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素晴らしき「DJ機材カタログ」の世界 別館② Vestax(ベスタクス)
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 この記事は、DJ機材メーカー「Vestax(ベスタクス)」について、以下の記事において書ききれなかった内容を紹介する記事になります。以下の記事と合わせてお楽しみください。

   素晴らしき「DJ機材カタログ」の世界





(1)DJミキサー

 今回、メインの記事の方では、なるべくVestaxの功績や影響などの総論的な内容を書きましたが・・・もー、まだまだ書きたいことがありましたので、こちらではアウトテイクな内容で攻めたいと思います!
 ただ、ベスタクスに関しては、並々ならぬ思いがあるので・・・私視点で、以下でその思いを爆発させたいと思います!!

 そんな訳で、カテゴリー分けは適当ですが、一発目は「ベスタ製のミキサー」について、もっと深く紹介をしたいと思います!!
 ベスタのミキサーに関しては、ホント色々とあり、それぞれが個性的で、今でも印象的な機種が多く・・・やっぱり素晴らしいメーカーだったんだな~と思いました。
 なので、印象的なミキサーを順不同に紹介しますね!!


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『DJミキサー PMC-20SL』 90年代初期

 いや~、2色刷りのカタログの為、見づらくって申し訳ない・・・ただ、一発目から伝説のミキサーの紹介です!!

 あのDJ Krushさんが未だに使い続ける名機「PMC-20SL」と、その関連商品の一つである「PMC-15SL」ですね・・・もはや20SLは「Krushモデル」として有名で、未だ人気な機種になります!!

 今となっては、こういった横長の機種は殆どありませんが、90年代初期ぐらいまでは、アメリカやヨーロッパでの流れから、こういった横長のミキサーが主流で、最低でも3ラインぐらいはインプットがある機種が流行っていました。
 イメージとしては、タンテとタンテの真ん中にミキサーを置くのではなく、タンテ類を並べた下に斜めに置く感じで・・・それこそParadise Garageなんかのイメージが近いかもしれないです??

 その流れで作られたミキサーの一つがこの20SLで、肝は型番の「SL(=SampLing)」が示す通り、ミキサー内にサンプリングパッドとデジタルディレイが内蔵した珍しい機種で・・・これがKrushさんが使い続けている理由になります。

 Krushさんのプレイは、正にアブストラクト的なメガミックススタイルのDJプレイで、リアルタイムでネタのサンプリングやディレイをかけながら構成するスタイルで、唯一無二なプレイですね・・・それを、直感的に実現できるのが20SLといわれ、その独特のサンプリング音もKrushさんが愛してやまない理由のようです。
 正直、この位の時期のミキサーって、フェーダーがメチャクチャ固く、今となってはかなり使いづらい存在なのですが、Krushさんの場合は、自分が目指す音楽を一番イメージできる機種が20SLのようで・・・ベスタクスの良さを表す「直感でプレイできる」点を表す代表例かと思います!


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『DJミキサー PMC-05FX』『DJミキサー PMC-05MKⅢ』
共に90年代初期~中期

 そして、この辺の大きさのミキサーになると、一部の方には見慣れた大きさ、今の人からすると小さいな~と思う大きさでしょうか?
 先ほどの20SLなどのサイズのちょうど半分ぐらいのサイズで、当時はコンパクトミキサーなんて呼んでいましたが、タンテとタンテの間に鎮座するにはちょうどいい大きさですね・・・

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 まず、私的な話で申し訳ないですが、右の「PMC-05MKⅢ」から紹介します・・・はい、私が初めて使ったミキサーです(^0^)

 残念ながら、5年ぐらい前に引っ越しをした時、既に使ってなかったので何も考えずに捨ててしまったので、今は手元にないのですが、私が高校生~大学生の間は愛用をしていた機種になります。
 一応、引っ越しの前に写真だけは撮影してたので、資料として掲載をしますが・・・Manhattanの値札や、Shadowの2ndのシールなど、時代を感じますね・・・あと、この色が本文でも指摘した「ベスタカラー」で、この地味な色合いが、マニアにとってはたまりません(^^;)

 この機種、ほんと必要最低限の機能しかなく、GainやEQなど、今であれば付いてて当たり前の機能が一切なく、ホント「基礎も基礎」の機能しか付いていません。
 でも、全然不自由なくDJミックスを楽しんでいたような気がします・・・むしろ、EQ付きのミキサーに変えて、これはどう使ったらいいんだろうと迷ったぐらいです(^^;)

 また、フェーダーが今と比べると固く、当時はその固さで「スクラッチ筋」を鍛えたものです・・・まあ、フェーダーも使い始めると徐々に柔らかくはなるのですが、当時のは非接触型ではなかったので、消耗が激しく、フェーダーを定期的に掃除したり、ダメなら交換をしたり・・・結構厄介な存在でもありました。
 ただ、この機種のフェーダーは裏技があり、私の機種ではある程度フェーダーを使いこむと、フェーダーの接触部分がカタカタするので、横方向にしか移動しないフェーダーを上に押すとLかRかのどちらかの音しか鳴らず、スクラッチしながら自動的にLR振り分け(パンニング)ができる技が使えました(^^;)
 
 んで、カタログに話を戻すと、左のはレアな一品で、あのNYのHipHop系DJの大御所であるFunkmaster Flexの意見を元に作られたPMC-05のシグネイチャー・モデルになります!
 内容的には、MKⅢよりもやや横長なサイズで、白地の塗装で、真ん中には真っ赤なベスタマークが配置されている、ベスタらしい地味に派手なモデル(?)で、特徴的なのはマスターフェーダーがLとRで2本付いている内容になります・・・交互に上下すれば、マスターでLR振り分け(パンニング)が出来る感じですね??

 ベスタに関しては、有名DJの意見を聞いて、かつそのDJの名前を授かったミキサーをたまに作ってて、それこそ、次に紹介する07Proの「ISPモデル」、PMC-05Proシリーズであれば「Q-Bertモデル」、また、テクノだとCarl Coxと作り上げた「PMC-CX」、そしてレアな所だと藤原ヒロシさんとコラボした「PMC-30 Hiroshi Fujiwara Model」など、ボチボチあります。
 ただ、この辺は、現行品として真剣に売っていく考えはそこまで無かったようで、どれも限定生産で、どちらかというと話題づくりで作った感はあります・・・ただ、ISPモデルとかは流行りましたね!!


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『DJミキサー PMC-07Pro ISP』 1999年ごろ

 そして、このひとつ前でシグネイチャーモデルとして触れたISPモデルがコレですね!

