HipHop,R&B,Soul,Funk,RareGroove,DanceClassics,Garage,House・・・など、私が気に入っているMixTape,MixCD,その他もろもろを紹介するブログです。
Danny Krivit 「Mr.K Salsoul」
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 え~、早いもので2015年も、もう終わりですね・・・今年もホント早かった(^^;)

 毎年毎年、気付いたら12月になっている感じで、なるべく「毎日が充実してる」と考えるようにはしていますが、どう考えてもそれは無いんですよね(^^;)
 まあ、ブログはゆっくりペースでの更新ですが、今年も色々と紹介したし、ボムも打ち込めたし、ちゃんと頑張った方かもしれないですね・・・どうでしょう??

 そんなわけで、年末最後のボム仕事である「Mix Tape Troopers大賞」の発表です!!





『はじめに』

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 まず、今年から読んでいただいている方もおられると思うので「Mix Tape Troopers大賞」について説明しますね・・・

 これは、私がその年にリリースされた新作ミックス作品において、実際に購入をした作品の中で、もっとも「良かった!」と思った作品に贈られる・・・ある意味、一方的な「押しつけ賞」になります(^^;)
 なので、私の好みが最重要な賞になり、あまり参考にならない賞ですかね・・・ただ、おかげさまで何年も続いているので、ちょっとは格式づいてきたかもしれないです??

 そんなMTT大賞ですが、今年は・・・10月末にリリースされた「Danny Krivit / Mr.K Salsoul」に大賞を贈りたいと思います!!

 もー、購入して初めて聴き、聴き終わった瞬間に「大賞確定!」の当確が出たぐらいの傑作で、年末にかけてはズーっと聴いてた作品になります。
 
 タイトルの通り、Discoの名門レーベル「Salsoul」のカタログから、Dannyが選んだ楽曲でミックスされた作品になり、リリースする情報が分かって以降、聴くのが超楽しみだった作品になります。
 もちろん、私がDanny先生のDJが好きなのもありますが、私の大好きなミックスCDの5本の指に入る傑作「Danny Krivit / Salsoul Mix」以来、12年ぶりのSalsoulミックスとあってかなり期待もしていた作品でもあります。

 とにかく、一回聴いただけで分かるこの作品の「ストーリー性の素晴らしさ」と、そして何度も聴くと分かる「Dannyエディットの良さ」「選曲の深さ」「選曲の進め方の上手さ」「ミックスの上手さ」など・・・とにかくDannyの「DJ」の素晴らしさが、Salsoulという素敵な音楽を更に輝かした点は群を抜いており、問答無用で大賞です!!

 あまり長く前ふり文章を書くと、なんかアレなので、早速作品紹介に行きますね・・・補足が必要な方は、以下の注意点を読んだ上で作品紹介をお読みくださいね~


●注意1
 制作者である「Danny Krivit(ダニー・クリビット)」、このミックスの題材になっている「Salsoul(サルソウル)」について詳しく知りたい方は、以下の記事(特に前半)をお読みください。

   Danny Krivit 「Salsoul Mix」


●注意2
 今回紹介する作品を、もし「そんなにMTTさんが推すのであれば、買って聴いてみようかな?」と、この時点で思った方にご案内します。

 今回の紹介では、この作品の良さをかなり細かく分析し、更に、この作品の一番重要な部分も紹介しており、ある意味で「ネタあかし(ネタばれ)」をしています。

 そのため、本気でこの作品を楽しみたいのであれば、以下の説明は読まずに、先にCDを買い、トラックリストを見ずに聴いてください・・・
 ネタが分かって聴くよりも、ネタが分からずに聴いた方が絶対に良いはずです!

 ただ、この時点で「ネタがある」とお知らせするのは凄い忍びない・・・私がそうでしたが、まっさらな状態で聴いたときの衝撃といったら・・・自宅で「ダニー!」と叫んでいたぐらいでしたよ(^^;)




『作品紹介』

(1)ダニーのエディット曲について

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 では、作品の紹介をしたいと思います!

 CDを再生し始めると、荘厳なパイプオルガンの音色が優しく鳴り響く「Double Exposure / My Love Is Free」Dannyエディットからスタートします!

 まず、この作品では既存の曲を選曲しつつ、随所でダニーの手で施されたエディット曲が選曲されており、これが絶妙です!

