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Daniele Baldelli 「Baia Degli Angeli 1977-1978 vol.02」

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 中古屋に通ってる方であれば、上の写真の作品は、不格好な大きさからCDコーナーで異彩を放ち、作品の内容は知らないけど見たことはある・・・って方は多いかと思います。
 時として、CDコーナーの棚に入らないことから爆安になることもある有りますが・・・深く追求するほどヤバい作品ですよ!!

 そんなわけで、イタリアの「Larry Levan」ことバルデリ大先生の名作のご紹介です~♪


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 Daniele Baldelli(ダニエル・バルデリ)さんは、イタリアで活動をするDJで、DJキャリア40年(!)という超ベテランDJで、現在も精力的にDJをしています。
 イタリア国内でのDJが多く、海外では殆どDJをしないので、メジャーネームではありませんが、近年の「Italo House」ブームだったり、彼が牽引していた「Cosmic」スタイルが再評価されるなど・・・オルタナティブなHouseの流れで評価され、その流れの中で、ある種の「アイコン」として突然「名前が急浮上したDJ」と認識されていると思います。
 ちょうど、時期としては2~3年前からで、今回紹介する「Baia Degli Angeli」シリーズや、「Cosmic」シリーズが同時期にリリースしたことから、彼自身の再評価が進み、その流れの中で私も知り、すっかり「虜」になってしまった御大です(^0^)

 Italoだったり、Cosmicに関しては、別の機会に紹介しますが、独特の「ドロドロ」した質感で、近年の「Disco Dub」の流れと上手く噛み合い、面白い流れだな~と思います。
 私自身はあんまり深追いしてないので、詳細は語れませんが、今回紹介をするバルデリ先生も大いに影響を及ぼしており、足がかりとしてこの作品を紹介するのは悪くないかな~と思い、今回の紹介に繋がりました(^0^)

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 私自身は、このCDがリリースされた頃は、バルデリ先生の名前を知らず、後ほど紹介しますが、変な形のCDだな~と思った程度で、スルーをしていました・・・
 しかし、WaxPoeticsに特集されてたことや(US版では#12/2005Spring)、まわりでの再評価を受け、たまたま爆安でこれらのCDが売ってたので、興味本位で買ってみたら・・・見事な世界観にヤラれてしまいました!!
 最近だと、日本版のWaxPoetics(#3)でも翻訳され、DiscoやHosueが好きな方から注目されている感もありますが・・・評価が今までされなかったのが不思議なぐらいヤバいお方です(^0^)

 特に、彼のDJが全盛期(?)であった70年代末から80年代中期にかけての動きが素晴らしく、ニューヨークでLarry Levanが独自のテイストで幅広い音楽をプレイし、観客たちをノックアウトしてたように、イタリアというニューヨークとは全く関係のない場所で、Larry同様に独自のテイストを生みだし、幅広い音楽をプレイしていた点は・・・評価されるべきだと思います。
 独自のテイストの話になると、その内紹介する「Cosmic」の方が明確で、ダウンビートのアフロスタイルを核に・・・45rpmの曲を33rpmでプレイ(その逆もあり!)するなど、自由な発想で彼なりの「宇宙感」を創出し、Larry以上の変態さを出していたそうです!!
 また、選び抜かれた曲もルールがなく、マイナーなNewWaveや、変なRockなど、他のDJ達が無視していた音楽を独自に掘り起こしていたそうで、DJの方向性として「自分の音楽性」を売りにしていた点は、Discoの黎明期において、ホント重要な行為だと思います(^0^)

 なお、イタリアっていうと、あんまりクラブ系の音楽が盛んじゃないイメージがあったりしますが、意外と重要な国なのかな~と思ったりします。
 それこそ、今回のバルデリだったり、Italo Houseの独自発展だったり、その延長線にあたる「Hi-NRG」「EuroBeat」が発展したり・・・音楽に関しては独自進化をしており、特に日本においては80年代以降、Hi-NRG~EuroBeatの流れが一般のポップスに影響を及ぼしており、イタリア音楽の恩恵を受けてると思います。
 また、クラブに特化した話だと、60年代末ぐらいから勃興したNYの初期DISCOにおいては、イタリア系アメリカ人の活躍が重要で、Larryより前の70年代のDISCOの有名DJの殆どがイタリア系(Nicky Sianoとか)だった点など・・・見落としてはいけない点も多いですね(^0^)



