HipHop,R&B,Soul,Funk,RareGroove,DanceClassics,Garage,House・・・など、私が気に入っているMixTape,MixCD,その他もろもろを紹介するブログです。
DJ MURO 「Diggin' Ice 2015 - 30years and still counting」
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 さーて、今回は久しぶりの予告先発をした作品です・・・この時期だからこそ、紹介をしたい作品です!!

 いつもなら、ここで戯言を入れるのが定番(?)ですが、こんな素晴らしい作品を前にして、私の戯言は不要です・・・発売されて1年経ちましたが、未だにヘビーローテーションな作品です(^0^)

 今回は、ちょっと気合いを入れて紹介しますよ!!





(1) はじめに

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 今回は、昨年の6月にリリースされたMUROさんの「Diggin' Ice 2015」を紹介したいと思います!

 リリースの際は、この作品が待望の新作で、それもメジャーからのリリースだったこと、さらにCD版とテープ版が同時発売されるとあって、かなり盛り上がったことは記憶に新しいかと思います。
 私も、発売するアナウンスがあってからは凄い楽しみに発売日を待ち、テープ版が危うく買いそびれそうだったこともあったりで、色々な思い出がある作品になります。

 そして、今回の紹介は、発売されて1年経ったことと、ちょうど今週にDiggin' Iceの新作が同じような形でリリースされたことをうけ、大好きな2015年版を紹介することに至りました。

 この作品、聴けば聴くほど大好きになる作品で、MUROさんが培った「Diggin' Ice」という世界を分かりやすく凝縮した作品だと思います・・・
 先に、結論めいたことを書きますが、もし「Diggin' Iceってどんな作品ですか?」と尋ねられたら、真っ先にこの作品を紹介するぐらい、Diggin' Iceの世界が彩られた作品だと思います!

 では、今回の作品紹介は、きっと初めてDiggin' Iceに触れる方もいるかもしれませんので作品の背景を紹介しつつ、Diggin Iceの世界観、そしてMUROさんの素晴らしさを深く紹介したいと思います(^0^)

 なお、本作品はCD版とテープ版がありますが、テープ版の方がミックスの収録時間が長い(=CD版は、ミックスの一部を割愛している)ことを考慮し、テープ版で紹介をしますね!
 そして、テープ版はA面とB面が別々の作品ではなく、A→Bとなる約90分のミックスになるため、一本のミックス作品とみなして紹介をしたいと思います。





(2) DJ MUROさんについて

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 まずは、この作品の作者である「DJ MURO(ムロ)」さんについて紹介しましょう!

 MUROさんは、カテゴリーでいけばHipHopを基礎としたクラブ系ミュージックのDJ/Producerとなりますが、もはや「MURO」というカテゴリーで活動をしているミュージシャン/音楽家になります。
 活動の中心は、クラブでのDJプレイ、DJミックス作品の発表、楽曲のプロデュース/リミックスなどになりますが、どれもMUROさんのセンスに彩られ、誰にも真似できない「音楽」を表現し続けるお方です・・・

 活動自体は80年代末より活動を開始し、初期はラッパーとしての活動が中心になりKrush Posse、Microphone Pager、そしてソロとして日本語ラップシーンを盛り上げた立役者の一人になります。
 そして、ラッパー活動と並行してDJ/Producerの活動もし始め、膨大なレコード知識から繰り出すDJプレイやミックス作品、そしてプロデュースした音源作品などを発表し、今となっては日本を代表するDJの一人として数えられる存在になります。

 特に、MUROさんを表現することにおいては「King of Diggin'」という異名が重要で、何においても「掘る」という姿勢がカッコよく反映されていることが唯一無二になります。

 「掘る」という行為/考え方/文化は、私たちが属するDJ文化/レコード文化において、無くてはならない「根幹」になると思います。

 DJという行為は、それこそ、既存の曲を寄せ集めている行為なのかもしれませんが、その「寄せ集め」においては、聴く人が知らない曲やビックリする曲・・・つまり、聴く人が「楽しむ/喜ぶ/引きつけられる」ことが求められます。
 その意味では、DJ達は聴く人が楽しめるように、日々、曲を探し続けています・・・このことが「掘る」ということの背景になるかと思います。

 そして、この「掘る」ということを更に進めると、誰も知らない昔の曲だったり、どこでも売っている定番曲だったりを「DJプレイ」を通すことで「カッコよく聴かせる」ことがあります。