 ダニー自身、このDJシーンでは、エディター/リミキサーとしての評価は大変高く、ここ1~2年は、ダニーが関わったエディットの12inchが高騰しており、その事実だけでも評価されている理由になるかと思います。
 とにかくオリジナルの曲の良いところを更に伸ばし、今回のミックス作品やクラブでのDJプレイに耐えられる、いやプレイして「更に光る」ようなエディットが多く・・・ダニーのエディットを通して、逆にオリジナルの曲が魅力的に聞こえてしまうことが多いです!

 特に、非シングルなアルバムのみの曲や、そんなには有名でない曲など、あまり陽の当らない曲をエディットして世間に広めている部分もありますよね・・・

 それこそ、当時はカナダ盤オンリーで12inch化され、割と現場ではLPでプレイしていた「The Salsoul Orchestra / It's Good For The Soul」のエディットを後半では披露・・・
 それも、渋いのがUKのディスコ番長であるAl Kentのエディットとオリジナル曲から掛け合わせたダニーエディットを披露しており・・・他のエディター/リミキサーに敬意を払いつつ、自身のエディットを加え、更に曲をビルドアップさせている姿勢は素敵です!!

 なお、次に紹介する渋い選曲にもつながるのですが、エディットしてる曲がホント渋い曲ばかりで、また「ダニー先生から教わった」系の曲が多いです!
 LPのみの曲や、傍系レーベルの曲など、ほんとイイ曲を知っていますね・・・元曲を探してみましたが、遭遇出来ませんでした(^^;)



(2)選曲について

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 そして、My Love is Freeのダニーエディットで華やかにスタートさせ、Freeの最後はダニーらしいボーカルのアカペラエンドになり、次に選曲してきたのが「First Choice / Love Thang」で、印象的なイントロをミックスし、グルーブを損なわず躍動感のあるブレイクにつなげてミックスを進めます。
 Love Thang、ブレイクビーツの定番中の定番で、DJなら2枚持っていたい曲で、House勢もHipHop勢も愛する名曲ですね。

 実は、ここからは選曲の話になるのですが・・・この作品での選曲においては、Salsoulをイメージした時、一番有名な曲は先ほど紹介をした「My Love is Free」ぐらいで、あとはあまり有名な曲は選曲されていないと思います。
 Love ThangもDJをしてる人なら定番ではありますが、一般的にはあまり知られていない曲ですよね・・・Salsoulの中では、どちらかと言うと地味な曲なのでマイナーな曲になるかもしれないですね?

 そう、これは重要な点で、ダニーが「安易にクラシックをプレイしない」ことの現れで、ダニーの魅力の一つだと思います!

 このことは、表面だけすくい取ると、下手したら「地味な曲をプレイしているだけ」と取られちゃうかもしれないです・・・
 ただ、ダニーの凄い点は、そういった一聴すると地味な曲を「しっかりと盛り上がるようにプレイ」している点で、これこそDJの妙かと思います!

 どうして盛り上がるのかは、以下のDJ技術的な部分でお話しますが・・・まず、聴いてビビったのが、この作品で選曲されている曲がほんと渋い曲が多く、あまり知られていない曲をカッコ良く聴かせるダニーの「選曲眼」の素晴らしさにあると思います。

 具体的な選曲でいくと、名エンジニア/リミキサーであるTom MoltonのSalsoul内の個人レーベルだったTom N' Jerryレーベルの「O.R.S. / Moon Boots」や、もはやSalsoulと認識されていない(?)傍系レーベルDream Recordsからの「Aurra / When I Come Home」など、渋いところを突いています!

 また、ここ数年は現場でのDJも積極的に行っている名リミキサー「John Morales」が自身のアーカイブから発掘リリースしているリミックス集から選曲したと思われる「The Salsoul Orchestra / You're Just The Right Size」の別エディットなんかも積極的にプレイ・・・
 私もJohn Moralesについては、リリースが頻繁だったのでチェックしてなかったですが、こういう「使える!」という曲を絶えずアンテナを立てて探している姿勢がダニーにはあり、これには見習わないといけないですね!!
 なお、先に蛇足っておくと、You're Justのレコ写は、2014年のRecord Store Dayで限定プレスされた12inchですが、Dannyのプレイはこれじゃないのを使っているのかな・・・まあ、これはこれで、John Moralesのセンスが光っててかなり良いエディットです!!

 そして、選曲全般を見ると、誰でも入り込める曲今のトレンドを追いつつ、Salsoulの魅力を語れる曲を揃えており、この辺がダニーの上手いところだと思います!!

