HipHop,R&B,Soul,Funk,RareGroove,DanceClassics,Garage,House・・・など、私が気に入っているMixTape,MixCD,その他もろもろを紹介するブログです。
HipHop/R&B専門誌「Front/Blast」について
DSC04181_01.jpg

 このブログが開設1周年を記念して・・・特大ボムを打ち込みます!!
 遂にFront/Blastを紹介する運びになりました・・・

 日本のHipHop/R&B界、そしてDJ業界において、この雑誌が果たした功績はホント大きく、お世話になった方も多いはず・・・特にこのブログをみてる方なら直撃な方は多いでしょ!

 私も当然、沢山の影響を受けた雑誌ですので、個人的な話を入れながら・・・今回も気合を入れて書きますよ~!

 ただ、めちゃくちゃ文章が長いので、ご注意ください・・・!!



< はじめに >

DSC04175.jpg DSC04178.jpg

 まず、上の写真が発行されたFront/Blastの全て(増刊号は一部)ですが、こんなにあったんですね・・・タンスから引っ張るのが大変でした(^^;)
 増刊号を除く本誌の数を数えると合計「146」号を発刊しており、気づいたらかなりの量を発行されてました。


 この雑誌は、音楽系出版社であるシンコーミュージックより発行されていた、HipHop/R&Bを専門とする音楽誌になります。
 1994年10月に第一号が発行され、しばらくは季刊、隔月刊で発行され、人気が出たのに伴い月刊化し、後で紹介しますが誌名の変更がありながら、2007年5月まで発行していた音楽誌になります。

 HipHop/R&Bを専門にしている雑誌は他にもありましたが、Front/Blastのように「骨太な内容」「日本人視点」に特化した内容は秀逸で、音楽誌としては異質な部分も多いですが、大変優秀な音楽誌だったと思います。
 また、発行の経歴をたどると、日本におけるHipHop/R&Bの発展とリンクし、日本のHipHop/R&Bに大きな影響を及ぼし、シーンの牽引を行っていた点も非常に大きいです。


 このブログを読んでいる方なら、お世話になった方も多いと思いますが、若い方だと知らない方も多いと思うし、HipHop以外の音楽を聴いてた方だと馴染みが少ないと思うので、今回の記事では、Front/Blastの紹介を辿りながら、この雑誌の意味を考えてみたいと思います。



<Front 1994/10~1998/12>

①創刊初期(1994/10~)

1、創刊に際して

DSC03850.jpg DSC03861.jpg

 Frontの創刊については、結構面白い経緯があって創刊したので、この点から紹介を進めたいと思います。

 この雑誌の創刊初期は、今でも発行されている洋楽専門誌Crossbeat増刊という扱いで発行されていました。

 創刊時に関しては、そのCrossbeatの編集部でスタッフをされ、後にFront/Blastの編集長をされていた「平沢郁子」さんの活躍が大きいと思われます。
 平沢さんがHipHopとかR&Bなどの「ブラックミュージック」に特化した雑誌をつくりたい・・・っと会社(上司の森田さん)に進言し、Crossbeatの増刊として形になったのが「Front」になります。

 Crossbeatは、あまり読んだことがないですが、いわゆる「洋楽Rock」を中心にした雑誌で、今思い返してみるとFrontとはかなり異質なイメージがありましたが、創刊号(写真左)をみると、Beastieが表紙になっていることから、王道の洋楽感(=Rock)が内包するブラックミュージックを扱った増刊と考えればちょっとは納得はできますかね??
 

 ただ、Frontの創刊に関しては、平沢さんだけでなく、Front/Blastを通して執筆を行っていた「佐々木士郎(Rhymesterの宇多丸師匠)」さんの存在も大きいようです。

 士郎さんは、Rhymesterの活動と並行し、本名でのライター業も行っており、活動の初期だと「USブラック・ディスク・ガイド(91年)」などへの寄稿を行っており、当時としては数少ない「HipHopのことがちゃんと書けるライター」でもありました。
 その士郎さんに、Frontが企画される前(94年初夏)に、平沢さんより雑誌がスタートすることを打診され、雑誌の方向性に関するアイデアを出し、後で紹介するような「Front/Blastの方向性」の土台を作ったのが・・・士郎さんだと思われます。
 特に、Front/Blastが「日本発のHipHop/R&B誌」であることにはこだわり、音楽誌ではあるんだけど「HipHop/R&B文化」を代表・表現するような姿勢を作っていたのは士郎さんの功績だと思います。

 ちなみに、雑誌名である「Front」を発案したのは士郎さんで、もともとCrossbeat編集サイドが考えていた雑誌名「Fu:Se(フューズ)」が気に入らず、直談判をしに行き、半ば適当に出したタイトル名が「Front」だったそうです・・・詳しくは1998年12月号をご参照ください。

DSC03853.jpg DSC03855.jpg
DSC03856.jpg DSC03858.jpg

 そして、先ほど紹介した裏事情などがありFrontが1994年11月に創刊されます。
 創刊時はCrossbeat誌の増刊という位置づけの「季刊誌」とし発行し、売れ行きなどが良かったからか、すぐに「隔月誌」になりました。

 発行初期に関しては、雑誌の方向性がまだ固まってなく、HipHop/R&Bが中心であるものの、80年代Soulの特集なども入っており、いわゆる「ブラコン」ラインの音楽誌の匂いがします。
 このブラコンの点に関しては、後で取り上げますが、結論として「HipHop/R&B」のことをしっかりと書けるライターが少なかった点が大きく・・・ブラコン系のライターに頼らないと紙面が埋まらなかったのが理由かな~と思います。

 ただ、紙面の内容に関しては、創刊時よりFrontらしい「濃さ」が出ており、初来日をしたNASのインタビューや、士郎さんが進めていた「HipHop IQ」を高める為の啓蒙的な企画(アルバム100選みたいなの)もあり、創刊時からFrontの方向性が出ていたと思います。


2、創刊後の流れ

DSC03902.jpg DSC03894.jpg
DSC03866.jpg DSC03867.jpg

 そんなこんなで、Frontが定期ペースで刊行が始まることで、だんだんと私たちが知っている「Front」っぽい紙面になっていきます。
 後で、もう少し突っ込んだことを書きますが、とにかく「濃い」記事が多いのが印象的で、写真にあるようなUltra特集や、EPMD特集など・・・素晴らしい記事が多いです。
 
 この点に関しては、士郎さんが構想していた「読者のHipHop IQを向上させる」という点が大きく、まだまだ未熟な読者を育てる・・・みたいなスタンスが見え、実際に私はこのような「濃い記事」を読んで沢山勉強をしました・・・
 また、この点に関しては、もっと特化した内容もあり、あのZeebra氏が英語ラップ曲を対訳した「Word is Bond」や、士郎さんがサンプリングネタ講座をしていた「定番とは何か」など、今読んでも為になるものが多いです。

 なお、印象としては、発刊が進み、濃い記事が増えた背景には、編集側のスタッフや、ライターが集まり始めた・・・のもポイントです。
 高橋芳朗さんや小林昭彦さん、白石裕一郎さんなどの編集者や、萩谷雄一さん、沼田充司さん、古川耕さん、荏開津広さん、小林雅明さんなどのライター陣など・・・ストリートに根付いた「HipHopとR&B」がちゃんと理解している方々が徐々に集まってきたのが重要で、その後の紙面づくりに大きな影響を引き起こし、FrontがHipHop/R&B専門誌として着実に変貌を遂げていきます。
 個人的には、萩谷雄一さんの雑多なんだけどHipHop愛に満ちた記事や、沼田充司さんの現地NYからのRawな空気を詰め込んだ記事など・・・有能なライターさんが集まった雑誌だったのかな~と思います。

DSC03908.jpg DSC03888.jpg

 しかし、初期のころ(月刊化してしばらくまで)は、Frontが考える「HipHop/R&B」化に異議を唱える読者も多く、まだまだ黎明期だったな~というエピソードもあります。

 Front初期では、先ほども書きましたが、いわゆる「ブラコン」路線の内容も多く、「ブラックミュージック誌」というスタンスもあり、これを支持する読者層よりFrontが目指すHipHop/R&B路線に対して反発がありました。
 特に、日本語ラップに関する記事を載せるようになると、投稿という形で反発が起き、「日本人のブラックミュージックなんていらない!」とか「黒人の音楽を乗せろ!」みたいな内容が多かったと思います。

 ちょっと悪い書き方になりますが、「ブラックミュージック」という範疇の音楽に関して、黒人が演奏するものだけを信奉する・・・みたいな支持層がおり、Frontに対して「洋楽ファン雑誌」的なスタンスを求めた支持層がいたようです。
 HipHopって音楽(他の音楽もそうだけど)を考えると、表層では人種特有の音楽性を標榜しているものも多いですが、深く掘り下げると多民族性が強く・・・最終的には非人種的なスタンスを内包する「文化性」の方が重要なので、音楽に「色」を求めるのは盲信的だとは思いますが・・・輸入(=借り物)音楽としての「日本における洋楽」には、こういった画一的な意識がリスナー層に多いかな~と思います。
 つまり、士郎さんの言葉を借りれば、Frontに対して、ブラックミュージックで「単なる傍観者的な洋楽雑誌」を求めていた支持層になるわけですね。

