気づいたら、本って全然紹介してなかったですね・・・Blastとか、サバービアとかの大物ばっかり攻めてて、普通な本は紹介出来てなかった・・・(^^;)
そんなわけで、脈略がないですが・・・つい何度も読んでしまう本のご紹介です~♪
あっ、
Chanparaさん は絶対ヒットな本だと思います(^0^)
まず、作者の紹介ですね・・・
吉岡正晴さんは、
SoulやR&Bなどのブラックミュージックに強い音楽評論家・翻訳家 で、日本のブラック業界ではかなりのベテランさんです。
私自身は、近年まで知らないお方でしたが、
日本版のWaxPoetics を読んでると、吉岡さんが執筆・翻訳した記事が多く、そのクオリティーの高さに驚いてしまい、毎号楽しみに読みつつも、氏の文章のレベルの高さにヤラレています・・・ちょうど、最新号である第6号のMJ特集でも素晴らしい内容を寄稿されています!
今まで知らなかったのが失礼ではあるのですが、氏のキャリアを調べてみると・・・凄い面白く、日本のDisco創世記である70年代初期より活動を開始し、
レコード輸入業 や、
DJ 、そして
音源制作 と・・・幅広い活動をされ、
相対的にブラックミュージックを語ることが出来る頼もしい先輩 だと考えています!!
詳細は、下記のリンクなどでご参照ください・・・ちなみに、音源情報は
Yukiさんのサイト ですが、試しに検索したら引っかかり、ビックリしました・・・
Yukiさん、素敵すぎます!! ・
吉岡正晴 - Wikipedia ・
Soul Searchin' Home Page ※吉岡さんの個人サイト
・
吉岡正晴のソウル・サーチン ※吉岡さんのブログ
※ブログについて:何か所かでブログ的なことを行っていますが、
どれも内容は同一のようです
・
吉岡さん製作の楽曲(おそらく一部) ※上記リンクは、頼れるDiscoの45専門サイト
『DISCO 45・・・7インチ・シングル 発掘の旅』 より、
「吉岡正晴」の単語を検索した結果です。
そんなわけで、この本の紹介です・・・
内容の表層は
「あるブラック系アーティストの一生」 にスポットライトをあてた内容が、数アーティスト分・・・って感じなのですが、
「ソウル・サーチン = Soul Searchin'」 というキーワードの元、そのアーティストの奥深い所まで追求し、大変素晴らしい内容になっています。
基本的な流れは、そのアーティストの出生から始まり・・・っといった感じで始まりますが、
吉岡さんの持つ知識と、しっかりとした調査、対象者に対する濃密なインタビューが折り重なり、愛情のこもった素晴らしい文章に仕上がっている と思います。
ソウル・サーチン って言葉は、聞いたことがあるようで、聞いたことがない言葉だと思います・・・この言葉の意味は、
自分探しに近い意味で「心の旅」 と本文では訳されています。
筆者の吉岡さん自身も知らなかった言葉で、表記の
Ain't No Stoppin' Us NowでおなじみのMcFadden & WhiteheadのJohn Whiteheadへインタビュー をした際に聴き、感銘を受けた言葉になり、その後、色んなアーティストへインタビューの機会があれば「あなたは、ソウル・サーチンをしたことがあるか?」と質問を重ね・・・色んなエピソードが集まり、出版化したようです。
ちょっと言葉だけで説明するのは難しいので、本書に収録されている内容から抜粋しましょう・・・ちょうど、写真のMcFadden & WhiteheadのJohn Whiteheadのソウル・サーチンが分かりやすいと思います・・・
詳しい詳細は本書に譲りますが、それまでシーンの裏方(ソングライター)をし、徐々に成功をつかみ始めていたJohn Whiteheadが、Ain't No Stoppin' Us Nowなどを自らがリリースし、シーンの表舞台に進み、忙しい日々を過ごすにつれ、収入が増えたのに・・・
税金を払ってなかった(!)ことから国税庁に逮捕され、刑務所へ収監 されてしまいます。
それまでの人生も平たんな道ではなく、苦労をし続けた人生で、せっかく掴んだ
「成功」 でしたが、その成功に溺れ、浪費を繰り返す日々が原因で・・・簡単に離れて行ってしまい、その「成功」に内包されていた「責任」が重くのしかかり・・・刑務所の中で自問をする過程で・・・
世俗を離れ、一人なったことで、自分の足元を見返し、自分は何なのか・・・と思い返す作業が「ソウル・サーチン」 で、まさに
「自分探し」 になり・・・Whitehead自身は
「魂の浄化」 に近い意味でこの言葉を使いました。
人間の人生って、私はまだ30年ぐらいしか経験してないですが、その人なりの
「紆余曲折」 があり・・・
生き馬の目を抜く音楽業界にとっては、その紆余曲折の幅が広く、成功と挫折が隣り合わせになっている ことが多いと思います。
作者の吉岡さんは、
取り上げたアーティストの「成功と挫折」を、そのアーティストが経験した「ソウル・サーチン」を通して、彼らの人生の歴史に「深み」を与え・・・単なる「アーティスト史」以上の価値を与え、彼らの「歴史」をドラマチックに紹介をし・・・そのアーティストの素晴らしさを表現することに成功している と思います。
