Ain't No Stoppin' Us Now 19 Unlimited Touch / I Hear Music In The Streets 20 McFadden & Whitehead / Ain't No Stoppin' Us Now 21 Instant Funk / I Got My Mind Made Up 22 McFadden & Whitehead / Ain't No Stoppin' Us Now 23 Al Hudson & The Soul Partners / You Can Do It 24 Kool & The Gang / Ladies Night ('83 Remix) (※4) 25 Forrest / Rock The Boat 26 Shirley Bassey / Copacabana
例えば、6曲目「The Electric Power Band / Sugar Daddy」と7曲目「Ultimate Ⅲ / I Want You Back」は、マイナーな曲ではありますが、クラブっぽさを上手く内包した曲で、クラブ世代には原曲よりも馴染みやすい選曲になっています。 また、8曲目と9曲目はDJミックスの工夫もあり、8曲目でJackson 5の曲をサンプリングしたCut Up曲「The Mafia / ABC」を軽く挟んで、絶妙なタイミングでJackson 5のカバー曲である9曲目「G-Force / ABC」に繋いでいきます。
なお、この後に違和感なく13曲目「Double Dee & Steinski / Lesson 3 (History Of Hip Hop Mix)」にスクラッチカットインするのにもグッときます! やっぱり、この曲がこの作品の源であることを分かってて、リスペクトを込めて選曲しているのでしょうか・・・MUROさんのこういった点も大好きです!
なお、これはアナログ盤でDJをしている方でないと分かりにくいことですが、この16曲目はレコードだとA面の6曲目にあり、レコードの中心部に近いため、DJミックスをするときに操作がしづらい位置に配置されています。 LPの内側系の選曲だと、12曲目の「Baba Yaga / Too Cool To Be True」も割と内側で、こういった内側系のレコードをいとも簡単にDJミックスするところに、MUROさんのDJとしての技の高さを感じます。
【17曲目】
そして、このレコードの写真だけ見たら「はっ、なぜミッキーを!」と思いますよね・・・17曲目「Mickey Mouse Disco / It's A Small World」です!
これもMUROさんを代表する1曲で、ここからピークタイムに向けて加速し始めます!
まず、16曲目のサビの余韻がある部分にカットインで17曲目のイントロを入れてきます・・・ そして、イントロのキックの音に導かれ、BPM117の気持ちいいグルーブに踊らされ、イントロが開けた後のディズニーを象徴する「It's A Small World」のメロディーが流れます・・・
18 McFadden & Whitehead / Ain't No Stoppin' Us Now 4小節 19 Unlimited Touch / I Hear Music In The Streets 4小節 20 McFadden & Whitehead / Ain't No Stoppin' Us Now 4小節 21 Instant Funk / I Got My Mind Made Up 4.5小節 22 McFadden & Whitehead / Ain't No Stoppin' Us Now 4小節 ↓ 23 Al Hudson & The Soul Partners / You Can Do It そのままプレイ
まず、18曲目、20曲目、22曲目の「McFadden & Whitehead / Ain't No Stoppin' Us Now」はビートレスでキックの音が響かない曲に対して、19曲目、21曲目、23曲目はカットインした瞬間から太いキックが鳴り響く選曲になっています。 つまり、「ビートレス」と「ドンドンと鳴る太い音」が交互に鳴る流れを作っており、クラブのスピーカーで聴いていたら、そのコントラストは際立ち、聴いている人を圧倒するでしょう!