 しかし、Frontが考えている方向性(日本発のHipHop/R&B誌)とは異なるので、編集/ライターサイドから「なんで日本語ラップがだめなの?」という記事を掲載し、Frontとしてのスタンスを明確にし、そういったブラコン的な音楽が好きな方が離れて行った・・・印象があります。
 また、徐々にですが、アナログリスナーを中心とした「HipHopの理解者」が増え、Frontの姿勢を支持するものが多くなり、ブラコン的なスタイルを求めるものはBMRとかに移行したように思えます。



②月刊化(96/5~)、独立化(98/6~)

DSC03897.jpg DSC04047.jpg

 そして、Front自体が人気になり、96年5月号(写真左・8号目)より月刊化をし、98年6月にはCrossbeatの増刊を抜け、独自の雑誌になり、更に勢いを増していきます・・・

 時期的なものを見ても、この時期って「さんぴんキャンプ」が96年7月にあり、日本語ヒップホップのブームがあったり、高校生DJなどの「DJブーム」など、日本のHipHopにおいては「追い風」が吹き、メチャクチャ勢いがあった時期で、発行数も多くなっていると思います。
 インターネットもなく、TVでも紹介が少なく、ラジオではあまり情報がない・・・状態で、HipHopの情報に関して抜群の情報力があったので、必然的にFrontに支持が集まるようになり、HipHopが好きなら絶対読んでる雑誌に成り上がった印象があります。

 需要があるのであれば、発行する会社も力が更に入れられるので、段々とページが増え、特集もさらに濃くなり、ニューリリース関係の情報も充実とあって、他の雑誌には太刀打ちできない「濃さ」を打ち立てていきます。
 なお、月刊化に伴い、アメリカで刊行されているブラックミュージック誌であるVibeと特約を結び、記事の翻訳記事を載せるようになり、記事の濃さを更に増しました・・・Sourceだったらもっと濃くなるのかな~と思った方っていませんでしたか?


1、新作紹介など

DSC04013.jpg DSC04014.jpg

 んでは、この頃のFrontの内容にフォーカスしていきましょう・・・

 まず、大事な点は、音楽誌なのでニューリリースがあった時のインタビュー&特集をすることで、その作品を買って聴いたときに、更に理解が出来るような・・・紙面作りが必要になりますよね?

 その点、Frontは「恐ろしいぐらい濃く」、当時は色々と参考させて頂きました。
 たとえば、写真の98年4月号では、Gangsterrの5heアルバム「Moment of Truth」が出る直後とあって、鬼のような特集で、新作に関するドープなインタビュー(エンジニアのエディーサンチョにまで!)や、過去作品のレビューや、Mammy-DによるDJ Premierのトラック作りの解説、元ネタ話など・・・圧倒される内容です。

 FrontなりBrastのことを考えると、新作などの情報は、レコード会社から出る「プレスリリース」とか「オフィシャルインタビュー」で終わり・・・ではなく、独自の基準で記事を起こし、HipHop/R&Bという音楽を多角的に分析・表現することで記事が濃くなったのだと思います。
 個人的には、そのアーティストの顔写真の量・面積で、その雑誌の方向性が分かると考えていますが、Frontは圧倒的に文字が多く、たんなる「ファン雑誌」でないことが分かります。
 どうして、こうなったのかは判断がつきませんが、優秀なライター陣が増えたことと、日本人特有の知識の掘り下げ方(=オタク的?)なんかがポイントなのかな~と思います。

DSC03953.jpg DSC04054.jpg
DSC04056.jpg DSC04057.jpg

 ただ、ファン雑誌的な意義で「シーンを盛り上げる」という側面も忘れてはいけません・・・

 時代は「日本語ラップ」全盛期で、各アーティストの動きを完全にバックアップし、日本で誕生したばかりの「日本語ラップシーン」の後押し・拡大をした点は重要です。

 このころには、先ほど書いた「日本語ラップ嫌い!」みたいな読者は減り、むしろ日本語ラップの情報を求める読者が増え、先ほどのGangstarrと同様に、濃い記事を連発しています。
 アルバムなりシングルが出れば必ずフューチャーされ、表記のBuddhaだったり、ジブさんだったり、大半のアーティストは掲載・特集が組まれていて、CDを聴いただけじゃ分からない情報を補完する役割があったと思います。
 
 また、写真下のように、98年ごろには、勃興しはじめた「日本語R&B」も後押しを開始し、MisiaとかSugarSoulなどを紹介し、HipHop/R&Bという文化が、「日本」でしっかりと育ってることを表明し、その文化を後押ししてることが見受けられます。

 私自身も、このころ(高校生でした)は、日本語ラップは追っていたので、新譜が出るのが楽しみでしかたなく、新譜が出るアーティストの記事を貪って読み、彼らの音楽を更に楽しんでいた・・・と記憶しています。


2、啓蒙的な企画

DSC04048.jpg DSC03936.jpg
DSC04009.jpg DSC04010.jpg

 また、Frontの醍醐味は「特集」にあり、この特集記事は「啓蒙」的な要素が強く、これらの記事を読んで、HipHop/R&Bシーンの参加者が「知識」をつけた点はホント大きいと思います。

 例えば「OldSchool特集(98年6月号)」ではKoolHercとか、GrandmasterCazのOldSchoolレジェンドへのインタビューを通して、OldSchoolの良さを教えてくれたり、「NYのラジオ特集(96年11月号)」では、HipHopにおけるラジオの重要性(DaCypherが始まる前ですよ!)を紹介したり・・・ホント役立ちました。

 いや、役立ったって表現よりも「勉強させてもらいました」の方がいいかもしれないですね・・・

 私自身がそうでしたが、HipHopの曲を聴いてるだけでは理解できない「構造」「文化」「考え方」などをFrontから学び、今の自分があると言ってもいいくらい影響を受けました。

 私自身のことは、後でもう少し突っ込んで書きますが、Frontが出ている頃は高校生で、それこそDJブームに踊らされてとりあえずDJ機材を買っちゃったクチで・・・HipHopのことが「本質的」に理解出来てない状態でしたが、上記写真下段の「ブレイクビーツ特集(98年3月)」などで、HipHopの構造的な本質が初めて理解(その後、アルティメットを買い漁りました!)でき、ホントお世話になりました。
 また、KRSのインタビュー&生き様に感銘を受けたり、HipHopという音楽の発展の歴史だったり、今までに経験出来なかった「文化」の本質に触れ、影響を多分に受けましたよ!!

DSC03992.jpg DSC03994.jpg
DSC04040.jpg DSC04041.jpg

 また、勉強になった点に関しては、皆さんの意見が一致するのが「レコードガイド」だと思います。

 代表的なやつだと、97年11月号の「Middle School特集」(写真上2枚)で、MasterKey,Kensei,MUROをはじめとする大御所DJ達が、お勧めのレコードを紹介するという企画で・・・すげー勉強になりました!
 その他にも「OldSchool R&B特集(97年5月号)」とかなど、後のBlastになっても続く代名詞的な企画で、この記事をコピーし、必死になってレコードを探した少年少女が多かったと思います。

 また、写真下のように、アナログレコード店の広告が掲載されることが多く、これも勉強になった方が多いんじゃないですか?
 写真は町田のFreaksの広告ですが、これも参考にしましたね・・・個人的にはFreaksの広告は最高で、写真左下のように、EricB&Rakimで統一しつつも、MUROさんの12inchが一枚だけ載せるような(分かるよね、MUROさんがRakimが好きなのを!)センスの良さが好きでした。
 ただ、今年の夏に10年越しで初めてFreaksに行きましたが・・・当時の広告で見ていた「レア盤天国」ではなく、当時の妄想が駆逐されました(^^;)

 自分自身の話をすれば、レコードを買い始めて初めてに突きあたった壁が、欲しい曲が昔の曲で、探さないと簡単に買えない・・・ということで、レコード屋で探すも、その曲の「ジャケット」が分からないので、簡単に探すことが出来ない・・・ことが多く、このようなレコードガイドを通してジャケットを覚え、中古屋通いを加速させた記憶があります。
 当然ながら、曲の知識を増やす意味でも大きいのですが、現場に行かないと知ることが出来ない「昔のカッコいい曲」を知るという意味では、ほんとセンセーショナルな記事&広告で・・・きっと全国に「レコード馬鹿」を増やした原因かもしれないですね(^^;)

 ただ、この点においては、もうちょっと指摘をします。

 一般的な音楽誌を考えると、CDの流通が一般的な音楽業界を対象として記事が成り立っているものが大半で、新譜として売ってる「CD」の情報がメインになるはずですよね。
 しかし、Frontに関してはHipHopというDJ文化を基礎とする部分があるため、「レコード」に関する内容が異常に多く、つまるところ、読者層が実は独特で、「CD層」と「アナログ層」が上手くクロスしてる構成になっており、記事の内容でも「アナログ」のことが前提で書いてある記事も多く、それが紙面として受け入れられています。