また、そのアーティストに関する
「エピソード」が詳細に書かれている点も重要 で・・・内容に更なる深みを与えつつも、知らなかったことが勉強になったりもしました。
写真に上げた
Chic においては、メンバーのNile RodgersとBernard Edwardsの二人のキャリアを追いながら紹介をしており、物語りとしては出来過ぎなぐらいな出会いや、彼らのヒット曲の創作話など・・・興味を引く内容が多かったです。
例えば、写真左の
「Le Freak」 は、70年代後半にNYにあったクラブ「Studio54」にGrace Jonesのゲストで呼ばれた際、あの悪名高いドアマンに「Chicって誰だよ」と言われ、入れなかったことに頭が来て・・・そのまま自室に戻り、「Fuck(くそったれ!)」という言葉を連呼しつつジャムセッションを行った過程にできた曲だそうで、Studio54に対する「うっぷん晴らし」の曲だったそうです。
また、Chicの代表曲である
「Good Times」 も創作話は面白く、アイデアに煮詰まっていたNileとドラマーのTony Thompson(Hi-Fiveのボーカルではないっす)が、遅れてスタジオに来たBernardが引いたベースライン(あのボン、ボン、ボンのやつ)をたまたま弾き、それにNileが反応し、瞬く間に曲が出来たそうです。
他のアーティストについても、かなり詳細な情報が多く、勉強になります・・・
こういった「エピソード」は、アーティストの人生を分かりやすくする効果があり、文章の流れをスムースにしつつ・・・文章の「質」を高めている と思います。
そして、吉岡さんの文章は、
史実に基づいたエピソードを重ね方がホント上手く・・・彼らの「栄光と挫折」をドラマチックに書き綴り・・・読んでいて「泣いてしまう」ことも多いです・・・ 写真に上げた
Marvin Gaye は、彼の師匠である
Harvey Fuqua へのインタビューを通して取り上げられ、Marvinの数奇な運命や浮き沈みのある人生を上手く書いており・・・Marvinが実父に射殺されたことに関してのHarveyの話では泣きました・・・
また、写真右の
Minnie Riperton も・・・苦労をし、強い意志を持ちながら亡くなってしまった過程がしっかりと書かれ・・・読むたびに泣いてしまいます。
先ほど例示したChicのBernard Edwardsの急死も涙を誘いますが、それもこれも、
吉岡さんの文章が素晴らしいから としか言いようがありません。
もちろん、涙を誘うのは、そのアーティストの一生がドラマチックだから・・・という理由もありますが、吉岡さんの文章が、
そのアーティストに対して「尊敬と愛情」が根底にあり、過度な脚色をしなくとも、その思いが文章を通して伝わる・・・ からだと思います。
吉岡さん自身は、あとがきで「泣かすつもりで書いてはいない」みたいなことを書いてはいますが、
音楽に対する真摯な姿勢 があってこそでしょうね!!
そんなわけで、個人的には上手くまとまらなかったのですが、素晴らしい一冊のご紹介でした(^0^)
数奇な運命や、ドラマチックな展開など・・・彼らの「栄光と挫折」を通して
「音楽の素晴らしさ」 を教えてくれると・・・思いますよ!!
機会があれば、是非読んでみてくださいね~♪
ちなみに、本著とは関係がないですが・・・私は明日からソウル・サーチンしに東北地方に行きます・・・訳すと
「出張」 と読みます・・・休日なのに・・・(--;)
<Release Date>
Artists / Title : 吉岡正晴 「ソウル・サーチン - R&Bの心を求めて」
Genre : Soul、BlackMusic
Release : 2000年7月
Lebel : 音楽之友社 ISBN4-276-23302-X
< 立ち読み(?)情報 > この本の内容の一部は、吉岡さんのホームページで掲載されています。
吉岡さん自身も、ホームページで文章を掲載していることは「本屋で立ち読み」みたいな説明をしており、内容が良かったら本屋さんで買ってね・・・みたいな意義があって掲載をしてるそうです。
私の説明は、吉岡さんのように達筆ではないので、この本が気になる方は、下記リンクから内容を読んでみてくださいね♪
Minnieの文章は絶対泣けますし、文章の構成が素晴らしすぎます!!
・
ソウル・サーチン R&Bの心を求めて その7人とは・・・
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コメント
chanpara
吉岡さんはホント尊敬に値しますね。
いろんなところでお見かけしますが、恐れ多くて声をかけられずにいます。
曲作りしてたのは初めて知りました!
2009/11/22 URL 編集
mixtapetroopers
くしゃみをさせてしまい、申し訳ないです(^0^)
吉岡さんは、日本におけるブラックミュージックにおいて、ホント大切な方でしょう!
やっぱり、ライブとかの「現場」にもしっかりと行ってるんですね・・・恐れ多くてってのは理解が出来ます(^^;)
いつも、書き込みありがとうございます!
2009/11/24 URL 編集