前々から書こうかな~と思ってたネタなんですが・・・やっと重い腰を上げて書こうと思います(^^;)
そういえば、本の紹介って、めちゃくちゃ久しぶりっすね・・・
(1)はじめに 今回はタイトルの通り
「サンプリング辞典」 の紹介をしたいと思います!!
人によっては
「サンプリング本」 とかいう方もおられますが、結構普及してて、恐らく、このブログを読んでいる方の本棚(レコ棚?)には、何らかのサンプリング辞典があるかな~と思います。
特に、後でも紹介する「Sampling-Love」や「The Sampling Dictionary」の功績は大きく、これで一般的に普及したし・・・また、これらが日本発の書物として海外マニアにも珍重されていたり・・・
レコード馬鹿には「なくてはならない」存在 だと思います。
ただ、このサンプリング本も、色んな本があったり、歴史(?)があり、それらの部分は意外と知られてないかな~と思います。
んなわけで、今回は、今まで発行された「サンプリング辞典」を時系列ごとに紹介し、これらの本の意味を考えたいと思います・・・
(2)辞典の内容について まず、どの本も大体は内容が一緒なので、先に「辞典」の概要を説明したいと思います・・・
HipHopにおいて、サンプリングという行為はなくてはならない存在で、この音楽の「基礎」たるもの です。
このことに関しては、ココでは深く掘り下げないですが、
このサンプリングがあったからこそ、HipHopがココまで広まった・・・ と私は思います。
皆さんはどうかは分かりませんが、私自身は中学生の頃にギターを買ったけど弾けず、音楽に一度挫折したけど・・・HipHopを知り、
楽器なんて弾けなくても音楽がクリエイト出来る・・・ みたいな所にヤラれ、ズブズブとハマって行きました・・・
そう、こういった
「発想」や「感覚」 が大切で、サンプリングの魅力を知ってしまったら・・・なかなか抜け出せないかな~と思います?
また、サンプリングって、過去の音楽から抜いてくるので、
必然的に過去の音楽を聞くようになる・・・ っていう点も大切で、
音楽の「リサイクル」 を引き起こした点も大きいかな~と思います。
それまでの音楽は、次々と生産される「新しい音楽」を聞くことを強制させられてた・・・と思いますが、
過去の素晴らしい音楽を「掘る」ってことの楽しさを教えてくれたのも・・・サンプリング だと思います。
そんなわけで、HipHopの曲においては、過去の曲をサンプリングして作っていますが・・・賢明なリスナーなら、その曲を聞いて
「コレのネタ元は何だろう?」 と思ったりします・・・
ジャケットにネタ曲が書いてある場合もありますが、大半は情報がなく、初心者にとっては調べようがありません・・・
また、昔なんかは、そのネタ曲のクリアランス(使用許諾)をクリアーしてなかったり、掘り師特有の秘密主義みたいのがあったりしてて・・・今以上に元ネタを知るのが難しかったと思います。
そんな「元曲を知りたい!」という欲求を埋めてくれるのが・・・この「サンプリング辞典」です!! 基本的な構造は、どの本も一緒で、「サンプリングをして作られた曲」に対して、「実際にサンプリングされた曲」を書いてある・・・みたいな感じで、写真の通り「文字の海」です(^^;)
分からない方は、上の2枚の写真をクリックすると、ちょっと大きくなるので、参考に見てくださいね・・・
んで、大半の本が検索性を考慮してアーティスト名を「ABC順」で分類し、そのアーティストの曲もABC順に書いてあります。
この文字の海っぷりは、サンプリングに興味がない人を寄せ付けない感じもありますが・・・
それまで知ることが難しかった元曲を簡単に知ることが出来る事は、本当に素晴らしい ですね!!