 当時としては、アナログレコードは、DJブームがありましたが、完全にCDに代わり、駆逐されたフォーマットなはずなのに、そのアナログを結果として大きく取り扱った点は非常に大きいと思います・・・きっと最初はCDでHipHopを聴いてたけど、Frontを読んで、レコードがいっぱいのってるので、タンテを買いました・・・って人が多いんじゃないですかね?
 もちろん、先ほども例示した町田のFreaksのようなアナログ専門店の広告がある(広告の依頼がある)時点で、アナログがこの雑誌ではメインに近い位置づけになってることが分かりますが、90年代後半で、アナログのことが中心に紙面作りがなされていたことは・・・世間一般から比べれば、とても特殊な位置にあったのかな~とも思います。


3、充実したコラム 士郎さん連載など・・・

DSC03871.jpg DSC03959.jpg
DSC03987.jpg DSC04063.jpg

 そしてFrontと言えば・・・士郎さんの連載「佐々木志郎のB-Boyizm」を上げる方も多いかと思います。
 私個人も多分に影響を受け、Frontが「音楽誌」を通り越し「文化誌」になったのが士郎さんの連載があったからだと思っています。
 
 この連載は、Frontの最後の方にある「Tip Off」という連載コラムが集約されたページに長期にわたって連載されていたもので、他のコラムもドープですが、個人的には士郎さんの連載には影響を受けました・・・
 
 B-Boyizmでは、士郎さんが、彼の生活の中で「これはB魂を感じる!」という物品・現象を紹介するページで、大半がHipHopとは関係ない本とか映画とかを紹介する連載でした。
 写真上の2枚のように、高倉健の映画だったり、立川談志の本だったり・・・また、テレビの深夜で、放送が終わった後、試験放送的な放送(フューラーというそうです)に活路を見出したり・・・はたまた間違ったHipHopの使い方をしたら抗議したり(フマキラー事件!)・・・明らかにHipHop外のモノが多いのですが、士郎さんの腕にかかると「Bです!」と反応してしまいます・・・

 先に結論めいたことを書いてしまいますが、士郎さんが伝えたかったのは、①Frontを単純な音楽誌ではなく「HipHop/R&Bの文化誌」として表現したかった点と、②そのHipHop文化に対してステレオタイプにならず、日本独自のスタンスで行こうよ!って点だと思います。

 ①の文化誌の立場っていうのは、HipHop自体が、70年代のブロンクスで、ミュージシャンではない一般の少年たちが、彼らの生活・文化の中で作り上げた「音楽」であり、音楽として成立して以降も絶えずストリートの文化を色濃く反映した音楽になり、聴いてるものもその文化に属することから、音楽性以上に文化性を考慮しないといけない・・・という事情があると思います。
 つまり、その文化性とか行動様式なんかを理解しないとその音楽の本質が分からない・・・ってところで、USのHipHop文化に関する本質的な考察は少なかったですが、Frontという雑誌を通して、この点は丁寧に扱っていたと思います。
 例示でいけば、人種的な話とか、貧困の問題、音楽産業の構図、彼らの生活観・・・など、かなり広い範囲のことを理解しないと厳しいかな~と思います。

 そして、②が士郎さんの連載において一番重要となる点で、日本に輸入される「海外文化(海外音楽)」にありがちなスタイル先行な文化コピーではなく、そのスタンスを「日本」に置き換え、「日本のHipHop」というスタンスは何か・・・っていうことを伝えたかったのだと思います・・・
 ①の文化を理解することも大切ですが、そのUSのHipHop文化をそのまま輸入するのは物理的に限界(ドラックとかガンとか)があり、またその文化をそのまま輸入してはステレオタイプな「モノマネ」文化になってしまい・・・何よりも「日本人」というスタンスになると「似合わない」部分もあり・・・この連載を通して、「日本の文化としてのHipHopとは何か?」を発信していたのだと思います・・・

 うまくまとまりませんが、海外からの借り物文化でなく、その文化を利用して、独自のスタンスを築き、日本に住んでいる自分たちが自分たちの尺度でカッコいいと思うものは胸をはって「カッコいい」と言おうよ・・・みたいな考えがこの連載の根底にあったのだと思います。

 私自身は、このスタンスに気づき、自分がHipHopという文化・考え方が心の底から好きになった・・・と記憶しています。

 当時、高校生だった私にとっては、世間の「HipHop」の扱い方に困惑した時期がありました。

 世間がHipHopブームに沸く中で、必然的にB系の洋服を「着ないといけない」みたいな不文律が発生し、私自身はこの手のダブダブな服が全く似合わず、趣味としても好きではない・・・ということがあり、HipHopが好きであるのに・・・みたいなジレンマがありました。
 また、高校生なので色んなモノに興味があるのに、当時としては主流であったステレオタイプなHipHop像があるために、他の文化には排他的にならざるを得ない・・・みたいなスタンスも生まれ、自分が好きだったもの(当時はプロレスとかラジオとかアニメにも入れ込んでました)を殺さないといけない・・・みたいな時期もありました。

 しかし、士郎さんのスタンスをみてるうちに、HipHopという文化が「自分がコレだと思うモノを胸をはって推し進める」行為を特化してる点に気づき、ステレオタイプなHipHopには染まらず、自分の尺度の範囲でのHipHop感覚で全ての文化を消化し、発展させる・・・みたいなスタンスに行きつきました。
 まあ、言葉に表すと「自分なりのミクスチャーな感覚」ってところだと思いますが、それに気づいた瞬間、興味のあるものは何でも差別せず接するようになりました・・・

 個人的には、この流れがあり、岡田斗司夫さんなどの「オタク論」的な流れも消化し、アニメ/マンガ系も強くなりました(^0^)
 分かりやすく書くと、学校のクラスの中ではHipHopが好きな人種(行け行け系)と、アニメが好きな人種(オタク系)が分かれていると思いますが、その両方と付き合えるようになった・・・みたいな感じになりました。

 士郎さんのことが必要以上に長くなったので、まとめますが、この連載なりFrontが、一般的な「音楽誌」以上に「文化誌」としての情報発信を行っていた象徴になり、その柔軟性を含んだ「ミクスチャーな考え方」「オープンマインドな考え方」「自身の確固たる意志」みたいのを教えてくれ・・・私を含め色んな方が影響を受けたと思います!

DSC03961.jpg DSC03960.jpg
DSC03969.jpg DSC03989.jpg

 士郎さんにはホント影響をうけたので、必要以上に文章が長くなってしまいましたが、他のコラム連載も影響を受けました・・・
 大半の連載が長期連載をしていて、士郎さんの考えと同一な「日本独自の懐の広いHipHop感」を表していたと思います。

 DJ Ken-Boによる新作12inch選や、Dev-Largeによるイルな連載(これも影響を受けた方が多いでしょ!!)など、HipHopに直結してるものもあれば、特集漫画家である根本敬さんのマンガ、Frontでカメラマンをしていた前原猛さんのコラムなど、HipHopと直接的には関係ないものも多く・・・かなり「カオス」な内容でした(^^;)
 しかし、士郎さんのところで触れたように、「俺イズム」を体現するような「HipHop」を表現してるいる・・・という意味では全てが一貫性があり、どの連載も重要だったことは間違いありません。
 実際、かなり異質だった根本敬さんの連載は、士郎さんが創刊時にリクエストし、ごく初期より始まっていたので・・・Frontが音楽誌を飛び越え「文化誌」としての意識があったことが伺えます。

 また、コラムとは異なりますが、奥付の編集者の「つぶやき」など、細かい所にも「面白い」ところが隠れており、読むときは流し読みをせず、一行一句を読んでいました・・・当時はこういった細かい所にも「情報」が隠れており、逃さず読んでいました・・・

 あと、書けるところがここしか無さそうなので、ここに書きますが、為になるような「俺イズム」ばっかりかと思われがちですが・・・結果として「大笑い」みたいな記事も多かったです。
 コラムは特に「爆笑」しちゃうのが多かったですが、誌面の企画でも、爆笑するのが多く、写真右下の「Keith Sweat鼎談」での男のあり方や、Wu-Tangが経営してる床屋に行って散髪したり・・・記事の面白さも秀逸だったと思います。




<Blast 99年1月~07年5月>

 いや~、Frontの頃は、自分も高校生で、無駄に影響を受けてたので必要以上に筆をふるってしまいました・・・すみません(^^;)
 ただ、Blastに名前が変わってからは、HipHopが市場・世間で花開くが・・・段々と規模を縮小・拡散していく・・・流れがありますので、しっかりと書きたいと思います。


① Blast時代・前期(平沢さん編集長時代) 99年1月~05年1月

1、Blastへ改名~雑誌の黄金期

DSC04113.jpg DSC04145.jpg

 そんなわけで、慣れ親しんでいた「Front」ですが、突然、ある理由で誌名の変更を余儀なくされる事態になりました・・・

 実際は99年1月号より「Blast」に変更したわけですが、変更の理由としては・・・ある公共団体が発行している雑誌で「○○フロント」という雑誌があり、その雑誌の方が先に雑誌名を登録しているので、Frontが「類似登録」としてみなされる・・・ようで、ちょうど独立創刊をした時期と重なるので、急遽誌名の変更が必要になったようです。
 相手の雑誌の詮索はしませんが、新しい雑誌名については関係者・アーティストなどに意見を聞き、討議を重ね、雑誌名の申請が通ったのが・・・「Blast」で、HipHop的な意味合いでも「爆発させる=俺イズムをぶちかます!」みたいなニュアンスがあり、間違ってないと当時は思いました。

