HipHop,R&B,Soul,Funk,RareGroove,DanceClassics,Garage,House・・・など、私が気に入っているMixTape,MixCD,その他もろもろを紹介するブログです。
Larry Levan 「Live at the Paradise Garage」
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 予告の通り、Larryの59回目の誕生日に合わせ、遂にこの作品を紹介です!!

 歴史的に重要な作品で、影響を受けた方は大変多いでしょう・・・私もその一人で、この作品を聴いて、色々と影響を受けました!!
 ただ、ホント好きな作品だったので、この作品のことや、Larry LevanやParadise Garageの素晴らしさを語ることが出来るのかどうか自信がなく、数年越しでの紹介になりました。

 ちゃんと紹介出来るかどうかは分かりませんが、ご興味があればお読みください・・・





(1)作品の背景

 この作品は、今は亡き伝説のDJ「Larry Levan」が、1979年ごろに「Paradise Garage」でのDJプレイを録音した内容をCD化した作品になります。

 まず、作品を紹介する前に、この作品を理解する上で必要な背景を「Larry Levan」「Paradise Garage」のキーワードを軸に紹介をします。



<Larry Levan / ラリー・レヴァン)>

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 まず、ラリーの紹介から行きましょう。

 Larryは1954年・NY生まれの黒人DJ/Producerで、後ほど紹介をするNYの会員制ゲイクラブ「Paradeise Garage」のレジデントDJとして君臨し、後世に多大な影響を及ぼした伝説的なDJになります。
 残念ながらParadise Garageが閉鎖後、薬物中毒と戦いつつ、1992年に急死をしましたが、LarryのDJやグルーブが、我々が愛する「クラブ」や「DJ」という行為の根底を作ったとも言え、重要な人物になります。

 Larry自体は、1970年代初期よりNYで胎動し始めたクラブ/DJシーンを、少年時代の頃から参加をしており、その時代の先駆者達から多大な影響を受けつつ、DJとして頭角を現して行きました。

 それこそ、クラブの元祖とも言える「The Loft」の創始者「David Mancuso」からは、クラブにおける音響の重要性と、選曲やメッセージなどの重要性を学び、NYクラブシーンで若くして一時代を気付いた「The Gallary」の「Nicky Siano」からはDJミキシングやなどを学んだようで、ある意味、60年代末から70年代初期に生まれたNYゲイディスコカルチャーを引き継ぎついだ存在かもしれません。
 この流れは、先日紹介をしたダンスカルチャー本に詳しく書いてありますが、「クラブでDJがプレイする楽曲で踊る」という行為を、初期の頃より体感し、自身もDJになって行った・・・と思われます。

 その後、諸先輩方の影響を受けつつ、親友だったFrankie Knucklesと共に男性向けバスハウス「Continental Baths」でDJを開始し、評判を生みつつ、後にParadise Garageをオープンする「Michael Brodie」と出会い、Garageの前進である「Reade Street」でプレイした後、1977年にParadise GarageでDJを開始する・・・流れになります。


 LarryのDJの素晴らしさは、そのDJを体感していない私が説明するのには抵抗がありますが、Larryの功績を伝える様々な本や映画から抜粋すると、以下の点が挙げられます。

 ・ ジャンルレスでソウルフルな選曲性
 ・ 音響やライティングへのこだわり
 ・ 美しく感動的なDJのストーリー性
 ・ 心に響くメッセージ性


 この4項目がLarryの全てを表現しているかは分かりませんが、こういった要素を軸に人々を踊らせ、歓喜の渦に巻き込んでいった・・・そんなDJだと思います。

 Larry自体、この作品紹介でも指摘しますが、技術的なDJミックスがもの凄く上手かった訳ではなく、むしろこういった要素を重要視し、結果としてグルーブで押すDJスタイルで・・・当時としては異端なDJだったかも知れません。

 ただ、ここで特に重要なのが、DJなりクラブという存在が発展していく過程で、クラブやDJの在るべき姿を結果として提示し続け、それに影響を受けた多数のDJやクラブ運営者が、その考えを引き継ぎ、80年代後半以降のクラブ/DJを発展させたことがあります。
 どちらかというと、クラブミュージックにおける「House」の流れの中だけの話かも知れませんが、DJという存在が、ただの選曲係ではなく、人を動かす立派なアーティストであることを実証し、またクラブという場所が、憂さ晴らしに盛り上がりに行く場所ではなく、それ以上の場所であることを、結果として全世界に広めたDJだと思います。

 特に、ブラックミュージックを基礎としつつも、ジャンルに壁の無い音楽性や、愛のある音楽を多くプレイし、聴いて踊ってる人々に躍動感を与えるプレイスタイルは、敬愛を込めて「Garage」と評され、音楽ジャンルやプレイスタイル、そして音楽と真面目に向き合っている精神性として生き続けています・・・
 まあ、今となっては一人歩きしている部分もあるのですが、DJの忘れてはいけない「基礎」を生み出した点は忘れてはいけないですね!!

 LarryのDJの良さは、作品紹介の方で披露したいと思いますが、今となっては「DJの神様」として評されている理由が分かったかな~と思います。



<Paradise Garage / パラダイス・ガラージ>

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 そして、次は、そのLarryがプレイしていた「Paradise Garage」のことを紹介しましょう。

 Paradise Garageとは、NY・マンハッタンの南部・Soho地区にある「King Street」にあったクラブで、名前の通り、駐車場を改造したクラブで、入居する前はトラックの修理工場だったそうです。

 オーナー「Michael Brodie」氏で、元恋人だったMel Cheren(Westend Recordsの創業者)氏などより出資を募り、77年ごろよりコンストラクション・パーティー(クラブを作りながらパーティーを行い、その売り上げでクラブを作っていくパーティー)を開催し、78年1月に正式にオープンしたクラブになります。
 クラブは金曜・土曜のみの営業で、体制としては会員制を取り、メンバーシップを取った会員とその会員の同伴のみしか入店が出来なかったようですが、人種・性別的にマイノリティーだった黒人やラティーノのゲイを中心に盛り上がり・・・それこそ、ディスコ的な水商売な匂いは少なく、ダンサー達が日ごろの鬱憤を晴らす為に踊りに来てて、愛と平等に満ち溢れたマイノリティー達の楽園(Paradise)だったようです。

 時期的には70年代中期から末期にかけて全世界的なブームだった「ディスコブーム」の去りし後に営業をしてたクラブになるのですが、Laryyの超絶的なプレイと圧倒的な音響、そしてそれを愛したダンサー達に支えられ、現代の「クラブ」の基礎を作りつつ、80年代を駆け抜け、87年9月に、建物のリース切れとオーナーのマイケルの体調不良(数ヵ月後にAIDSによる疾病で死去)で閉店になりました。
 年数でいくと10年くらいの営業ではありましたが、参加した人々の「記憶にしっかりと残るクラブ」として捉えられ、現在でもそのスピリットは継承されているかと思います・・・