【トラックリスト】 01 Take 6 / Spread Love [Blend Mix : The 45King / Pete 90] (※5) 02 Take 6 / Spread Love (The 45king Remix) (※6) 03 The Alliance / Do It, Do It 04 Grand Master Caz & Chris Stein / Wild Style Theme Rap 2 05 Brooklyn Express / You Need A Change Of Mind 06 Sesso Matto / Sessomatto (Theme From "How Funny Can Sex Be?") 07 Pleasure Web / Music Man (Part 2) 08 Malcolm's Locks / Get Up Stand Up 09 4-Ever Fresh / Urban Sound Surgeon 10 Sweet Tee and Jazzy Joyce / It's My Beat [Blend Mix : Life-N-Def / Gangster Boogie (Inst)] 11 Helen Reddy / Hit The Road Jack 12 Tim "Love" Lee / Super Rappin' No.5 13 Spanish Fly and The Terrible Two / Spanglish 14 Vaughan Mason and Crew / Bounce, Rock, Skate, Roll (Wicked Mix - Remix By Edwin Bautista)(※7) 15 J.V.C.F.O.R.C.E. / Take It Away 16 Unknown / Unknown (※8) 17 Kings Of The Wild Frontier / Trans-Am 18 C+C Music Factory / Do You Wanna Get Funky ('99 Remix - Freestylers Fresh Mix Up!) (※9) 19 Prince / Raspberry Beret 20 Ramsey & Company / Love Call 21 John Gibbs & The U.S. Steel Orchestra / Trinidad 22 Risco Connections / I'm Caught Up
(※5)ブレンドしたインストの曲(The 45King / Pete 90)は、「The 45 King / Test Pressing」というビート集に収録された曲になります。 (※6)このRemixはBozo Meko Recordsよりリリースされた12inchに収録されたものを指し、このRemixがThe 45kingが作成したと言われていることから、トラックリストは「The 45king Remix」としました。 (※7)DJ向けエディットレーベル「Wicked Mix」から1994年にリリースされた「Classic Collection 9」に収録されたRemixになります。 (※8)残念ながら曲名が分からなかった曲になります。「Grandmaster Flash / The Adventures Of Grandmaster Flash On The Wheels Of Steel (Long Version)」の最後の方にある「♪Everybody Say Ho~」とMCが煽っている部分が、ApacheがトラックになったCut Up系の曲になります・・・ご存知の方はご一報ください! (※9)おそらく「この12inch」に収録されたRemixと思われます。なお、このRemixは何種類か12inchがプレスされているようです。
そして、3曲目~4曲目でHip Hopを選曲し、4曲目「Grand Master Caz & Chris Stein / Wild Style Theme Rap 2」が持つNew Yorkのストリートの空気感を受け取り、5曲目でEddie Kendricksのカバー「Brooklyn Express / You Need A Change Of Mind」を選曲します。
その後、5曲目で作ったストリートとフロアーが共存するような流れを受け、6曲目「Sesso Matto / Sessomatto (Theme From "How Funny Can Sex Be?")」を選曲し、BPM110程度の気持ちよさで、段々と聴いている者を躍らさせていきます。
例えば、7曲目では、デビュー直後のJurassic 5の名曲「Jayou」の元ネタであるFunk45「Pleasure Web / Music Man (Part 2)」を選曲したり、続く8曲目では、Bob MarleyのReggae/Funkカバーである「Malcolm's Locks / Get Up Stand Up」を選曲する等、深い選曲が続きます。 この辺のFunk45系になってくると、私には知識がないため説明が難しいのですが、MUROさんが選曲したこれらの曲を聞いていたら、素直にカッコイイ曲として聴こえ、気づいたら首を振っている自分がいました・・・
なお、7曲目の「Pleasure Web / Music Man (Part 2)」の前後では、次の曲に繋げる前に「ボイスフレーズ」を挟んでいる部分があります。
具体的には、曲と曲を繋ぐ際、前の曲をフェードアウトした直後にボイスフレーズを挟み、スムースに次の曲をフェードインすることを行っています。 6曲目~7曲目の間では、1980年代にアメリカで放送されていたコメディー「ALF」の主人公の声と思われるボイスフレーズ(♪ALF、What's Going On・・・)、7曲目~8曲目の間では、「Jimmy Spicer / Adventures Of Super Rhyme」の歌声等をMUROさんがコラージュして作ったと思うボイスフレーズ(♪Supaer Disco Breaks、Hey!)が挿入されています。
まず、この11曲目は、Ray Charlesによる1961年のヒット曲をアメリカの有名女性シンガーが1972年にファンキーにカバーした曲になります。 ホーンセクションがとくかくカッコよく、さらにHelenさんの芯のある歌い方が最高で、拳を握りながら「♪No More~, No More~, No More~」と歌ってしまう感じが素晴らしいです!