 話をMUROさんに戻すと、膨大なジャンルを掘り、日々カッコいい曲を探し、それをDJプレイに落とし込み・・・聴いている者を魅了するスペシャリストになると思います。
 
 MUROさんのDJやDJミックスを聴いていると、MUROさんの黒い指で掘られた知らない曲が、MUROさんのプレイを通してカッコよく聞こえたり・・・誰しもが知っている曲がMUROさんのプレイによって更にカッコよくなったり・・・まるで「音楽の魔術師」かと思うぐらい、素晴らしい世界を与えてくれます。

 まとめになりますが、「掘る」という行為/姿勢は、様々な音楽を探してくることに加え、その探してきた音楽を自分流にアレンジして更にカッコよくすること、この2点が中心になると私は考えます。

 MUROさんは、この行為/姿勢を肩肘張らず、凄いスマートに、そしてカッコよく提示するのですが、中身は誰にも追い付けないくらいに深いのがポイントで・・・これは誰にも敵いません。

 そのため、この文化に属する者からは敬愛を込めて「King of Diggin' (掘りの王様)」と呼ばれています・・・この点に異論は無いですよね!





(3) ミックス作品とDiggin' Iceについて

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 そして、MUROさんの「掘り」を最も分かりやすく表現、そして誰にもかなわないのが「ミックス作品」に他なりません!

 2015年12月時点での作品数は233作品(一部選曲のみもあり)を発表をし、ここ数年は毎月1作は必ず新作を発表するなど、MUROさんの活動や音楽を表す上で、一番重要になる部分だと思います。
 MUROさん自身も、ミックス作品を作ることは「日記を書くような感じ」とおっしゃっており、もはやライフワークになり、MUROさんの活動において中心も中心のようです・・・

 MUROさんが作るミックス作品の大きな特徴として、ある一つのテーマを設定した上で、そのテーマに見合う楽曲をジャンルを問わず選曲し、その曲達をDJミックスを通してプレイすることでカッコよく聴かせることがポイントになります。

 先ほどの「掘り」の紹介に繋がる部分で、この「掘り」を一番わかりやすく紹介しているのが「ミックス作品」になり、聴けば聴くほどMUROさんの素晴らしさが分かるかと思います。

 そんなに音楽の知識が無い方でも、聴いていると自然と耳に入ってくる点がありつつ・・・その曲を深く調べると、だれも知らない楽曲だったり・・・作品として「聴きやすさ」と「深さ」が同居しているのが素晴らしさの一つですかね?


 その「聴きやすさ」と「深さ」が上手く機能し、かつMUROさんにしか作れないのが「Diggin' Ice」というシリーズになるかと思います!!

 このシリーズは、分かりやすい表現だと「聴いてると自然に涼しくなる」ようなコンセプトの元で選曲/DJミックスした作品で、MUROさんの中では大人気のシリーズになります。
 元々は、1996年にカセットテープで第1作目がリリースされ、その後、テープでのリリースを経て、CDでもリリースをしている人気作で、夏になると何となく聴きたくなる方も多いのではないでしょうか?

 俗にいう「チル作品」なので、色々なDJがリリースはしているコンセプトではありますが、SoulやR&B、Jazz、RareGroove、Reggae、HipHopなど、音楽のジャンルも年代も異なる楽曲を、MUROさんのセンスで一つにまとめ上げている点は唯一無二で・・・とにかく、聴いたら「気持ちいい・・・」と思わせる内容は素晴らしすぎます。

 ここ最近がそうなんですが、私自身、新作を購入し、家で聴いていると自然と睡魔に襲われて昼寝しちゃうんですよね・・・そう、聴いていると自然に心がリラックスし、自然の自分に戻れる・・・そんな世界観があると思います。


 では、以下では、2015年に発表された作品紹介を通して、MUROさんが作る「Diggin' Ice」の素晴らしさを紹介したいと思います!!

 なお、今回は、久しぶりに分析モードな紹介にしたいので、選曲を起承転結に分解して選曲順に紹介し、その中で選曲面とミックス面を深く掘り下げながら紹介しますね・・・
 あと、MUROさんの場合、プレイした曲のジャケットも、作品のアイデアやコンセプトに繋がると思うので、プレイした曲のレコ写は今回は大きめで掲載します!





(4) 作品紹介

① はじまりの「起」

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 まず、1曲目ですが・・・もー、ここから引きこまれますね!

 1曲目は、永遠のメロークラシックである「Roy Ayers Ubiquity / Everybody Loves The Sunshine」(画像上)からプレイ・・・こんなド定番からプレイするとは!

