HipHop,R&B,Soul,Funk,RareGroove,DanceClassics,Garage,House・・・など、私が気に入っているMixTape,MixCD,その他もろもろを紹介するブログです。
S.H.Fernando Jr. 「Hip-Hop Beats」
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 え~、最近、コレクション対象である「本」のご紹介をあんまりしてないことに気づき・・・急遽「HipHop歴史書」を連続紹介・・・しようかな~と思いました(^^;)
 今回のご紹介では、その書籍は当然読んでいますが、記事を書くにあたっては読んでないので、内容が深く突っ込めない・・・点があると思われますので、ご了承を・・・


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 んでは、第一弾のご紹介・・・
 日本における「HipHop歴史本」の中ではトップで上がると思われる本で、日本では96年4月刊行(オリジナルのUS版は1994年8月・写真)された一冊です。
 日本における本格的なHipHop歴史本の中では、最初に発行された書籍だと思われ、オリジナルが発行されたUSでも、本格的な歴史本としては初期の発行物だと思われます
 日本では、HipHopブームが巻き起こった時期に発行され、これを読んで「HipHopの歴史」を学んだ・・・って方は多いんじゃないかと思います
 私自身は、Frontなどで知識を蓄えた上で、成人した後に読みましたが、かなり読み応えがあり、当時読んでたらきっと役に立ってただろうな~と思った一冊です。

 なお、原題は「The New Beats」で、「Hip-Hop Beats」は日本独自のタイトルです・・・日本人向けに分かりやすくした結果だそうです・・・

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 作者の「S.H.Fernando Jr.」氏については、細かい所は不明なのですが、有名HipHop雑誌「Source」での執筆活動を行い、検索をした限りだと、現在もSpinMagazine(US)などで執筆を行う・・・音楽ライターのようです。 写真を見る限りだと、ブラック系の方かな(上記写真の一番右)??
 この本は、80年代にニューヨーク出身ではない作者が、ティーン時代にラジオから流れてくるHipHopを耳にして反応をし、RunDMCで完全にヤラれ、次第にHipHopが好きになり、ハーバード大学在学中(90年代前後?)に、HipHopに関する文献が少ない中、「Reggae International」なるReggaeの歴史書を読み(筆者はReggaeも好きだったようです)、自分とともに成長した「HipHop」においても、同様の試み=歴史解説をしようとしたのがきっかけのようです。

 90年代の初期といえば、PublicEnemyなどが出現し、意識ある主張を代弁する側面もありましたが、メインストリームとしての認識などは、「単なる娯楽」としての音楽であったり、NWAを代表するような「無意味な暴力」といった認識の方が強く、筆者は具体例をあげていますが、タイムなどの有名誌などにも明らかに感情論を忍ばせている形態のHipHop批判記事等があり、HipHopに対しての正確な認識が少なかったと思われます。
 しかし、筆者のように、HipHopの発展とともに自身も成長し、大人になったものとしては、HipHopという文化・考え方が決して悪いものではなく、文化的には多数の階層・人種を超えた若者を取り込み、かつ彼らに多数の影響を与えた点や、ストリートから派生したクリエイティブなアート形態として認識してるようで、以下の点は明確に記載はないのですが、批判的な考え方を是正するべく・・・書いたのかな?と思います。
 まあ、在学中ということなので、修士論文とかで書こうと思ったのかも知れないですが、1年半もの取材期間を設け、本文でもその取材がしっかりと生きた記事になっており、私が読んだ限りだとかなり優秀な内容に仕上がってると思います。


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 今となっては、HipHopの歴史書なんかは結構あり、BronxでKool Hercがブロックパーティーを初めて・・・みたいな感じの書き出しになることが多く、この本もそうなのですが・・・この本が他の書籍と違い優秀な点は、筆者自身がHipHopの歴史・構造をしっかりと理解したうえで、その当事者たちにしっかりと取材をし、その当事者たちの生の声をうけ、うまく要点を振り分け、本書を構成している点に尽きると思います。
 例えば、「HipHopの始まり」というタームであれば、当然の如く「第1章」で扱いますが、「Return of the Boogie Down - ブギ・ダウン・ブロンクスの逆襲」というタイトルをつけ、KoolHercなどのパイオニアの話を紹介しつつ、DJ・MC・Dancer・Graffの4大エレメントもしっかりとホローし、その後の流れとしてKRS、そして末裔に当るDITCなどのBronxの生き証人たちにもしっかりとしたインタビューをしています。

 個人的には、以前紹介した「Won't Stop,Can't Stop」の方が突っ込んだ内容を提示しているのですが、こちらの本では「入門書」レベルな話はしっかりとホローしており、HipHopにおける重要項目(HipHopの源流であるBlackMusicのこと、NWAとかの暴力的なラップ、PEとかの意識の高いラップ・・・など)を分かりやすく分類し、初心者にとってはかなり良質な内容だと思います。
 文章を読んでると、当事者たちのリアルな声を、解説を交えて上手く構成し、内容によっては、重要曲の歌詞を載せたりし、読者への理解を分かりやすくしており、かなり読みやすい内容になっています。
 筆者が意図的に行ったのかは分からないですが、こういった「歴史」を扱う場合、事実なりが先行し、下手したら箇条書きのようになり、事実以外の事柄が分からない場合が多くなりますが、事実の流れを即しつつも、読者に対して読みやすい「流れ」を作った書き方をしているので、HipHopを知らない初心者にはかなりお勧めです。