 ただ・・・誌面の変更に関しては気にしてる人は殆どいなかったと記憶してます・・・なぜなら、誌面の「質」が全く変わってないわけで、むしろ「次のレベルへ!」という感じがして、私自身は歓迎していた記憶があります。

DSC04146.jpg DSC04327.jpg
DSC04239.jpg DSC04243.jpg

 ンなわけで、屋号がBlastに変わりましたが、時代的にはHipHopが日本でも明確に市民権を得るようになり、シーンが拡大していた時期になり、Blastもその時代の流れと連呼しながら更に誌面のレベルアップが進むようになりました。
 内容としてはFront時代の方向性「充実した新作紹介+ためになる特集」が更に尖鋭化しつつ、紹介の幅を更に広げる・・・みたいなスタンスを貫き、さがならこの雑誌の「黄金期」を象徴していたのだと思います。

 新作紹介系だと、主要な作品・事柄にはかなり力を割いており、象徴的なところだとRhymesterの待ち望んでいた3rdアルバム「リスペクト」の総力特集とか(1999年8月号・高橋芳朗さんの文章が素晴らしいです!)、DJ KentaroがDMCで世界を取った時の特集(2002年12月号)など・・・常にフレッシュな記事を、独自の骨太なスタンスで書いており、もう大学生になっていましたが、必死になって読んでいましたよ!
 内容によっては涙を流したり興奮して走ってレコード屋にその作品を買いに行ったり・・・きっと「いい読者」の象徴だったと思います(^^;)

 また、特集系の話も、更に範囲が広がり、定番の「レコードガイド」はもっとドープになり、かなりの頻度でコピーを取って、レコード屋に持参して発掘活動をしていました。
 特に、MUROさんが新作のCDを出した時は必ずドープなレコード紹介(そのCDとは直接的には関係ないんだけど・・・)があったり、個人的にはかなり参考にさせていただいた「ダンクラ/Garage」特集など、Front時代と同様の路線を取っていたのが象徴的です。

DSC04151.jpg DSC04232.jpg
DSC04143.jpg DSC04134.jpg

 そして、この時期といえば紹介する「範囲」が広がった時期でもあり、いわゆる「多角化」をした時期にも該当したと思います。

 多角化という表現は必ずしも正しくはないのですが・・・いままでFrontで取り扱えなかった「HipHop」を取り扱うようになった・・・というのが正しい表現で、たとえば「ターンテーブリスト・スクラッチ」のこととか、「エアルゾルアート・グラフティー」のことなどを取り扱うようになりました。
 これについては、昔っから批判があったようで、HipHopという「文化」を名乗ってるのに何でグラフがないの?みたいなことがあり、編集サイドとしては「書けるライターがいない」とか「反社会的なことをどう扱うか?」みたいな葛藤があったようですが、これらの事に詳しいライターが出現(スクラッチ系は11zero=後のBlast編集長の伊藤氏、グラフは東京ブロンクス氏)したことが大きいのかな~と思います。
 ただ、流石Blastだけあって、初めて扱うトピックスでも「濃さ」は一流で、今読み返しても勉強になるものが多いです。
 
 また、今まで誌面の中に隠れていた「精神性=俺イズム・Bイズム」みたいなのを表面化した、文章主体の特集も増え、DragonAshがリリースし、批判の的になった「I ♥ HipHop」に関する考察(2000年7月号)や、日本語ラップの歌詞の再考(2000年4月号)などの「文章主体の記事」が増えてきたのも象徴的です。
 きっと、編集部・ライター・読者のレベルが上がり、こういった文章だけの記事でも理解できる素養ができ、更なる高次な方向に向かって行ったのだと思います。

 当時は私も大学生になり、文章を読み、その内容を理解することは出来ましたが・・・これについていけなかった人も多かったのかな~と思います・・・皆さんはどうでしたか?

 実際、当時における一般的なHipHopは聴きやすい「Pop」なものを求められ、私たちが体感していた無骨なものは敬遠され、頭で考えるよりも体で「とりあえず」感じるものを求める・・・みたいな傾向があったと思います。
 個人的にはそのようなメインストリームなHipHopを聴くのを辞めてしまい、Blastが求める視点が高次になったことは、歓迎をしていましたが、メインストリームがいいという読者には辛い内容だったのかな・・・と思いました。
 結局、こういった姿勢が休刊への足がかりになった・・・ともいえるかもしれませんね・・・


2、編集者・ライターの功績

DSC04095.jpg DSC04094.jpg

 Blastに誌名が変わった90年代末から2000年代前半は、時代の流れに連呼し、Blastの黄金時代だったと思います。

 他の雑誌でもHipHop系のものが発刊・路線変更される中で、Blastが独自のスタンスを築き、読者に支持を受け、シーンを牽引していたのは・・・間違えなく「編集者」と「ライター」の功績に他ならないと思います。
 また、この編集者・ライターの変遷が、誌面の企画や内容を変遷し、Blast自体の路線が少しづつ変更していく原因にも考えられ・・・この点も紹介しないといけませんね!


 まず、FrontからBlastにかけて、この雑誌を支えていたのが上記2枚の写真にいる「編集者」の存在で、彼らがいなかったらこの雑誌が成り立たなかったと言っても過言ではありません。
 個人的には「黄金のカルテット」と読んでおり、色んな意味で尊敬をしていました・・・・本人たちにとっては紹介が不本意かも知れませんが、ちょっと触れましょう・・・

・編集長 平沢郁子さん(写真では腕を組んでる女性)
   編集部唯一の紅一点ですが、彼女がいたからこそFrontが生まれ、
   育っていたと思います。癖のある編集部員・ライターを操り、
   誌面作りをしていた点は功績でしょう!
・編集部員 高橋芳朗さん(帽子を目深にかぶってる方)
   もともとTowerRecordsのフリーペーパー「Bounce」の編集を
   されていましたが、かなり初期に編集部にもぐりこみ、
   R&B系の企画には定評があった方です。
・編集部員 小林昭彦さん(バットを持ってる方)
   高橋さんの後に入部し、Middle系などHipHop全般が強力に強く、
   EPMD特集など、過去系のHipHop特集には定評がありました。
・編集部員 白石裕一郎さん(坊主の方)
   Frontが月刊化した辺り(96年ごろ)に入部した方で、
   言わずと知れたMellowYellowの「DJ GZ-Jay」ですね!
   機材系の話が強かった印象があります。

 この4名の体制がFront時代初期(96年ごろ)から続き、Blastに名前が変わった後も続く形になり、雑誌の屋台骨を支えていた存在だと思います。
 改めて人選を考え直すと、かなりバランスの良い人選で、4者の良い所が混ざり合い、Front/Blastになったのかな~と思います。

DSC04043.jpg DSC04045.jpg

 また、これらの編集部員が雑誌の骨格を作っていたら、実際の文章を書くライターさんが、その雑誌の「肉」を作っており、実像は分かりませんが、かなりライターさんの意向が利いた、内容になっていたのかな~と思います。
 つまり、HipHopの範疇で書きたいことがあれば書ける・・・みたいな土壌があり、それがFront/Blastの醍醐味だったと思います。

 なお、ライターさんたちも、自然発生的に集まった方が多いですが、雑誌内でライター・編集者を募集する告知を定期的に打ち、感想文コンテストみたいな新人発掘(写真2枚)みたいのを行っており、そこからデビューした方も多いです・・・
 こちらの情報も、名前を書かれた方にとっては不本意な場合もありますが、Front/Blastを彩る重要な存在だと思いますので、思い付く方だけ書きます・・・

・古川耕さん
   日本語HipHopの推進に大きな功績を残したライターさん!
   BlueHerbの特集など、そのアーティストの良い所を的確に
   文章化し、個人的には一番好きなライターさんでした。
   なお、アニメ関係のライターさんでもあり、
   今は宇多丸師匠のラジオの構成もしています。
・萩谷雄一さん
   HipHopの「無骨」さを表現出来た数少ないライターさんで、
   日本語ラップの有名コンピレーション「悪名」をプロデュース
   したことで有名です。 萩谷さんもも日本語HipHop関係の
   記事では定評がありましたね。
・小林雅明さん 
   もともとブラコン系の話題に強かったライターさんで、
   全般的なブラックミュージックに強く、英語にも強かったことから、
   現地の分かりにくい情報を分析・翻訳し、Front/Blastの
   誌面作りには欠かせないライターさんでした。 
   ちなみに、故・中尊寺ゆつこさんの旦那さんです。
・沼田充司さん
   活動歴の長いProducer/DJで、Front初期よりNYからレアな
   情報を届けてくれた方です。 コアなアンダーグラウンドMCの
   インタビューや、NYのグラフライターの話、USの文化事情など、
   彼にしか書けない情報が多く、Front/Blastを支え続けた存在です。
   ライターであるStakとの鼎談も最高でした!
・大前至さん
   割と広い範囲のHipHop系記事を書いていた方で、Blast後期では、
   LAに移住し、現地の情報を出していました・・・StoneThrow系の
   情報は強かった印象があります。
・二木崇さん
   この方も割と広いHipHop記事を書いていましたが、MUROさんの
   記事に関しては彼が必ず担当になり・・・その関係は現在も続きます。
   高度なレコード話が出来る方なんですね。
・11zero(伊藤雄介)さん
   Blastになり登場したライターで、当時はスクラッチ系の記事を
   かなり担当されていました・・・その当時、彼は早稲田の学生で、
   あのギャラクシーに在籍されていました。 その後、
   Blastの編集部員に成り上がり、Blastの編集長になります。
・東京ブロンクスさん
   世代的には伊藤さん(私もそうかな?)と同じ、さんぴん世代の方で、
   グラフティー関係の記事は一手に担当されていました。 現在の
   活動だと、サイプレス上野さんとの日本語ラップ対談は最高です!
・川口真紀さん
   この方もギャラクシー出身の方で、R&B系の記事には定評があり、
   その年に発表されたR&Bアルバムに収録されている隠れた名曲
   を紹介する「R&B Uncuts」を担当されていました。

