
やっと、この作品をご紹介できるタイミングになりました・・・ホントはサクッと書くつもりでしたが、気づいたら遠回りをしてたので・・・(^^;)
新宿拡声器集団「MSC」が属す「
Libra Records」から
DJ Takumiさんの1枚で、Libraのミックス作品の中では一番有名だと思います。
まあ、ジャケが
ファラオネタで、目を引くものがあるから・・・って言うのもありますが、
何よりもLibraらしさ・Takumiさんらしさが十二分に発揮され、作品の良さが引き立っているので、その点が人気の秘密かも知れないですね・・・

DJのTakumiさんは、ホント詳しい詳細は分からないのですが、新宿ではなく
町田出身の方で、Libra関係のパーティーでよくDJをされてる方のようです。
名前に関しては、リリースするミックス作品の内容が大変良いこともあり、
リリース活動を通して名前が広まった・・・と私は思っています。

現状では、上記のように5枚リリースされており、どの作品も大変高内容です・・・
Takumiさんの作品の特徴としては
「HipHopとJazzを、Streetの名の下で融合」「HipHopの感性でJazzを消化」っという感じになると思います。
この作品なんかが顕著なんですが、
93年~95年ぐらいの緊張感のあるワンループトラックなHipHopと、
それらの楽曲のネタになりそうなJazzを・・・
うまく融合させてる感じですかね~
実際に作品では、そのHipHopとJazzを大々的に混ぜ合わせるようなミックスはしてないのですが、
うまく同居してる作品が多く、HipHopサイドからも、Jazzサイドからもかなり聞きやすいミックスになってます。
Takumiさん自身は
95年よりDJをしてるらしいので、私も同じ時期ぐらいにHipHopを好きになったので分かるのですが、きっと聞き始めた時、
PremierやDITC関係の「地味だけど、しっかりと首を振れるビート」にヤラれたんでしょう・・・ そして、
理解度を広げるうちに、ネタ等の側面から他の源流的なジャンルに手を出し、Jazzに辿り着き、HipHop的な解釈でJazzを消化していった・・・のだと私は妄想しています(^^;)
作品のジャケによく
「スケボー」が登場し、氏の趣味でもあるようですが、
氏のスタンスを明確に表していて象徴的ですね・・・
今回のファラオジャケでも、裏面では、上記の写真のように、1人だけはオーリーをキメていて
、「Jazzなジャケットでも、しっかりとHipHopだ!」とさりげなく主張していて大変良いです(^0^)

んで、実際の作品のご紹介です~♪
上の写真のように
2CD仕様になっていて、
左のオレンジが「HipHop」サイド、
右の青が「Jazz」サイドになっています。
作品の真ん中には、タイトルである
「&」が描かれており、文字にすると
「HipHop & Jazz」なわけですが、
作品上では「&」は「and」とは読まずに「Joint=繋ぐ」という読み方を提示しており、私が先ほどご紹介した
「HipHopとJazzの融合」を明確に体現した作品になっています。
特に、この作品では
「真冬の真夜中の、凍てつく寒さのようなStreet感」を主題にしてると思われ、2枚のCDを通して明確に表現をしています。
以下では、2枚の内容を紹介し、氏が提示する「
Street感」を考えたいと思います。
では、
オレンジのHipHopサイドからご紹介します・・・
収録されている楽曲は
93年~95年ぐらいのハーコーなNYスタイルのHipHop中心です。
それこそ、
Group Homeとか
Jeruとかの
Premier関連や、
Showbiz&AG、OC、Fat Joe、Big L、Daiamond、Finesseのような
DITC勢の楽曲が中心で、
男のワンループ的な曲が多いです。
表現は変ですが、夏の太陽の下で聴く曲ではなく、
真冬の夜道で、ヘッドフォン越しに聞くのに最適・・・な感じの曲が多いのかな?