選曲を遡ると8曲目「Malcolm's Locks / Get Up Stand Up」は、トランペット等のホーン隊が奏でるファンキーな音を前に出しています。 つまり、ここで「ファンキーなホーン」を注目させておき、そこから9~10曲目でグルーブは持続しつつもあえて盛り上げず、ファンキーなホーンが炸裂する11曲目で爆発させる展開を仕込んでいました。
11曲目~12曲目では「The Whole Darn Family / Seven Minutes Of Funk」をネタにした曲を繋ぎ、だんだんとB-Boy Discoな流れに進ませ、14曲目「Vaughan Mason and Crew / Bounce, Rock, Skate, Roll (Wicked Mix - Remix By Edwin Bautista)」をプレイします。
例えば、12曲目「Tim "Love" Lee / Super Rappin' No.5」は1999年にリリースされたCut Up系の曲で、「The Whole Darn Family / Seven Minutes Of Funk」をネタにした曲です。なお、正確にはこの曲をネタにしたOld Schoolの大名曲「Grandmaster Flash & The Furious Five / Superrappin'」をオマージュした曲になります。 そして、同じ「The Whole Darn Family / Seven Minutes Of Funk」をネタ使っている13曲目「Spanish Fly and The Terrible Two / Spanglish」に繋ぐぎますが、12曲目を接着剤としてネタ繋ぎを入れたことで、選曲が大変スムースに繋がっています。 なお、13曲目をSuppperrappin'を選曲するのではなく、同時期に、実は同じEnjoyレーベルからリリースされた同ネタ曲に繋ぐのが渋いですね!
そして、14曲目の「Vaughan Mason and Crew / Bounce, Rock, Skate, Roll」も同じような繋ぎをしていてます。 14曲目で実際にプレイしているレコードは、写真のオリジナルの12inchではなく、イントロのブレイクが工夫されているWicked MixのRemixを使っており、このRemixを使うことで、13曲目からの流れがしっかりと繋がります。 さらに、次の15曲目「J.V.C.F.O.R.C.E. / Take It Away」は14曲目をネタにしたHip Hopの曲で、15曲目で声ネタとして活用されるフレーズ(♪Feel The Beat~)を接着剤にしてて、14曲目でこのフレーズが出た直後に15曲目に繋ぎ、15曲目に移ってもこのフレーズが上手く出るようにしていて、結果としてメロディーやグルーブが繋げています。
そして、18曲目では、レアなライブラリー「Alan Hawkshaw / Blarney's Stoned」をネタにした「C+C Music Factory / Do You Wanna Get Funky ('99 Remix)」を選曲し、Freestylersによるファンキーなマッシュアップでピークを作り、素敵なエンディングに向かいます・・・
まず、19曲目でカウント声が入っている曲を1小節だけ入れてから、すぐにカットインで20曲目「Ramsey & Company / Love Call」を選曲します。 1小節の部分は「Prince / Raspberry Beret」の冒頭のブレイクの部分で、まさかのPrince使い・・・ほんと、この第2弾では「ある曲の一部を上手く切り取り、選曲の流れの中で効果的に活用する術」が冴えわたっています!
そして、21曲目では「John Gibbs & The U.S. Steel Orchestra / Trinidad」を選曲・・・Larry Levanも選曲したGarageクラシックですね! 雰囲気が一気にカリビアンな空気、そして4つ打ちの気持ちよさがダイレクトに響き渡る名曲で、この曲の素敵なメロディーが聴いている者を優しく包み、つい拳を握りながら踊ってしまいます。
そして、そして・・・オーラスの22曲目が、個人的には一番のピークでした!
それは「Risco Connections / I'm Caught Up」です!