 Paradise Garageも、当然ながら私は体感していないので、私が語って良いのか悩んでしまいますが、様々な点で後世に影響を与えています。

 まず、クラブにおける「音響」の重要性を明確に示した点だと思います。

 この点は、クラブ側というよりもLarryが拘りに抜いた点で、有名音響デザイナーであるRichard Longと共同でLarry自ら設計・設定をした音響システムを駆使し、とにかく「音が良く、踊りやすい環境」を目指したようです。
 歴史的に、スタートの時点から音響の重要性を実践していたLoftに通っていたLarryだけに、その重要性は体験的に学んでいたからでしょうが、システムの良さがプレイする音楽を更に光らせていたことは明白で、音を楽しむ「クラブ」という存在を推し進めた部分は重要ですね。

 また、システムの良さもさることながら、プレイしている曲を更に光らせる為にEQ調整を随時行っていたり、Garageではあまり語られることが少ないライティングの重要性など・・・細かい部分でも、現在のクラブに影響を与えています。

 
 そして、もう一つ重要なのが、クラブというものが、ある人にとっての「シェルター(避難所)」として機能をすることを守り続け、その先にあるクラブ内での「愛」と「平和」を支え続けた点だと思います。

 私はストレートなので、ゲイマインドなどを上手く説明できるかは自信が無いですが、現在においてもクラブという存在はゲイ達の「シェルター(避難所)」として機能してる部分があるかと思います。
 つまり、日常はゲイであることを隠して暮らしている者にとって、本当の自分をさらけ出す場所が必要な訳で・・・踊りながら騒ぐ行為は、ある意味、日常からの解放になり、現在でも受け継がれているかと思います。

 ゲイの観点から話してしまいましたが、この点は、ゲイではない人でも求めるところで、嫌な日常を忘れたい・・・そんな人を、ダンスなどを通して囲ってくれるのが「クラブ」だと思います。

 この点は、私も強く共鳴をする所で、Garageにおいては会員制やゲイマインドが理解できない者は入店出来ないといった壁はありましたが、総じてダンスを愛する者はGarageに入れ、嫌なことを忘れさせてくれた包容性みたいのがあったと思います。

 また、その先として、日常の嫌なストレスと決別し、皆が楽しむことを念頭にしつつ踊り、結果として平等で愛のあるクラブを生み出した点もGarageの素晴らしさだと思います。

 この点は、LarryのDJ・選曲にも大いに関係をしますが、踊っている限りは、誰にも差別も侮辱も受けず、自由に自分を解放し、ある種のユートピアを形成しており・・・実世界にはない「心地よい場所」を結果として生んでいたと思われます。
 こういった部分は、今となっては「Garage Spirit」として残っており、ダンスすることの素晴らしさの根底として引き合いに出されますが・・・間違えが無く、クラブなりDJを愛する者として、この考えは引き継がないと行けないですね・・・

 

<リリースに当たって>

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 そして、今度はこのCDのリリースの経緯を紹介しましょう。

 このCDは2000年4月にリリースされた作品で、明確な詳細は掴めないのですが、リリースに当たってはParadise Garageの影の生みの親とも言える「Mel Cheren」氏の功績が挙げられます。

 先日の本紹介でも触れましたが、NYのDisco/Garage系レーベルとして有名な「West End Records」の創業者にして、Garageの出資者の一人でもあるメルさんは、長年に渡りダンスカルチャーを支え続けたお方で、敬意を表して「The Godfather of Disco」と呼ばれております。
 GarageなりLarryには、愛着以上の気持ちがあり、GarageやLarryが亡き後も、そのダンススピリッツを守り続けた一人とも言え、晩年は、ゲイとして生きた半生を綴った名著「パラダイスガラージの時代」を執筆し、後世に「ダンス」や「クラブ」の素晴らしさを伝えてくれました。

 そして、この作品ですが、恐らくの話になって恐縮ですが、その「パラダイスガラージの時代」を書く流れで企画された・・・と思われます。

 ちょっと、この点は資料が無く、憶測だけの話になるのですが、本の出版と同時期にリリースされた点からすると、メルの中で、LarryやGarageの素晴らしさを説明するのには、書物以上に「音」が大切だろう・・・と考えて作ったのではないでしょうか??
 詳細がご存知の方がおられましたら、是非、ご指摘ください・・・


 ただ、この作品、メル氏やスタッフたちの愛のあるディレクションが生きた作品になり、Larryに対しての敬愛が感じられる素晴らしい作品だと思います。

 まず、音源に関しては、どうやらVictor Rosado氏が所有していた79年のGarageでのライブ録音を使用しているのですが・・・膨大な量のライブ音源からLaryyやGarageらしさを兼ね備えた音源を捜し、ミックス作品として聴ける状態にパッケージングした点は素晴らしいですね。

 Larryのライブ音源は、今となっては色々な所に上がっており、聴いてる方も多いかも知れないですが、どれもクラブでのDJプレイなので、作品性を有していないことが多く、リスニングとして聴いてるのは辛いのが多いです・・・
 その限りにおいて、もっと膨大な量のアーカイブから、LarryやGarageらしさを表現してて、かつミックス作品として耐えられる内容に仕上げ、使用した曲のクリアランスを取ってきたことが素晴らしいですね・・・マニアックな視点ですが、マスタリングをTom Moultonが担当している点もグッときます!

 また、この作品が好きな方なら納得してくれるかな~と思うのが、作品の「アートワーク」の素晴らしさじゃないでしょうか?

 この点があるので、メルの功績を感じてしまうのですが、ジャケの黒地にGarageのメインロゴが白く印刷されているのですが・・・白の部分は蓄光になっており、夜になるとボーっと輝きます・・・美しすぎです!!
 中のアートワークやブックレットも当然素晴らしいのですが、決して安売りはせず、LarryなりGarageの「美しさ」を表現している部分にも敬愛の気持ちを感じてしまいます・・・深読みになってしまいますが、闇の中で綺麗に光るって表現の仕方は、クラブで優しい光の中で踊っているイメージもあり、間違えなしですね!!