 この機種は、本文でも紹介したPMC-05Proの更に上位機種に当る「PMC-07Pro」を、当時ターンテーブリスト界では最強を誇っていた「Invisibl Skratch Piklz(DJ Q-Bert、Mixmaster Mike、Shortcut・・・)」との共同開発で生まれた、最強のスクラッチミキサーです!

 まず、銀に青というカラーで、その色合いにはビビりましたが、ISPらしくドマニアックな機能として、スピーカーを4本配置(2つのアンプシステム×スピーカー2本)している前提であれば、その4本から出る音を調整することができるノブがついているのには・・・ビックリしました。
 つまり、音を立体的に操ることが出来、実際にこういったシステムがあるクラブやセットのみでしか出来ませんが、中々面白い仕組みを組み込んだミキサーですね。

 ISP自体、セッションプレイを前提に考えているので、複数台のミキサーやタンテと接続が出来るセッションミックス機能が内蔵されたo7Proで自分達用にアレンジしたのには納得でき、やはりDJの声を生かした製品づくりの上手さがでたミキサーかな~と思います。

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『DJミキサー PMC-06Pro』 1996年~

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『DJミキサー PMC-O6T』 1997~98年ごろ

 関連なので、ダブルで紹介しちゃいますが、ベスタクスは、ほんと「現場のDJ」の声を聞くのが上手かったメーカーだな~と思います。

 特に、スクラッチ(ターンテーブリスト)系のDJの要望に応えるのが上手く、2台のターンターブルで交互に音を出しあうテクニックである「ジャグリング」を実行しやすくするため、ミキサー幅を極端に狭くした「PMC-06Pro」(画像上)などは、その好例じゃないでしょうか?
 06も結構流行った機種で、タンテを縦置きにする前提から考えた大きさは絶妙で、これも使ってた方が多いと思います・・・その後、その幅を更に短くした「PMC-O6T」(画像下)では、もはやヤリスギな幅の狭さまで縮めた機種を出すなど、ほんとDJの声を生かしたメーカーでした!!

 今のデータなどを前提としたミキサーやDJボードと比べると、どのミキサーもシンプル極まりない内容かもしれませんが、どの機種も、そのDJが肉体と感性を駆使してミックスするために「使いやすい」内容になっているのがVestaxの特徴で、その特徴を生かすべく、様々な現場に足を運び、DJと交流をしたことがポイントになると思います。

 ある時期、日本に来日したDJ達の大半は、日本に来るたびに三軒茶屋の奥にあるベスタの本社に押し寄せ、新商品のチェックや、自分が欲しい機材の相談をした・・・そんな話も聞いたことがあります。
 Vestaxは、絶えず「DJ達の声」を尊重し、それを素直に作り続けた真面目さが人々に愛される機器を作ったんでしょうね・・・


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『DJミキサー R-1 Premium』 2001年

 なんか、私の青春時代と被るので、どうもHipHop中心になってしまいますが、HouseやTechnoなど、他のジャンルでも使えるミキサーはしっかりと作っており、その代名詞はコレじゃないでしょうか!

 ベスタが2001年ごろに満を持して発売したミキサーで、House向けの最上級ミキサーとして話題になった「R-1 Premium」です!

 内容に関しては、徹底的に良い音を出す為に部品や配置をメチャクチャこだわった仕様で、価格も30万オーバーの最高級品で、その後も後続機が出るなど、ベスタが誇りをもって作り続けたミキサーになるかと思います。

 当時は、あまり音楽の知識が無かったので、なんでこんなにクソ高いミキサーを作るんだろう・・・と思っていましたが、今だから思うのは、きっと、ベスタとして「Urei1620」に勝ちたい為に作ったミキサーなのかもしれないですね。

 Houseに疎い方だと分からないかもしれませんが、NYラインのHouse/Dance Musicシーンでは、独特の音質の良さから1970年代~80年代に生産された伝説的なダイヤルミキサーである「Urei1620」を使い続けており・・・未だにコレにまさるミキサーがないという位、愛され続けているミキサーになります。
 私自身も、音に関しては絶大な信頼を寄せるミキサーで、特にクラブ等の大きなスペースで出した出音の豊かさといったら最高で、どんなに派手なライティングや内装のクラブでも、ミキサーだけは当時の1620を使ってるクラブも多く・・・もはや、永遠のミキサーかもしれません。

 ただ、DJ機材メーカーとしては、このUrei1620が現場で珍重されている限り、自社の商品が売れないというデメリットがあります・・・

 実際、ベスタも、Ureiサイズのダイヤルミキサーを多数リリースし、PMC-46などのヒットした機種もありますが、実際に現場に出向くと、本気でダンスミュージックをプレイするDJほどUreiを指名してたのでしょう・・・その点が、きっと、メーカーとしては苦々しいのでこのR-1を作ったのだと思います。
 変な話、Ureiを超えないと、Houseシーンで売ることが出来ないと思ったんでしょう・・・そのチャレンジャースピリットがあり、実際に仕上がったR-1は音質面では大変評判で、凄い売れた機種ではなかったですが、かなり評価されたミキサーだったと思います。

 結果的に、Ureiは超すことが出来なかったかもしれないですが、こういったチャレンジスピリットがあるのも、ベスタの魅力かもしれません!!


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『DJミキサー PMC-CX』 2005年ごろ

 最後は、どうも古い機材ばかりを紹介してたので、00年代に入ってからのミキサーも紹介です。

 Houseラインのミキサーも出したので、Technoラインのミキサーとして、あの有名DJ「Carl Cox」の意見を踏まえて作成されたシグネイチャーモデル「PMC-CX」のカタログです。

 内容としては、各CHにフィルターが設定されていることと、DCR1200系統のアイソレーターが備わっているあたりが特色で、純粋なTechno系とは言えないですが、Carl Coxの要望を多く取り入れたミキサーのようです・・・
 Technoというと、Rodecのような各CHの縦フェーダーでミックスするイメージがありますが、このミキサーの某開発裏話を読むと、Carlの手が大きいことから、こういったHouse的なフィーリングの内容になったようです??