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 んでは、作品の紹介に進んでいきます・・・

 この作品は、バルデリ先生が77年から78年にかけてプレーしていた「Baia Degli Angeli」というクラブのオマージュ企画のような作品です。

 このクラブは、イタリアの高級リゾート地である「Gabicce Mare」という所の、アドリア海に面した崖の上に作られた高級志向なクラブだったそうで・・・日本だと「葉山」辺りに「新木場ageHa」があるような感じですかね??
 詳細は良く分からないのですが、そのクラブのオーナーがNYに行った際、様々なクラブを見て、同じような華やかな世界を作るべくして作ったクラブだそうで、オープンした70年代中期にはNYから無名ながら腕のあるDJを雇っていたそうです。

 ただ、重要なのは、もともと他のクラブでDJをしていたバルデリが、このNYからのDJからイタリアでは聞けなかった様々なジャンルの曲や、ミキシング技術などを習得した点で、NYのディスコの影響が、間接的ながらイタリアに影響を及ぼした点は大変興味を引きます!
 バルデリ自身は、このクラブでは約1年間プレイしてたそうですが、このクラブを足がかりに彼の代名詞である「Cosmic」に発展し、ボーダーレスな選曲で、自由な発想のミックスをするようになり・・・このBaia時代があってこそ現在のバルデリがあると言っても過言ではないと思います。

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 そんなわけで、この作品は・・・その素晴らしいBaia時代の世界観を表現するべく作られたシリーズで、かなり資料的な価値が強い作品になります。

 上記写真左の3作品の中で、一番右の第一弾(白色)に引き続き、今回紹介する銀色(真ん中)第2段に当り、その間にもバルデリの代名詞である「Cosmic」に関しての作品(写真左の黒の作品)がリリースされています。
 どの作品も、絵本のような厚紙のカバーになっており、中にはミックスCDと、その当時のクラブの写真は、詳細の情報が書かれており(英語とイタリア語)、当事者が語るだけあって、かなり細かい部分まで書かれていると思います。
 私も拙い英語力で読み、全ては理解できませんでしたが、かなり面白いことが多く書いており、イタリアにおける「謎の時代」の解明に役立ったのでは・・・と思います。

 んで、肝心のミックスCDは・・・どの作品も素晴らしく、語るべき点が多いのですが、個人的には今回紹介するBaiaの第2段がお気に入りです!!
 ミックス自体は当時の録音ではなく、リリースするにあたって作られたミックスのようですが、ミックス自体の内容・選曲とも最高で、更に歴史的な価値から選曲面を考えると「バルデリ先生、スゲーよ!」と痛感してしまう一作に仕上がっています(^0^)

 今回は以上に長い前ふりでしたが、やっと作品の紹介です~♪



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 Vol.1ではCosmicの原型に近いアフロテイストの曲が多いですが、この第2段では、いわゆる「Garage」っぽい曲を幅の広く選曲しています。

 選曲に関しては、おそらくバルデリが77年から78年にBaiaでプレイしていた曲を使用しているようで、調べてみるとその時期ぐらいにリリースされた曲が多いです。
 ただ・・・驚愕すべきは、77年ぐらいの時点で「そんなに深い選曲が出来るの??」ってぐらい、マニアックな選曲をしており、バルデリ先生の手腕の高さが伺えます!!

 それこそ、一曲目では「Savannah Band / Cherchez La Femme」からゆっくりとスタートし、ブレイククラシックである「Gaz / Sing Sing」などで徐々にテンションを上げて行き、中盤のピークタイムでは、近年のPatrick Adamsブームで注目を浴びたP&P系レーベルの作品「Cloud One / Happy Music」をプレイしています・・・
 ピーク以降は、テンションを維持しつつも、徐々にロックテイストの曲に変更し、ラストでは、これまたGarageクラシックな「Ripple / The Beat Goes On And On」で締めています・・・