私自身も、コレで元ネタを知り、元曲のレコードを買ったり・・・その買ったレコードで「元ネタ繋ぎ」なんかをしたり・・
・レコード馬鹿の「資料」や「音楽知識の向上」という意味においては最高に価値がある本 だと思います。
また、ボーっと読んでても、意外な発見(実はこの曲を使ってたとか)を知ったりするので、意外と「読み物」としてもイケる側面もあります・・・
個人的には、電車でボーっと読んでて、新たな知識を得ることもあれば・・・眠りを引き起こすために読んだり・・・と、結構無駄に活用しています(^^;)
んなわけで、サンプリング辞典っていうのは、こういう本になります。
まあ、他の辞典と同じように、発行が進むにつれ内容が増え、濃くなっていくので・・・結論としては一番最新の本を買うのがイイかもしれないですね・・・
ただ、本によっては内容がチョット違ったり、その本が発行された経緯が面白かったり・・・どの本が一番イイかとは言い切れないかな~と思います。
いつも通り、前振りが長くなりましたが、以下で色々と紹介します・・・
(3)本の紹介 ①サンプリング辞典が「発行される前」のこと (~90年代中ごろ)
サンプリング辞典は、②で紹介する「Sampling Data Book」が初なのですが、その前のお話をしたいと思います・・・
サンプリングに関する話題は、それこそHipHopが始まった頃から絶対にあったと思いますが、一部の雑誌などでは「記事」として書面化されており、恐らくですが
サンプリングが本格化した80年代後半ぐらいから「元ネタ」に関する記事があった と思います。
HipHopという音楽を考えると、絶対に避けては通れない話題なので・・・あると考える方が一般的でしょう・・・
時期的には、サンプラーが登場し、サンプリング行為が活発化した「ミドル・スクール」の頃(=87年くらい?)で、イギリスでのレアグルーブの動きと連呼して、全世界的に「過去のレコード」に注目が集まり、一部の雑誌などで掲載があったようですね・・・
いつだかのMUROさんのインタビューで、80年代末のイギリスのNME誌(クラブ系雑誌の老舗)にネタ系の曲のことが載ってて、それを参考にしてレコードを買った・・・みたいなことを発言してたり、他のDJも海外雑誌から情報を得た・・・みたいな事を話すこともあり、当時は海外誌が珍重されていました。
ただ、国内でもサンプリングに関することが書いてある雑誌や書籍がチラホラあり、それで知識を増やした・・・って方も多いかと思います。
この限りにおいては「サンプリング辞典」としての意義(検索性とか)はないですが、読んだ者の知識の向上に繋がっていた・・・という点においては重要だと思います。
なので、以下でちょっとだけ書きたいと思います・・・
写真左 「Ultimate DJ Handbook」(88年) 写真中 「US Black Disc Guide」(91年) 写真右 「The Perfect Beats」 (96年) まず、上記のようなムック形式の書籍に、少ない情報ですがサンプリングの元ネタ情報が書いてあり、こういった書籍から情報を入手してた方が多いかと思います。
もちろん、探せば当時の雑誌や音楽誌にもサンプリングの話題が載ってることがあったかもしれないですが、私はその事が載ってる雑誌とかを持ってないので・・・割愛します(^^;)
写真左の
「Ultimate DJ Handbook」 は、あの
「いとうせいこう」 さんが編集した
日本初の「DJ本」 で、これを読んでDJになろう!と思った方が多いかな~と思います。
今となっては色々とレアな情報が載っていますが、ディスクレビュー的なページで、なんと
「DJ KUDO」氏と「ヤン富田」氏の対談形式でネタ盤を紹介 しています!!
RareGroove的な意味での紹介記事でもあるのですが、88年にしてメチャクチャ濃いネタ紹介になっており・・・今読んでもヤラれます!!
ちなみに、この本は、ホントレアな情報が多いので、その内にちゃんと紹介します~♪
んで、写真中の
「US Black Disc Guide」 は、ブラック系ディスクガイドにおいて定番中の定番として現在も販売されていますよね。
大半が60~80年代のブラックミュージックが中心なのですが、HipHopのアルバムレビューも入っており、その作品紹介の中でネタ系の話題がボチボチ書いてあります。
ネタ元のソウルとかのアルバムが中心になる中で、こういったネタ系の話題が書いてあるのは、ある意味「ブラックミュージックの歴史」を感じさせ、音楽が繋がってるんだな~と思わせます。
なお、そのHipHopを担当したライターの中に、なんと
RhymesterのMammy-Dと宇多丸さん が本名で参加しており、相当「濃い」内容で書いていますよ!!