 んで、なぜ、このミキサーを紹介したかというと、二つの理由で紹介をしました。

 まず、一点目は、このカタログ自体の話になるのですが、ベスタは、一般の消費者向けのカタログに加えて、いわゆる「販売店」向けのカタログ(仕様書?)も作っており、それが店頭でのカタログのような位置づけで配布がなされていました。
 そのカタログにおいて、紹介している機種の販売店向けと思われるのがコレで、詳細な特徴が書いてあったり、裏面には電気回路の構図(!)が書いてあったり・・・全く持って一般向けではないモノになります。

 ただ、私がたまたま貰えただけかもしれないですが、そういった販売店向けの資料も、ベスタ商品に関しては、他社以上に店頭で一般顧客に対してカタログのように配布をされていたかと思います。
 他の機材でも、特に新商品が出た時は配布されてて、私も流れで貰っていましたが・・・きっと、他社にはない「ドマニアックな機材」を作ってた会社なので、これらの資料が一般的なカタログ以上の「カタログ」として配布されていたのかもしれません・・・

 また、2点目としては、最近うすうすと気づいてたことですが、こういった「過去の名作機材」が評価されつつあることに気づいたからです。

 この記事を書いてて、たまたま目にしたのですが、常設の販売店において、中古DJ機材をマッシブに扱っているユニオンの渋谷クラブ店で「ベスタ機材の買い取りリスト」が公開されていました・・・
 そこに、このCXが掲載があり、当時の定価からしたら安い金額ではありますが、リストに掲載がある時点で、評価がある訳です・・・その他の機材も、割と納得がいく理由で評価がされているな~と思いました。

 つまり、何を言いたいかというと、ベスタ商品は、その品質と内容の良さから「時代が変わっても魅力が変わらない」ということです。

 まあ、このリストでは、流石に現代でも使えると言う意味で、ミキサーに関してはベスタ末期(00年代中盤以降)がリストアップされていますが、私も渋谷店の考えと同様に、もっとベスタ商品は評価されるべきだと思っています。
 それは、本編でも書きましたし、この別館記事でも書きますが、ある意味、DJ機材の「Rare Groove」なんだと思います・・・ベスタ商品を含め、過去のDJ機材の見直しも必要かな~と思います(^0^)
 




(2)ターンテーブル各種

 ミキサーと並び、ベスタを代表するのは「ターンテーブル」ですね!

 アナログ用のタンテについては、テクニクスの牙城を崩すべく、色々と努力をしましたが、結局はテクニクスは超えられなかった・・・と思います。
 ただ、製品の質はピカイチ、そしてアッと驚く製品を多く作っており、アウトテイクのこちらでも色々と紹介したいと思います!


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『アナログ用ターンテーブル PDT-6000』
『アナログ用ターンテーブル PDT-5000』 共に90年代中頃

 まず、今となってはベスタ初期タンテの名作はコレじゃないでしょうか?

 当時としては、DJ向けに開発されたPDT-5000と、そのハイエンドモデルとして後にリリースされたPDT-6000という機種で、画像の写真ではISPの面々が写ってるのでスクラッチ系と思いますが、割と幅広いジャンルのDJに指示されたモデルになります。
 まあ、テクニクスと比べると、数は全然かもしれないですし、ベスタらしい地味であか抜けない感じがなんともですが、パワフルなモーターと防振性や再生の安定感はこの当時から兼備えていたようです・・・

 ただ、この機種については、発売時よりも、10数年経った00年代中頃~末に突如として評価された機種かもしれません。

 というのは、DJ MarboさんやMasanori Ikedaさんを始めとする東京の一部のDJ達が、トランスの曲を必要以上にピッチダウンしてプレイするスタイル「Tokyo Balearic」としてプレイする際、この機種だとピッチダウンしても安定的に再生できることから、突如として再評価された経緯がありました。
 詳細は、以前私が書いた「この記事」を参照ですが、特にPDT-6000の評価は高く、今では一部の好事家にレアタンテとして崇められている一品です・・・

 本編のQFOでも書きましたが、ベスタ製品って、普通に発売している時はそこまで評価されないけど、忘れた頃に突如として評価されるんですよね・・・
 メーカーとしては、たまったもんじゃないですが、何よりもベスタクスの品質の良さが、時代を超えても評価される為かもしれないですね!


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『アナログ用ターンテーブル PVT-e2』 2001年ごろ

 そして、ベスタに関しては、テクニクスの牙城を倒すべく、色々なタンテを作りましたが・・・結果的に珍品系のタンテ(?)になっちゃたのも多いかな~と思います(^^;)

 その一つとして、本編においては機種名だけ登場したタンテで、タンテを斜めにしても再生できる「PVT-e2」を紹介します。

 これになると、DJ向けの機器ではないですが、ある時期、DJ向けだけではなく、ホームリスニング向けにも販路を開こうということで、ベスタらしい発想の元、そういったホームリスニング向け商品も発売されました。

 その中でも、これはなかなかの技術品で、斜めにしても再生できるタンテになります!

 タンテが斜めでも再生するということは、モーターが強力で、かつアームが正確にレコード盤をトレースすることが出来ないと恐らく再生が出来ないので・・・このタンテも、ベスタの技術の結晶が結構詰まった一品かもしれません。
 また、デザイン的にも面白く、回転するレコードを見ながら、音楽が聴けるっていうのは面白いですね・・・ホームリスニング向けだけど、恐らく、オシャレさん(?)向けに開発された商品だったのかもしれないです??

 ただ、DJラインからすると、全く実用性がないので、ほぼ全ての人がドン無視でしたね・・・私も、これが存在してたことを忘れてました(^^;)
 う~ん、今だと、一般の人たちがオシャレラインでレコードを聞いてたりする人が増えているので、今の時期に売ったら結構反応があったのに・・・ほんと、イイ意味で時代を先に読み過ぎていたメーカーですね(^^;)

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『アナログ用ターンテーブル+ミキサー Groove Caster』 参考商品

 そして、これが噂ののギター型です、フェンダー的なデザインがイカします!

 これは、本編で触れたQFOのプロトタイプとも言えるブツで、実際に販売はされなかった参考商品ではありますが、ベスタらしいぶっ飛んだ発想で作られた珍品です。
 恐らく、先ほど紹介したPVT-e2の斜めにする技術を、DJ向けに何か使えないかと考えた結果、ギタリストが経ちながらギターソロを奏でるように、スクラッチャーが立ちながらスクラッチソロをキメる姿を想像したんでしょう・・・その発想力がベスタです!

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『CD用ターンテーブル+ミキサー(?) S-1』 2006年

 なお、このギター型は諦めてなかったようで、2006年ごろには「S-1」なるCDを操るギター型のタンテ+ミキサーな商品が、限定20本のみ受注生産されたそうです・・・
 コレに関しては、コメントのしようがないですが・・・本当に売れたのでしょうか?? でも、こういった発想力豊かな姿勢はベスタです!!


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『アナログ用ターンテーブル Controller One』 2005~06年ごろ

 んで、これは、正直、私の中では記憶が全く抜けていたタンテですが、ベスタらしい発想力の元で生まれたタンテです?

 この機種は、あのD-Stylesが製作に関わったと言われるタンテで、ベスタの当時のインフォによると、ターンテーブルというよりは、もはや「楽器」のような位置づけでリリースされたようです。

 基本機能は一般的なアナログ用ターンテーブルと変わらないのですが、「音階モード」というのが付いており、コレが肝になるそうです・・・
 どういうことかと言うと、よく、バトル系DJが「ピー」というズーっと鳴り続けている音を利用して、ピッチコントローラーでピッチを変えるとことで、音のオクターブが変わる仕組みを利用して、それでメロディーを紡ぎだしたりする技があります・・・

 そして、このタンテは、その技をもっと簡単に、いや複雑なメロディーを出すための仕組みを搭載したタンテで・・・タンテで音楽を奏でる為に作られたと言っても過言ではないブツになります!
 これに関しては、もはや私の理解度を超えているタンテで・・・実際につかうと「こんな感じ」のようですが、無理してタンテで音階を作らなくても、キーボードで簡単にメロディーが出せるのでは・・・というのは愚問でしょうか(^^;)
 

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『ポータブル・アナログ用ターンテーブル Handytarx』 2002年ごろ(?)~

 なんか、ベスタのタンテは珍品ばかり紹介してしまったので、最後は真面目な紹介を・・・

 純粋なターンテーブルとは言い難いですが、持ち運びが出来るポータブル用として発売された「Handytarx」は、正にベスタクスらしい商品だと思います。
 
 こういったポータブルなタンテは、業界的にはニッチな商品ではありますが、手軽にレコードが聴けるので、ライトユーザーには人気があり、それまで国内のコロンビア製のGP-3などが主流でしたが、これはベスタらしい品質の良さが光った逸品だと思います。
 内容的にはベルトドライブになってしまうものの、音量はフェーダー式、そして小さいながらピッチコンも付いてたり、ラインアウトやヘッドフォン・アウトも付いており、実はかなり本格的なタンテだったと思います。

 特に喜んだのが、海外を転戦する国内のレコード・ディーラー達で、品質の良さから海外へ買い付けに行った際、視聴用にフル活用していたディーラーさんが多く、国外のディーラーにも人気になった逸品と言われています。
 特に、乾電池で駆動することと、わりと丈夫な蓋がついていていて、持ち運びに便利だった事がポイントのようで・・・やっとカタログ自体の話になりますが、カタログのページをめくると蓋が取れるような記事構成になり、あか抜けないベスタにしては頑張ったデザインのカタログかと思います(^^;)

 また、ここ最近の45人気にも関係するのですが、45をプレイするのに丁度良い大きさだったことから、あの45kingがこの機種で「DJセットを披露」して以降、再注目された部分もあると思います。
 これは、ラインアウトがあることと、DJプレイもしやすい配置になっていたことから実現出来たことで、有名オンラインレコードショップであるBBQ Recordsの店主さんは、このHandytraxを元に超カッコいい「ポータブルDJセット」を作成し、昨年の下北ユニオンのイベントでは、Kocoさんが「超絶プレイ」を行う等、生産終了後も大活躍をしています!

 結局のところ、ベスタの商品は「後になって評価される」ということを再認識させる紹介になっちゃいましたね・・・

 ただ、作った時点で「品質が良い」や「DJのことを分かっている」点が大きく働いていたからこそ、後になってちゃんと評価されたのかもしれません・・・
 タンテというと、どうしてもテクニクスの方にばっかり話が行ってしまいますが、ベスタもベスタらしい商品が多く、それらは今後も使われていくことでしょう・・・





(3)その他の機材など

 どうしてもミキサーとタンテが中心になりがちですが、その他の機材の方が他社が作らなかった(作れなかった?)ことで、ベスタの独壇場になったり、極めてベスタらしさが出た商品があったり・・・もっと注目をしても良いかと思います。

 そんな訳で、個人的な視点でチョイスした、ベスタらしい「その他のDJ機材」を紹介しますね~


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左上 『DJ用アイソレーター DCR-1200』 1993年

 まずは、ベスタが開発した「大発明」的な機材はコレじゃないでしょうか!

 この機材は、いわゆるEQの拡大版みたいなモノで、高・中・低音域の音を3つのダイヤルに分けてあり、それぞれを回すと音を増やしたり減らしたりすることが出来る機材になります。
 
 言葉で表せばこんな感じですが・・・House界においては歴史的発明品の一つだと思われます!

 それこそ、Houseの現場に行くと、ミックスをしながら高・中・低音域を調整して、その現場で聴きやすい音に調整をすることに加え、突然、低音を削ったり、高音を上げたりし、ある種のエフェクトみたいな使い方をしてて・・・それが技術の一つとされています。

 それこそ、アイソ使いの魔術師ともいえるJoe Claussellであれば、残念ながら他社の商品でのプレイですが、この「動画」のように、グリグリとアイソを回しながら、音を調整してエフェクトをかけたりしています・・・

 また、エフェクト的に使うこと以上に、現場に行くとグッとくるのが、その曲のメロディーに合わせて、ローを削っていく手法で、これはプレイしている曲に同化する効果があり、House系DJの花形的技ですね・・・
 先ほどのJoe大先生であれば、永遠のフロアークラシックである「Inner Life / Ain't No Mountain High Enough」の中盤ブレイク後のMoogソロにおけるアイソ使いと言ったら・・・天にも昇るプレイで最高です!

 そんな、DJの感情をも再現することの出来る機種を作ったのは、やはり「ベスタクス」だから出来たことだと思います!

 まず、ベスタが作ったこの機材は、その調整幅の広さがポイントで、完全に音を切ることが出来たことでDJの思い描いたエフェクトが作れたことでしょう・・・当時、こんな特異的な機材は当時はなかったので、半ば無理やりに「アイソレーター」と命名(isolate=分離)した程で、現場の声がなければ生まれなかった商品だと思います。
 また、これもベスタらしいのですが、何よりも操作しやすいノブの形状や位置など、DJが操作しやすい内容になっている点もポイントです・・・変な話、プレイをしながら音に合わせてグリグリすると「気持ちイイ」んですよ・・・私も、この機種の後続に当るハーフラックサイズの「FDG-1」を使用していますが、プレイする人と一体化しちゃう操作感はベスタならではです!