 思い付いたライターさんを書き、当然これらのライターさん以外にも活躍した方は多いですが・・・ごめんなさい、全て書くのはつらいです(^^;)
 ただ、重要なのは、私が名前を覚えてるぐらい「著名記事」が多く、各ライターの個性・得意分野を生かした記事が多く、読者側も信頼して読んでいたと思います。
 つまり、彼らのような「名前が浸透している」有能なライターさんがいたことで、Front/Blastが「濃い」音楽誌でいたのだと思います。

DSC04347.jpg DSC04508_01.jpg
 
 なお、こういった編集者・ライター(一部ですが・・)が前面にでた企画に「ブラスト公論」があります。
 
 士郎さんの連載「B-Boyizm」が朝日新聞「リスペクト事件」(00年2月/3月・必読です!)で終了し、何が始まるのか・・・と思ったたら、士郎さんの連載は縮小化(怪電波フロム神保町)し、この「ブラスト公論」が始まります。
 まあ、士郎さんも中心人物なので、士郎さんの連載が縮小化したとは言いずらいですが、編集部・高橋芳朗さん、ライター古川耕さん、カメラマン前原猛さん、ライター郷原紀幸さん(本職は洋服屋さん)などで繰り広げた「壮大な与太話」で、大爆笑しながら読んでいました(^0^)

 かなり人気があった連載だったので、連載終了後、写真右のように単行本化しましたが、内容的には・・・単なる「雑談」なんだけど、30過ぎた男たちの思惑みたいのが面白く、たまに本旨をついた指摘もあるんだけど・・・大抵は「なんだよそりゃ」みたいな話に集約し、面白かったです!
 ただ、この連載が終了(2004年11月)をする辺りから、Blastの体制が変遷していきます・・・それは次の項で話しましょう・・・
 

 この連載がライター性が表に出た連載・特集とは言い切れませんが、コレ以外にも古川耕さんなんかが仕切ってた「新人アーティスト紹介コーナー」など、有能なライターさんが関わった企画が多く、編集者・ライターが一丸になって誌面を作っていたと思います。


3、雑誌の変遷

DSC04405.jpg DSC04406.jpg

 2000年代前半は、HipHop自体がブームで、レコード業界も大繁盛し、Blast自体も黄金時代を築いていましたが、その後はHipHopブームが縮小し、インターネットの発達などで市場や社会の変遷がおこり、Blast自体も残念ながら坂を下るようになりました。
 雑誌の売り上げなどの実数的な話は分かりませんが、読者として長く読んでる立場からすると「アレっ」と思う瞬間があり、私の周りの状況(渋谷のレコ屋が閉店したとか・・)などを踏まえると、Blast大丈夫かな~と思う瞬間もありました。

 その限りにおいて象徴的なのは、以前もこのブログで取り上げたことのある「Dev Large VS K-Dub Shine」のビーフ問題です。

 2004年の夏ごろ、インターネット上で勃発したビーフ(=マイクバトル)で、当時ネット上ではかなり盛り上がっていたようです・・・詳細は、私が以前書いた刃頭/現場デ炸裂で触れたので、そちらを参照にしてください・・・

 この点に関して重要なのは・・・当時のBlastがこのバトルを全く取り上げない姿勢だったことです。

 編集部(当時の編集長・平沢さん)としては、このビーフ問題を取り扱う余地が現在の日本のシーンではまだない・・・という理由で取り扱わなかったと後説明的にしていますが、この点については、編集・ライターサイドでもかなり物議を呼び、人気連載だった「ブラスト公論」では編集サイドに対する反対声明に近い文章が掲載され、翌号では連載が終了(執筆陣がボイコットする意味で終了)しました・・・
 誌面の上では一部だけが「炎上」したわけで、その後は何事もなかったかのようにBlastは発行されたわけですが・・・私も後追いではありましたが「Blastの姿勢はおかしい」と思いました。

 私の場合は、今まで散々「マイクバトルの歴史」みたいなのを特集し、マイクバトルはHipHopの華だみたいな持ち上げ方をしてたり、夏のB-BoyパークでのMCバトルを徹底的に分析したり・・・MCという行為を多義的に紹介してたのに、自国でのバトルを無視したのかは・・・理解できません。
 つまるところ、大人の事情みたいなもんで、DLとK-Dubとも、どこかの「レコード会社」に所属しており、そこから広告を貰ってる立場になると・・・どちらかがマイナスになることも書けないので、Blastでは内容を扱わなかった・・・ってことになるのだと思いますが、今まで書いてきた記事の「勢い」が何だったのか・・・と当時は思いました。

 歴史的にみると、このビーフ問題だけでなく、諸問題を扱わないことで内部で物議を醸したことは何度かあったようで、キングギドラの回収問題の時も物議がありましたね・・・
 結論的に書くと「対岸の火事は騒ぐけど、自分たちの火事は騒がない」みたいなもんで、大人の事情はあるにせよ、Blast側・雑誌としての「体質的な問題と限界」が露呈してしまった・・・のだと思います。

DSC04509.jpg DSC04510.jpg

 また、Blastの体質的な問題として時期が悪かった部分も正直あったと思います。

 というのは、長年Front/Blastを支えていた編集部員の新旧入れ替わりがあり、対応力が足らなかったと思われる点です。

 各々がどういう事情で退部されたかは分からないですが、2002年7月では高橋芳朗さんが退部(→11zero/伊藤雄介さん入部)、2003年4月には小林昭彦さん・白石裕一郎さんが退部(→佐藤公郎さん、板垣佑介さん入部)という形で新旧の入れ替えがあり、当時のコラムで平沢編集長が「教育係」になって大変だ・・・みたいなことが書いてありました。
 つまり、比較的若いスタッフが入ったことで、ベテラン勢が持っていた対応力が相対的に減少し、Blast編集部がもつ対応力が低かった・・・と思われる点です。

 あまり書きたくないですが、高橋さんなり小林さん・白石さんが抜けた後、正直、内容が濃く「なくなった」と感じる部分もありました。
 私の知識が増えたり、大人になって興味がなくなった・・・というのも多分にありますが、今回読み返してみて、編集部黄金カルテットの頃と、それ以降では記事などの濃さの具合がやっぱり違うし、雑誌というものは「人」が作ってるんだな~と痛感させられました。

 ただ、入れ替わりがあった以降も、面白い!って思える記事・企画も多かったので・・・人の入れ替わりが問題になるかは微妙なのですが、一般の社会(会社)でも入社1~2年の社員が数名いて、それを監督するベテランが1名ってのは結構キツイと思います・・・


 あと、このビーフ問題が象徴する点がもう一点あり・・・ネット環境が発展し、雑誌の価値観を薄めてしまったことです。

 私自身は、当時はそんなにネットはしてなく、2004年10月号に掲載された「編集長・平沢さんの文章」と「公論クルーの文章」でそのビーフのことをしり、後追いでネットで見ていましたが・・・いや~盛り上がってましたね!
 当時のアメリカでもインターネットを使った音源アップによるビーフはあったわけで、そのこともBlastで普通に取り上げていましたが、こういったことが日本で起こると・・・火事場見物みたいなもので、見たくなるのは当然だと思います。
 それも、今まで散々Front/Blastに「バトルの美しさ」を教育されたわけですから・・・逆に見ないわけにはいかないと思いました。

 当然、他の皆さんも「野次馬根性」があってネットでの議論に参加された方も多いかと思いますが、2004年当時としても、下記の点が雑誌に比べるとネットが優位だったと考えられます。

 ・情報の早さ  ・音源が聴ける  ・読者が参加できる
 ・情報の制約が少ない


 ちょっと凡庸な理由にはなりますが、どの理由もBlastなり音楽誌が持つ「ネック」になり、この4点に関することを反芻はしないですが、このビーフ問題では、どの内容もネットの方が優位性があったと思います。
 当然、雑誌の方が媒体として有利な点も多い(多岐にわたる情報が網羅できる、規模の優位性とか)わけですが、読者の雑誌離れを象徴してしまった事柄だったと思います。

