HipHop,R&B,Soul,Funk,RareGroove,DanceClassics,Garage,House・・・など、私が気に入っているMixTape,MixCD,その他もろもろを紹介するブログです。
Jeff Chang 「Can't Stop Won't Stop」
cantstop
 私が好きな音楽ジャンル(HipHopから始まりいろいろとww)に関する「書籍」なども、気づいたら収集対象になっていて、これらも紹介したいものが結構あるので、カテゴリ作成ww 掘るとなかなか面白いジャンルではありますが、中古屋などでは意外と見落としがちなので、プッシュしていきます(^0^)

 では、今回は今年の初めに刊行された「Can't Stop Won't Stop」です。 いわゆる、HipHop歴史書なんですが、HipHop中級者以上にはかなり読み応えがあり、私自身も先月やっと購入(中古で安く買いたかった・・・っすww)し、かなりヤラれた一冊でございます。 個人的には、「Love Saves the Days」級に著者の努力・執念が実った快作だと思います。

 著者のJeff Chang(ジェフ・チャン)は、著者紹介によると「Vibe」「Rap Pages」「The Village Voice」などの雑誌媒体で執筆活動をしているヒップホップジャーナリスト(日本では・・・まだいないですね)で、中国系の方(名前、写真から判断)です。 私自身も知らない方でしたが、過去にDJ Shadowでおなじみの「Solesides」の共同創立者、またラッセル・シモンズの「360hiphop.com」の編集責任などをされてるということで、直球でHipHop街道を進んでいる(進んできた)ことがわかり、安心できます。
 
 HipHop歴史書といえば「HipHopBeats」や「HipHopAmerica」などが日本では有名で、特に「HipHopBeats」は、日本のHipHopが飛躍的に拡大した90年代半ばに刊行され、当時の日本におけるHipHopの理解度を深めた作品だと思います。 しかし、今回の著作は比較的最近に刊行され、宣伝文などには「待望の一冊」とあおっていましたが、あんまり注目されてなかった印象があります・・・ 私も、他の本なり雑誌(まあFRONT・BLASTですねww)などで、知識は十分得ていたと思っていたので、後になって中古で買いましたが・・・間違えでしたww 「待望の一冊」とあるとおり、真っ先に読まないといけなかった著作でしたww

 内容的には、この手の本と同様で、70年代のHipHopの始まり(Kool Herc、ブロックパーティーとか)についてから始まり、HipHopがレコードになり「音楽」として流通するOld School期、サンプリング開始、Public Enemyの登場で花開いた民族意識高揚と軋轢、NWAなどのギャングラップと軋轢、BiggieとTupacの死、HipHopの一般化(Pop化)・・・などの流れなんですが、他の本と比べ、とにかく内容が「濃い」です!

 濃いというのは、マニアックな話題が掲載というわけではなく、時代背景、事件、当時の空気感・・・などの影響しうる側面を的確に解説し、「なぜ、こうなったのか」を確実に捉えている・・・という点です。 
 他の本でも、こういった点の解説などはあるんですが、本著よりは抑えられ、その分、初心者でも読めるのですが、結果だけの列挙になり、物足りない印象も残ります。 しかし、本著は、著者の徹底的な取材・調査(奥付の参考文献、シャウトアウトがとんでもない量です!)からの裏付け、そして筆者の冷静で公平な考察(ここは、意外と重要で、HipHop万歳にしがちだと、片寄る可能性がある)が功を奏して、HipHopの名のもとに起きた「事象」を的確に説明してくれます。

 内容は、すべて列挙できないですが、HipHopと名前がつく前のHipHop・・・つまり70年初頭から終わりにかけての「誕生」については、個人的には目から鱗が多かったです。 この部分では「Gang」の考察が本当に突っ込んでいて、一読の価値はあります。
 また、またGang的な部分ですが、PE・NWAから始まる「マイノリティーの状況・怒り」を、ロス暴動などの実例を通して紹介するところも大変良いです・・・というか、自分も理解してない部分(特に彼らのメンタル的なところや、政治情勢など)が分かり、大変参考になりました。

 また、個別事象を介して、HipHop世代が起こした「新たな公民権運動」的な側面を本著の骨格にとる点も面白いです。 日本人としては分かりにくい・実感しにくいことだと思いますが、アメリカ・・・いや人種差別・民族間での軋轢がある「地域」では重要なことで、この点も丁寧に考察を重ねる点は大変素晴らしいと思います。 自分の知識不足もあるのでうまく説明できないですが、アメリカにおける近年の人種問題の解説としてはかなりよい文章だと思います。 実際、本著が「American Book Award(何なんでしょう?)」を受賞するなど、HipHop歴史書以上に、人種問題の本としても通用してるんじゃないかと思います。

 ページ数もかなり多く、読みづらい内容かもしれないですが、ある程度HipHopに対して理解度がある方ほど読んでいただいて損はない本なので、是非お手にとってくださいね~ また、人種問題などに関心がある方も、HipHopに興味はなくとも、一読の価値はありますよ・・・これを読んで、HipHopが好きになっちゃったりしてww でも初心者の方には・・・ちとお勧め出来ないかなww

 それにしても、諸外国より刊行されるこの手の本は、本当にレベルが高いな・・・ディスクガイド的なものは日本も負けてないですが、歴史的な側面になると勝てませんね。 もちろん、良著もありますが、本著で展開するような文化的・政治的な動きの根幹は説明できず、一般事象、およびマニアックな小ネタまでですからね・・・逆にマニアックな部分は突出したりするので、悪いとは言い切れないのが歯切れが悪い・・・ですねww

<Release Date>
Artists / Title : Jeff Chang 「Can't Stop Won't Stop - A History of the Hip Hop Generation」 ※邦題は「ヒップホップ・ジェネレーション」 ※訳者:押野素子
Genre : US HipHop 歴史書
Release : 2007/12/31
Lebel : Rittor Music ISBN978-4-8456-1497-4 ※Groove誌の発行元っすね
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック