今回は、誰にも知られてない・・・であろう1本をご紹介です。
強引に紹介すると、「
DJ Kensei 」モノな作品です・・・?
どういう経緯でリリースされたのかは、まったくもって不明ですが、渋谷区に拠点を構える「
Shibuya FM 」からのテープで、どうやら、
同局で放送していた番組・レーベル「Shiburai」発のCD「士魂(しこん)」の発売に際しての、プロモーション用として配布されたテープ のようです・・・
この手のジャンルは、あまり興味がないので、レコードは持ってなく・・・こっそりとお借りした画像を載せます・・・(^^;) このジャケットを見れば、ピーンと来る方もいるかな?
「士魂」は、
東京発のBreakBeatsを発信していこう! みたいな感じで始まったもので、
アブストラクトっぽい感じの作品 が多いっすかね・・・
参加してるメンバーとしては、写真右のフライヤー(1999年のCDリリースした翌年に、アナログがリリースしたときのパーティー?)のようなメンツが参加してます・・・
Kenseiさんっぽい感じの方 が多いかな?
この「士魂」は、詳しく聞いたことがないのでアレですが、ボチボチ話題にはなったと思いますし、海外でもリリースされた記憶はあります。
イメージ的には、Manhattanが運営してた「Hot Wax」っぽい感じで、
アブストラクトや、Breakbeats、Drum'n'Bassなどが、ジャンルレスに内包されたアルバム だと思います。
実際、このテープは、
販促用 に作られたと思いますが、ちょっと面白い方法でテープ化になっています。
このテープは、実際にShibuya-FMで放送されていた、士魂の製作レーベルである「Shiburai」の同名番組の
最終回を収録したテープ で、ちょうどCDのリリース前なので、
告知バリバリの体制 で番組が制作されていたので、販促用としてテープにしたと思われます・・・ややっこしい(^^;)
実際、士魂のCDは1999年4月末にリリースされたようで、この番組は、内容を聞いてると、それよりも1ヶ月前ぐらいに収録された感じです。
レーベルの人も、FM会社の人も、よくそんな方法を思いついた・・・というか実行したな~ww 通常のラジオ録音したのを、そのままテープに回せばいいのだから、
経費がかからない・・・ んでしょうね(^^;)
ちなみに、リリース元のレーベル「
Shiburai 」は、
Shibuya-FMが企画したレーベル で、「Shibuya」+「Samurai」を足した造語のようです・・・
ただ、調べてみると、結構面白い点があり、この企画には
「電通」が噛んでる ようなんですよ・・・
検索で引っかかり知ったのですが(詳しくは
「ここ」 をクリック・・・pdfなので注意)、内容を読むと、なんかバブリーな匂いがしますね~(^^;)
実際のテープでは、そのFM番組で放送したモノをそのまま載せてるので、その番組の紹介になってしまいますが、
「DJ Bishop aka Cap」さんがMC をし、ゲストとして
「Kensei」さんがトーク&DJ をする・・・感じで番組が進み、
話題の中心として「士魂」 のことを話してます。
Bishopさん は、今となってはレアな名前になりますが、当時(90年代後半)は、
Drum'n'Bass/BreakBeats系のDJ で、Groove誌のチャートなんかでも選者として担当していました。 実際、士魂をリリースするにあたり、中心的な人物だったそうです。
一方、
Kenseiさん の説明は・・・今となっては知らない方も多いので、サクッと紹介しておきましょう。
80年代後半よりHipHopのDJを開始 し、
アンダーグラウンドだった日本のHipHopをサポートしたDJ/Producer で、「
ケンセイ先生 」の名称で有名です(^^;)
現場でのDJ活動、楽曲のプロデュースなどを通して、
未熟であった90年代初期以降のHipHopを鍛えた方 で、上の「
Ill Vibes 」なんかは、
日本のHipHopを語る上でなくてはならないテープ ですよね・・・
日本のHipHopが「広まった」過程において、kenseiさんの存在がなくてはならなかったと思います 。
また、DJ活動も、黎明期のころから活躍し、参加者が未熟だったシーンにおいて、
先導的な役割 をしていたと思います。 特に、日本のクラブにおける「HipHop」を作り上げたともいえる名物パーティー「
Daddy's House 」にオープン時から参加して、金曜の夜を盛り上げ、同時に客を教育してた・・・とも思います。
その後は、徐々に
「アンダーグラウンド」な嗜好 を特化し、90年代中ごろよりブームになった「
Underground Hip Hop 」を引っ張っていくようになります。
また、ほぼ同時進行で「
indopepsychics 」を結成し、
アブストラクト・BreakBeatsな方向 に進みます・・・この流れがあって士魂に参加してるわけですね~
んで、
2000年になる辺りから、徐々にHipHopの方向性を外れ、BreakBeats関係の方向性に進み、我が道を進んでおられる大先輩 です!
番組では、
士魂がリリースされること を核に、製作の裏話とか、リリースパーティーがあるよ~とか、ゆる~い感じで進んで行きます。
その流れの中で、場つなぎ的にKenseiさんがDJをし、地味~なアンダーグラウンド・アブストラクト関係を30分ぐらいミックスしてます・・・そんなには面白くないです(^^;)
ただ、Kenseiさんはトークにも積極的に参加していて、
レアなkenseiさんの肉声が聴けるほか、Kenseiさんの熱い音楽論も聞けたりして、マニアにはたまらないっす内容 ですww
このテープに関しての説明は、これで終わっちゃったりするのですが、いろいろと考えるうちに、ちょっと面白いことに気付きました。
このテープは1999年の春ごろに製作されたもので、
Kenseiさんが「Daddy's House」を辞めるのが同じ年の年末 なんですよ・・・
つまり、このテープが時期的に見ると、徐々に「王道なHipHop」の流れからはずれ始めたKenseiさんの「原因」となりうる・・・ある種、証拠的なテープ・・・だと思います。 <Harlem Monthly 1999年12月>
↓
<Harlem Monthly 2000年01月>
<Daddy's House 脱退直後のパーティー>
証拠じゃないですが、kenseiさんが脱退した1999年12月前後を、当時のHarlemのMonthlyで比較したものが上の写真になります。
1999年12月までは、しっかりとメンバー掲載がありましたが、12月の後半のパーティーには参加してなく、
年を開けると参加してない ことが分かります。
んで、2000年1月のマンスリーだと、ゲストを呼ぶ内容に変わっていて、Kenseiさんがいたことが微塵もないことが分かります。
また、Kenseiさん自身も、脱退直後のパーティーは、いきなり
ドラムン ですよ!
「DJ Kensei」 というアイコンを考えた時、
日本のHipHopに与えた貢献度が非常に高かった・・・のに、自身の都合でHipHopを離れた・・・DJ だと私は思います。
まあ、HipHopという音楽を考えたら、
構造の核として「雑食性」「変化」 があるので、
kenseiさんの方向性が、HipHopを外れた・・・とは言い切れない ですが、
日本のHipHopシーンの中で王道の位置にいたDJが、路線変更をする わけですよ・・・当時、結構ビックリした記憶が甦ります。
番組中でも、話題として
今までと違う曲をかけてるよね? みたいな話があり、その中でkenseiさんは
「自分の今までのDJを聞き続けていたら、変わってないことが分かると思う」 のような発言をしていて、陸続きな意味を言ってると思いますが、当時のリスナーからしたら、
なかなかそのようには理解できない です・・・かかってる曲が似てる部分もありますが、ぶっ飛んだ部分もありましたから・・・
実際にこのテープが原因で、路線変更をしたわけではないですが、
路線変更をした「一端」があることは明白で、その意味では、このテープは非常に貴重だと思います。 まあ、内容的には「販促用」なので、大したことはないのですが、
kenseiマニアには堪らない1本 だと思いますよ~♪ なかなか出合えない1本だと思いますが、探してみてね~
Artists / Title : ??? 「1999 Shiburai Premium - Original Casette Programme」
Genre : Breakbeats、Abstract
Release : 1999年4月頃??
Lebel : Shibuya-FM No Number
Notice : No Track List
<追記> 2009年4月11日
士魂のCDが出た時の宣伝フライヤー(パーティーの告知もあり)が発掘できたので、貼っておきます。
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