 実際に売り上げは・・・後追いで分かったことなのですが、かなり減少し始めたそうで、Blastにとっては難しい時期に差し掛かったようです・・・



② Blast時代・後期(伊藤編集長時代) 2005年2月~2007年5月・休刊

1、突然のリニューアル・編集長交代

DSC04414.jpg DSC04415.jpg

 個人的にはDLvsK-DubのBeef問題で、一枚岩の信頼があったBlastに対して疑問を持ち始めた2004年後半でしたが、またのビックリ事件が・・・

 2005年2月号を買うと・・・写真右のように、タイトルのデザインが変更され、中身も写真が多くなり・・・何よりも編集長が平沢さんが退き、伊藤さんが編集長になる・・・と書いてあり、完全リニューアルを宣言してるじゃないですか!
 これはビックリしました・・・

 その前号に当る2005年1月号(写真左)では、Front/Blastの10周年記念号と銘打って・・・大きな特集はなかったですが、平沢さんの前文では①これからもがんばります、②来月号より大幅なリニューアルします・・・っとサラッと書いてあり、そんなに心配してなかったら・・・平沢さんが辞めるなんて・・・露にも思わなかったです。
 平沢さんの退任理由は明確には分からないですが、Beef問題もあったし、いつも体調がすぐれないと書いてたり・・・当然売り上げの面もあっただろうし・・・部外者が知る由はありませんが、これからのBlastがどうなるんだろう?と正直思いました。

 写真右の2005年2月号では、実質的に伊藤さんが仕切る形になり、大半の記事やフォーマットに変更はないのですが、パット見たときに「アーティストの写真」が大きくレイアウトされるようになり・・・今まで「濃かった」内容を、一般向けに「薄くした」印象を感じました。
 何を持って「薄くした」とは言い切れないのですが、今までFront/Blastがあえて実践しなかった「アイドル誌」的なスタンス(=写真大きくみたいな)を内容によっては入れる(Eminemとかの売れ線アーティストだと特に)ようになったり、表紙が明るくなったり・・・コアなファンではない、一般のファン向けに「テコ入れ」をし、売り上げの回復をしようとしたんだな~と感じました。

DSC04435.jpg DSC04442.jpg
DSC04464.jpg DSC04471.jpg

 このころは、私自身も社会人になり、残念ながらその時の現行のHipHop(たとえばEminemとか50centsとか)には全く興味がなく、読み飛ばしてしまう記事も多かったのですが、もう「習慣」になっている雑誌だったので、特に文句も抱かず読んでいました・・・
 
 内容的にも、リニューアル直後は編集部側も模索が見え、売れる内容を・・・ということで現行のHipHopで特集を組んで努力をしてたりしましたが、徐々にBlastらしい独自性も出せるようになり、日本語ラップを盛り上げる企画とか、R&Bの再考察(おきゃんR&B)があったり、Blastらしいマニアックなレコード系の話題があったり・・・かなり楽しんで読んでいましたが、残念ながら「もう、楽しめない自分」もいたりしました・・・
 個人的な話だと、いわゆる「レコードガイド」系の記事がそうで、こちらのレコード知識が飛躍的に高くなってしまったので、一般的には凄いセレクションでも満足できないことが多く・・・高校生の時に見たときみたいな「興奮」がなくなってしまいました。

 また、この意見は同調を頂ける方が多いかと思いますが、その時の「現行のHipHop」に面白みを感じなくなってしまった・・・ってことが大きいと思います。
 要所要所では面白い動きをしてるアーティストもいましたが、中心たるUSのメジャーHipHopが、今まで私たちが慣れしたんでいたカッコいいHipHopとは異なり、Pops的なニュアンスが露骨になり・・・HipHopから離れて行った方も多いと思います。
 変な話、昔のHipHopの特集の方がいいじゃん!みたくなり、認めざるを得ないですが「懐古主義」的な考えも尖鋭化してきた・・・とも思います。

 ただ、逆に現行のHipHopを求める層もいるわけで、そういったものにとっては難解な文章よりも、ポップで明確な文章を求める・・・傾向があるわけです。
 対象としては20歳前後のあたりで・・・ageHaのHipHopのイベントに行って、曲はそんなに分からないけど元気に騒いでる感じの子たちですかね・・・
 とりあえず「流行ってる」ものを聞きたい!みたいなスタンスがある層・・・というのは語弊がありますが、これが一番分かりやすいですかね・・・


 ちょっとまとめると、読者の高齢化が進む一方、若年の読者がおり、その両者が求める方向性(まさにマス対コア!)が異なるようになり、その両立を保つのが難しくなった時期だと思います。

 また、DLの時にも触れましたが「ネット」環境の進化・発展の点も重要です。

 それまで情報媒体として機能していた「雑誌」が出来ることを、ネットで補完できるようになり、雑誌を買わなくても音楽の情報が得られ、かつ遊ぶことが出来る・・・みたいな利便性の向上があり、雑誌の価値が低くなってきたのもポイントだと思います。
 今まで雑誌を読まないと分からない情報が、ネットで検索をして簡単に得ることが出来たり、雑誌ではマニアック過ぎて扱ってない情報(このブログもそうかな?)を得ることが出来たり・・・ネットというものが雑誌を凌駕してしまった印象があります。

 つまり、Blastにとっては購読者の2極化が進み、雑誌の方向性のバランスのとり方が難しくなったのに加え、ネット環境の進化により・・・読者離れが進み、売り上げが減ってきてしまった・・・という流れが手にとって分かるようになった・・・リニューアルだったと思います。


2、突然の休刊 2007年5月号

DSC04483.jpg DSC04486.jpg

 長年読者をしてる私にとっても、リニューアルしたことで「Blast、大丈夫かな~」を思わせましたが・・・来るべく時は突然きました・・・

 2007年5月号(実際の販売日は2007年3月20日)を普通に本屋で買うと・・・「The Last Issue」の文字が・・・本屋で立ちすくんだのは言うまでもありません。
 しかし・・・残念な表現になりますが「やっと逝ってくれたか・・・」みたいな安堵感も不思議とありました。

 リニューアルの時点で、先ほど書いた不安要素が何となく理解できた(大人になるのは怖いですね~)ましたが、伊藤さんが編集長になって以降、号数を重ねるごとに昔とは違いますが、Blastらしい骨太な企画が増え、頑張ってほしいな・・・と思ってた矢先だったので、かなり残念でした。

 休刊(廃刊ではない!)の理由は・・・奥付で伊藤編集長の言葉で吐露されていますが、大半が当時の私が思っていたことと同一で、読者の求める内容の乖離があり、どのようなスタンスで「HipHop」を扱うのが困難になったようです・・・
 私も感じていましたが、伊藤さんの方針なのか「日本語ラップ」に偏りすぎたり、アンダーグラウンド過ぎるアーティストの特集があったり・・・その情報を求めない読者がいるのにページを多く割かれることが多く、読者と編集部の間にも乖離はあったと思います。
 また、ライター陣の中でも乖離があったようで、懐古主義的な特集をすると「現行のHipHopをなんで取り上げないの?」と苦言を呈することもあったようです。
 コレ以外も様々な理由があるようで、話の引き合いとして士郎さんが考えていた「日本発のHipHop/R&B専門誌=日本発のHipHop/R&B文化」のことも出していましたが、こういった姿勢にも限界があったのかもしれないですね・・・


 直接の原因は・・・やっぱり「売上」でしょうが、個人的には「休刊」の判断は仕方がない・・・と思いました。
 むしろ、雑誌の方向性が混迷し、更に悪化するんであれば潔く辞めてもいいと思ったし、思い返すと、これからのMP3時代の「CDの売れ行き低迷」「HipHop自体の人気低迷」という事実を考えると、雑誌としての存続は難しく、決断としては悪くなかったと思います。

 私個人としては、休刊したことで「安堵した」という意識もあり、変な話、私にとってもこれ以上読んでも仕方がない方向性だったので、終わってくれて一安心・・・みたいなことや、Blastが更に悪いリニューアルをせずに、Blastらしいまま終わってくれたことが・・・その理由です。

 また、休刊の時、ネットで「伊藤が悪い」っという議論もあったと思います。
 私もそれに同調する部分(日本語ラップの入れ込み方はやっぱりね・・・)もありましたが、伊藤さんだけの問題でなく、HipHop業界・雑誌業界全体の問題も内包していたので、彼だけに責任を問わすのは論外だと思います・・・

  
 議論は尽きませんが、そういうわけで・・・2007年5月号を持って約13年の歴史に幕を閉じました・・・




< 俺とFront/Blast >

 いや~、予想どおり書いたね(^^;)
 ほんと影響を受けた雑誌なので、必要以上に気合が入り、いつも以上に読みずらい長文になってしまい、申し訳ないです・・・

 ただ、まだ書き足りないので(え~)、少し視点を変えて「私にとってのFront/Blast」を書いてみたいと思います。


①Frontとの出会い

DSC03935.jpg DSC03936.jpg

 私は、中学3年生の冬に、その時あった「DJブーム」の影響で、お年玉や貯金、犬の散歩&皿洗いなどでお金を貯めて「DJセット」を買い、別段その時はHipHopが好きではなかったですが、とりあえずブームだし「HipHop好き」で通そう・・・みたいな「丘DJ」を決め込んだのがこの道に進んだキッカケになります(^^;)
 しかし、情報や知識がない分、どのレコードを買っていいのかとか、HipHopの何がカッコいいのかとかが分からいない状態という・・・ホント酷い状態で、暗中模索をしていた矢先にFrontと巡り合いました。