 そんな訳で、背景の話が異常に長くなってしまいましたが、Larry LevanなりParadise Garageの素晴らしさが少しは理解できたかと思います。

 では、以下では実際の作品紹介をします・・・こちらも長文ですよ(^^;)






(2)作品紹介

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 まず、このCDは2枚組+ブックレット付きの作品になり、ブックレットも必読なのですが、今回の紹介ではミックスが収録されているCDを紹介します。

 内容的にはCD1からライブミックスが始まり、CD1の続きがCD2になる・・・という内容になり、合計90分程度ライブミックスになります。

 先ほども指摘をしましたが、この作品は、ラリーが「ミックス作品」として作った訳ではなく、1979年のParadise Garageでの「ライブミックス」になるので、本来は作品性を有しないはずなのですが・・・見事なまでに作品性を有した内容になっています。
 細かく聴くと、これがライブミックスであることが分かるのですが、ミックスのストーリーや、全体的な作品の完成度など・・・Larry LevanというDJの素晴らしさを存分に表現した「作品」になっているかと思います。

 特に素晴らしいのが、この作品が結果としてDJミックスの基礎とも言える「起承転結」に即した内容でDJをしている点で、階下のダンサー達がLarryのマジックに魅せられて段々と踊り狂っていく・・・そんな様子が想像できる内容になっているのが素晴らしいです。

 Larry LevanというDJが、ミックスの正確さやテクニックの上手さ以上に、音響の工夫やミックスのアイデアでプレイする曲の良さを引き出した点や、プレイする曲と曲を繋ぎ合わせることで生まれるグルーブなどを重要視していたことが分かる内容で・・・深く聴けば聴くほど、Larryの天性の才能や嗅覚にヤラれます。


 今回は、ある種のネタばらしになってはしまいますが、この作品のプレイ曲を「起承転結」形式で順を追って紹介しつつ、Larry LevanというDJの素晴らしさを「私なり」に紹介していきたいと思います。

 特に、今回に関しては、通常の作品紹介に加えて、LarryのDJを聴いて踊っている「ダンサー」視点も入れて書きたいと思います・・・

 この音源自体、本当はParadise Garageのフロアーで踊っているダンサーに向けてプレイされた音源なので、その感覚が抜けてはいけないと思います・・・

 クラブでのDJプレイって、そのDJ一人では成り立たず、そのDJのプレイを聴いてダンサーが踊ることで「何か」が生まれ、相互効果が生まれると考えます。
 この音源においても、結果としてはLarryとダンサーとの関係があって生まれたことを考えると、DJの流れやテクニック面の指摘も大切ですが、踊っているダンサーの気持ちも表しないと意味が無いように思えます・・・特にGarageにおいては、観客が自分を解放するために踊りに来てる訳で、このダンサー視点というのは絶対に必要だと思います。

 幸いなのか、私も多少は踊れるし、何よりも自分を解放するという意味での「踊ることの楽しさ」を知っていると自負は出来るので・・・自分の経験を踏まえた上での話も入れたいと思います。


 そんな訳で、紹介になります・・・

 なお、CDは1と2に分かれていますが、便宜上、一つのミックスと考えて紹介をさせて頂きます。



< 起 >

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 この作品の1曲目は、美しいピアノの旋律から始まる名曲「Ashford & Simpson / Bourgie Bourgie」からスタートをします。

 恐らくですが、このCDが好きな方なら、コレを聴いただけで引き込まれちゃうでしょう・・・こんな素敵なスタートはなく、LarryのDJの美しさを象徴した始まり方じゃないでしょうか?

 今回の音源は、どういった時期の音源で、どのような時間帯のプレイなのかは分からず、この1曲目もLarryの最初の1曲なのかは分かりませんが・・・今となってはLarryらしい始まりの曲じゃないかと思います。

 後でも紹介をしますが、Larryの特徴として、ストリングスが活かされたソウルフルな曲を好んでおり、アップでもスローでも重要なポイントだと思います。
 当然、ダンスをする為のDJなので、ビート感も重要になっていますが、踊っているダンサーの心に響くような旋律や歌を重要視してて、それが「Garage」らしさでもあり・・・一曲だけで心を解放させてくれます。

 ホント、どのタイミングでプレイされたかは分かりませんが、フロアーで聴いてると、DJがLarryに代わった感じがして、場面転換的な効果を出しつつ、LarryのDJに皆が期待をしてる・・・そんな感じのスタートで最高ですね。
 適度なビート感のある楽曲で、皆が準備運動がてらに踊り始め、気持ち良い旋律に優しく包まれ、次第にフロアーが一体化していく感じが素敵で・・・Larryの美しさを表すのには最適かと思います。


 また、製作者側もコレを1曲目に持ってきた点は分かってますね・・・
 
 これこそ、Houseマナーになるのかも知れないですが、踊る人を乗せる為には、皆が入りやすい音からスタートし、徐々に乗せていく流れを作ってるんですよね・・・
 Larryの師匠筋に当たるDavid Mancusoも指摘していますが、DJミックスにおいては、出だしは飛行機が滑走し始めるように優しくスタートをし、みんなを乗せて行く・・・みたいな考えを踏まえており、作品としても大変分かりやすい始まり方で、これを1曲目として切り取ってきたのには頭が下がります。



< 承 >

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 そして、Ashford & Simpsonの美しいグルーブの流れの中で、ビートミックスで「Damon Harris / It's Music」に繋いでいき・・・フロアーがダンスビートに溢れ、音を楽しみにしていたダンサーは、一斉に踊り始めるでしょう!!

 この辺からLarryのミュージックジャーニーが本格的に開始し、先ほどの飛行機の例に従えば、上手く離陸させた瞬間で、みんなLarryのDJを期待しながら踊って行く姿が想像出来ます。
 
 また、ミックス自体もLarryらしく、種類が異なるとも言ってもイイ曲を、曲の美しく華やかなグルーブを読みとって違和感なくミックスしてる点も流石だし、曲で繰り返される♪Feel The Music~♪というボーカルがのっている部分でミックスしてるのにもグッときます・・・
 Larryのメッセージプレイの一つだと思いますが、曲の歌詞に思いを込めてDJをしていることが多く、これもダンサーに「音楽を感じながら踊ってね」みたいなニュアンスがあり、これに反応をしたダンサー達は、喜んで踊るでしょう!!


 そして、2曲目で華やかな雰囲気に持っていき、ダンサーを踊らせ始めたら、コレ以降はLarryの手玉に取られながらダンサー達は自由に踊ります・・・

 3曲目では「T-Connection / At Midnight」、4曲目は「Stephanie Mills / Put Your Body In It」、5曲目は「Crown Heights Affair / Dreaming a Dream」をプレイし、Garageの音響システムがマッドな音を出し始め、ダンサー達も段々と音にハメられて、マッドにに踊って行きます・・・

 この辺では、ボーカル曲を選んではいますが、トラックを強調したプレイが印象的で、歌を全面的には強調せず、実質的には準インスト曲としてプレイしてる辺りが上手いです。
 3曲目のT-Connectionであれば、曲前半のドラムブレイク部分からミックスし、一時的にダンサーを踊りに集中させてたり、4曲目なんかは、本来であれば歌がメインになるはずなんだけど、意外とヘビーなトラックを強調してたり、5曲目では更にトラック感が強くなっていき・・・気付いたら踊り狂ってるでしょうね。