 このアイソ、ある一部のDJには大ヒットをし、発売してから数年は、日本に来日するNew YorkのHouse系DJ達が、必ずこのアイソを何台か買い占めてNYに帰っていったという逸話があるぐらいです・・・
 そして、後続機も何種類か出ましたが、ある時期まではベスタしか作っていなかった機材になり、ベスタの独断場だった機材です!

 なお、たまたまかもしれないですが、このカタログのアイソの掲載ページにはNYを代表するDJ「Junior Vasquez」が載ってますね・・・機材群の中にDCRの姿が確認できます。
 DJ機材のカタログには、製作協力をしたDJや、この機材を評価したDJが載ることが多いですが、Juniorが載るということは、相当評価が高い証拠かも・・・別の時期のカタログでは、坊主時代のRichie HawtinがDCRを持ってる写真が掲載されるなど、DJから本気で支持をされた機材だと思います!


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真ん中『デジタルディレイ DDG-1』 90年代中頃

 なんか、同じ色合いのカタログからの商品紹介ばかりで申し訳ない・・・深い意味はないですが、90年代のベスタ商品は紹介に値するエグイ商品が多く、それに伴い90年代中頃のカラーカタログからの紹介になるからです・・・

 んで、こちらもある特定のジャンルのDJやクリエーターからは絶大な支持を得ている機材ですね!!

 この機材は、いわゆるエフェクターの一種で、音に「ディレイ(=音に残像を付けるような効果?)」をかける現場向けな機材で・・・その独特なエフェクトのかかり方から、RootsやDub関係のレゲエ系DJ/アーティストから絶大な支持を受けている機材になります。

 商品としては、画像のネズミ色のタイプと、その上にあるマイクラインが2本の「DDG-1M」がでており・・・割とMCをする時に「ラスタファリ~」な感じを出すのに最適で、もはや変態的とも言えるディレイのかかり具合が、今でも大変評価をされているそうです。
 実際、発売当時はあまり出なかった商品のようで、それ故に生産数が少なく、今となってはレア品といった感じで・・・全世界規模で未だに探している人が多い機材になるようです。

 ビルドアップした後期モデルは、どうやら現場の声を聞いて改良した部分があるようですが、こういったDJ機材においては、メーカーが意図しなかったのに、結果的に「奇跡の音」になってて、後になって熱い支持を受けるケースがあるかと思います。

 それこそ、今となっては名ミキサーの大御所である「Urei 1620」は、当時としては高級オーディオ機器的なノリで出された「Bozak」のコピー品的な商品でしたが・・・結果的に、Ureiから出る「音」が評価され、時代を超えて評価され続けているミキサーになります。
 レコード文化に携わっている方であれば理解できる言葉として、ジャストな表現なのは「Rare Groove」なんでしょうね・・・そう、それは結果的に「グット」な内容で、かつ「古びない」内容だったんだと思います。

 この機材も、ベスタらしいといえばベスタらしい機材なんでしょうが、開発者や営業担当者としては発売時にちゃんと売れてくれよ!と思う機材でした・・・その点も、大変ベスタらしいですね(^^;)

 なお、このカタログページも、先ほどのDCR1200のページでも、掲載されている他の商品は、いわゆるPA用機材になりますが、この辺も90年代のベスタではよく押していた商品になります。
 パワーアンプやコンプリミッター、グラフィックイコライザーなど、割とクラブの音響向けの商品も取り扱ってたようです・・・どのくらいの導入率があったかは分からないですが、メーカーとして、この辺が売れると一発でかなりの金額が稼げるので、力を入れてたんでしょうか・・・ただ、00年代に入ると、扱わなくなったところを見ると、あまり支持はなかったようです??


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『DJ用備品 各種』 97年ごろ

 そして、この辺もベスタらしい商品かな~と思います。

 先ほど、チラッと触れたPA機材もそうですが、ベスタに関しては「DJの総合商社」みたいな感じで、DJに関わる機材や用品はほぼ全てを扱ってたと言っても過言ではなく、画像のような備品も多く取り扱っていました。

 それこそ、画像の範囲ではスリップマットレコード用のケースDJのHow To ビデオなど、かなり広く取り扱っていましたね・・・個人的には、画像に掲載された1500円のスリップマットを実際に使用してたり、Dub Master Xさん(!)が講師をしてたHow To ビデオは買って勉強をしてました・・・

 渋いところだと、左上のちょっと高い謎の機械なんて懐かしい方も多いかも・・・これは、通称「BPMカウンター」と呼んでおり、文字通り曲のBPMを測る機械なんですが、自動計測ではなく、その曲のビートに合わせて、自分でボタンを叩いてBPMを割り出す機械です!
 今となっては「そんな面倒な事をしてたの?」と思うかもしれませんが、90年代のプロDJの中では使ってた方が多い機材で、これでBPMを調べておいて、レコードのジャケの目立つ所にBPMを書き込み、現場でDJをする時の手助けにしてた・・・そんな使い方をしてたと思います!

 また、真ん中には片耳ヘッドフォンがありますね・・・当時、純正のメーカー品でちゃんとした形で販売をしていたのはベスタぐらいだったので、これもHouse系のDJで使ってた方が多いかと思います。
 まあ、歴史的に片耳ヘッドフォンは、一般的なオーディオメーカーが一切作らないタイプなので、ベスタのようなDJ機材の専門メーカーでないと作らないですよね・・・なので、この辺も、現場の声を生かして作ったのだと思います・・・
 ちなみに、片耳に関しては、自作や改造メーカー製のを使ってた方も多く、私も何年も前に自作で片耳ヘッドフォンを作りました・・・以下の記事で作り方を紹介しましたので、ご参考にどうぞ~

● 作ってみよう「片耳ヘッドフォン(Stick Headphone)」


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『ミキサー用部品 クロスフェーダー』

 そして、こっちの備品もベスタらしいです・・・なんと、ミキサーの要である「クロスフェーダー」の交換用部品の一覧です!!