 それこそ、ここで紹介した範囲だと、「First Choice / Love Thang」であればHipHopが好きな方でも馴染みやすいブレイク感のある曲だし、「Aurra / When I Come Home」であればBoogieっぽい楽曲ですね・・・割とこの二つの要素(馴染みやすさ・ブギー)は作品全体として念頭に入れている感じがあり、間口の広さだったり、トレンドをしっかりと押さえている印象があります。
 また、「The Salsoul Orchestra / You're Just The Right Size」であれば、サルソウル印の躍動感のありつつマッドなブレイクと、美しいストリングスと歌が混ざり合った良曲ですね・・・この辺の直球でSalsoulと分かる曲を入れてくるのも上手いです!

 話を少しまとめると、やっぱり選んだ曲は地味なのが多いです・・・ただ、現場を知り尽くしたダニーだからこそできる選曲の高さでカバーしつつ、次に紹介する「選曲の組み立て方の上手さ」と「DJ技術の上手さ」で次元を高めていきます・・・



(3)ミックスの流れ「起」+DJ技術の上手さ①

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 次は、話を2曲目である「First Choice / Love Thang」に戻してから、今度は選曲の組み立て方DJ技術の素晴らしさを紹介しましょう!
 以後、私の紹介では定番な「起承転結」に分けつつ、作品を深く紹介しますね・・・

 Love Thangで誰でも馴染めるブレイク感を出し、ミックスの助走を深めていきつつ、3曲目では今のブギーラインで十分評価できる「Aurra / When I Come Home」を選曲し、徐々にグルーブを高めていきます・・・
 そして、Aurraが終わる辺りのブレイクに、80年代Salsoulの名曲である「The Salsoul Orchestra feat Loleatta Holloway / Seconds」のイントロの熱いアカペラパートをミックスし、そのままグルーブをつないで Loleatta Hollowayの素晴らしいボーカルで小さなピークを作ります・・・

 この部分、この作品の最初の4曲になり、DJミックスにおける起承転結の「起」な部分になります・・・スタート地点で聴いている人の心をしっかりと掴んでミックスの世界に乗せていき、一発ピークを作って次につなげていく感じですかね・・・

 凄い単純なことを書いているのかもしれませんが、この「駒の進ませ方=選曲の組み立て方」がダニーはホント上手くって、この最初の4曲を聴いてるだけでもその上手さが如実に分かります!
 それこそ、12年前にリリースしたSalsoul Mixもそうで、ホント一曲一曲を光らせつつも、DJミックスをすることで生まれるストーリー性やグルーブを上手く活用しています・・・そう、この4曲を聴いただけでストーリーもグルーブもつながっており、全体を通しても「起」の部分として十分に効果が発揮されています!

 この選曲を組み立てたことで生まれる「ストーリー性」「グルーブ」というのは、DJが単に曲を並べているのではなく、意思をもって選曲とミックスをすることで「プレイした曲を更なる次元へ高めること」ができることの表れだと思います。

 また、AurraからSecondにミックスしたアカペラ繋ぎなのですが、これも上手いっすね・・・

 次にミックスする曲の出だしなどがアカペラだと、プレイされている曲のビート(BPM)に関係なく繋げちゃうので、実は「ごまかしができちゃう」ミックスなんですが・・・ダニーはしっかりとビートミックスした上で、的確にSecondが弾けるタイミングを計算してミックスしており、メチャクチャ上手いです!

 この点については、やっぱり現場を知っているからでしょう・・・本当にクラブでDJのグルーブに乗せられて踊っていると、ビートレスなアカペラでも、踊っている方はビートを感じており、それこそ手拍子をしてビートを求めてたりします・・・なので、DJとしてアカペラでもBPMやグルーブをしっかりと合わせて次の曲をミックスする必要があるわけです。
 また、これもクラブで踊っていると分かることですが、ビートレスになると、次にどのタイミングでビートが入るかが楽しみで、ある種の「期待感」を持たせる効果もあります・・・これが上手くハマった時の気持ちよさと言ったら・・・普通以上に踊っちゃいますよね(^^;)

 これって、基礎中の基礎な話ですが、こういう細かい技術の積み重ねがあるのがダニーですね・・・


(4)ミックスの流れ「承」+DJ技術の上手さ②

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 そう、ダニーのDJって、基礎中の基礎の技が本当に上手いです!!