 記憶だと、上記の96年11月号が最初で、ちょうど高校一年の秋ですね・・・それまでFrontの存在に気付かなかったのが「丘」っぷりを露呈していますね(^^;)
 学校からの帰宅時に、暇つぶしで入った本屋で発見し、パラっと雑誌をめくった瞬間・・・「これだ!」と感じ、速攻で購入し、貪るように読んだのが記憶にあります。
 特に、この号は「NYのラジオ特集」とあって・・・しょっぱなからマニアックな話題だったのですが、逆に全く知らない話題の分、このFrontという雑誌がとんでもない雑誌だ!と思いこみ、これからも買い続けよう・・・と心に誓いました。

 その後も、当然、新しい号が出れば欠かすことなく買い続け、私が買う前に発行されていたFrontも神保町の古本屋に行けば買えることが判明し、一通りバックナンバーを買いそろえ・・・どの号も何度も読み返し、HipHop/R&Bの知識を蓄えて行きました。

 DJセットを買った時はHipHopの「本旨」をまったく知らなかったわけで、Frontを読んでいくうちにHipHopの構造が初めて理解できるようになり、それこそ既存のレコードを2枚使いすることから始まったとか・・・、サンプリングのためレコードを掘るとか・・・、拳で喧嘩するのではなくマイクで喧嘩する・・・みたいなHipHop特有の「美学」を学び、HipHopという文化の「考え方」に傾倒するようになりました。

 特に、今のスタンスもそうですが、士郎さんの連載や、KRS-ONEの生き様などを通して・・・「別にB-BOYな服装をせずとも、心に錦があればB-BOYだ!」みたいな感覚が芽生え、当時B系の服装でないと入りづらかったManhattanRecordsの扉を、ありのままの「自分」で入れるようになりました。
 また、様々な文化・考え方に対して壁を作らず、「色んなモノから吸収しよう」みたいなスタンスもFrontから学んだところが大きく、音楽の志向自体が多ジャンル化したり、異文化(小説とか、アニメとかマンガ、ラジオなど)も積極的に吸収するようになりました。

 まあ、まとめると・・・今の私のような何でも手を出す「へんちくりん」性格になってしまったのはFront/Blastのせいです(^^;)


②Front/Brastとの付き合い

DSC04511.jpg DSC04512.jpg

 そんなわけで、何が何でも買う雑誌になり、高校~大学~社会人と付き合ってきました。

 社会人になったり、大人になってくると、高校生の頃のように食い入って読まなくなりましたが、発売日の20日前後になると、何となくウズウズし、本屋だったり、レコード屋で買い・・・結局1冊も捨てることなく保持してました。

 学生時代の頃は、本棚に並べ、暇があれば昔の号を読み返したり・・・を繰り返し、着実に知識をつけて行き、本当に「友達」のような付き合いをしていたと思います。
 
 また、資料的な価値がある必要なページはコピーをし、それに関しては事あるごとに読んでいました。
 写真の2枚がそうで、ディスクガイド系のモノが大半で、どれもFront時代の記事ですが・・・どのガイドも古びなく、かつ未だにタメになっている記事も多く、改めてFrontの「濃さ」を感じたりもします

 しかし、雑誌は捨てない限り溜まっていくわけで、気づいたら本棚に収まらなくなり、ここ最近は収納が限界に近いタンスの奥に入れており・・・読み返すことは殆どなく、静か~に保管されていました・・・というか、入れっぱなしだったんですよね(^^;)
 
 実は、今年の夏前位より、タンスより引っ張り出して、ミックステープの資料情報を引き出しており・・・その過程で今回の紹介のことを思い付きましたが・・・いざ出してみるとトップの写真のように、結構な量があり・・・かつ雑誌は紙なのでかなり重いので・・・大変です(^^;)
 正直言うと、もう要らないかな~とも思いますが・・・思い出が有り過ぎて捨てられません・・・(涙)

 
③ ミックステープとFront/Brast

DSC03466.jpg DSC03495.jpg

 そして、夏前よりタンスの中から引っ張り出し、ミックステープ関係の資料を延々と洗い出し・・・上記の写真のようなレア物件の情報を引き出したり、分からなかった詳細が分かったり・・・一応の成果がありました(^0^)
 以前、資料の洗い出しをしていたManhattanの資料や、DMRの資料よりも前のリリースのもの(90年代後半とか)に関しては、色々と細かい情報が抜けたので・・・今後に生かしたいと思います。

DSC04413.jpg DSC03506.jpg

 ただ、次からの事柄は書くかどうか迷いましたが・・・Front/Blastとミックステープに関してのことで、あえて書かないといけないことがあります。

 Front/Blastって、結局商業誌なので「一般流通出来るCDをリリース」しないと記事ならないことが多く・・・私が好んでいる「ミックステープ・ミックスCD」の話題がビックリするぐらい取り扱ってないんですよ!
 つまり、アンダーグラウンドな権利なしの作品は大々的な紹介は出来ず、ミニコミな記事で「リリースされました~」と書くのが精いっぱいで、市場では活況してたのに、その情報をホロー出来なかったのは・・・Front/Blastが持つ構造的な問題もあったと思います。

 例えば、MUROさんのミックス作品は当時から沢山リリースされていて、評価もしっかりとされているのに、本誌で明確に語られたことは殆どないし、Ulticut UpsとかDJ Komoriなどに関しては取材もされてないありさまで・・・当時からこの点は疑問で仕方がなかったです。
 私も大人なので、権利的に危ない作品の紹介が出来ないのは重々承知していますが、このシーンをホロー出来なかった点は、HipHopというストリート性を基礎とする文化・音楽においては、非常に残念な対応だったな~と思いました。
 
 そう、Blast(Front)って、MCとかProducer関係には力が入れられたんだけど・・・DJ関係の話題ってスクラッチとかのことばかり終始し、DJミックスの素晴らしさを表現したことは・・・殆どないと記憶しています。
 まあ、レコード特集や、DJのクラブプレーでの選曲ガイドなど、それなりな企画はやっていましたが、DJミックスのケミストリー(化学変化)についてまで語られたことは殆どなく、DJの選曲性などに対して深い考察なども殆どなかったと思います。

 自分自身も、このブログを始めて、聞かないと分からないDJミックスを、言葉や写真を用いて表現することの難しさを痛感してる日々が続いていますが・・・こういった点を捕捉できなかったのもシーンの多角化に対応できなかった証拠かもしれないですね。

 まあ、つまるところ・・・テープ関係の情報を探すのに、しっかりとページをくまなく読まないといけないので・・・疲れたんですよ(^^;)




< 最後に・・・ >

DSC04184.jpg DSC04183.jpg

 いや~、長いですね・・・ず~と椅子に座って書いてるので、腰が痛いっす(--;)

 ただ、こんなに長く書いたのは、Front/Blastに対するリスペクトがあるのと、この雑誌が古本という価値になっても輝き続けてほしい・・・という思いがあったので、長くなりました!
 そう、私に関しては、自分の人格形成に影響があるぐらい、ホントお世話になった雑誌なので、この位書かないと申し訳が立たない・・・みたいなところがありました(^^;)

 一応、文章を締めたいと思うので、まとめてみたいと思います・・・


 Front/Blastに関しては、wiki調で書いてしまえば「休刊してしまったHipHop/R&B系の音楽誌」と集約されてしまうわけですが、そんな生易しいものではありません!
 私なりに、Front/Blastが果たした功績を書いてみると・・・こんな感じになります。

 ①日本のHipHop/R&Bシーンの先導
 ②未熟な参加者やシーンに対する教育
 ③日本独自の「HipHop/R&B文化」の創出・普及


 今まで書いたことはこの3点に集約されると思います・・・
 ここでは、反芻はしませんが・・・つまるところ、Front/Blastがあったから日本のHipHop/R&Bシーンが進化・発展したということです!!

 ただ、読者や音楽リスナーの生活環境や音楽環境の変化により、雑誌としての運営が行き詰まり、休刊に追い込まれたのは事実で・・・これに関しては、シーンが成長し、リスナー・読者たちがFront/Blastがなくても一人で成長出来るぐらいに成熟したため・・・その「価値」が必要なくなったと考えたいです!

 そう、必要なくなったんじゃなくって、僕たちが「卒業」したんです!!

 Front/Blastが撒いた種は、全国でしっかりと育ち、雑誌を読んでいた各人が一人動き回れるぐらい大きくなり、更なる種を撒いていると・・・私は考えています。
 私自身も、このブログを通して、Front/Blastから学んだ精神性や音楽の素晴らしさを表現出来れば・・・いいな~と思います。


 また、これからも、Front/Blastを古本で買い、読んでいくうちにHipHop/R&Bの素晴らしさに気づいてくれれば・・・雑誌としても本望でしょう!
 昔のFrontとか読んでると、平気でGodfatherDonのインタビューが載ってたり、レアなエピソードが山ほど掲載されてたり・・・資料としても一級品だと思います。

 現在は・・・BookOffなどでは底値(100円)での販売が大半で、下手したら買い取り拒否もあったりするようですが・・・是非、読んだことがない方は今が買い時なので掘ってみてください!!