 House的な考え方ですが、フロアーのダンサーを「踊らす時間」も大切で、盛り上がるボーカル曲を光らせる為に、あえて踊らすこともあるし、踊ることを楽しみにしていたダンサーを満足させるためにプレイしたり・・・こういったインスト的なプレイをすることが多いと思います。
 この部分では、ボーカル曲ではあるのですが、ボーカル感をあまり出さず、トラックを強調することで踊りを楽しみにしてたダンサーを喜ばせ、ボーカルはボーカルで、ダンサーに響くメッセージを伴っており・・・更にこの後の展開を考慮した選曲としている点も強く感じます。



< 転 >

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 スタートからLarryの選曲でダンサーの足が速くなっていく中で、そろそろ山が欲しいところで、この辺から上げ気味に変化をしていきます・・・いわゆるピークタイムですね。

 この辺の流れの上手さや、選曲の上手さは最高で、深く掘り下げれば掘り下げるほどヤラれます・・・

 フロアーをマッドに踊らせ、階下のダンサーも徐々にヒートアップしてるので、更に盛り上がる変化が欲しいと感じる中で・・・Dreaming A Dreamからカットインで6曲目の「Bunny Sigler / By The Way You Dance」にミックス!!
 かなり豪快なミックスなんですが、選曲の流れの違和感が一切なく、むしろ流れ的にギアをシフトアップした印象を持ち、曲の持つベースラインのエグさが更にダンサーを沸かしています・・・

 Houseだと、次の曲へミックスするときに、次の曲へ違和感なく「つなぎ」を作る為に、ビートミックスをすることが多く、カットインをすることは少ないかと思います。

 Larry自体も、大半がビートミックスをするのですが、面白いのが、そんなに超高度なミックスはしてないんですよ・・・ただ、ミックスをする「タイミング」と「グルーブの引っぱり方」が異常に良く、たとえカットインで入れてきたとしても、ミックスが続いているんですよね・・・
 とにかく、前後の曲のベースラインやドラムパターン、ストリングスやハイハット、そしてボーカルなど、全ての要素を考慮し、グルーブが繋がる最高の瞬間でミックスをしてきたり、逆に意外性のあるタイミングで繋いできたり・・・フロアーを終始コントロールしながらミックスをし続けています・・・


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 そして、6曲目でポイントになったベースラインのエグさを引き継いで、7曲目では「Shalamar / Right in the socket」、8曲目では「Cher / Take Me Home」のようなボーカル曲をプレイし始め、フロアーを歌で盛り上げ始めます。

 Cherなんかは、今でもクラシックで、私もプレイされれば歌いながら踊っていますが、面白いのが、それまで割とコアな曲をプレイしてたのに、ShalamarもCherも当時としてはポップヒットな曲なんですよね・・・
 
 なんでしょう、クラブ/DJ業界にいると、素直にメジャーヒット曲を歓迎しない習性(?)があるかと思うんですよね・・・今はそういうのが少なくはなったかと思いますが、アンダーグラウンドな音楽ほどその傾向は強く、この記事を読んでいる方でも理解できる方が多いかと思います。

 この限りにおいて、Larryの素敵な所は「イイ曲はイイ」を独自視点で貫いた点で、メジャーもマイナーも関係なく、自分が良いと思う曲を、ジャンルや時代の壁を設けずにプレイしていました。

 こういった視点って、今となっては珍しくもないですが、当時としてはDJがそうプレイをしたいと思っても、観客ががついてこない場合もあると思われ、尖鋭的なプレイが出来ず、分かりやすいプレイをしてしまう中で・・・Larryのプレイは、自分が良いと思った曲を一番最良の方法で聴かせるので、ダンサー達がついてきた・・・そんな流れがあったのでは?と思います。
 無論、Paradise Garageに通うダンサー達が、Larryの音楽に対して寛容だった部分も大きかったと思いますが、プレイする曲をしっかりと「見抜いた」上でプレイしてるので、フロアーは更に盛り上がるでしょう・・・


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 そして、ボムがそろそろ欲しい中で、またのカットインで9曲目の「Melba Moore / Pick Me Up, I'll Dance」を美しくプレイ・・・私なら、胸がキュンとしつつ、ちょっと涙線を膨らませながら踊ってしまうでしょう!!

 コレが一番のピークとしてはいないと思いますが、上手いな~と思うのが、1曲目から一貫をして「ストリングス」がキーになっている曲をプレイし続けており、その最高潮としてこの曲をプレイしてる感じがあり・・・踊ってて琴線を優しく刺激してくれ、つい涙を誘いつつ、気持ち良く踊るでしょう・・・

 流れ的には、段々とマッドに踊らしつつ、徐々にボーカルモノで感情的な方向に進ませ、その最高潮でコレを持ってくるのが素敵です・・・Larryの選曲の素晴らしさがあって生まれた流れだと思います。
 単純にピークを作るのであれば、もっと分かりやすいヒット曲をチョイスしたい所で、選曲の流れでグルーブを膨らませ、この9曲目を光らせている構成は流石で・・・ストリングスの調べも、Melbaの歌も、心に染みて・・・最高です!!

 また、特に素敵なのが「ストリングス」と「歌」で盛り上げていることです。

 Larryの嗜好において、重要なのが、ゲイだからこそある「女の子感情」みたいのがあり、琴線に触れるドラマチックな曲や歌を好むんですよね・・・
 その中で「ストリングス」や「歌」は重要な部分で、男でも女でも、心のどこかに「女の子視点」みたいのがあると思います・・・何とも説明が難しいのですが、美しく、そしてスイートに包んでくれる感じと言うんでしょうか・・・感覚的には「琴線に触れる」感じがそうだと思います。

 私自身、こういった内容の曲は大好きで、クラブでかかれば人目を気にせず喜んで踊っていますが・・・こういった曲って、恥ずかしがり屋な人ほど感情的には「あえて」なれない曲だと思います・・・特に曲に合わせて歌うことを躊躇う方も多いですよね?
 
 この限りにおいて、Larryの上手いのは、徐々にグルーブを高めつつ、誰でも心に響くような状況にしていき、効果的に「ストリングス」や「歌」で盛り上げている手腕を感じ・・・皆が自分を解放していくように仕向けているんですよね。
 まるで、隠れた「女心」をあぶりだし、恥ずかしがり屋な野郎を、可憐に踊らせちゃう展開みたいで・・・グッときます!!