 私が持っているレコ(写真を貼ったレコ)を中心に紹介しましたが、選曲面に関しては「ドープ」の一言で、イタリアにいて、よくそんな曲を入手出来たな・・・と痛感させられます。
 私が持ってるものでも、Cloud Oneなんかは今でも割とレアだし、殆どNYローカルでしか流通しなかった・・・と聞いていたので、バルデリがチョイスしてることを知り、結構ビックリしました!
 インタビューでも、イタリアでレコード(輸入盤)を買うのは結構大変だったと言っており、そういった「状況下」でここまで趣向性の高い選曲をしていた点はバルデリの手腕の高さを表していると思います。

 なお、収録曲に関しては、大人の分析をすると、権利クリアーのオフィシャルものにつき、収録曲が権利をとれたレーベル/プロデューサーに集中され、WestEndやSalsoul、Patrick Adams関係、Cerrone関係なんかが多いですが、かなりハイアベレージな選曲をしてますよ♪
 どのくらいハイアベレージかというと・・・検索すると頼れるDisco系サイト「DISCO 45・・・7インチ・シングル 発掘の旅」に当る確率がメチャクチャ高かったです!! yukiさん、凄いな~(^0^)


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 んで、今度はミックスの話をしましょう・・・

 ミックスに関しては、Houseっぽいビートミックスを主軸にミックスしており、一聞して分かるのは「ロングミックス」がメチャクチャ上手いです!!

 どの曲も的確で絶妙な混ざり具合のミックスをし、しっかりと曲のグルーブを持続させており、実際の技術的な部分においてもBPMがズレることなく綺麗にミックスしており、羨ましくなる位の腕があると思います。
 よく、繋ぎが上手い表現として「まるで一曲のように繋げるミックス」なんて言いますが、まさにその「好例」で、技術的な所を深く聞いてて何度も唸りましたし、逆に流し聞きしてると、切れ目が感じられないので気持ちよく聞けたり・・・素晴らしいです(^0^)

 特に、ミックスをする「タイミング」に関しては、ホント絶妙な位置でミックスしており、何度も聴いてると「この曲はこの繋ぎじゃないとダメ!」って決まってしまうぐらいの上手さがあり、DJのキャリアとセンスがあって初めて出来る「技」なんだと思います!!
 また、BPMを合わせる行為も、この頃の曲ってドラマーがビートをたたいてるので、BPMのズレがあって当然なのに、楽勝でクリアーしてる点も見逃せないですね・・・きっと曲を知りつくした上でプレイしてるからでしょう・・・こちらも経験が裏打ちされた「技」だと思います!!


 そして、もう一つ指摘したいのは「ミックスの物語作り」も上手いことです。

 序盤ではゆっくりな展開でスタートし、徐々にテンションを上げていき、中盤ぐらいでピークにもっていき、そのままテンションを維持しつつ方向性を代え、最後に大ラスをつくる・・・みたいな定番な展開ではありますが、なかなか作れないミックスだと思いました。
 それこそ曲を積み重ねてミックスの世界観を作り上げてる方法論で、先ほど紹介した「渋い選曲」を駆使しつつ、しっかりとバルデリ自身のテイストを入れながらミックスしており・・・バルデリ先生にしか出来ない世界観に仕上がっていると思います!!

 この文章を書くに当って集中的に聞いていますが、聞けば聞くほど惚れこんでしまう「物語」で・・・帰宅時にヘッドフォンで聞いてる限りであれば、その物語を最後まで聞く為に遠回りをしちゃうような・・・・素晴らしさがあると思います(^0^)

 なお、この物語の点は、他の作品だとそうでもなく、ミックスにストーリー性がなかったりしますが、この作品だけは明確なストーリーを作ったのかな~とも思います?


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 ミックスも上手いし、物語の作り方も上手いし、そして先ほど紹介をした選曲も凄いし・・・バルデリが「イタリアのLarry Levan」と言われているのが、この作品を聞いて理解できたような気がします。

 世間一般では、Larryのような「ボーダーレスで一筋縄にいかない選曲」や「自由なミックス」を指して「イタリアのLarry Levan」と評価していますが、私が感じる限りだと、その点も無論なのですが、ミックスの独自性や物語の作り方なんかも似ているな・・・と思います。
 特にこの作品に関しては、写真に上げた「Live at Paradise Garage」とストーリの進め方が似ていたり、曲のグルーブの進め方が似ており、作品レベルでの内容としても類似点があると思います。
 また、他の作品だと、独自の方向性(選曲とかミックスの仕方とか)の点が似てるかな~と思います。