 まず、これを写真付きでカタログに載せるなんて!という所に反応しちゃいますよね・・・こういう姿勢がベスタです(^0^)

 この点もちょっと補足が必要だと思いますので、詳細を書いておくと、当時のミキサーのクロスフェーダーは「接触型」と言われるタイプが中心で、イメージとしてフェーダーをずらすと、その動きに連動して内部の金属接点が移動をするので、その接点となる部分が使えば使うほど消耗をする仕組みでした。

 特に、スクラッチなどの激しい動きを伴う行為は、恐ろしく消耗が激しく、早い人で半年も立つと音が出なくなるなどの影響がでるので・・・メーカーも、そしてユーザーも、フェーダーに関しては「交換することが前提」だった商品になります。
 また、別の視点として、機種によってはプレイする人の好みに応じてフェーダーを全く別のモノに変えることができて、よりスムースに動くフェーダーや、House系の方だとダイヤル式に変えるなど、自分の好みに応じて変えていた方もいました。

 そのため、こういった詳細なページがあったのだと思います・・・実際にDJの機材屋さんで、割としっかりとしたお店なら、これらのフェーダーを在庫で持っている所も多かったです。
 
 私自身も、95年から使ってた「PMC-05MK3」は、当時は真面目に(?)スクラッチや2枚使いの練習なんかをしてたので、忘れた頃には消耗してて、後でも紹介する渋谷のPACO辺りに行き、普通に交換部品を買ってきて自分で取り換えをしてました。

 まあ、今のミキサーとかに比べると、構造自体も凄い単純なので、説明書がなくとも簡単に交換が出来るのですが・・・当時のDJ達はこういったことを通して「DIY精神」を学んだんでしょうね~(^^;)


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『フェーダー式楽器(?) Federboard』 2003年

 んで、フェーダー話をだしたのであれば、これを忘れはいけません!

 これは、ベスタが自信を持って開発をした機材で、いわゆるキーボードの「鍵盤」を、ベスタが得意とする「フェーダー」で作ってみたという機材で、いちおう「楽器」になる商品です。

 それぞれのフェーダーに、音が割り振られており、フェーダーを上に上げると音が出て、フェーダーの上げ方次第で音量が変わり、フェーダーなので、細かくフェーダーを切れば鍵盤では出せない細かい断続音が出せる等・・・そんな感じの機材です。
 言葉で説明するのが結構難しいので、どんな感じに使うかというと「こんな感じ」です・・・当時、コレをライブで多用してたShinog 2(!)さんによるデモ動画ですが、使いこなすとこんな素晴らしいプレイができるようです!

 まあ、当時としても、残念ながらあまり売れず、気づいたら「幻の商品」になっていましたが、これもベスタらしい商品ですね!

 どうも、DJ機材というと、当然ながら「使いやすさ」が重要で、そうなると結果的に各社「似たような内容/デザイン」になるかと思います・・・つまり、段々と売れそうな商品だけしか開発せず、あまり冒険をしない傾向もあったりします。
 
 その中で、ベスタは、当然ながら使いやすい商品を作りつつ、DJ業界の未来を見据えて、誰も思いつかない商品を「あえて」作る姿勢が絶えずあったのが素晴らしいと思います。
 結果的に、私の私見としては、その未来は見据えていたけど、上手く乗りこなすことが出来なかったのは大変残念ですが、こういった珍品なんだけど、意欲を感じる機材を作ってきた点はちゃんと評価すべき「姿勢」だと思います!!


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『レコード盤製作装置 VCR-2000』 2004年8月

 そして、機材関連のオオトリは、こちらを紹介・・・これもベスタが誇こる「伝説の機材」です!

 この機材は、なんとアナログのレコード盤を作成する為の装置で、ちゃんと一般の人でも買える商品として大々的に発売しました・・・当時の価格で120万越の逸品です!!
 仕組みとしては、ブランクのアナログ盤に対して、音源情報を直接書き込む(刻んでいく)方法で作る仕組みで、通常のレコード盤を作る過程であれば、第一発目のマスター盤を作る作業だったり、レゲエでいう「ダブプレート」を作る方法で・・・音源情報が刻まれたアナログ盤は、普通にプレイすることが出来ました。
 
 この機材の開発にあっては、これも現場の声を受けて開発された商品にはなるかと思います・・・

 つまり、DJ達がプレイする「アナログ盤」というのは、どう逆立ちしても「業者に発注して作ってもらう」必要があり、そのDJが自分で作った音源を簡単にプレスすることが出来ない・・・という声を受けて作ったんだと思います。

 それこそ、今となってはCD-Rに焼いてプレイ、いや、もはやデータをそのままプレイできるので、自分が作った曲をDJプレイの一環としてプレイが出来ないなんてあり得ないかと思いますが・・・アナログ時代は、これほど頭を悩ませる問題はありませんでした。

 海外だと、昔から小規模なプレス工場があったりし、小ロットの注文を受けたり、または1点モノに近いアセテート盤を作れたりしましたが、どちらにしろ高い金額を出す前提はあり・・・更に日本だと、そういった小規模注文を受けてくれる工場自体がなかったことがあり、この問題はDJ達を絶えず悩ませていました。
 まあ、カセットテープやDATで流すと言う方法もありますが、それだと、アナログ盤で流暢に操作/ミックスをしたりすることが出来ないので・・・何としても「アナログ盤にしてプレイをする」ことが夢であったかもしれません。

 その限りにおいて、ベスタは、このアナログ盤を作る機材が大掛かりで高額だったので、低価格で使いやすい内容になれば、小規模なスタジオなんかでも導入をするだろうと想定し、コンシューマーモデルとしてこの機材を発売したようです。
 値段を見たら、個人レベルで買うなんて思わないですが、スタジオレベルであれば、手が出ない金額ではないですね・・・正直、これが安いかどうかは分かりませんが、ベスタとしては品質と操作面の均衡を図りつつ、かなりコストダウンをした商品を作ってくれたかと思います。

 ただ、残念だったのは・・・・発売する時期がもう10年前、いや5年前だったら爆発的にヒットしてたかもしれない点です。

 2004年と言うと、既にアナログ盤のようにDJプレイが出来るCDJが普及し始め、DJ達は自分たちが作った音源を、CD-R等に焼いて、簡単にプレイすることが出来る時代になっていました・・・アナログ全盛時代だったら、確実にヒットしていたと思います・・・
 そのため、実際、発売時にはかなり話題になりましたが、殆ど反応が無かった記憶があります・・・まあ、値段もさることながら、かなり操作を覚えないと使用が出来ない(そのため、講習会もあった)などもあり、話題だけで終わってしまった感はありました。

 これも、ベスタらしい現場の声を聞き、ベスタが持つ発想力と技術力が生きた製品ではありましたが・・・未来が読めなかった点はアレですね・・・





(4)実店舗など

 次は、コレもベスタの特色である「実店舗」の紹介です。

 ベスタは、機材メーカーではありましたが、古くから実店舗を構え、自社製品を含む様々なDJ機材を販売し、日本のクラブシーンに対して「販売面での機材供給」を行っていた功績がありました。
 それこそ、DJ機材は楽器店や割と大きな電気店などで売られてはいましたが、しっかりとした専門知識をもってお店は少なかった中で、ベスタのお店はDJ機材店の模範ようなお店で、かなり定評があり、お客さんから支えられてたお店だと思います!