実際にこれらの曲のPVだと「真冬」「夜」「息が白い」みたいのが共通点になってますね(^^;)
なお、JeruやBeatnutsからのシャウトがなぜか入ってますよ・・・
その流れの中で、
漢や志人、大華、Juswanna、Primal、山仁のような
Libra所属アーティスト・関係者の楽曲&フリースタイルが上手い形で導入されており、
今回のテーマであろう「Street感」を明確に提示します。
上記した海外(NY)の曲は、当然「英語」なわけで、タイトルやグルーブからStreetの匂いを嗅ぎ取ることは出来ますが、ラップの中で披露される「
細かいディティール」は理解できないことが多いです。
しかし、日本語であれば、その細かいディティールが理解できるわけで、
日本勢の参加は、リスナーに対して主題である「Street感」を分かりやすく提示してると思います。
そして、それらの楽曲を、
Takumiさんのシャープなミックスで「一つにまとめる」感じです・・・ Takumiさんに関しては、スクラッチなり、ミックスなり、
かなり技術がある方で、派手なことはしないですが、
作品上で効果的に技を用いており、今回も要所要所で技が光っています。 まあ、渋いって表現がいいのかも知れないですが、今回のであれば、さりげなくブレンド(Big L)をしてたりし、
細かく聞くと唸ってしまう内容に仕上がってます。
次は、
青のJazzサイドをご紹介します。
TakumiさんのJazzなどをミックスするときは、
曲のグルーブを最優先するスタイルをとり、
1曲1曲をしっかりと選曲し、そのグルーブを持続させながらスムースにミックスを進めます。
こちらのJazzサイドでも、スムースに進行していきますが、今回はHipHopで表現していた「Street感」を出すべく、
黒いJazzで攻め始めます。
序盤では、手と手が握り合ったレーベルロゴでおなじみの
「Black jazz」レーベルの曲を中心にチョイスし、
暗い闇の中で、激しく躍動している曲、つまり「黒いGrooveの曲」をチョイスします。
あまりこの辺は知識がないので、説明に自信がないのですが、60年代末以降の
「Jazz Funk」っぽい、
太いドラム感のある曲をチョイスすることで、HipHopの太いドラム感と関連性を出したのかな・・・と思います。
以後の流れも、上記した「黒いGroove」を中心にJazz的な要素で進行していくのですが、あまりに気持ちよく流れていくので気付かなかったことがあります。
後半に進むにつれて、
いわゆる「Jazz」というカテゴリーを飛び出し、RareGrooveやSoul、Funkなどの「Black Music」中心に選曲していて、氏の掘りの深さに気付かされました。
曲としては、レアなのが多いですが、それこそRareGroove、FreeSoulなどで評価された定番ものも広く取り上げられ、それこそ「ガム踏んじゃった」でおなじみの「The 9th Creation」とか、Muroさんも取り上げた、Jody Roberts / Sweet Sticky Thingのナイスカバーなどが収録されています。
これらの曲がポイントなのは、
前半の躍動的な黒いGrooveを、これらの別のジャンルに移動することで、流れにアクセントなり展開をつける効果があり、大変良いですね。
特に、ここで紹介している後半部分は、ジャケのファラオのような
「Spiritual Jazz」のフレイバーを表現しつつ、
終わりに向けて「温もり」がある表現をしてるようです・・・
Streetの終着点として「冷たさだけではない」ことを語りかけているようで、ミックスのストーリ作りも秀逸だな~と思わされました。
一見すると
冷酷な印象のある「Street」において、
人間がしっかりと生きている「躍動感」を表しつつ、後半になるにつれて、その人間達が作りだす「暖かさ」も提示され、無表情になりそうな主題のミックスに多様性を見出し、かつ聴きすく構成してる点は凄いっすね・・・ 以上で「HipHopサイド」と「Jazzサイド」の紹介をおわりますが・・・Jazzサイドは、あんまり私に知識がないので、突っ込まないでね(^^;) 妄想力を振るに使って書きましたよww
まあ、この作品で重要なのは、