そして、写真右の
「The Perfect Beats」 もクラシックですね・・・HipHop系ディスクガイドの傑作でしょう!!
こちらはHipHopのみのディスクガイドになるのですが、HipHopの歴史書も兼ねており、ネタ系の話題もボチボチ掲載されています。
特にこのガイドは、12inch基準(レコード基準)で書いているので、結構マニアックなことも書いてるな~と思います。
写真上段2枚 「Front / Blast」(1994~2007年) 写真下段2枚 「Woofin'」(96年ごろ) そして、本だけではなく「雑誌」でも紹介がありました・・・
まずは専門誌ですが、我らの
「Front/Blast」 にはメチャクチャ掲載がありましたね!!
特にFront初期の人気連載
「定番とは何か」 は、著者である
佐々木志郎氏(aka 宇多丸師匠!)の「HipHop IQ」向上企画 として好評を博し、コレで元ネタを勉強した・・・って方が多いかと思います。
Front/Blastに関しては、HipHop専門誌であるが故に、元ネタ系の記事はなくてはならず、他誌(BMRとか)に比べてメチャクチャ濃い記事が多かったと思います。
以前私が
Front/Blastの事を書いた記事 でも散々書きましたが、読者の知識向上を考えてた雑誌だけにホント勉強になりましたね~♪
また、写真下段のようなHipHop系ファッション誌
「Woofin'」 でも記事があり、こちらでは我らの
MUROさん が紹介を行っていました。
詳細は
以前私が書いた記事 を参照して頂ければと思いますが、こちらも教育的な書き方なのかな~と思います。
ただ、Frontなんかよりはカジュアルな書き方で、HipHopがサンプリングで成立してるってことを知らない子へのアピールという感じですかね~♪
こんな感じで、サンプリングに関することが掲載されていた書籍・雑誌は結構ありました。
ただ、サンプリング辞典となると・・・次の冊子が出るのを待たなくてはなりませんでした・・・
② 「Sampling Data Book」 Down Staire Records著 98年5月 掲載タイトル:約5000タイトル
一応、私の中では「初」のサンプリング辞典で、名古屋にあった有名レコード店
「Down Staire Records」 が作成したもので、
④で紹介する「Sampling-Love」の前身 になります・・・
実は、コレよりも前にもサンプリングに関する冊子はあって、記憶だと96年頃に
コピー本みたいな冊子 が出回ってて、タワーレコードで売ってるのを見たことがあります・・・結構いい値段で、タワーで売ってるということは輸入のものなのかな??
ただ、それは、記憶だと冊子にも該当しないレベルのものだったと思うので、ここで紹介する「Sampling Data Book」を最初のサンプリング辞典としたいと思います・・・
まず、この本を発行した
「Down Staire Records」 について触れましょう・・・
名古屋を代表するレコードショップで、当時はFrontなんかで広告を出してて、結構全国的に有名だったお店で、当時は店舗販売と通販がメインだったようですが・・・現在は閉店しちゃったんですかね??
私はかなり前に仕事で名古屋に行ったとき、お店に行ったことがありますが、結構狭いお店で、HipHopなどの新譜と中古を中心に展開してましたが・・・個人的には運悪く全然抜けなかった記憶があります(^^;)
ただ、こんな本を、前例のない状態で独自に作っちゃう側面を考えると、結構凄いお店だったのかもしれないですね??