 それこそ、曲と曲を繋げる「ビートミックス」も深く聴くと凄い上手いんですよね・・・

 4曲目のSecondsで軽く盛り上げた後、流れ的には起承転結の「承」になり、グルーブを引っ張っていく方向性にシフトしていきます。
 つまり、しっかりとダニーのグルーブに乗せることができたので、ここからは「ひたすら踊ってもらおう」という段階に駒を進めた感じです・・・これ以降、割と歌よりもトラックを中心とした曲を選曲し、聴いている人を踊らす選曲をしています。

 実際には5曲目で「The Salsoul Orchestra / Ooh I Love It (Love Break)」、6曲目で「The Salsoul Orchestra / You're Just The Right Size」を選曲しており、準インストの曲をグルービーにプレイしています。

 そこで、技の話に戻るのですが、この辺は次の曲に繋げるときはビートミックスで繋いでおり・・・これが上手すぎです!

 特に5曲目のOohから6曲目のYou'reに繋ぐときのロングミックスが超絶的で、しっかりとビートミックスをしつつ、Oohの曲でリフレインのように歌われている「♪Love Break~」という女性voを上手く残しながらミックスしており・・・グルーブのつなげ方が半端ないです!!

 これって、踊っている立場からすると凄い大切で、少しでもビートやグルーブがズレていたら集中力が切れちゃいます・・・
 あまり下手なDJのプレイを聴いたことがないのでアレですが、ビートは多少ずれたとしても、ミックスのグルーブが切れちゃうと、そこで足が止まっちゃいますよね・・・

 この点、ダニーは基礎的な技術もしっかりとしつつ、曲と曲のグルーブを繋げるために、曲の構成を把握したうえで完璧なビートミックスを行い、踊っている人・聴いている人の気持ちを切れさせない展開をしており、これが素晴らしすぎます。
 多分、これが最大の褒め言葉になると思いますが、聴いていて「曲が変わったと気付かない」ほどのミックスで、美しすぎます・・・流石、Larryに「Dannyほど美しく優しいスイートな世界をクリエイト出来るDJはいない」と言わしめたほどです・・・この裏打ちが、こういったミックスの技術にあるのだと思います。



(5)ミックスの流れ「承→転」+DJ技術の上手さ③

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 そんなこんなで5曲目以降は「承」な展開として気持ちよく踊らせる選曲を行い、10曲目では「Candido / Thousand Finger Man」を選曲・・・なんでしょう、朝方のディープな時間と言うんでしょうか、透明感のあるグルーブで気持ちよく踊らされる感じでしょうか??
 展開的には気持ちよく踊らさせている展開なんですが、その後のピークを見据えてグルーブは上向きに選曲はしており、段々とステップが速くなっていく感じになっており、Candido辺りになると頭をカラッポにして踊ってそうです(^^;)

 ここで注目したいのが、曲と曲を繋げるとき、「どれだけ違和感なく、そしてグルーブを繋げることができるか?」です。

 10曲目の「Candido / Thousand Finger Man」の演奏者であるCandidoさんはラテン・パーカッション(コンガやボンゴ)の第一人者で、曲名の「千の指を持つ男」が表すように、華麗なパーカッションの乱れ打ちが素晴らしいお方で、この曲でもグルービーなトラックの上で、要所要所でCandidoさんのパーカッションが味わえます。
 
 そこで、ダニーは、この辺りの選曲では、コンガやボンゴの音を「キーポイント」にして選曲をしています。

 11曲目の「Chocolat's / El Caravanero」、そして12曲目の「The Salsoul Orchestra / Magic Bird of Fire」とも、実はトラックにおいてコンガやボンゴ系の音がキーになっているんですよ・・・これは深く聴いて気付きました。

 DJミックスにおいて、ビート(BPM)が合っていることは大前提ですが、その上で繋げる曲同士のメロディーやグルーブ、そして使われている楽器などの要素などが上手く噛まないとDJミックスが上手く出来ないことがあります。
 これは、DJミックスを語る上での名著「沖野修也 / DJ選曲術」でも指摘されており、人間が本能的に気持ち良く聞こえる要素を整えた上でDJミックスをすべきということを意味します。

 この辺の流れは無意識に聴いていると気付かないレベルなのですが、実はこういった「音色の整理」もしっかりとされており、それで凄く聴きやすくなっていると思われます。

 また、12曲目の「The Salsoul Orchestra / Magic Bird of Fire」の後は13曲目として「The Salsoul Orchestra / It's Good For The Soul」に繋げるのですが、これは明らかに「ストリングス(弦楽器)」をキーにして繋いでいます。

 特に注目したいのが、この12曲目のMagic Bird of Fireで、起承転結における「承」と「転」の橋渡しをしており、非常に上手い駒の進め方になっています!