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 んで、この読みやすい・・・ってのにはもう一つ理由があります。
 実際、この本は洋書なわけで、対訳者(石山淳さん)がおられるわけですが、対訳者はバリバリのヒップホッパーではないので、スラングやHipHop的な解釈が判断できなかったようで・・・その点を補完したのがなんと「K-Dub Shine」です!!
 本書では本名の「各務貢太」として参加をしていますが、奥付などを見ると、対訳者が誤った翻訳や言葉の使い方をしっかりと指摘・修正し、文化的背景のレクチャーなどをし、本書の完成度を高めた尽力があったようです。
 シャインに関しては、記憶だと90年代初期頃よりオークランド(西海岸ね)に留学(?)し、どっぷりとHipHopカルチャーにつかり、影響を受け、帰国して旧知の仲だったZeebraとギドラを結成・・・みたいなキャリアがあり、間違えない人選だと思います。

 本書において、どこまでシャインの影響度があったのかは分からないですが、ラップの歌詞の対訳なんかは、HipHopを理解してない対訳者が書いたものとは次元が違い、スラングや時代背景をしっかりと理解した上での対訳・意訳を行っており、シャインの功績があると思います。
 また、実際の本編でも、かなり指摘はあったんじゃないかと思われるので、文章自体の精巧度を上げてる・・・点などがあって文章を読みやすくしてると思います。
 まあ、対訳者の方が、原書の流れるような文章をくみ取った上で、リズミカルに構成してる点も大きいと思いますが、マニアとしてシャインの功績は見逃せませんよ(^^;)
 ちなみに、初心者対策(?)として、ディスクガイドもシャインのセレクトで、各章ごとに掲載されていますよ~♪
 また、この書籍の発行元は「ブルース・インターアクションズ」で、BlackMusicReviewなどの発行や、各種再発CDのリリースなどブラック系では影響度の多い会社よりリリースされてますが、言わずと知れた「King Giddra」のデビュー元であることも忘れてはいけませんよ・・・


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 そして、この本は、初心者以外の・・・いわゆる「HipHopバカ」にもお勧めが出来るところも大変多いです。
 先ほどもご紹介をしましたが、作者の綿密な取材が生きており、ほとんどのページでは対象者へのインタビューを織り交ぜた文章を交えており、中にはレアなインタビューも多いです。
 ほんと、時代も、地域も、世代も・・・例示をするのが大変なぐらい様々なアーティスト、関係者への取材を行い、丁寧に彼らの言葉をつなぎ合わせているのですが、細かく見ると、マニアも納得なラインも多いっす。
 列挙するのは避けますが、ナイスな人選とか、筆者が撮影したと思われる写真など、上級者でも楽しめるところが多く、個人的には写真にはノックアウトの連続です!
 ほぼ、筆者が撮影したオリジナルの写真なので、初めて見る写真も多く、ヤラレますよ!!
 
 また、特にお薦めしたいページもあり、全盛期のEPMD&Hit Squad(Redman,K-Solo,DasEFX)のツアーに同行取材をし、一章を使い、EPMD&Hit Squadの姿を通して、「HipHop」の姿をフォーカスしたページがヤバいです。
 ちょうど、EPMDの4thが出た頃のツアー(92年)を核として、デビュー直前のDasEFXが先輩に注意されてるところや、DJ Scratchの超Defな幕間ショーのこと、ショーの後のグルービーのこと(本当にあるんですね!)など、ほんとレアな話題が多くヤラレますよ!
 個人的には、Scratchがヤバいっすね・・・噂のミキサーの上に乗っかって2枚使いとか、ワードを駆使してのターンテーブルアクションは、文面を読みだけでヤラレますよ・・・
 そして・・・最大のオチとして、EPMDの解散も書いているのですが、献身的な同行取材が功を奏した内容になっており、絶対に読んだ方がいいです!!

 
 最後にこの本の総括をご紹介いたします。
 この本が出版された時期が94年とあって、HipHopの黄金期の時期にしっかりと取材ができ、かつHipHopのレジェンドにもしっかりと取材を行っているので、今となってはかなり貴重な1冊だと思います。 特に、歴史的な事象に関しての分析が丁寧に織り込まれており、初心者の方には是非読んで頂きたい一冊です。
 また、筆者の丁寧な取材が文章に昇華されており、上級者でも満足できる内容になっており、名著と言っても差支えがないです。
 しかし、94年の刊行なので、その後のメインストリーム的位置になったHipHopが巻き起こした弊害などは記述はなかったり、「Won't Stop,Can't Stop>」「ヒップホップはアメリカを変えたか?」のような文化論・人種論まで話題が突っ込めなかった点など・・・もあったりします。

 だけど・・・やっぱり名著なのには変わりはないかな? 飛ばし読みをしましたが、いい内容が多いですね!!


 んなわけで、初心者でも、上級者でもお勧め出来る一冊のご紹介でした。
 BookOffなどで安く買える場合が多いと思いますので、探してみてね~♪


<Release Date>
Artists / Title : S.H.Fernando Jr. 「Hip-Hop Beats」
            訳者 石山 淳、 訳者協力 各務貢太(K-Dub Shine)
原題 The New Beats
Genre : HipHop歴史本
Release : 1996年4月(オリジナルのUS盤は94年8月)
Lebel : ブルース・インターアクションズ ISBN4-938339-23-4

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コメント
この記事へのコメント
いきなりすみません!
この本を探してるんですけど
全然なくて…
ネットなどで買えるとこが
あったら是非教えてください!

2011/11/06(日) 22:21:34 | URL | れい #-[ 編集]
Re: タイトルなし
こんばんわ! 返答が遅れてすみません・・・

私はネットは使わないのでアレですが、Book Offとかユニオンだと普通に遭遇しますよ!
かなり売れてた本なので、足で探した方が早いかも??

では、答えになってないかもしれないですが、頑張って探してみてくださいね(^0^)



2011/11/08(火) 23:21:16 | URL | mixtapetroopers #EK3m6DHM[ 編集]
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