んで、発刊されたのは
98年6月頃 で、私の記憶だと・・・
あんまり販売されてなかった 記憶があります。
これは後で紹介する「Sampling Love」や「The Sampling Dictionary」が出た時のフィーバーっぷりとの対比になってしまうのですが、ManhattanとかCiscoとかでチラっと見た記憶はありますが・・・あんまり宣伝してなかったような気がします。
なので、この本自体は・・・そんなには売れてないかな~と思います。
考えてみれば、この頃って、
リスナー側が「ネタを追える程の知識と興味」がなく、こういったモノがスルーされちゃった・・・みたいな流れがある かもしれないですね。
私もこの頃は高校生で、日本語ラップの新譜とかは必死で追ってましたが、ネタ系はちょっとは興味があったけど、聞いても良さが分からなかったりしたので、スルーしてましたよ(^^;)
そして、内容に関しては、
5000タイトル ということで、後発のモノよりは少なかったり、重要な曲の元ネタが書いてなかったりはしますが、
割と内容はしっかりと書かれており・・・個人的には、コッソリと日本語ラップネタも書いており、この点はビックリ しました!!
98年の時点でBuddhaやPagerのネタが載っており、コレは意外でした・・・なんかセンスがイイんですよね~
ただ、元ネタのアーティスト表記が、昔のレコード屋でよくあった
「逆さ表記(Roy AyersならAyers, Roy)」 になってるところが痛いですね・・・読みにくいっす(^^;)
③ 「The Holy Book Of Hip Hop - All Samples Cleared Vol.1」 Black Glove Publishing(US/NY) 2001年 掲載数:そんなに多くない
コレは、今でもたまに中古で見かけるので知ってる方はいるかな?
恐らく、海外(NY)産のサンプリング辞典で・・・今となっては
かなり微妙な辞典 です(^^;)
発行の詳細は一切不明ですが、コレが出た当時、一部のレコ屋ではプッシュして売ってましたが、そんなには火がつかなかった・・・記憶はあります。
理由は・・・今読み返してみると分かるのですが、サンプリング辞典としての濃度が薄いんですよね!!
この時点では、元ネタアーティストを基準に、その元ネタアーティストの曲をサンプリングしたHipHopの曲をリストアップする感じで、あくまでも
「元ネタ」基準 になっており、HipHopリスナーからすると使いにくい辞典で、むしろSoulとかFunkが好きな人が使うにはイイかな~といった感じです。
また、この辞典もアーティスト名が「逆さ表記」になっており、探すのが面倒くさいっすね・・・
あと、情報掲載数においても、数えてはいないですがそんなには多くなく、変な話、コレよりも3年前にでた「Sampling Data Book」の方が多いのかな~とも思います。
ただ、Jazz系は結構詳しいみたいで、元ネタを「Soul編」と「Jazz編」になぜか分かれており、結構Jazzには自信があったのでしょうか?? どうなんでしょう(^^;)
まあ、コレに関しては・・・今となっては買う必要はないですかね~(^^;)
④ 「Samling-Love」 (2004年2月・写真右) 「Re:Samling-Love」(2004年6月・写真左) Sampling-Love著 掲載タイトル:約15000タイトル
そして、やっと「決定版」の登場です!!
2004年に発行されたサンプリング辞典で、コレが世に出たことでサンプリング辞典の素晴らしさを知った方が多いかと思います・・・私もそんな一人です(^0^)
この本は、
②で紹介した「Sampling Data Book」 の作者である
「Down Staire Records」が流通・製作を行った一冊 で、むしろ「Sampling Data Book」の大幅な発展版と言うべきものですが・・・
とんでもないレベルの高さ にビビった方が多いかと思います!!
まず、この本に関しては、リリースした時点でレコード屋のプッシュや、リスナー側の反響が大きかったこともあり、かなり大々的に販売をしたし、売れ行きも結構良かったと思います。
特に、それまで②や③の本があったにも関わらず、結果としてそれらは入手が難しかったのですが、この辞典はかなり広い範囲で売られていたので、リスナーが簡単に買えたって点も大きいと思います。
また、②で触れたことですが、98年の時点ではサンプリングに対して興味を持つリスナーが少なかったのに対し、
リスナーが成長したことにより、この本を受けれ入れられる土壌が出来た のかな~と私は思います。
私もこの頃は社会人になっていたので、金銭的にも辛くないし、読んでも理解が出来るレベルになっており・・・速攻で買った記憶があります。
んで、肝心の内容は・・・もう、読んでて
ノックアウト でしょう!!