 流れとしては、この後に控えているピークを見据えて、少しギアアップをしたいタイミングで、承のボンゴ/コンガの要素を残しつつも、転のストリングスの要素を加えており、違和感なく上向きなグルーブになっているのが素晴らしいです。

 そして、その上向きなグルーブを維持しつつ、次のIt's Good・・・への繋ぎもパーフェクトで曲が変わったのが気付かないほどです・・・
 同アーティストで、かつ同じような楽器構成の曲なので違和感がないのもありますが、グルーブをグイグイと引っ張ってピークへ持っていく展開を生んでいるのが上手すぎです!



(6)ミックスの流れ「転→結」+ストーリ作りの上手さ

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 そして、ここからがダニーの真骨頂が味わえる展開です!

 起承転結の転としてピークに向かうようにグイグイとグルーブを上げた中で、14曲目では「Skyy / Here's To You」を選曲・・・現場に行っている人であれば「あれ、これで終わりか~」と思う選曲だと思います。
 
 曲としては、ここ最近のブギーな流れにはバッチリな曲で、人気も高い曲ですが、曲の歌詞だったり、曲の最後に「♪Thank You」と繰り返すパートがあり、割と朝方の最後に、お客さんへの感謝の気持ちを出したいときにプレーされる現場クラシックになります。
 個人的には、西麻布elevenがクローズする時、Joeが終わり間際に客電がついた状態でプレーしていたのが印象的で、皆でニコニコしながら悲しまず終わることができる・・・ある意味、便利な曲だったりもします。

 ダニーは、ご丁寧にも最後はその「♪Thank You」の部分をアカペラにして更に強調をしています・・・トラックリストを知らず、初めてこの展開を聴いたとき、私は素直に「これで終わりか~」と思いました。


 この限りであれば、この作品を起承転結で表現すると、起のスタートダッシュと、承のグルービーなプレイが素晴らしい作品になってしまいます・・・ただ、この展開は、実は「結」に向かうための壮大な「フリ」でした・・・

 ビートを消して、Skyyの「♪Thank You」のアカペラが繰り返す中、あるメロディーが流れてきます・・・もー、聞こえてきた瞬間、背中に電気が走り、思わず「ダニー!」と叫んでしまいました!!

 15曲目は「Loleatta Holloway / We're Getting Stronger」です・・・もー最高です!!

 この曲については、ちょっと説明をしますね・・・日本で踊り続けた私としては無くてはならない曲です!!

 Loleattaの名曲である「Hit & Run」のB面の曲で、クラブシーンでは大変人気な曲です・・・
 特に歌詞が素晴らしく「♪私たちはもっと強くなろう、そして長く、一緒にいよう」みたいなサビが素敵で、それを盛り上げるLoleattaの情熱的な歌唱と、Salsoulらしいドリーミーなバックトラックが素敵で、昔から朝方クラシックな曲として愛され続けています。

 特に、日本でこの曲がクラシック、いやアンセムになったのは・・・2011年3月の大震災以降だと思います・・・

 こんな素敵なメッセージですからね・・・ダニーを始め、色々なDJがこの曲を通して様々なメッセージを与えてくれた曲で、フロアで聴いていて、何度か涙したことがあるぐらい、ここ最近のクラブアンセムの一つになっています。
 大震災については私自身は被害がありませんでしたが、生活を送っているとイヤなことも辛いことも沢山あるわけです・・・みんな、この曲を聴いて励まされ、元気になって日常に戻っていく・・・そんな元気を与えてくれる曲かと思います。

 話をこの作品の紹介に戻すと、ダニーは明らかにこの曲を最大のピークにするために起承転結のストーリーを作っていたんですね・・・それも、絶対にこの曲が光り輝くようにですよ!!

 特に上手いな~と思うのが、前曲のSkyyの扱い方で、We'veを盛り上げるために、あえて「落とした」展開だったんですね・・・それも、「もう、終わりだよ~」という匂いを出しつつ、実は続きがあるというトリックも含んだ展開で・・・もー上手すぎです!!


 このブログでは「DJミックスの素晴らしさ」を伝えることが主眼点になっています。

 それは、ただ曲を並べたのではなく、DJが意思をもって選曲とミックスをすることで生まれる「良さ」になり、その技の一つが「ストーリー」になります。
 それは、分かりやすい表現だと映画を見ている感じと言うんでしょうか・・・最後に感動のシーンがあったとしたら、そこだけ見るよりも、最初からストーリーに沿って見ることで、最後の感動のシーンが最も盛り上がる・・・そんな人間の心理を動かす操作になるのかもしれません。

 12年前にリリースされたSalsoulミックスでも壮大なストーリーが仕込まれていましたが、ダニーのストーリー作りはホント上手すぎます・・・ダニーが「DJに愛されるDJ」である所以の一つではないでしょうか?