 ヴィブラフォン奏者として名高いRoy Ayersさんの76年発表の楽曲で、80年代末~90年代初頭のRareGrooveムーブメントやHipHopのサンプリングネタとして掘りだされ、それ以降、誰しもが愛する永遠のメロークラシックですね・・・もう、嫌いな人はいないでしょ!
 
 そして、MUROさんが憎いのが、1曲目の後は、尽かさずRoy Ayersがプロデュースした名曲「RAMP / Daylight」(画像下)をプレイ・・・いや~、この繋ぎは完璧ですね!

 まず、ここで指摘したいのが「スタート」であることです。

 DJミックスにおいて、スタートって凄い大切な部分で、私としては「その作品に吸い込まれる入り口」と考えており、ここで失敗することは許されないと思っています。
 例えれば、紙飛行機がイイでしょうか・・・しっかり折った紙飛行機でも、その紙飛行機を投げる力加減や方向で大きく飛び方が変わりますよね・・・滑空というストーリーを考えると最初は重要です。

 MUROさんにおいては、まず、誰でも知っていて、馴染める名曲を選んできたのが上手いですね・・・そして、Diggin' Iceの世界観を一番分かりやすく表現できる曲を持ってきてる訳です・・・聴いた瞬間、Diggin' Iceの世界に入れる効果があり、最高です!

 Diggin' Iceの世界、人によっては違うかもしれないですが、一言でいえば「気持ちいい」だと思います。

 この作品を含め、Diggin' Iceにおいては、夏の暑さや気だるさをかき消すような「気持ちいい選曲とDJミックス」が主になっており・・・最初のRoy Ayersのプレイには、その心ゆきが大いに反映されていると思います。 
 それは、イメージとして、初夏の朝というんでしょうか、ちょっと涼しさがあるけど熱くはなく、朝日が優しく差し込んで、これからの一日の始まりを告げるような感じですね・・・

 MUROさんのプレイに話を戻すと、導入部で、Diggin' Iceのコンセプトが最も分かる曲で、かつ誰でも馴染める曲を持ってくることで、スタートの時点で聴いている人の耳を、Diggin' Iceの世界に引っ張っているのが流石ですね・・・

 また、同アーティスト繋ぎだったり、実はレア盤だったりするのも憎い・・・同アーティスト繋ぎは、この作品では多様してて、作品として聴きやすさを生みながら、ファンなら「ニヤッ」としてしまう選曲で、上手すぎますね!



② Iceのグルーブを引っ張る「承」

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 Roy Ayersのプレイで格好のスタートを切り、MUROさんが機長となるミックスの旅が始まり・・・序盤から中盤までは、Royのグルーブを引き継いだ「気持ちいい選曲」が核になっています。

 それこそ、A面の最初から最後までを使って気持ちいい選曲をするのですが、ここでの注目点は「MUROさんらしい深い選曲」ではないでしょうか?

 例えば、6曲目では、表現としてはアルバムの隠れた1曲的な「The Pointer Sisters / Don't It Drive You Crazy」(画像上)をディープにプレイします・・・
 また、1曲はさんで8曲目では、85年リリースのアーバンなブラジリアンチューンである「Tania Maria / E-Carnival 」(画像下)をプレイ・・・これもアルバムに隠れた名曲ですね。

 前段でも紹介をしましたが、MUROさんの素晴らしいところは「人に知られていない曲をカッコよくプレイする」ことがあります。

 まず、このあたりのミックスの流れを整理すると、スタートで受け継いだメロウな雰囲気を生かしつつ、徐々に快活な雰囲気を高めていき、ミックスに動きを与えている部分になるかと思います。

 それこそ、Pointer Sistersの曲が持つようなディープなグルーブでエンジンをふかしつつ、Tania Mariaの持つラテンやブラジリアンの快活なグルーブで、更に心地よいグルーブを与えていく感じで・・・いわゆるBPM(曲のテンポ)をゆっくりと上げていっているのが分かります。
 なんでしょう、南国の気候に例えれば、晴れているけど、突然、雲が遮って暗くなったり、そしてその雲が切れたら、突然、明るくなったり・・・みたいな空気感を交互に出しながら、徐々にテンポを上げていき、後半戦を見据えて土台作りをしている部分かな~と思います。

 ただ、一貫しているのが「気持ちよさ」で、全体的にあまり知られていない曲を中心としながら、その「気持ちよさ」を失わない選曲/ミックスは流石で・・・BGMとして気持ちよく聴ける部分でもあります・・・


 話をまとめると、起~承であるA面は、あまり知られていない楽曲を用いて、気持ちよいグルーブを高めていく部分になりますが・・・やはり、MUROさんの「掘りの深さ」と「選曲の確かさ」が否が応でも分かる部分だと思います!