個人的にはコレが初めてのサンプリング辞典だったので、最初は文字の多さに戸惑いましたが・・・かなりマニアックな指摘も多く、読んでて「そんなところまで載せるの?」と思い、個人的には結構驚きながら読んでいた記憶があります。
読んだことがある方なら分かりますが、結構マニアックな指摘が多く、
アルバムの曲 の掲載とか、
西系やサウス系の曲 、そして
R&Bの曲やHouse も少し入ってて・・・イイところを突いてるんですよね~
なかなか指摘しずらいのですが、読んでて
「そんなの載せんなよ!」とニコニコしながら一人突っ込みをするような・・・なんとも言えないセレクション になっています。
また、この辞典に関してヤラれたのは
「逆引き辞典」 を出したこともありますよね!!
表紙がオレンジの方は通常版でサンプルをした曲を基準になっていますが、オレンジがでた数ヵ月後にスカイブルーの「逆引き版」がリリースされ、こちらはサンプルされたオリジナル曲を基準に、サンプルした曲が調べられるようになっています。
まあ、冷静に考えると、
エクセルの順番入れ替え で簡単に作れちゃうのですが、これも
「そういう発想があったか!」 と思い、速攻で買いましたよ・・・こっちに関しては、
JBの使用率の高さ や、
インピーチってそんなに使われてたの~ っといったことに驚いた方が多いかと思います!
あと、ちょっとマニアックな指摘を入れておくと、たまに
「ミス」 もあったりします・・・
スペル間違いがあったり、データの重複があったり・・・たいしたミスではないのですが、コレを発見するとなんか嬉しくなった自分がいました(^^;)
また、オレンジの通常版は、店舗によってはノベルティーが付き、私はManhattanで買ったら写真左のような
「線引き」 が付きました・・・
写真右の絵のように使うのだと思いますが・・・流石に使わなかったっす(^^;)
んなわけで、この辞典があり、世間的に「サンプリング辞典」が普及した・・・と思います!!
⑤ 「The Sampling Dictionary 2008」(2008年1月) 「The Re:Sampling Dictionary 2008」(2008年5月) ful-fill Recordings著 掲載タイトル:約17000タイトル
コレは最近(と言っても2年前・・・)出た辞典なので、知ってる方は多いでしょ!
サンプリング辞典においては
「最終形態」 になる辞典です・・・
2008年に刊行されたサンプリング辞典で、内容としては
④の「Sampling-Love」に更に細かい指摘や修正を入れたような内容で・・・これ以上はないんじゃないか?というようなマニアックな内容 になっています。
まず、発行元は
「ful-fill Recordings」 という、当時としては突然浮上してきたレーベルで、誰もこのレーベルの詳細が分からないまま、この辞典を買ったんじゃないかと思います・・・
ただ、調べてみると結構面白いレーベルで、東京のアンダーグラウンドな活動をしていたHipHop系DJ達が作ったようなレーベルで、このレーベルの初期にナイスなミックステープをリリースした
「DJ EBA」 氏や、関口紘嗣氏もプレイしてたConerstone出身者で、現
BBQ Records を運営する
「DJ Napsack」 氏、そして中心人物である
「DJ JUMBLE」 氏などが集まって出来た集団のようです??