< 承 >

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 Melba Mooreでちょっとしたピークを作り、次はどういう展開に行くのかが楽しみな所で・・・続きもLarryらしい展開で楽しませてくれます。

 流れ的には「起→承→転」と進みましたが、Larryは次の「転(ピーク)」を考えてか、流れとしては引き続きピークなテンションを持続はしていますが、少し落として「承」的な流れにしています。

 9曲目の後は、Giorgio Moroder作の「Munich Machine / Get On The Funk Train」に繋ぎ、前半の「承」に近いインスト主体の曲でファンキーに攻めて行き、ダンサーを更にマッドに踊らさせます。
 この後も、11曲目で「People's Choice / Here We Go Again」をプレイし、12曲目では「Motown Sound / Bad Mouthin'」をプレイし、House的な4つ打ち感を前面に出し、Garageのサウンドシステムが本領発揮をしそうなヘビーな音を聞かせ、音にハメられながら踊り狂っちゃいそうです・・・
 更に、この後の展開も考慮して、13曲目ではヘビーなグルーブを維持しつつ、歌モノとして「The Supremes / Let Youraself Go」を熱くプレイし、更にフロアーを加熱します・・・きっと私も、この辺りになると、手を大きく広げながら歌ってそうですね(^^;)

 まず、展開的な話をすると、積み重ねてきたグルーブを9曲目でピークにしつつ、そこでグルーブを切り落とさず、フロアーのテンションは持続して、更にグルーブを押し続けている点が上手いですね。
 
 それもトラック主体の楽曲をチョイスしてるのですが、面白いのが「LP曲」からプレイしている点ですね。

 レコ写が急にジャケ付きになったので、気付いた方もいるかも知れないですが、このラインでは未シングル化の曲を多くプレイし、DJとしての「掘りの深さ」を出しつつも、しっかりと踊らさせていて・・・グッときます!

 NYのクラブミュージックの流れとしては、動き始めた60年代末より、観客を沸かす曲を自分たちで探すことが多く、その対象は過去の音楽だったり、海外の曲、またはLPに隠れた曲など・・・DJ達が発見した曲は大変多いと思います。
 それこそ、永遠の名曲である「MFSB / Love is the Message」も、当時としてはシングル化されてはいなく、LPに隠れた一曲でしかなかったのに、David MancusoやNicky Sianoなど、当時のDJがパワープレイしたことで知れ渡った経緯があり・・・レコード会社や曲を作ったアーティストが気付かない曲を、DJ視点で掘り当てることが一般的でした。

 その中で、これらの曲がLarryが見つけたかどうかは分かりませんが、どれも未シングルに近い楽曲で、こういった曲を選んでくるセンスの良さが素晴らしいです。

 また、プレイの仕方も最高で、この流れもグルーブの一貫性がしっかりとあり、ストリングス的なニュアンスは減りましたが、ヘビーなベースラインとドラムパターンで熱く押している感じが上手すぎです。
 きっと、ダンサー達も、シングル曲ではないので、この曲が何なのかを知らずに踊っていたとしても、そのグルーブだけで踊らさせてしまい、かなりハメられちゃいますね!

 今となっては、これらのレコード、LarryがこのCDでプレイしたので知れ渡った感も十分にありますが、Larryがチョイスしなかったら、マッドに踊らさせる曲が入っているとは知られず、レコ屋でホコリを被っている存在になってるかも知れませんね。



< 転 >

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 13曲目のSupreamsで、エグいベースラインが生きたダンスグルーブを大いに出しつつ、熱いボーカルとストリングス系のグルーブを引き出し、14曲目では「Change / Angel in my Pocket」をプレイ・・・この辺からボーカルを使って再びピークへ向かおうと上げてます。

 ここで面白いのが、Change自体は曲の途中からミックスインし、しばらくすると同曲のインストパートにミックスし、いわゆる「2枚使い」をしており、割とトラック感を引き延ばしつつ、その延長でボーカルとストリングス系の音を高めている印象があります。

 2枚使いというとHip Hopの専売特許なイメージがありますが、NYのクラブシーンでは、早い時期から活用をしていて、HipHop的なブレイクをループさせるというよりも、曲の構成を変え、楽曲の要素を更に引き延ばす用途で活用をされていたと思います。
 つまり、オリジナルの楽曲において、DJが考える構成にすれば、よりダンスやDJミックスが生きる・・・という前提で2枚使いをしており、いわゆる「りミキサー」的な発想でブレイク部分を伸ばしたり、構成を変えてきたりしていたそうです。

 この点において、Larryは天才的な発想の元、オンタイムで2枚使いなどをしてダンサーを沸かせていました。

 このCDでは、最小にとどめていますが、曲によっては延々と同じ曲を2枚使いで伸ばしていき、下手したら30分ぐらいプレイし続け、ダンサーをそのグルーブにハメこんでいき、マッドに踊らせたようですね。
 この延長で、その曲の制作者には出来なかった、クラブ向きの構成にりミックスをすることを、現場を知っているDJが行うようになる・・・に繋がり、Larry自身も、自身のグルーブを生かした多くのクラブ向けのミックスを作成しています。

 また、この曲のボーカルパートでは、その2枚使いに近い発想で、サビの部分をEQ(アイソレーター)でローを削り、サビを強調しています。

 Larryが現代のHouseに続かせた功績として、プレイ中にオンタイムでEQ調整をしつつ、特定パートを強調(カット)することで曲のグルーブを更に輝かせる・・・今でこそ一般的な行為を、DJプレイに根付かせた功績があるかと思います。
 Larryがオリジネーターとは言い難いですが、異常なまでに音響面に拘ってた観点からすると、プレイ中にその曲が、Paradise Garageのシステムで音が生えるように、EQで音響を調整していたのは当然の流れだし、アイソ使いで曲のメッセージやグルーブを強調し、ダンサーを更に盛り上げていく術は、Larryらしい自由な発想が生きた結果だと思います。


 そして、14曲目で熱く盛り上げた後、またもやのカットインで「Janice McClain / Smack Dab in the Middle」をプレイ・・・9曲目のMelba Mooreと同様に、胸腺に響くストリングスが生きたボーカル曲を入れ、フロアーにいる野郎どもが可憐に踊り狂います!!

 まず、選曲的に注目しないといけないのが、この曲がLarryのミックスが施された曲で、Larry自身この曲に注目をしてもらいたく、ピークにプレイしたように思えます。

 曲的には、LarryやGarageのダンサーが好むようなソウルフルな曲で、随所にストリングスの美しさが生きた楽曲になり・・・もしかしたら、Larry自身もこの曲に自信があってプレイしたのかも知れません。
 その根拠になるのかどうかが分かりませんが、13曲目のChangeが同レーベルの曲をプレイしてて・・・明らかに「この曲」を光らせる為に13曲目をプレイした・・・と思われます。

 そして、選曲的にも最高の流れですよね・・・

 9曲目でピークを作った後、そのグルーブを維持しつつ、熱い曲をプレイして、ダンサーをマッドに踊らせ・・・熱くなりすぎた所で、心に染みるこの曲をプレイしており・・・ダンサー達の胸腺をくすぐり、涙を誘うようなプレイが上手すぎです!!
 上手く表現できませんが、あえてクールダウンをしつつ、心に響くプレイをしてて・・・まるで、Garageの照明が、煌々とした感じから、限りなく透明に近いブルーな照明になっていき、踊っているダンサーが浄化されるような感じで・・・こういう展開は、踊りながらちょっと泣いちゃう展開で、凄い好きです・・・