まず、この曲は「Inner Life / I'm Caught Up (In a One Night Love Affair) 」のカバーになり、Garage~Discoのクラシック中のクラシックな曲のカバーになるかと思います。 それも、70年代末にReggae風のDiscoカバーを発表していた「Risco Connections」がカバーした曲になり、Riscoの中ではトップレアな1枚かと思います。
個人的には、Super Disco Breaksの第1弾で、このRiscoカバーを決めの1曲(Lesson 2:Risco Connections / Ain't No Stopping Us Now)に選曲していたり、 I'm Caught Upのレア・カバー曲(Lesson 3:Terri Gonzalez / Caught Up (In One Night Love Affairs))を選曲していたりしたので、Lesson 7でこの曲が選曲されたことは、ある種の運命を感じました。
なお、最後に横道を反れる話ですが、21曲目の「John Gibbs & The U.S. Steel Orchestra / Trinidad」は、その後、MUROさんが2003年にプロデュースした曲(Boo / Boogie Drive 678.)でサンプリングされています。 うん、きっとこの曲が好きだからサンプリングをしたのでしょう・・・それは、このLesson 7を聴いただけでも分かります!
6.Lesson 8
【トラックリスト】 01 Rockaway 3 / It's Your Thing 02 The Disco Four / Country Rock And Rap 03 Super 3 / Philosophy Rappin' Spree 04 Marsha Hunt / (Oh, No! Not) The Beast Day 05 The Soul Toranodoes / Hot Pants Break Down 06 Lakim Shabazz / Sample The Dope Noise 07 DJ. Chuck Chillout & Kool Chip / I'm Large (Larger Than Life Instrumental) 08 Choco The New Harlem Sound / I Hope It Rains Coffee (Ojala Que Llueva Cafe) 09 Danser's Inferno / Sombre Guitar 10 Dave (Baby) Cortez / Happy Soul (※10) 11 Tom Jones / Venus 12 James Brown / Give It Up Or Turnit A Loose (Live) (※11) 13 The Brand New Heavies / Apparently Nothing (DJ Spinna "Rock" Mix) (※12) 14 Jungle Brothers / Sounds Of The Safari 15 Kool & The Gang / Jungle Boogie (Wicked Mix - Remix By Tinder Box Productions) (※13) 16 Mister Cee feat. Brucie B.& DJ Hollywood & Luvbug Starski / How Ya Like Us Now (※14) 17 Disco 3 / Human Beat Box 18 Funky 4 plus 1 / That's The Joint (Inst) 19 West Street Mob / Get Up And Dance 20 Netwerk / It's A Shame 21 The Charlie Calello Orchestra / Sing, Sing, Sing 22 Elbow Bones And The Racketeers / A Night In New York
そして8曲目は「Choco The New Harlem Sound / I Hope It Rains Coffee (Ojala Que Llueva Cafe)」で、Lesson 5で選曲した「Choco The New Harlem Sound / My Little Donkey」のB面の曲を選曲します!
残念ながら、オリジナルのレコードは入手できず、2007年にリリースした再発版(リエディット版)での紹介になりますが、誰でも盛り上がるラテンのグルーブが素敵で、つい踊ってしまいます。 なお、この曲は2006年にDJ PremierがChristina Aguileraの曲(Ain't No Other Man)で大胆なネタ使いしたことで有名になりましたよね・・・MUROさんの選曲眼の高さというのか、誰かがネタにする前に見つけ出す術は素晴らしいです!
そして、ここで注目したいのは、実は9曲目以降で一気にBPMを上げていることです。
8曲目のChoco The New Harlem SoundはBPM110だったのに対し、9曲目のDanser's InfernoはBPM135、そして10曲目のDave (Baby) CortezはBPM125になります。
Lesson 7での「Helen Reddy / Hit The Road Jack」の選曲だったり、こういったド直球のポップスでも鬼カッコよく選曲する技は、MUROさんの十八番(おはこ)ですね! もちろん、そのままプレイするのではなく、ピッチ+5.0にして、原曲よりラテン~ファンク感を高めており、そういった裏での細かい技も働いているのですが、DJがあまり使わないポップスを、選曲の流れやDJミックスの工夫だけで「最高の曲」に仕上げています!
【12曲目~15曲目】
そして、ここからの流れもMUROさんらしくって大変好きです!