この辞典以外にも、あの鬼HipHopコレクター兼DJである「Freddy Fresh」氏の名著である「The Rap Records - 2nd edition」の輸入販売を行ったり、東京アンダーグラウンド(=中央線沿線?)で活動している「DJ Bozmori」氏の作品をリリースしたり・・・割と地に足付いた活動(?)をしているレーベルのようです。
販売当時、この辞典も結構プッシュされ、どの販売店も割と前面に出し、これも結構な方が買ったかな~と思います。
まあ、久しぶりのサンプリング辞典ということもあり、初めて触れる方も多かっただろうし、Sampling-Loveの頃よりも購買層が更に成熟してたし・・・ある程度「売れる環境」は揃っていたのかな~と思います。
なお、記憶だと、ノベルティーとして、ネタ系のレコードをビックリするぐらいに掲載したポスターが売っていたような気がします。
んで、肝心の内容は・・・個人的には
④の「Sampling-Love」を更に濃くしたり、読みやすくなったりしましたが・・・そこまで凄く進歩したって感じではなかった ですかね~
濃くなった面は、収録数が増えており、当時のトレンドであった
「マイナーミドル」 だったり、当時の新曲だったり、更に細かい指摘(その曲のフックなどに使われた擦りネタなど)などを加えたりしてて、内容面では素晴らしいと思います。
また、掲載内容を読みやすくする為に、
文章を交互で色違い(写真右) にしたり・・・かなり頑張った内容だと思います。
ただ、Sampling-Loveを作った時点でかなりの完成度があったので、結果としてこの辞典が進歩はニッチなレベルのみだったので・・・個人的にはこの辞典が
「スゲえ」とは思わなかった です。
Sampling-Loveの時点で定番どころは殆ど押さえており、変な話、私にとっては
「二番煎じ感」 を感じてしまいました・・・特に、この辞典も数ヵ月後に「逆引き辞典(写真の左のやつ)」が出た時は、出るとは思っていたらやっぱり出て、更に「二番煎じ感」を醸しだしちゃった・・・ように思えます。
でも、買う時は「そんなには進化してないだろ~」と思いつつも、イイ感じに進化してるのかな~と期待しちゃった面もあったので、その反動もあり、あんまりイイ思い出がないです・・・(^^;)
考えてみれば、ホントにネタを真剣に掘ってる人であれば、辞典が更に高度になるのは歓迎するかと思いますが、
そこまでネタ掘りに執着がない者にとっては・・・定番ものだけ分かればイイんですよね・・・ その点で行くと、Sampling-Loveの時点で、辞典としての「恩恵」を受けちゃったので、この辞典には素直に喜べなかった・・・個人的な事情の方が大きいのかもしれないですね(^^;)
なんか、マイナスな書き方をしちゃいましたが、
今からサンプリング辞典を買うのであれば、これに勝る情報量&読みやすさ(色づかいを付けたのはグッドです!)は無いと思いますので、コレをお勧め しますよ!!
⑥ 「I ❤ Sampling」 (2008年3月)
A-Drive Company著 掲載タイトル:約18000タイトル
最後は、個人的には
「運がなかった」辞典 の紹介です・・・(^^;)
この辞典は
、⑤の「The Sampling Dictionary 2008」がリリースされた数ヵ月後に突然リリースされた一冊 で・・・残念ながら
市場では「無視」されちゃった悲しい一冊 です。
まず、制作者の
「A-Drive Company」 は、今回の文章を書くに当って初めて分かりましたが、宮崎駿さん関連の曲をHipHopリミックスして、7inchでプレスしてた
「DJ Sly」 さんのレーベルのようで、ビックリするぐらい情報がなく・・・よく分からないレーベルです(^^;)
んで、この辞典を見て、「あっ、ありましたね!」っと思う方はいるかもしれないですが、
実際に買った方は少ないかな~ と思います。
なぜなら、冒頭でも書きましたが、⑤で紹介した「The Sampling Dictionary 2008」がリリースされた直後に発行された本なので・・・
大半のリスナーが「The Sampling Dictionary 2008」で満足してしまい、この本を買うに至らなかった・・・という経緯 があったと思います。
当時の私がそうでしたが、たいして内容が変わらない本を、結構な値段で買う必要がないよな~とか思って、買わなかったんですよ・・・こういう方が結構いたと思います??