 盛り場としての「クラブ」を考えると、人々は日々の辛さを忘れる・ぶっ飛ばす為に、喜怒哀楽の「喜」や「楽」を追求しますが、Larryの素晴らしいところは、喜怒哀楽の全てを表現し、Paradise Garageをストレス発散以上の存在にしていたように思えます

 つまり、あえて「泣かせたり」「怒らせたり」することもし、人間の感情面までもコントロールしてたプレイを通して、ダンサーを誰にも出来ない次元まで踊らせていた・・・と考えます。

 それこそ、Larryがプレイする音楽を通して、階下のダンサーと言葉を交わさずとも「コミュニケーション」を取っていたことにつながるのですが、あえて、ダンサーが求めない曲を延々とプレイして、ダンサーを焦らしたり・・・みんなの涙を誘う曲を絶妙なタイミングでプレイしたり・・・人間の全ての感情を刺激することで、誰にも出来ない音楽旅行を実践していたと思います。

 この辺のプレイは、Larryの美意識(ゲイマインド?)の表れでもあるのですが、踊り明かした朝方なんかに聴いたらヤラれますよね・・・elevenだったら、後方の照明が優しく照らしてくれる感じで・・・言葉に言い表せられない絶頂感を演出しています。


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 そして、15曲目でピークを作ったとおもったら、もう一発、ピークを作ろうと、再びストリーメイクをします。

 15曲目のストリングスの生きた耽美な空気を利用し、あえて16曲目では落とした選曲をするのですが・・・当時としてもドマイナーな「Jakki / Sun...sun...sun...」をプレイします。

 まず、先ほどのLPプレイにもつながるのですが、一般が注目しない曲を、その曲の良さを見抜いた上でプレイしてるんですよね・・・
 次の17曲目にもつながるのですが、周りの評価が乏しい曲でも、自分の感性に合う曲はプレイしててヤラれます・・・個人的には、現在のAfro Houseにつながるような、アブストラクトでアフロテイストなリズムを評価してのプレイで、ダンサーのグルーブを失わず、音にハメてくプレイが上手すぎですね・・・


 そして、一度グルーブを落としたと思ったら、逆に場面転換をしたグルーブを生かして「John Gibbs and U.S.Steel Orchestra / Trinidad」に繋ぎ、カリビアンテイストを引き出した、熱い曲で、ダンサーを完全にノックアウトします!!

 これまた、当時としてはマイナーな部類の曲を選んでいるのですが、Larryらしい雰囲気を生かしたグルーブ性の強い曲で、曲を知らないダンサーも踊り狂わすプレイで・・・楽曲の一音一音でダンサーをハメていき・・・最終的なピークに持っていく感じが上手すぎです。
 なんでしょう、今までのピークは、胸腺を刺激する、感情面に訴えるピークの作り方であったら・・・この曲では、問答無用でビートとリズムとメロディーで踊らせて、圧倒的なグルーブで自我を忘れさせてしまうような展開で・・・まるで「とどめの一撃」みたいな展開で、本当に上手いですね!!

 そして、ここでは、あえて「歌」ではなく「曲」で盛り上げているんですよね・・・

 個人的にも、歌で大合唱するのも大好きですが、歌なしの曲で、演奏する楽器の一音一音に踊らさせる展開も大好きで、この曲であれば、サックスのリード演奏に思わず心を囚われ、Joe当たりであれば、それに合わせてアイソで感情を露わにする感じがグッときます!!
 

 また、このミックスで感じるのが、Larryの自由さや、ミックスのタイミングの上手さを感じる点です。

 深く聴いていると、ます、前曲のSunでは、Trinidadのボーカルパートの一部をネタ的にミックスしてるんですよね・・・

 最近は多用する人がいなくなりましたが、通常のDJミックスだと2台のタンテがあれば流れを切らずにミックス出来る訳ですが、もう一台タンテが加わると、その一台でエフェクト的なプレイを追加できます・・・
 Larryはタンテを3台使用しており、最後の曲でも子供の声をエフェクト的にミックスしていますが、オンタイムで音を重ねる琴が多く・・・表現の自由さが表れています。

 そして、この後、これがライブミックスの証拠にもなるのが、16曲目のSunをプレイ中に、17曲目のTrindadを一瞬ミックスしたと思ったら、一度引き下げ、本当に頃合いのいいところでミックスし、最高のタイミングでプレイしています!!
 もしかしたらですが、Larryは次の曲をモニタリングするときに、ヘッドフォンを使わず、ブースのモニタースピーカーで聴いていたので、あえて入れてみて、調子を伺った上でミックスしたのかも知れないですね・・・

 ミックスCDなどと異なり、この作品は「ライブミックス」になり、考え抜いたミックスの流れは無く、その場で思いついたミックスをしてるので、ミックスの間違え的なプレイも出てきます・・・ 
 ただ、ここで凄いな~と思うのが、Larryの野生の勘じゃないですが、ミックスが荒かったり、タイミングが少し間違えても、最高の流れで繋いでくるんです・・・LarryがDJ技術の人ではなく、技術以上にDJミックスの先にある「グルーブ」を念頭においているのが分かる点じゃないかと思います。



< 結 >

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 そんな訳で、17曲目で頂点に引っぱったと思ったら、更に追いうちをかける意味で、18曲目では「The Chi-Lites / My First Mistake」の中盤からの熱い部分(Danny Editでお馴染みの部分)からプレイし、グルーブを更に熱く引っ張りつつも、作品上、終焉に向かう為に、19曲目で「Jermaine Jackson / Erucu」に繋いで、チョパーベースのファンキーさにヤラれつつも、ダンスの余韻を残しながら終わります・・・

 この音源は、当時のライブプレーの音源で、この流れが、本当の終わりに向かっているのかは分かりませんが、作品上としては本当に良い締め方だと思います。
 DJプレイと言うものが、Mancusoの言う「飛行機理論」に当てはまるのであれば、空港に降り立つ際も優しく着陸しないと、ダンサー達が上手く現実に戻れない・・・みたいな考えがある中で、90分程度のミックスの中で、こういう展開にしているのは上手すぎですね!!

 特に、これもライブミックスらしいな~と思うのは、DJミックス作品であれば、大ラスとしての「結」を演出するのであれば、何らかの驚きや感動を与える展開を作るはずなのに、これを聴いてると、Larryが次の展開を意識して、あえてブレイクをおいてる感じがして・・・凄いイイですね!!

 この「ミックス作品」を作った側としては、90分という、Larryのクラブプレーにおいては短い時間ではあるが、作品としては素晴らしいまでの起承転結を作り、ミックスの最後としてパーフェクトな切り方をしていますね・・・
 
 ただ、フロアーで聴いてたら、曲のグルーブは落とす方向であっても、次の展開に「期待」しちゃう鳴らし方だと思います。
 このCDでは、この曲で終わってしまいますが、もしかしたら本当の録音では次の曲がプレイされているかも知れないですね・・・フロアーにいると、ビートを聴いて踊りながら「次にこの曲が来たら気持ちいいな~」と思いながら踊っているみたいで、Larryらしく、客が踊り終わるまではパーティーは終わらない感じがして・・・グッときました!!