HipHopとJazzの異なる2つの世界観を提示することで、「Street」を表現してる点・・・だと思います。
そのStreetというのは、HipHopサイドで、LibraのMC陣がライムしていた
「新宿」の彼らが生息している「Street」を表しているのだと思います。


はい、上の写真は彼らが生息していると思われる、
新宿・・・区の大久保・戸山周辺です。 先週の週末に撮影しました・・・(^^;)
このブログでもチラッと書いたことがありますが、私の職場は、この大久保からちょっと離れた
新宿区内の某所なので、この写真のあたりも、車で通ったりしてるので、土地観があったので、先週末の仕事が終わった後に、一杯飲んでから行ってみました。
行った理由の本当の所は、
Takumiさんなり、Libra勢が表現した「新宿のStreet」を、このCDを聞きながら歩くことで理解できたら・・・と思ったからです。
私自身、高校生のころ、今回のCDのHipHopサイドに収録されている
「93~95年ぐらいのワンループ」のHipHopは、
理解がない人にとっては地味な印象しかないと思いますが、
当時、家で飼っていた犬(ラブラドール・レトリバー 雄)との「散歩」のおかげで理解出来たんですよ・・・ 季節に関係なく、アホみたく散歩に行く犬だったので、その時ミックステープとかを聞きながら行くことが多かったのですが、
真冬の夜の散歩の時、上記したHipHopを聞いてると、
現地(NY)の凄い寒い雰囲気が体感でき・・・体を張って理解した・・・って感じでしょうか?
つまり、今回、新宿に行ったのも
「体を張って体感」することで、
彼らのStreetを理解したいと思ったからです。


コースとしては、
明治通りを高田馬場辺りから新宿方向に進み、大久保通りの交差点で左に曲がり、戸山の団地群へ進み、女子医大付近になったら来た道を戻り、大久保方面へ進み、新大久保の駅をゴールにしました。
彼らが、このルート周辺が生息地なのかは明確には調べないまま行ったのですが、
行って正解でした・・・
彼らの生息地ではなかったら不正解ですが・・・(--;)
当日は、小雨が降っていたが、春一番が吹いたことで、
寒いんだけど冬なのに生暖かい変な雰囲気がある感じでした。
ヘッドフォンをがっちりと両耳にあて、CDディスクマンにHipHopサイドをぶち込み、聞きなれたHipHopの楽曲を聞きながら、夜の10時ごろ、ほろ酔いで歩きました・・・
一般的に
「新宿」というと、新宿駅を降りた周辺の繁華街だったり、デパート群だったり、ちょっと歩いた歌舞伎町の雰囲気だったりが、一般的なイメージだと思いますが、
Libra勢が表現する「新宿」は、その歌舞伎町をもっと進み、職安通りを越えたあたりから始まるような気がします。
つまり
、「人が生活している場所」としての新宿がそうで、一般的には知られてない「新宿」を指すと思います。
私自身は、この周辺で働いてるので、その空気感は漠然と理解が出来てましたが、現地に行くと違いますね・・・
明治通りは、日中の喧騒は嘘のように、交通量が少なくなり、
車のヘッドライトが静かに通り過ぎて行きます。 大久保の交差点の所は、日中は、買い物をしてる人や、仕事で往来してる人など、人っ気が絶えない場所ですが、
夜ともなると人は少なく、普段接していた喧騒を知ってる分、ちょっと驚きました・・・ さらに進路を進め、
戸山の団地群に向かうと、家の明かりも消え始めた時間だったので、大変暗く、
足元より寒さを感じ、私の足並みも早くなります・・・ この周辺を、
NYのクイーズとかサウスブロンクスのプロジェクト群と重ねることは出来ませんが、
それに近い印象は・・・あるかもと思いました。
実際のこの周辺は、かなりいろんな年代の方が住んでおり、
治安も最近はそんなに悪くない・・・と聞いてますので、
NYと重ねることはできないと思います。
まあ、他の地区と同様で、
高齢化の問題もあると思いますが、そこに住んでない私がこれ以上詮索は出来ないので、例えを止めますが、
彼らがこういった環境でサバイバルし、築き上げた音楽観を、彼らの環境で再確認すると・・・理解できる点が多いですね。
人っ気がなく、大変寒い状況で聴く、Takumiさんが刻む「Streetのグルーブ」は、