なので、個人的な私見では、あんまり売れなった印象があります・・・
特に気になったのが、
制作者から販売店への売り込みが少なかった感じ があり、「The Sampling Dictionary 2008」のようなレコード店への
政治力 が少なかったことが・・・この本の悲劇的な結末(?)にしてしまったような気がします。
ただ、この辞典を深く読んでみると、そんなには悪くなく、
むしろ評価が出来る部分も結構あります!! 特に面白いのが、
「日本語HipHip」のネタ掲載率が異常に高い 点で、他の辞典に比類しない内容になってるんですよ・・・定番なBuddhaとかは当然ありますが、渋いチョイスも結構あり、「ダースレイダー」とか「脱線3」のような新旧の渋いところ網羅してんですよ・・・
当時、私はこのことに気付かず、スルーしてしまいましたが、今回の調査の一環で買ってみたら・・・この点が結構ツボになってしまいました・・・この点をもうちょっと売りに出せば、もうちょっと売れたかもな~とか思いました(^^;)
(4)最後に いや~、サクッと書く予定だったのに、結構長くなっちゃいましたね・・・なんで何だろう(^^;)
いつも無駄に長い文章ばっかりですみませんね・・・
んなわけで、ちょっとまとめをしておきたいと思います・・・
もし、この記事を読んで、どれを買ったらイイのかな~と思う方もいると思いますが、掲載数や正確さが重要なので、その点で行くと
⑤の「The Sampling Dictionary 2008」 が一番妥当かな~と思います。
今でもレコ屋で買おうと思えば普通に買えるし、なんらかんら言って内容が一番充実してるかな~と思いますが、④の「Sampling-Love」でも、⑥の「I ❤ Sampling」でも全然イケますよ!!
まあ、どの本も実生活ではあんまり使わない(コレは事実!)と思いますが、
音楽って知識が増えるほど更に面白さが広がる と思うので、
持ってない方は是非買ってみてください!! 個人的には、Sampling-Loveを買って、更に過去の曲に興味を持つようになった部分もあるので、レコード馬鹿であれば
「壁を超える作業」 の一つだと思って買ってくださいね(^^;)
ただ、これらの本は割と値段がする(新品だと2500円前後)ので、値段の面では経済的ではないですね・・・
その限りにおいて、IT時代の現在では、これらの辞典を買わずとも
ネット上で検索できるサイト があるので、これらの辞典を買わずとも無料で検索出来たりします。
念のため、有名なサイトを紹介します・・・
・ Sampling-Love ・ SXDB この2つは割と有名なので、既に利用してる方も多いかな~と思います。
最初のSampling-Loveは、
④の辞典のウェブ版 で、04年に発行した本の内容に、それ以降に分かったデータを加えて掲載をしています。
最近は更新してない(?)みたいですが、辞書をパラパラめくるよりも、パッとキーボードを打っちゃった方が早いわけで・・・便利な時代になりましたね(^^;)
んで、2番目のSXDBは、割と現行系のサイトで、日々更新をしてたり、検索結果にその曲のレコード(&アマゾンとiTunesへのリンク)が貼られてて・・・結構便利なサイトです。
どうやら、Wikiみたいに有志の利用者が内容を更新してるみたいで、レコジャケが出るのはイイですね・・・ただ、サイトのデザインがごちゃごちゃしてて、Sampling-Loveの方がシンプルでイイかな~とも思います??
あと、この他にも探すと結構あり、日本語ラップ系だと
「日本語ラップの元ネタ辞典作ろう」 なんかもありますし、Googleで検索しても分かったりするので・・・ホント便利な時代ですね!!
まあ、こんな感じでサンプリング辞典が発展をしました。
今回も無駄に長い記事になりましたが、なんで私が今となっては必要のない辞典まで紹介したかというと、
これらの辞典は確実に「歴史の積み重ね」で発展をしていった・・・ という事を伝えたかったからです!!
突然に「The Sampling Dictionary 2008」が出来たわけではなく、その前に発行された「Sampling-Love」があったからだろうし・・・更に遡ると「Sampling Data Book」が無かったらこういった辞典は出来なかったからかもしれないです。
モノって何でもそうですが、
過去にあった何らかのモノから発展してる わけで、
見えないバックボーンみたいのが絶対にある と思うんですよ・・・
だけど、
見えないが故に気付かれず、その存在に対して敬意が払わない場合が多い ので・・・
今回はその「見えない」部分を知ってもらえれば・・・ と思い書いてみました。
あと、こんな素晴らしいものが
「日本で作られた」 って部分も指摘しておきたいと思います・・・
こんな細かい辞典は日本人しか作れないっしょ!! 今となってはネットで十分なので、今後新刊が出ることは期待できないかな~と思いますが、私が紹介した辞典の1冊(1セット)でも持っていれば、
レコードライフに潤いを与えてくれる・・・ と思いますよ(^^;)
DJカルチャーは、なんらかんら言って
基礎には「レコード」 があり、
温故知新 じゃないですが、
過去を知らないと、今を築けない・・・ ところもあるので、是非活用して欲しいところですね!!