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『PACO 渋谷南口時代』 だいたい90年代

 まずは、このお店ですね・・・スキャナー取り込みのため、見ずらいですが、当時を知ってる方だと「懐かしい!」と思いますよね(^0^)

 このお店は、渋谷南口の明治通り沿いの路地にあった「PACO」というお店で、時期によって多少違うかもしれないですが、1FがDJ関連、2Fがギターを取り扱ってて、90年代にDJという行為・文化に関わっていた方なら、一度は足を運んだことがあるお店だと思います。

 この時代のPACOは、お世辞にも広い店内とは言えませんが、所狭しと機材が並び、デモも簡単に出来たり、スタッフさんの対応も親切で、一時期は「DJ機材と言えばPACO」と言われるほどです。
 特に、海外からのDJが来日した際は、どのジャンルのDJも必ず足を運んで機材のチェックをしていたとも言われ、世界的な視点で見ても、当時としてはかなり有名なお店だったと思います。

 私も、渋谷に行った際は、時間があれば、宇田川町方面のレコ屋の後に、真反対のPACOに行って、機材のチェックや、部品の購入をしていました・・・
 どちらかと言うと、憧れの高級DJ機材を触りに憧れ半分で行っていた部分が大きいかも・・・そのため、PACOに行くようになって、機材カタログを率先して貰うようになったのだと思います。

 なお、90年代のPACOは、私の中では数少ないミックステープの入手場所の一つでした・・・

 内容的には、割とバトル系DJのテープが多く、それこそ、DJ Seijiさんの「手刷り時代のテープ」が売ってて、たまに買ってました・・・Bossの悪の華とかがミックスされてた記憶があり、そのテープは友人にあげちゃったのが、今となっては痛恨の極みです(^^;)


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『Vestax to the Core 渋谷丸井→246沿い』 2001年~中頃位

 そして、折しものDJブームをうけ、このPACOがビルドアップする形で2001年9月に移転をします・・・移転先は、なんと渋谷・丸井です!
 
 まあ、丸井と言っても、ファイヤー通りの方にあった丸井(今はShidaxのビル)で、当時、この丸井はストリート向けなファッション館だったことから、8Fに「Double Slash」というDJ/クラブ寄りのコンセプトフロアーを作り、その中心にベスタのお店が移転をした形になります。
 店名を「Vestax to the Core」という名前になり、ベスタの以外には、HipHop寄りな洋服店や、9 States Recordsという新譜レコ屋さんが入りましたが、その中心はベスタのお店になり・・・ワンフロアー全部が「DJ関連」で埋められているという、今思うと恐ろしい場所になっていました(^^;)

 今、思い返すと、小学校の体育館位のフロアー面積があり、かなり広い店内だったことに加え、とにかく幅広い品ぞろえと、かなりゆったりとした陳列で、どの機材も試すことが出来るぐらい勢いで・・・イメージとして、アップルストアーの品揃えを「DJ機材」に変えた感じです??
 私も、この頃は大学生で、かなりの頻度で渋谷に行ってたので、このお店も当然の如く通ってて、結構な頻度で行ってましたが、いつ行っても結構混んでて、当時のシーンの勢いの良さを表しているかもしれないですね・・・

 2001年と言えば、全てのクラブミュージックが盛り上がっていた時期で、特にHipHopの人気はすさまじいものでした・・・その為、DJ機材の需要はホント高く、丸井クラスのテナントでもペイが出来たぐらい需要があったと思われます。
 もちろん、他のお店でもDJ機材を売っているお店は多かったですが、地盤が信頼できるお店だったことから、一時期はDJ機材と言えばココみたいな勢いがあり、私もDJに興味を持った友人にこのお店を勧めた記憶があります。
 
 また、流石ベスタの直営店だけあって、色々な仕掛けがあり、ほぼ毎日DJプレイの時間があったり、定期的にDJバトルイベントを開催してたり、海外の有名DJが来日したらイベントがあったり・・・かなり営業的にも頑張っていたと思います。

 そのため、一度買ってしまえばしばらくは買う必要がないはずのDJ機材において、定期的に足を運ぶ場所みたいな感じもあり、しっかりと「DJ文化」をレペゼンしてた部分もありますね・・・今回の記事を書くにあたり、このお店が作ってた「マンスリー」がほぼ全て手元にあったので、私自身は相当行ってたみたいです(^^;)
 個人的には機材目当てではあったのですが、併設してたレコ屋(9 States Records)も面白く、恐ろしくバトブレの品揃えが良く、その辺りをチェックしてました・・・その一環で「バトブレの分かりやすいリスト」を作ったり、独自に「渋谷のレコ屋マップ」を作ったり、このレコ屋さんも印象深かったです!

 まあ、あの場所になると、レコ屋の聖地である宇田川町からは離れているので、何らかのイベントを打たないと、人が流れてこないのもあったと思いますが、あの「べスタクス」にしては、かなり頑張ったと思うお店でした!

 なお、流石にブームは長期に続かなかったので、2年後の2003年7月には、246沿いの側道沿いに店舗を移転し、ここでも十分広いフロアーで営業してて、ここも良く通いましたね~
 場所はかなり悪いところでしたが、本社のある三軒茶屋からほぼ直線でイケるので、営業コスト面での移転先だったと思いますが、移転先では「DJスクール」なんかもやってたり、ベスタが満を持して投入したレコード盤製作装置VCR-2000でレコード盤を作るサービスなんかもやってて、結構頑張っていましたね!

 また、渋谷南口の店舗は「PACO」という屋号のまま、DJ機材の中古販売やレンタルサービスのお店として運営してたと思います・・・


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『Paco~Vestax to the Core 通販カタログ』

 そして、店舗を通して販売業をしてた関係から、DJ機材の「通販」もかなり手広くやっていて、店舗運営と並行して、このような通販カタログを製作し、地方の方などからの注文を受けていたようです。

 DJ機材も含め、レコードを始めとする「DJに関わる商品」は、過去も現在も大変ニッチな存在であることは変わりなく、需要が少ない地方になると、流石にお店が成立しないことが多く、地方の方は過去から通販を利用されてた方は多いかと思います。

 それこそ、レコードであれば、同時期に「Manhattan Records」「DMR」なんかは手広く通販カタログを発行し、地方からの需要に応えていましたね・・・
 そして、DJ機材においては、割と古い時代から通販が活用されていたと記憶しています・・・DJ関連の音楽誌なんかでは、機材の通販が出来る楽器店等の広告が載ることが多く、その辺を足がかりに購入した方も多いかと思います。

 その中で、このベスタの通販カタログは、流石のベスタらしい幅広い品ぞろえ、詳しい商品説明で流石です・・・

 まあ、ベスタ直営なので、どうしても「ベスタ推し」になるようで、タンテであればテクニクスが最後に紹介される感じがありつつも、海外メーカー商品やPA系機材も充実で、かなり幅広い品揃えですね!