 アルバムなどに隠れて収録されている良い曲や、あまり知られていないアーティストの曲を掘りあて、それを、雰囲気に即して的確にプレイしてくる辺りは流石です・・・

 個人的には、この辺を聴いてると睡魔に襲われるんですよね・・・大きな動きはないけど、しっかりとした「気持ちいいグルーブ」があるので、そのグルーブに引きこまれて眠くなります・・・
 それも、かなり深い曲を中心にグルーブを作るんですから・・・なかなか説明がしづらい部分ではありますが、MUROさんのDJプレイの素晴らしさを代弁できる部分でしょう!



③ 素敵にストーリーが動く「転」

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 起~承の最後の方ではレイドバックしたメローな曲をプレイし、いったんグルーブを静かにしてA面が終わります・・・
 そして、ガチャッとオートリバースがかかり、B面に移ると、個人的にはMUROさんからこの曲の良さを教わった「Ohio Players / Sweet Sticky Thing」が小粋にプレイ・・・おおっ、これまでのあまり知られていない曲の選曲から一転し、有名な曲をプレイしましたね・・・

 個人的にはSweet Sticky Thingは、MUROさんがJudy Robertsのカバーをパワープレイしてて、それでこの曲の良さを教わった訳ですが・・・ココからの展開が素晴らしいです!

 Sweet Sticky Thingを小粋にプレイし、メロウな空気感を引っ張ったプレイをしてるな~と思ったら、突然、カットインで「DeBarge / I Like It」(画像上)をプレイ・・・もー、みんな大好きな名曲で、これにはアガりますね!
 そして、同アーティストの名曲繋ぎで、Diggin' Iceの1996年版でもプレイされた「DeBarge / Stay With Me」(画像下)も連続プレイ・・・気付いたら一緒に歌っている自分がいました(^0^)

 MUROさんって、やっぱり「King of Diggin'」のイメージがあるので、誰も知らない曲を掘ってきてプレイするイメージが強いかと思いますが、ここぞという時の「定番曲」の入れ方がメチャクチャ上手く、実は評価しないとイケない部分かと思います。

 まず、プレイしたDeBargeですが、80年代初期から中期にかけてアメリカでヒットしたブラック系のグループで、ジャンル的にはSoulやR&BというよりもPopsになるグループかな~と思います。

 この話は、ちょっと今回の作品紹介においてはブレる話なので、控えめにしますが、こういったPopsは、数年経過すると流行歌の定めで、脈略もなく「ダサい」の烙印を押され、忘れられてしまうのですが・・・しっかりとビジョンがあるDJ達は、そんな周りの考えは無視し、自分が良いと思ったものは、素直にプレイしていました・・・
 それこそ、DeBargeなどは、Kid Capriなどの90年代初期のNY系HipHopDJが心の底からカッコいい曲だと胸を張ってプレイしてて、陳腐な表現ですが「イイものはイイ」を体現してきました・・・

 MUROさん自身も、Kapriなどのテープを聞いて結構な影響を受けたそうで、この辺の「ド定番曲」のプレイを「ここぞ」という時にプレイする訳ですが・・・この作品においては、タイミングが上手すぎですね!

 つまり、A面全体を通して、あまり有名な曲をプレイせず、気持ちいい雰囲気を演出してた中で、聴いている方は、知らない曲ばかりだと「飽きる」ことがあります・・・

 そう、そういった「飽きはじめた」部分を狙って、ド定番をブチこむと、聴いている方は「キター!」となり、否が応でも反応するんですよね・・・俗にいう「おあずけ」や「じらし」といった手法ですね。
 それも、美しいメロディーと歌詞が素晴らしいDeBargeですから・・・素晴らしい曲が更に素晴らしく聞こえ、心を優しく包んでくれるのが大変気持ちいいです!


 そして、少し違う側面の指摘もすると、選曲やDJミックスの「細かい手法」が光ってて、DeBargeの良さを更に引きたてています!

 選曲面であれば、テープだとA面の最後の方と、B面のド頭のOhio Playersがそうですが、あえて「グルーブを落とす」選曲をしています・・・
 これは、選曲の「対比」を出すための手法で、後にプレイされるDeBargeを輝かせるために、あえて光らない曲をプレイしていたんですね・・・ただ、全体的な気持ちいいグルーブを落とさずに、心のBPMだけ抑える選曲をしているのにはヤラれます!