(7)まとめ

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 いや~、久しぶりに書きましたね・・・

 今回はかなり聴きこんで分析をしたので、必要以上に細かい紹介になりましたね・・・なんか、書いた後、こんなに深く書く必要があったのか?とちょっと悩みました(^^;)

 まあ、端的にまとめれば「Salsoulの知られていない曲を駆使してダンサンブルに、そして感動のストーリがある素晴らしいミックスを施し、Salsoulの魅力が存分に味わえる作品」になります。

 ただ、これを聴いているとダニーの「DJスピリッツ」を感じざるを得ません・・・

 それは、決して有名な曲で盛り上げるのではなく、知られていない曲で盛り上げることや、卓越した選曲術とミックス技術、そしてDJのストーリー性など、DJが「DJ」であることの全てを出し切っているところです。

 作品としての完成度が高いのもありますが、掘り下げるとこういったダニーの素晴らしさも出ており・・・もー、満場一致での大賞です!!

 リリースして間もない作品なので、まだまだ買いやすいと思いますので、興味がある方は聴いてみてね・・・
 Salsoulを全く知らない方にはちょっと厳しい部分もありますが、DJやダンスミュージックを愛する方なら絶対に「買ってよかった!」と思う内容ですよ!




<Release Date>
Artists / Title : Danny Krivit 「Mr.K Salsoul」
Genre : Garage、Dance Classics・・・
Release : 2015年10月
Lebel : Ultara-Yvbe/Octave Lab. OTLCD5091

Notice : 2枚組について
 この作品は2枚組になっており、1枚目は紹介したミックス作品、2枚目は今回のミックスで使われた曲も含む、今までに作ったSalsoulの曲のダニーエディット(DK Edit)がアンミックスで収録されています。
 一般には初公開のエディットも含まれており、DJをやられている方には、この2枚目は使えるのでお得です・・・普通に聴いてもかなり良いです!!

Notice : 発売記念パーティーについて
 この作品がリリースされたことを記念して2015年11月2日にリリパが行われました。私も参加をしたので、以下の記事で紹介をしました。

Danny Krivit 「Mr.K Salsoul CD Release Tour Party - House Session」 (@渋谷microcosmos 2015/11/02)





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『2015年MTT大賞 ノミネート作品』

 以下は、私が良く聴いたので選考対象になったのですが、惜しくも受賞が出来なかった作品です・・・ただ、かなり内容はいいので、こちらもご興味あればチェックしてくださいね!!


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「MUROさんの作品」

 まずはMUROさんから行きましょう・・・今年はホント良い作品が多く、流石「キング」でした(^0^)

 今年はMUROさんがミックステープを始めて作った年から30年ということで、かなり意欲的にミックス作品を出しておりましたね・・・

 個人的には「Diggin' Ice 2015」「Diggin' Heat 2015」のオフィシャル盤が最高で、特にIceは最後まで大賞候補の一つとして競っていました・・・もー、夏ごろは毎日聴いてましたよ(^0^)

 なんでしょう、MUROさんのミックスって、掘るという観点があるので内容的に結構難しい作品が多い中で、今回のIceとHeatは「定番」を軸にして、それこそ「良いモノは良い」のスタンスがあり、テープで散々お世話になった立場からすると、本当に感涙の作品でした!
 特にIceの気持ちよさと言ったら・・・やっぱりあの空気感はMUROさんにしか出せない空気感であることがわかり、改めてMUROさんの良さを痛感しました(^0^)

 そして、掘るという点だと、11月に出た「Super Animated Breaks & SFX」が素晴らしすぎます!
 この作品は、日本のレコード会社「日本コロンビア」が持っている昔のアニメや特撮のサントラ盤をオフィシャルにミックスした作品で、念願かなってのミックスです・・・
 そして、蓋をあけると、もー流石の一言で、Rare Groove~Jazz Funk調に「黒く」まとめた内容が気持ちよく、普通に聴いたらアニメや特撮の音楽だとは気付かない、そんな素晴らしい選曲とミックスになっております!!
 多分、これを聴いて、コレ系のレコを掘ろう!と誓ってしまった方がおられるのでは・・・それほどまでに衝撃的なミックスで、これも大賞候補でした(^0^)

 なお、今年は、私としても「MUROさんな1年」でしたね!