まず、13曲目の選曲に驚いた方は多いのではないでしょうか?
13曲目「The Brand New Heavies / Apparently Nothing (DJ Spinna "Rock" Mix)」は、その名の通り、「DJ Spinna / Rock」の上に「The Brand New Heavies / Apparently Nothing」のアカペラを被せた、いわゆる「マッシュアップ」の曲になります。
そして、その大名曲の上にThe Brand New Heaviesのアカペラをブレンドしたこの曲は、同じく1999年にUKでリリースされたとされるWhiteオンリーな謎の曲で、そのハマり具合といったら最強です! そのハマり具合は、「MUROさんがオンタイムでブレンドをしたのでは?」と思う程で、絶妙なタイミングで選曲してきます。
まず、12曲目のJames Brownのアカペラで上手く選曲の谷を作り、そこからカットインで13曲目に進めることで、13曲目が最高に華開く展開を作っています。 そして、13曲目は、曲自体が「Rock」がプレイされた少し後にThe Brand New Heaviesの歌が流れる構成になっているので、Rockを知っている人ほど、「ブレンドか!」と勘違いしてしまう展開が含れています。
MUROさんは、13曲目の特性を踏まえ、このような選曲を行っていました。
それにしても、この第2弾では「マッシュアップ」の曲を本当に上手く選曲していますね!
私としては、Cut Upの曲が持つマジックを拡大させ、「誰しもが踊れるトラックに歌やラップを乗せた、ビックリ箱のような曲」がマッシュアップだと思っています・・・ そう、DJの自由な発想の元に生まれた曲だと思っていて、それだからこのSuper Disco Breaksのテーマに合ったのかもしれません。
そして、この13曲目を挟んだことで、ラテン的な流れから、Hip Hopをベースにしたファンキーな流れに変えていき、気持ちよく躍らせてくれます。 特に、14曲目のインスト曲「Jungle Brothers / Sounds Of The Safari」から15曲目「Kool & The Gang / Jungle Boogie」へ繋いでいく「Jungle繋ぎ」は、MUROさんらしい選曲ですね!
【16曲目~19曲目】
そして、16曲目「Mister Cee feat. Brucie B.& DJ Hollywood & Luvbug Starski / How Ya Like Us Now」でOld Schoolな流れにしてから、このLesson 8の「最大の見せ場」に向かいます。
まず、17曲目「Disco 3 / Human Beat Box」を選曲し、選曲の谷を作っていきます。この曲は、ヒューマンビートボックスをバックトラックにしたラップ曲になり、16曲目と比べると、曲の華やかさが少しだけ後退します。
ただ、17曲目のサビ前の「♪So Come On Beat Box, Play One For Me!」とラップしたところで急に「明るい光」が差し込みます!
オールドスクール大名曲の18曲目「Funky 4 plus 1 / That's The Joint」がカットインされます!
もー、コレだけでもワーとなってしまうのですが、MUROさんは18曲目はインストをプレイし、17曲目の「♪Play One For Me!」のフレーズをファンキーに擦っていきます! 17曲目で谷を作っているだけあって、18曲目のメロディーとリズムの弾け方は半端なく、その上でMUROさんの味のあるスクラッチが華を添え、最高ですね・・・
さらに凄いのが、18曲目の上でスクラッチを続けていき、18曲目のインストをミュートにして、一瞬だけ17曲目のスクラッチフレーズのみにした瞬間に、19曲目「West Street Mob / Get Up And Dance」をプレイする技です!
<Release Date> Artists / Title : DJ MURO 「Super Disco Breaks Lesson 5-8」 Genre : Hip Hop、Disco、Soul、Funk、Rare Groove、R&B・・・ Release : 2000年4月 Lebel : KODP/Savege No Number
なお、「Super Disco Breaks」のトラックリストは、私にとっては、その全容を明らかにすることが「MUROさんから与えられた修行」だと思っており、気づいたら修行は20年目を迎えようとしていまます・・・ その修行の一端は、2010年に公開した下記の記事で紹介していますので、よろしかったらご一読ください。
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