 また、DJミックスも、全体的にみるとカットイン、ショートミックスなどを使い分けながら選曲を重ねていくのですが、聴けば聴くほど、次の曲が光らすミックスをしているんですよね・・・

 それこそ、DeBargeの「I Like It」→「Stay With Me」であれば、結果的にサビ終わりのブレイク(間奏)部分を使ってのカットインですが、4小節展開のブレイクにおいて、2小節目の部分でStay With Meにカットインしています。
 文章に起こすと、なんか気持ち悪いタイミングだな~と思いますが、これが絶妙で、ガッツリとStay With Meに繋がっており、MUROさんらしいタイミングだな~と思いました・・・それは、楽曲のビート感で判断しているのではなく、曲と曲が織りなす「グルーブ」を優先しているからこそのタイミングで、個人的には悶絶しています!



④ 感動的なエンディングである「結」

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 DeBargeクラシックの2連発を経て、DJミックスにおける「山」を作り、この後は若干ペースを落としつつも、A面よりも有名な曲を増やしながら、気持ちいいグルーブを引き延ばします・・・
 それこそ、DeBargeの後は、これまたMUROさんから曲の良さを教わった「Rick James / Moonchild」「The Blackbyrds / Mysterious Vibes」、そして定番クラシックである「The Gap Band / Outstanding」などをプレイし、A面よりも選曲にハマりながらミックスに酔いしれていく感じですね・・・

 そして、23曲目にあたる「Meli'sa Morgan / Fool's Paradise」(画像上)から雰囲気を変えて、終わりに向けての準備を始めます・・・最後のエンディングに向けての選曲の組み立て方、そしてミックスの仕方は絶品なので、詳しく紹介します!

 「Meli'sa Morgan / Fool's Paradise」をプレイすることでしっかりとしたビート感を維持しつつ、選曲の流れに「夜っぽさ」を足して今までとは異なる動きを見せ始めます。
 その後には大名曲な「Mary Jane Girls / All Night Long」を続けてプレイし、更に夜っぽさを足していきます・・・

 ここまでの流れを整理すると、朝→日中ときて、夕方を経て「夜」になっていった感じですかね・・・日が落ちたが故のアッパー感は後退しますが、夜らしい涼しさと華やかさが残ったグルーブを作っており、心がウキウキしつつも、涼しさが伴っている選曲かな~と思います。
 
 そして、MUROさんらしい関連繋ぎで、Mary Jane Girlsをデビューさせた張本人である「Rick James / Mary Jane」(画像下)をプレイします・・・個人的には、ここからがボムです!

 Mary Jane Girlsよりも、若干明るさを出した感じで選曲し、心地よいドラムブレイクと馴染みやすい歌が心を引きこむ大名曲・・・考えてみれば、この曲もDiggin' Ice 96で教わった曲だ・・・
 
 もー、この曲に関しては「体が覚えている」と言っても過言ではなく、Iceの96では、歌詞が盛り上がった2番のサビ終わりにカットインで「New Edition / Mr. Telephone Man」という最強の夏繋ぎをします・・・96が好きな方なら、このラインは鉄板ですよね!

 ただ、今回のプレイでは、次の選曲を見据えたプレイで上手すぎます・・・

 96では、かなり早いタイミングで次の曲に変えてましたが、今回の作品では96でカットインした2番のサビ以降もプレイします・・・
 私もあまり印象が無かったので聴いててビックリしましたが、サビ以降はメロディーが美しい間奏があり、今回のプレイでは、まずその間奏を美味しく使っていますね・・・まるで、最後に向けての多幸感を表している感じで、イイ部分をチョイスしてくるな~と思いました。
 
 そして、更にその後がボムです・・・割とフラットなブレイク間奏で、段々とコーラス(♪たった、た~たった、た~たら~)が増えていく部分があります・・・コーラスが増えていくことで、期待感というグルーブが上がっていきます・・・
 MUROさんは、ここを見逃さず、そのコーラスが高まったところで次の曲をカットインで入れてきます・・・


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 プレイしたのは「Ta Mara & The Seen / Affection」です・・・もー、この入り方は即死です!!