 2月には、雑誌「HOUYHNHNM Unplugged」さんの企画でMUROさんと対談を行わしてもらい、そして今月はMUROさんの本である「真ッ黒ニナル果テ」において作品リストの作成で参加させていただいたり・・・感謝感謝な一年でした(^0^)

 もう、MUROさんは「みんなの宝」です・・・MUROさんが頑張れば、日本のDJシーンはもっと進めるはずです!
 
 今年は、そんなMUROさんを実務という形で応援出来たのが凄い嬉しいです!
 来年も何か機会があれば嬉しいですね・・・そして、今年は実現しなかった達郎ミックス、来年は是非実現をして欲しいですね・・・頑張ってください(^0^)



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D.L(Dev Large) 「Freedom Jazz Funk Mellow Storm」

 そして、次はこちらです・・・ホント悲しかったですね。

 今年の5月4日、日本を代表するクリエイター/プロデューサー/DJである「Dev Large(デブラージ)」さんがお亡くなりになられ、遺作となったこの作品はホント聴きました・・・
 哀悼の意を表して、この作品を緊急に紹介しましたが・・・紹介して以降も何度も聴いて、その素晴らしさに酔いしれておりました・・・

 内容的には、タイトルの通りでJazz Funk~Rare Groove系の曲でメローな選曲/ミックスになっているのですが、独特の暖かさと黒さは唯一無二で、ホント癒されます・・・
 もし、DLさんがご存命なら、このシリーズがもっと続いて、色々なイイ曲を紹介してくれたり、気持ちいいミックスを提供してくれたでしょう・・・残念です。

 DLさんから教わった「掘り」は絶対に忘れません・・・

 ただ、私も「掘り」はまだまだでした・・・実は、この紹介記事で、大きな事実誤認があり、記事を訂正しました。

 エンディングのin the Rainの前にプレイされている「Dexter Wansel / Theme From The Planets」について『BPMを大胆に落としてプレイ』と書いたのですが、これは事実誤認で、レコードスピードは通常でした・・・
 弁明になっちゃいますが、Ultimate Breaks & Beatsにも収録されているクラシック・ブレイクで、UBBだと33rpm→45rpmで収録されているため、そっちの方が印象が強く、CDを聴いてスピードが遅くしてあると間違いをしていました・・・この間、オリジナルLPを買って「あっ、元は33rpmだったよ!」と気付き、記載間違えに気付いた次第です・・・

 また、もっとヒドイのが、アーティスト名と曲名を豪快に間違えて(Dixter Wansel / Theme of th Planet)いました・・・もう、どうしょうもないヒドさで、また豆さんに怒られそうです・・・

 う~ん、天国のDLさん、ホントすみませんでした・・・精進します、と書きたいところですが、中学生に戻って一から英語を学びます(^^;)



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やる夫(ビート会議) 「On the City Tokyo」

 そしてこちらはアンダーグランドな作品ですが、かなりの力作です!

 いわゆる和物の作品で、80’sアーバン~ラグジュアリー~ブギーな曲をスムースにミックスした作品で、聴いてて普通に気持ちいい作品です!!
 ユニオンでかなりプッシュしてて、それで買ったらドハマリで、やっぱりこの辺の和物はイイですね・・・選曲・ミックスともかなりレベルが高く、秋口ぐらいはラジカセにズーっと入ってて、気付いたら再生をしている感じでした(^0^)

 聴いたお話によると、やる夫さんはネット上にミックス音源を上げて活動をされている方で、このCDが初のフィジカルリリースのようです。

 このご時世、ネットのミックス音源の方が盛んではあるのは承知していますが、やはりDJたるもの「作品」として形に残して欲しいですよね・・・

 それは、今回のダニーの作品がまさにそうで、DJなりの根性を見せる意味で、実物で出してほしいです・・・

 う~ん、この実物とネットの話をすると、永遠と愚痴るので、ここで止めますが、とにかく、やる夫さんの心ゆきにはビガップです!
 是非、今後もフィジカルにミックス作品を出してくださいね!!



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Dimitri from Paris 「Salsoul Mastermix」

 そして最後は、新作も新作で、我らのDimitri先生が今回のダニーと同様に15年ぶりにリリースしたSalsoulミックスで、速攻で購入して激ハマリ中です(^0^)

 ライナーを読む限りだと、今回のダニーのリリース元であるUltra-Vybeに自ら志願(!)して作ったそうで、15年前に作った「My Salsoul」も良かったことから、期待して買ったら間違えないですね!