その状況下でも、都会のストリートソルジャーの心に灯をつけるような・・・分かるやつには、真冬でもサバイバルする為の元気を与えてくれるような・・・そんな効果があったと思います。
私も終始、首を振りながら、知ってる曲であれば、一緒にラップをし、
Takumiさんの「グルーブ」に入り込んでいました・・・ HipHopは、都会で生きるストリートソルジャー達の応援歌なのかも知れないですね・・・ また、
Libra勢のMCは・・・彼らの現場で聴くと、
言葉がホント生きて伝わってきて、彼らの「タフ」さが理解できたような気がします。 決して、器用だとは思えないけど、地に足付いてストリートを生き抜いてる・・・そんな感じを読み取ることが出来ました。
帰りは、大久保の喧騒を横目で見つつ(立ってるお姉さん方も復活してた!)、帰りましたが、なかなかいい経験をしました・・・寒かったけどww
機会があれば、皆さんも「
現地聴き」を試してみてくださいね・・・
え~、脱線しまくってますので、この辺で話をまとめたいと思います。
まず、アイデアとして2つの内容に分け、
その違うジャンルの二つ音楽群が聞きこむほど融合し、彼がおそらく提示したかった
「新宿のStreet感」を、
多面的に表現している点は大変秀逸だと思います。
Street感は、私が実地調査した限りだと、
奥深さを持ちながら、温もりなんかを内包した、複雑なもので、素人には簡単に扱えないな・・・と思いつつも、必要な者どもにはしっかりと届く内容に仕上がっており、私もこれからも聞き続けると心に誓いました。 また、上記はあまり一般的な聴き方ではない(私の妄想力が爆発してるだけww)ので、普通に聞く方向も考えると、
大変満足できる内容に仕上がってると思います。
私は、Takumiさんが表現した「Groove」を「Street感」と訳しましたが、単純に聞いていても、
ミックスにメリハリがあり、HipHopが好きな方でも、Jazzが好きな方でも満足が出来ると思います・・・
特に、今までHipHopしか聞いたことがなかった方が、Jazzサイドを聞くと、簡単にその魅力に入ってしまうような・・・
HipHopを消化したJazzが披露されています。
その逆もしかりで、Jazzが好きな方が、HipHopサイドを聞いたら、
黒いGrooveなり不良感が堪らなく感じられると思いますよ♪
TakumiさんとLibra勢が醸し出す「本物のStreet Groove」に是非やられちゃってくださいな~
ほんとはサックりと書くはずだったのですが、悪い癖で妄想力が爆発してしまい、現地にまで行ったわけですが、
好きな作品だからこそ、その魅力を余すことなく伝えたい・・・そんな気持ちがありました。
だけど、私の文章力もまだまだだな・・・なんか上手くまとまらなかったな~(^^;) がんばろ~っとww
Artists / Title : DJ Takumi 「& (Joint)」
Genre : HipHop、Jazz、RareGroove、Soul、Funk・・・
Release : 2006年3月
Lebel : Libra Records LIBMIX-005
<追記> 2009年3月8日
写真を数点追加しました。 ちなみにこのCDは第4作目っすね。
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コメント
sin
私も学生時代は毎週かじりつくようにあの番組を聴いていたので
文章読んでて凄く懐かしい気持ちになりました。
他にもMIXTAPEのレビューとかもほんと面白くて
一気に全部読ませてもらいました。
今後もブログの更新楽しみしてます。
2009/02/24 URL 編集
sin
私も学生時代は毎週かじりつくようにあの番組を聴いていたので
文章読んでて凄く懐かしい気持ちになりました。
他にもMIXTAPEのレビューとかもほんと面白くて
一気に全部読ませてもらいました。
今後もブログの更新楽しみにしてます。
2009/02/24 URL 編集
mixtapetroopers
cypherの記事書いてみるもんですね・・・読んでいただいてありがとうございます(^0^)
私も、ホント真剣に聞いてましたよ・・・いい番組でしたね!!
まだまだ、ネタは眠ってますので、これからも宜しくお願い致します~♪
2009/02/26 URL 編集