(3)まとめ

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 いや~、総合的に説明しようと思って書いていましたが、なんか長いだけで、上手くまとまらなかったですね・・・やっぱり、この作品の紹介は難しいです!!

 そんな訳で、以下でこの作品の意味や価値をまとめてみたいと思います。


①理想的なDJミックス

 まず、久しぶりにミックスの流れを全て紹介してしまいましたが、個人的にはかなり理想的なDJミックスになっているかと思います。

 いわゆる「起承転結」型のミックスになり、割とシンプルな駒の進み方はしていますが、絶妙な選曲で確実にグルーブを上げていくミックスは素晴らしすぎです。
 また、選曲のアイデアや意外性のあるプレイ、そして愛のあるメッセージなど、階下のダンサーに刺激を与えつつ、段々とLarryのDJにハメていき、ダンサーを踊らしていく手腕も素晴らしいです。

 そして、あえて今まで書きませんでしたが、このミックスがプレイされたのは「1979年」です・・・1979年の時点で、ここまで高度なDJミックスを行っていた点には驚愕を覚えます!!

 確かに技術面での荒さなどは感じる部分はあるのですが、圧倒的なグルーブを前面に押し出したプレーは、色々な面で技術が進んだ現在でも表現できないことじゃないかと思います。
 とにかく「ダンス」を念頭においたDJプレーが秀逸で、下手な小細工はなく、Larryの感性やアイデアのみで突き進んでいくDJは素晴らしく・・・このスピリットこそが重要だと思います。


②Larryへのリスペクト

 そして、前文でも触れましたが、このミックスは「ミックス作品」として作られた訳ではなく、通常のクラブ営業の中でのDJプレイから「抜粋」をした作品になります。

 今回の私の説明では、このライブミックスをクラブで踊りながら聴いている視点と、ミックス作品を聴いてる視点の二つで書いてみましたが、個人的にはこの二つの視点を満足させる内容になっていると思います!

 普通のライブミックスであれば、その場で聴くと瞬間芸術的に素晴らしさを味わえるのですが、それを後で音源だけ聴くと平坦に感じる場合もあり・・・ライブミックスとミックス作品は異なるモノと考えています。
 この限りにおいて、この作品に関してはLarryの素晴らしさを表現するために、かなり考慮した上で抜粋をし、結果として「ミックス作品」としても通用しつつ、当時の熱いライブの内容を詰め込んだ・・・比類出来ない内容に仕上げたと感じます。

 これに関しては、Mel Cheren氏をはじめ、製作にあたったスタッフの方々の手腕と、何よりもLarryに対する愛があっての賜物だと思います!!

 みんな、Larryに対して愛や感謝があり、Larryの功績を残すべく、最大級の愛をもって作られた・・・文章に起こすと、ちょっと恥ずかしい表現になりますが、Larryに対する「リスペクト」があって生まれた作品だと思います。


③みんなの思いが一つに・・・

 また、こういったリスペクトは、製作者側だけではなく、聴いているリスナー側にもあり・・・この積み重ねが結果として、この作品を「かけがえのない作品」にしていると思います。

 まず、私がHouseの現場に通うようになり、最初は驚きましたが、次第にその考えが好きになった一つとして「クラシック」という考え方があるかと思います。
 つまり、良い曲は、それが大昔の曲でも、人々が愛し続けることで曲が成熟し、どんなにカッコいい新曲にもかなわない・・・みんなの思いが重なった素敵な曲になります・・・それがクラシックだと思います。

 Larryのこのミックスは、79年の時点では当時として新曲に近い曲が多かったかも知れないですが、今でも大切にプレイされているクラシック曲が多くプレイされています・・・
 それは、フロアーで踊ることを愛している現在のダンサー達であれば、Larryや、Larryの意思を継いでいったDJやダンサー達が愛した末に「成熟した曲」として聴いており・・ダンスを知らない人よりも素晴らしく聞こえています・・・・

 また、それらの曲は、自分の力だけでは達成ができず、時代を超え、フロアーで踊ったりDJをしている「みんなの力や思い」があって初めて生まれた・・・みたいなことが理解できれば、この作品に対してオリジネーターへのリスペクトみたいなのも生まれ、この作品が愛してやまない存在になります。

 歴史の積み重ねと言えばそれまでですが、今も昔も変わらない、ダンスフロアーの熱が感じられるこの作品は、現在のクラブの源流でありながら、その熱意の拠り所でもあり・・・様々なリスペクトが蓄積し、どんな作品にも敵わない存在になっています。

 ちょっと、抽象的な表現になっていますが、この作品は、単なるミックス作品ではなく、製作した方や、そしてこれを聴いている者が、Larryやダンスミュージックを愛し、その思いが「一つ」になった結晶がこの作品だと・・・私は思います。
 つまり、みんなの思いが重なり、その結晶は、結果として誰にも作れない宝石になり・・・その輝きはLarry LevanとParadise Garageの功績を称え続けるでしょう・・・・


④最後のまとめ

 今回は、ホント作品紹介を書く以上に、この作品の魅力をどうやったら伝えられるかが難題で・・・予想通り大変でした(^^;)

 実際のCDもかなり聴きこんだり、将棋の棋譜じゃないですが、Larryの選曲通りDJ(!)をしてみたり・・・結構、自分を追い込んで(?)書いてみましたが、どうでしょうか?

 Larryなり、この作品を知らない方にとっては、なんでこんなに書いてるんだろう?と思うかも知れないですが、今回に関しては、この作品やLarryに対しての「リスペクト」があったので、頑張って書きました・・・ちょっと書き足らないこともありましたが、ある程度は固まったかと思います。
 この作品が好きな方なら、私の紹介を読んだことで、更にこの作品が好きになってくれれば嬉しいし、この作品なりLarryを知らない方が、今回の紹介で興味をもって、作品を聴いてくれるのであれば、もっと嬉しいです!!

 何よりも、このブログのポリシーである「DJミックスをすることでプレイする曲が光る」ということが最大限に生かされた内容であることは間違えなく、絶対にお勧めな作品です!!