 方向性としてダニー以上にマニアックな曲をチョイスし、現代に蘇らせているところが素晴らしいです・・・
 う~ん、そろそろ耳馴染んできたので、欲しい曲が上がってきました・・・サルソウルは奥が深いですね~

 なお、ダニーの今回の作品を聴いた上で、Dimiのを聴くと、かなり被っているところが多く、一発目のMy Love Is Freeは完全にバッティング・・・
 謎なのが、Dimiのは「Frankie Knuckles Classics Remix」となっており、イントロのオルガンパイプから入るのが同じなんですよね・・・う~ん、分からない(^^;)

 なお、ここで書くのもアレですが、今回のダニーと、このDimiを出した「Ultra-Vybe/Octave Lab.」さんの今年の活躍っぷりといったら素晴らしいですね!!
 根性入れてミックス作品を出している姿勢には頭が下がります・・・来年はSalsoulやWest End以外のカタログでもミックス作品を出しくださいね!!



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 そんなわけで、今年のノミネートは以上です!

 今年のミックス作品業界を振り返ると、アンダーグラウンドなミックス作品は発表数が少なくなる一方で、メジャーリリースの作品で内容の良いのが多く、トータルの作品数は少なかったものの、内容の濃い1年だったと思います。

 なんでしょう、私自身も買う枚数は少なかったのですが、買ったら長く聴ける良い作品が多かったという感じで・・・ある意味、実力がある人のみが、実力に見合った作品を出している・・・そんな傾向があるかな~と思います。
 今回、ここでの紹介はないですが、Kocoさん、Kentaさん、Minoyamaさんなど、ほんと実力がある方は沢山作品を発表しており、実は中々充実した1年だったと思います。

 来年は、早速年明けにMUROさんがオフィシャルで和物アーバンミックス(ジャケの小林泉美ネタが最&高です!)も出るし、結構期待が出来そうですね!!


 ではでは、今年も1年、皆様にご愛顧を頂き、大変感謝をいたします。

 来年も色々と頑張りますので、引き続きのご愛顧をよろしくお願いいたします!!




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コメント
この記事へのコメント
Mr. K!
いやいやいや…これまた素晴らしい作品をリリースしてくれましたね、DANNY 先生は!

Mix CD という色々な制約がある中でこのような世界を造り上げることができるなんて、ホントにすごいですよね!
DANNY の曲に対する理解の深さ、愛情がひしひしと伝わってきます。

魅力的な曲、プレイばかりでしたが、「Skyy / Here's to you 」で終わりなのかなと思わせといてからの、クライマックスに「Loleatta Holloway / We're getting stronger」!
マジで泣きましたよ!泣けるMix CD なんてなかなか無いと思いますよ!(^^;

ホントに素晴らしい作品だと思います。
そしてこの作品を深く掘り下げ、考察を発表してくれたMTTさんもホントすごい!
DANNY 先生にも読ませてあげたい(笑)。

またいつか、DANNY のもう一つの傑作「GRASS ROOTS」についても発表してくれると嬉しいです。

ではでは、今年もよろしくお願いします(^^)/

2016/01/02(土) 08:28:19 | URL | yo-yo #-[ 編集]
Re: Mr. K!
>yo-yoさん

あけましておめでとうございます!
そして、コメント、ありがとうございます!

ホント、この作品は何も知らずに初めて聞いた時の衝撃たるや・・・最高ですね(^0^)
また、今回、ほんと深く聴いちゃったので、結果的にこういった紹介になりましたが、深く聴くと「匠の技」がいたるところにあり、もー、それを紹介せずにはいられなくなってしまいました(^^;)
多分、最後の部分だけでの紹介だけでも十分でしょうね・・・それほど、優れている作品ですね!

あと、Grass Roots! これも良いミックスですね・・・紹介するのを忘れてるようですね(^^;)
こちらも時間を見て紹介をしますね~

ではでは、今後ともよろしくお願いいたします!



2016/01/03(日) 19:21:42 | URL | mixtapetroopers #EK3m6DHM[ 編集]
このblogをみて買いましたが、最高のmixですね!
4曲目までの流れが最高に気持ち良くて、Secondsで昇天してます。
2016/02/26(金) 17:51:02 | URL | Oku #-[ 編集]
Re: タイトルなし
>Okuさん

コメント、ありがとうございます!
うわー、これは嬉しいです・・・記事を読んで頂き、その作品を買って楽しんで頂くのは、ブログを運営してて一番嬉しいことです(^0^)
なかなか新作のミックスCDは紹介できないですが、今後も色々と紹介していきますね!
では、今後ともよろしくお願いいたします!


2016/02/27(土) 08:50:00 | URL | mixtapetroopers #EK3m6DHM[ 編集]
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