 はい、これでオーラスです・・・

 私の記事を読み、当時読んでた方はまた読み返してくれれば本望だし、読んだことがない方が探して読んでくれれば、これまた本望だと思います・・・
 
 これからも「Front/Blast」が古びず、オーセンティックな光を発し続けることを切に願います・・・


----------------------------------------------------
----------------------------------------------------

追記 2009年10月18日

付録として、Front/Blastの「バックナンバーリスト」を作成しました。
付録とは言い難い質と量になっており、この本編の「裏版」みたいなもんなので、合わせて読んで頂けると嬉しいです(^0^)

● HipHop/R&B専門誌「Front/Blast」 バックナンバーリスト


スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
いや~、はじめてこのblogを見た時、とりあえず文章量に圧倒されたけど、さすが1周年……気合い入ってますね~。

本文中にも出て来たけど、今東京ブロンクスとサ上がやってるbounceの連載でね、
「『FRONT』の連載でMUROさんはすげーオシャレなブラックムービーとか紹介してるのに士郎さんは超マイナーな昭和のマンガとかそんなんばっかで“B”の振り幅の広さに喰らった」
みたいなこと書いてて。
「確かに!」と思いましたよ(笑)。

MCシローaka歌丸師匠は日本の“B”文化の貴重なアイコンですよね。
あの人、早稲田の法学部らしいけど、明らかに
「法を学ぶより、オレが法になってやる!!」
と考えてるとしか思えないww

そして個人的には最後んとこの
「私も大人なので、権利的に危ない作品の紹介が出来ないのは重々承知していますが、このシーンをフォロー出来なかった点は、HipHopというストリート性を基礎とする文化・音楽においては、非常に残念な対応だったな~と思いました」
にグッときました!
なんでミックステープとかって載らないんだろ~って子供ながらに当時疑問に思ってましたからね(今となっては理由がわかるけど)。

そう、確かに「FRONT/blast」は貴重な“教科書”だったけど、レコ屋に行って、ゲンバに行って、初めてBの“許可証”がもらえた。
その点もちゃんとフォローしているのは立派だと思いましたよ!

古本屋行って、ひさびさバックナンバー読み返したいですね。

※ちなみに、ぼくの記億が確かなら『FRONT』って昔井上三太が書いたJODECIのマンガが載ったことあると思うんですが……載ってましたよね??





2009/10/13(火) 11:26:01 | URL | ソロバン #-[ 編集]
Re: タイトルなし
>ソロバンさん
おはようございます! いつも書き込みありがとうございます(^0^)

やっぱり長い文章になりましたが、読んで頂き、光栄です!!
士郎さんのことも、ミックステープのことも、普段はなかなか言えない(言う機会がないか?)ことでしたが、同じようなことを考えておられるようで・・・ちょっと安心しました(^0^)

あと、井上三太さんのマンガのこと、よく覚えてられますね!
確かに、1995年9月号のJodeciの特集で「なぜか」掲載されてましたね・・・
ちなみにコレですね → http://blog-imgs-31.fc2.com/m/i/x/mixtapetroopers/DSC04515.jpg
ただ、Front/Blastっていうと根本さんのマンガの印象が強すぎて、他のマンガ家さんが入る余地が全くないかな・・・?

この記事に関しては後半戦(資料集)がまだありますので、そちらもお待ちくださいね~
2009/10/14(水) 06:52:51 | URL | mixtapetroopers #EK3m6DHM[ 編集]
一周年おめでとうごうざいます!いやー今回気合入ってますね読みごたえがあってかなり面白かったです。フロント&ブラストは当時の数少ない情報源だったので僕も毎号一生懸命読んでました。音楽とはあんまり関係ないんですけど特に宇多丸さん達がやってたブラスト公論のコーナーが知的かつくだらなくて大好きでした
2009/10/15(木) 23:22:23 | URL | sin #-[ 編集]
Re: タイトルなし
>sinさん
いつもコメントありがとうございます!
記事を気に入って頂きなによりです・・・公論は私も大好きです!
あれは是非復活してほしいですね(^0^)
おまけの記事がなかなか作業が進まないですが、
もう一発書いてますので、お楽しみに~♪
では、今後ともよろしくお願い致します!!
2009/10/17(土) 19:58:09 | URL | mixtapetroopers #EK3m6DHM[ 編集]
まだ18のガキンチョですが、すごく勉強になりました。とても良い文章です。CLASSICだと思います。
自分みたいなガキンチョにはこういう文章がとても貴重なのです。
2009/10/18(日) 22:17:26 | URL | フミャ #Yq76X45M[ 編集]
Re: タイトルなし
>フミャさん
こちらこそ初めまして(^0^)
勉強になって何よりです・・・これでFront/Blastに恩返しが出来たかな?
これからもこういった記事を書くこともあると思いますので、
今後ともよろしくお願い致します♪
2009/10/19(月) 22:47:01 | URL | mixtapetroopers #EK3m6DHM[ 編集]
frontについて
はじめまして。数年前の記事にコメントしてしまいまして申し訳ございません。

80年代半ば〜90年代半ばのヒップホップが好きでネットサーフィンしていたらこのブログに辿りつき、Frontという雑誌の存在を知りました。

早速神保町の音楽雑誌系古本屋を回ったのですが、どこも取り扱っていないと言われてしまいました。秋葉原のブックオフにもなかったです。

当方22歳でネット他ライナーノーツとディスクガイド等で勉強していますが、やっぱりリアルタイムの資料が読みたいところです。

長くなってしまいましたが、もしよろしければ、frontが置いてあった記憶のある古本屋を教えていただけないでしょうか。

2014/02/27(木) 18:05:08 | URL | かわち #nL6A2.tM[ 編集]
Re: frontについて
>かわちさん

コメント&質問、ありがとうございます!
数年前の記事でも全然OKですよ(^0^)

ご質問の件、お答えできる範囲でお話します。

記事を書いた4~5年前は、ちょうど谷な時期で、紹介をしているFrontとかが全く評価されていなく、その辺の古本屋などにゴロゴロと転がっていたと思います。
この雑誌自体は、当時はかなり売れていて、捨てるには忍びない(?)ので、古本屋に売るケースが多かったと思いますが・・・ある時期は買い取り拒否になるぐらい、お店に溢れていたと思います。

ただ、ここ数年、この雑誌の資料的価値などが認められたのか、掘る方が増え、古本屋ではあまり見かけなくなった印象があります。
ブックオフなんかだと、色々な店舗の音楽雑誌コーナーを覗けば多少はストックされていますが、一時期よりは減っていると思います。

それで行くと、狙い目(?)は中古レコード店「ユニオン」での放出ですかね?
たまにあるのですが、HipHopが好きな方がレコードやCDを売るときに、ついでにこの辺の雑誌を売ることが多く、まとめて出るので狙い目です。
(参考記事 → http://blog-shinjuku-club.diskunion.net/Entry/3219/
ただ、この放出、頻度は多くなく、忘れた頃にあったりするし、何よりも結構狙っている人が多いので、すぐ無くなっちゃう感じですね・・・運が良ければ大量ゲットかな??

お答えできるのはこんな感じです。
正直、あんまり注目してないので、何とも言えません(^^;)

あと、私の中での範囲では、HipHopとかの本や雑誌紹介は過去によくしてたので、宜しかったらそちらも参照してください。
http://mixtapetroopers.blog49.fc2.com/blog-entry-332.html
割と書籍の方が今でも入手しやすく、この辺だとBookoffやユニオンだと買いやすいと思います・・・ただ、アカデミックな内容のもあり、読みづらいのもあるかもしれないですね~

では、またご質問などがありましたらご連絡ください(^0^)
また、私自身、HipHopを踏み台にして今の自分がいるぐらいなので、過去の記事でも色々とHipHopの影響を受けた記事が沢山あります・・・正直、読みづらいかもしれないですが、お暇な時に過去記事も読んでくださいね~

今後とも宜しくお願い致します。



2014/02/28(金) 00:32:34 | URL | mixtapetroopers #EK3m6DHM[ 編集]
お返事ありがとうございます。
お返事ありがとうございます。
ディスクユニオンに聞いたらもう買い取ってないんですよね〜と言われました
参考でいただいた新宿クラブミュージックショップのほうも今はなくて入ってきたときだけ、とのことでした。
地道に時がきたときに探していこうと思います。
おすすめ書籍記事含め過去記事、わくわくしながら読ませていただいております!
この度は丁寧な対応誠にありがとうございました。
2014/02/28(金) 19:47:15 | URL | かわち #nL6A2.tM[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
FRONT/BLAST まずは何もいわずにコレを読んでほしい。 「HipHop/R&B専門誌「Front/Blast」について」 http://mixtapetroopers.blog49.fc2.com/blog-entry-329.html コレ読んでグっときた人とは一晩中飲める自信があるな。 今ふりかえると、コレ隅から隅まで読んでたな...
2009/10/19(月) 23:11:47 | sasakilog