では、これにて終了!!
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<恒例の独り言>
この記事を書いてる間に、我が家のミキサーが壊れました・・・電源が入らないっす(--;)
修理をするか、新しいのを買うか悩み中です・・・
あと、Riddim誌の廃刊(ネット完全移行)はショックですね・・・私は仕事帰りにレコ屋に寄って、新しいRiddimを貰い、電車で立ちながら読んでたら・・・最後のページにあの報告があり、心臓が止まるぐらいビックリしました。
そこで、いつになるかは分かりませんが、Riddimについて今回みたいな記事を書きたいと思います・・・弔い記事になっちゃうかもしれないですが、頑張りたいと思います・・・こうご期待!!
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コメント
ソロバン
確かに偉大な媒体であるのは間違いないんですが、特にここ最近は単なる「広告雑誌」に成り下がってたと思うし。
よく見てたからわかるんですが、年に一回やる『リディムアワード』も、日本人レゲエ部門は全部あそこのカラー1ページ広告買った作品しか載りませんからね。むちゃ露骨じゃないすか(笑)。
確かに雑誌を運営してく以上バーター(※)は必要だけど、「フリーペーパー」というメディアの特性上、それがものすごく嫌な形で出てたと思う。
元々「レゲエとヒップホップの雑誌」で売ってたクセに、レゲエブームに突入したとたん(ヒップホップが下降線をたどったとたん)レゲエばかりが載るようになって、そのレゲエブームが終わるや否や、ヒップホップにまたすり寄るようになったのも自分的には気色悪い。
ネット移行して“身軽”になったということで、本来の在り方に立ち返ってほしい。
なんかリアクションしづらいコメントで本当すいません(^^;)
しかし、前述したように『リディム』がこの文化を語る上で素晴らしい置き土産をたくさん遺してくれたことは紛れもない事実だし、ぼくとしてはMTTブログ上で、是非リディムが単なる広告雑誌じゃなかったことを皆にみせてやってほしいです!!まじで楽しみにしてます。
※バーター……
雑誌側がインタビュー掲載などの見返りにアーティストに広告掲載を要求すること。
2010/12/07 URL 編集
mixtapetroopers
いつもホントありがとうございます!!
Riddimの件、私もソロバンさんと同じく、広告の件とか、運営方針においては、ちょっと疑問点があったりします・・・
流石に、ソロバンさんのような鋭い指摘までは出来ませんでしたが、実は広告優先な媒体だったというのは事実なんでしょうね~
また、書くにあたって読み返してるのですが、基本的にはニューリリースに付随するインタビューばっかりなので、どうまとめようかな~と悩んでます(^^;)
それも同じアーティストが繰り返してる(Mommin、Pushim、Ryo、MJR、H-Manとか・・・)率で、読み返しててあんまりおもしろくないっすね~
あと、Frontとかは特集記事が多く、その辺は読み返してて結構面白かったのですが、Riddimはメチャクチャ骨のある特集記事が少なかったり、めちゃくちゃストリート性のある話題(サウンドシステムのこととか)も実はそんなにはなかったり・・・なんらかんら言って「バーター雑誌」になっちゃうんですかね・・・
ただ、昔を考えると、貴重な情報源であったことは間違えなく、その情報が無料で手に入るって点はホント大切だと思います・・・その辺はちゃんと指摘できればな~と思います!
なんらかんら言って、その点は大きく、ストリートの情報網であったことは評価すべきでしょうね・・・
私としても、レゲエに興味が持てたのってRiddimの存在が大きいし、HipHopの情報も結構ホロー出来たし・・・ある世代にとっては大切な存在ですよね!!
まあ、いつアップ出来るかは分からないですが、気長にお待ちくださいね~♪
2010/12/08 URL 編集