<Release Date>
Artists / Title : Larry Levan 「Live at the Paradise Garage」
Genre : Dance Classics、Garage、Soul、Disco・・・
Release : 2000年4月
Lebel : Strut(UK) STRUTCD 006





<おまけ この作品に関するあれこれ>

 個人的には、本当に影響を受けた作品で、作品紹介では入れられなかった情報も沢山あるので、以下にまとめて記載をしておきます・・・まあ、マニアの独り言みたいなものかも知れません(^^;)


①日本流通版、アフタープレスについて

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 この作品は、リリース時にP-Vine Recordsより日本流通版もリリースされていました。

 写真の右のが日本版で、UKプレスのCDに巻き帯をした内容になり、そんなには特色がありません。
 個人的には、日本版には解説が付くようなので、探して2枚目として買いましたが、UKプレスに付属していた詳細なブックレットの解説(日本訳)ではなく、King Street SooundsのHisaさんによる回想録的なのが帯に書いてある感じで・・・う~んという感じです。

 また、この作品は、リリース後にジャケを差し替えたアフタープレスもあります・・・が、正直書くと、ジャケに愛を感じられず、こちらも「う~ん」ですね(^^;)
 もし、この作品を真剣に聴きたいのならば、ちょっと出費をすることになりますが、今回のオリジナル版の入手を強くお勧めします。


②アナログ版について

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 この作品では、CDがリリースされた同時期に、アナログファン向けに、Larryがプレイした曲をアンミックスで収録した3LPのアナログ版がリリースされています。

 オリジナル曲を揃えるのも結構大変なので、ファンには嬉しいし・・・何よりも、CDと同一ジャケで、CD同様に蓄光し、サイズが大きいので、夜はカッコよく光っています!!
 この装丁だけでファンにはグッときます・・・こういう所にも制作者側の「愛」を感じてしまいますね!!


 また、本文中では、あえてアナログマニア的な話を入れなかったので、ここで入れておくと・・・コレクション的にはマダマダです。
 1曲目のBourgieはプレスミス盤(スピートアップ盤)で、昔に結構高額な値段で買いましたが、ミス無しのがやっぱり欲しいし・・・最後のErucuだと、数年前にイタリア盤のみの12inchを買い逃して以降、全然出てこないし・・・道はまだ長いです(^^;)

 また、地味な話題としては、記事を書き始めた先週末に、Chi-LiesがDanny Editの12inchしか持ってないことに今さらながら気付き、このミックスの収録時期を考えるとLPでないとダメだな~と思い、この文章を書きつつ、地味に都内のレコ屋を捜索してました・・・
 んで、こういう時に限って、全然見つからない中で、記事のアップの直前で、下北のユニオンで見つけ、一安心をしました(^^;)
 


③Larryの他の作品

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 Larryに関しては、これだけ超重要な存在なので、各種コンピレーションなどは多くリリースされていますが、DJミックスの作品となると、正式にリリースされた作品は少ないです。
 記憶だと、今回紹介した作品と、数年前に5CDでリリースされたMinistry Of Soundの記念CDボックスぐらいしかありません。

 ただ、DJミックスについてはビックリするぐらい音源がネット上にアップされており、興味を持った方はそちらから聴いてみてもいいかも?
 お勧めは以下のリンクになります。

・ Deep House Page 
    膨大な量のアーカイブが残っているので、検索して聴いてね!
・ Unity Records 
    Larryを体験し、Larryを愛したDr,Koyamaさんのサイトで
    1990年6月に初来日した際の音源がアップされています。
    Koyamaさんによる解説も必読です!

 これ以外にも、色々とお勧めがあり、最近だと昨年、UKのBBCラジオで放送されたGarage最後の夜のプレイ(5時間も放送!)がヤバく、色々なところで上がってるので探して聴いてみてください。

 ただ、私個人の考えですが、ライブミックスはライブミックスなので、普通に聴いてると意外と平坦でグッときません・・・それこそ、今回の作品紹介につながるように、ある程度「形」になってこないと楽しめません・・・

 それでいくと、私的には、このブログらしく「ミックステープ」はバッチリなフォーマットで、Larryのテープは凄い探しているテープの一つになります。
 
 実は、Larryの伝説を伝播させた一つとして「ミックステープ」の存在は大きく、Garageがあった時代も、Garageが無くなって以降もアンダーグラウンドで流通してたそうで、こういうのを聴いてDJを学んだ方が大変多いかと思います。
 手持ちのテープを紹介しておくと、上記の写真のがそうで、亡くなる数ヶ月前にShlterでプレイした内容で、当時のHouseと共にGarageクラシックを自由にプレイしてて・・・グッときました!!
 
 Larryのテープ、これからも頑張って探したいと思います・・・個人的にはGoldでのプレイを収めた3本組みのテープがトップウォントです!!



④解説本・関連本

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 今回の作品紹介にあたっては、個人的にクラシックな書籍「沖野修也 / DJ選曲術」を参考にした・・・いや、コレを越えようとかなり気張って書いてみました。

 ・ 「沖野修也 / DJ選曲術」

 この本は、有名DJ/Producerである沖野修也さんが、DJの技術における「選曲」という点を詳細に説明をした本で、読んだ方も多いかと思いますが、この本の中で、このLarryのCDの選曲を沖野さんの視点で分析をしており・・・これが明快で素晴らしすぎます!!
 詳細は本書に譲りますが、DJ/ミュージシャン視点で語られており、繋ぐ曲の音楽的要素を図表化した上で、かなり細かく分析をしつつ、ロジカルな評論が冴えてて・・・大変参考になります。

 ただ、沖野さんの説明の仕方を真似する訳にはいかないので、結構悩んだ上で、私にしか出せない視点として「ダンサー視点」を入れた上で書いてみました・・・沖野さんのがブースからの視点であれば、私のはフロアーからの視点で書けたかな~と思います。
 でも、文章量は明らかに異なり、沖野さんなら簡潔に書ける内容が、毎度の長文になってしまい・・・そこは越えることができませんでした(^^;)


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 あと、手前味噌で恐縮ですが、今回のCDを紹介するに当たり、自分の中で知識を増やしつつも、テンションを上げる為に書いた記事も、このCDを理解する上で格好の教材になるかと思いますので、リンクを張っておきます。
 お時間があれば、是非読んでみてくださいね!!

・ DJ関連書籍 「ダンスカルチャー 歴史・紹介本」
・ Danny Krivit 「Maestro」




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 毎度のことながら、今回も書きましたね・・・ほんと、いつも長くってすみません(^^;)

 とりあえず、Larryプロジェクト(?)はコレにて一旦終了です・・・無事に書けて良かったです。

 今年の夏も、どういう訳だか忙しそうな日々になりそうですが、まだ、夏ネタが色々とありますので、楽しみにして頂ければ幸いです。
 
 また、本当は、ここで「独り言」として書かないといけない話題(某所でのテープセール)があるのですが、Larryの記事には書かない方がよさそうなので、それは次回で・・・
 あと、今夜、NoriさんによるLarryを忍ぶパーティーがあるそうですが、今回の記事を書いてたら、満身創痍で疲れてしまったのでアウトです・・・これから風呂屋に行って、疲れを癒しつつ、酒を飲んで潰れたいと思います・・・(--;)


 そんな訳で最後に一言・・・

 Larry、素晴らしい音楽を与えてくれて、ありがとう!!





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