 なお、ココぐらいでしか書けなさそうなので、書いちゃいますが、ベスタは海外メーカーのDJ機材/備品の輸入業も実はやっていた時期もあり、一時期はアメリカの総合DJ機材メーカーであるNumarkや、レコード針でお馴染みのSHUREなんかの総輸入販売元をやっていました・・・この辺はコロコロと変わるので、予備知識程度に覚えててください・・・


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『ベスタクス本社(世田谷区若林)』

 んで、店舗という範疇だと、ここも入るのでしょうか?

 東京の世田谷・三軒茶屋の奥、ちょうど環七と世田谷通りがぶつかる若林交差点にベスタの本社があり、ここの1階が店舗兼ショールームになっており、こちらを利用されてた方もおられると思います。
 今まで、何人かには通じましたが、同世代のBな輩で、大人になって真面目に就職し、営業車などで環七を走ってると、突然見慣れたベスタのマークが見えてビビった・・・というぐらい、結構目立つ所に本社はあり、世田谷区民にはお馴染みかもしれません??

 私自身としては、5年くらい前に、使ってたミキサー(PMC-05PRO MK3)が私の不注意でヒューズを飛ばしてしまい、修理がお願いできないかと思い、電話で相談したら持ち込みでも対応頂けるとのことで、この本社に伺ったことがあります・・・写真は、その時の写真です。
 一応、顛末的には「この記事」になりますが、ほんと、スタッフの方の親切な対応に感服するばかりで、迅速かつ丁寧に修理対応を頂いたことが記憶に残っています。

 この話も書かないといけないことで、国内で自社ブランドを企画・設計・製造(一部海外)・販売を行っているだけあって、ベスタの「修理対応能力」は異常に高いことも有名でした!

 それこそ、店舗であるPacoやVestax to the Coreでも修理は受けてくれたようで、自社製品だったら直せないものがないぐらいの勢いで直してくれたと思います。
 特に、私が印象的だったのは、修理に持ち込みをした時点で、自社の製品を愛用していることを喜んでくれ、これからも長く使ってくださいね的な対応だったことは凄い嬉しかったし、ベスタらしいな~と思いました。

 今であれば、修理という作業自体がメーカーとしてはコストがかかる作業なので、下手したら保証期間であれば新品交換しかしないというメーカーも多い中、自社の製品を「長く使ってもらうこと」を念頭にしている点は、ベスタが「お客さんに向かって商いをしていた」ことになり、ホント素敵だと思いました。

 



(5)まとめ

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 いや~、書きましたね・・・

 別館という位置付けでしたが、よくもこんなに書いたものです・・・改めて、私は「ベスタが好き」なんですね!!

 一応、今回の記事においては、あくまでも「DJ機材のカタログ」を通して、色々なメーカーの機材を語ろうと言うことだったので、本編ではベスタの魅力のみしか書きませんでしたが・・・こちらは、書いている内に思い出したり、脇道にそれることが多く、作業が嬉し涙でした(^0^)

 繰り返しますが、残念ながらベスタクスは2014年12月をもって、正式に会社組織がなくなり、今は存在しない会社になります。
 
 そのため、新しい商品は作られないですし、修理の受け付けもできません・・・

 ただ、ただ・・・これまでにベスタが作り続けた機材達は、もはや「遺産」だと思います・・・

 それは、使いやすさだったり、音質だったり、品質だったり・・・私としては、どんなに時間が流れても、その絶対的な「価値」が変わらないDJ機材であると信じているからこそ、残った機材達は「遺産」だと思っています・・・

 これは皆さんへのお願いにもなるのかもしれませんが、ベスタクスが作り出した機材が、永遠に使い続けられることを切に願いたいと思います!!

 ベスタクス様、ありがとうございました!!













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オマケのカタログ(?)

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 最後は・・・カタログじゃないけど、もう、ベスタさんがアレなので、紹介が出来るかな~と思い、初公開の「秘蔵品」です(^^;)

 え~、コノ謎の紙達は、なんと、私が大学時代に就職活動をした際、ベスタクスから提示された「ベスタクスの入社試験&面接に関わる書類」になります!!

 もー、こんなのを持っているとは!と腰を抜かす人もいるでしょう・・・ベスタクスに就職したいと思うぐらい、ベスタが好きだったようです(^^;)

 まあ、どちらかというと、そこまではベスタに入れ込んでいた訳ではなく、何となく自分を生かせるかな~と思い、入社にトライしてみた次第です・・・・

 私自身は大学3~4年時に就職活動には前向きではなく、もう少し勉強をしたい(=大学院に進む)と思っていたので、就職活動をしたのが遅く、就職に対してビジョンがないまま、就職活動をしてた記憶があります。
 それこそ、周りの仲間が、突然リクルートスーツになって、将来に向かって計画的に行動している姿を見て、焦ってしまい、迷いながらの就職活動でした・・・そういう感じだったので、ビジョンがないままベスタにも応募をし、筆記試験は通りましたが、面接ではこちらのビジョンを見透かされたのか、そこでご縁がなかった感じです・・・

 一応、その時のベスタの状況もいれておくと、2002年ごろですが、入社希望者は結構いて、結構熱意がありそうな方が入社試験を受けてたかな~と思います。
 また、ベスタ側で対応頂いた社員の方も、普通にしっかりとしている方が多く、普段、渋谷のレコ屋とかでウダウダしている自分では無理だな~とも思いました・・・


 まあ、ベスタクスも普通の会社だったということが分かればと思い、掲載しました・・・

 なお、その後ですが、やっぱり明確なビジョンがないまま就職活動をし、適当に入社をした会社も、長続きはしなく、1年近くで辞めてしまい、少しの充電期間を経ながら、今の会社に就職し、立派にこき使われている(?)私がいます・・・(^^;)
 もし、私がベスタに入ってたら、どうしてたんですかね・・・多分、営業とかやって、必死に自社商品を売り込んでいたのかな・・・ちょっと想像がつかないです(^^;)






 
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