 ただ、認識しないといけない点は、バルデリがLarryを真似たのではなく、同時期に全く違う場所で殆ど影響がない状態でDJしてて、結果として「スタイルが似た」ということで・・・この偶然はホント面白いですね!!
 NYとイタリアの片田舎という接点がない状態で、お互いが「音楽」を独自の感性でプレイし、同じようなことをしてたってことは・・・なんか運命みたいなものを感じさせ、音楽って奥深いな~と思わせますね(^0^)

 なお、Larryの作品「Live at Paradise Garage」は2000年のリリースで、当時の背景をひも解いた素晴らしいブックレット付きの作品で、Larryの再評価に繋がった作品として有名ですが、バルデリの作品群も豪華なブックレットが付いていることから作品の大枠も似ています(^^;)
 まあ、バルデリの方が後にリリースしてるので、変な話、Larryの作品の方向性(ブックレットを入れて過去を振り返る・・・みたいな)は真似た可能性はあるかもしれないですが、装丁に関しては、芸術の国「イタリア」だけに気合を入れたんでしょうかね??



 ンなわけで、毎度のごとく長い説明になりましたが、お勧めの作品のご紹介でした~
 バルデリ作品の中では聞きやすく、Garageが好きな方ならお勧めなので、探してみて聞いてみてくださいね♪



<Release Date>
Artists / Title : Daniele Baldelli 「Baia Degli Angeli 1977-1978 vol.02」 
Genre : DanceClassics、Garage、Rock、NewWave・・・
Release : 2007年8月
Lebel : Mediane Srl(Italy) AMK 5013


<追記> 収録レコード追加 2010年1月11日

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 年末年始のセールで出会えたレコードの中で、この作品に収録されてる曲を追加として貼っておきます・・・掘ると分かりますが、いや~深堀です(^0^)
 左の「Inner City Express / Shu' Dig Dancin'」はUKオンリーな作品だし、右の「Bumblebee Unlimited / Everybody Dance」ならPatrick Adamsモノの中ではあんまり出ない作品だし・・・当時っからこれらをプレーしてたんであれば、本文でも指摘しましたが、相当センスがイイ証拠でしょ!!
 ちなみに、左は爆安で購入し、右はボチボチ高値で・・・いい買い物でしたが、傍から見れば散財です(^^;)





ps 10月初めにコメントをくれた「iuさん」へ・・・
 今日、渋谷のYellowPopに行ったら、問い合わせをしてくれた「That's the WayのNYミックス」のレコード(私の手持ちとは別Verのやつ・ジャケなしだった)が、2200円で売ってましたよ~♪
 もし、行ける距離で有れば、お店に行って、ダンクラ12inchの棚(お店に入って、右側の7inchコーナーのレジよりのところ)を掘ってみてね・・・行けない距離&既に無くなってたらすみません(^^;)

 それにしても、今年のYellowPopのセールは出品量が少なく、ちょっとつまらなかったっすね・・・逆に好例のセール記念のヤフオク出品の方が盛り上がってて、そのうち消えちゃうかもしれないけど「こんな」とか「こんな」みたいな激熱な値段になったのもありました・・・ユーロのコレクターさんも気合が入ってるな~♪


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コメント

chanpara

1978年のイタリアといえば、
まさにChange、BB&Q Bandで有名な
故 Jacques Fred Petrusが
MACHO I'm A Man
をリリースした年。

それまでJacquesは、Goody Music Storeを立ち上げ、アメリカのDiscoレコードの輸入業をしていたので、
ダニエルさんは、Jacquesの店でレコードを漁ってたんじゃないかな

(想像だけど、当時イタリアでDISCOレコード専門店は無かったそうなので)

ダニエルが健在ならば、その辺聞いてみたいですね

mixtapetroopers

Re: タイトルなし
>chanparaさん
いつもお世話になっています(^0^)
そうだ、Jacques Fred Petrusさんはイタリアでしたね!
可能性としてJacquesさんのレコ屋に行ってた可能性は大いにありそうですね!!
ちなみに、まだ全然ご健在で、イタリアで元気にDJをしていますよ♪
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