 まず、この曲のジャケから醸し出されるダサさ(笑)は置いておいて、選曲の流れから整理しましょう・・・

 先ほどの説明で「終わりに向けて準備を」なんて書きましたが、Meli'sa Morganからの選曲の流れは、明らかにTa Maraでボムるための布石を引いた選曲であり、それを実行する為のプレイを施していたと思われます。

 それこそ、あえて「夜」の雰囲気に変えていったのは、Ta Maraをプレイしても馴染みやすいようにした表れだし、その上で、Ta Maraの前でMary Janeという割とアッパーな曲をプレイすることも上手いですね・・・
 先ほどの③転で示したDeBargeが「静→動」なコントラストをつけて盛り上げたのに対し、ここでは「動→静」のコントラスを出しつつ、Ta Maraが持つ「クールだけど熱い」感じを上手く演出してて、MUROさんの手腕の高さが分かります!
 
 そして、何よりも、全曲のMary Janeのコーラスブレイクの効果を利用してのTa Maraへのミックス・・・まるで、暗い階段を急速に登り、最上段にある扉を開けたらパラダイスがあるような演出を施していて、上手すぎです!!

 MUROさんのミックスを説明する時、先ほどのDeBargeもそうですが、ピークになる曲を選曲/ミックスしていく組み立て方や、直前のミックスが異様に上手く、ヤラれます・・・

 特に、ボムる曲の直前のミックスの上手さといったら天下一品で・・・個人的には「殺しのミックス」と呼んでいるほどです・・・

 そう、これこそが「DJにしか出来ない音楽」なんだと思います!

 それは、普通に聴いたらカッコ悪い曲でも、DJの選曲とアイデア次第で、その曲が「光り輝く」ことになります!!


 ここで、Ta Maraのジャケの話に戻しますが、普通はこのジャケを見て食指が動かないでしょ・・・失礼な表現ですが、この田舎臭さ満載な感じは、手が出ませんね・・・
 曲も普通に聴いたら80年代の洋楽っぽい感じで、どちらかというとNew Wave的な匂いの方が最初はすると思うんですよね・・・つまり、これまでプレイしてた「黒い音楽」ではなく、どちらかというと「白い音楽」かな~と思います。

 ただ、MUROさんのミックスで聴いちゃうと「ジャケなんて、ジャンルなんて関係ないんだ・・・」となるはずです・・・

 それほど、MUROさんの選曲とミックスを通してTa Maraを聴くと、楽曲が光り輝き、本当の「良さ」が分かるからです!
 
 もちろん、先ほども説明した最良のタイミングでミックスしていることも重要ですが、MUROさんは、この曲を聴いて、この曲に含まれている「ファンクネス」を感じ、そこを強く押しだしたプレイをしていることも重要です。

 つまり、楽曲の「本当の良さ」を見きって、最良の方法でプレイしただけです・・・まとめじゃないですが、音楽の「本当の部分」を「掘って」るんですよね・・・

 うん、こんな凄いことをサラっとこなしちゃうんだから、やっぱり「King of Diggin'」ですね!





(5) まとめ

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 いや~、久しぶりに書きましたね・・・ただ、やっぱり上手くまとめられなかった部分もありましたね・・・

 特に、MUROさんの魅力の一つである「ジャンルを跨いだ選曲」が上手く紹介出来なかったですね・・・この作品でも、相当なジャンル跨ぎをしているのですが、手持ちのレコでは対応できずでした(^^;)

 また、今回の紹介、意識的に「今までこのブログを読んだことが無い人が読んでも理解できる内容」を念頭において書いたので、いつもより脱線が少ない(?)し、文体もちょっと違うかな~と思いますが、後半になると、いつもの「・・・」が増えてしまい、ダメダメですね(^^;)

 そんなわけで、最後にまとめをしておきましょう!

 まず、最初に「MUROさんが培ったDiggin' Iceという世界を分かりやすく凝縮した作品」と書きましたが、これは間違えないでしょう・・・

 今まで、Diggin' Iceを聴きつくした立場からすると、あまり知られていない曲から定番曲までを網羅した選曲、そしてその選曲を「Diggin' Ice」というグルーブ/空気感に統一している点はパーフェクトで、私が思うDiggin' Iceを一番イメージしやすい作品だと思いました。
 ここで説明するのもアレですが、この作品自体、MUROさんのミックステープ制作活動30周年(プロ活動前も含む)を記念して作られた部分があり、MUROさん自身も意識的に「総決算」的な内容にしたのかな~と思います。

 そして、この選曲を支えるミックスなどのDJ技術も冴えわたってて、Diggin' Iceで存分に味わえた「DJミックスの妙」を存分に楽しめる点も重要です・・・
 DJミックスを通して聴くことで「その楽曲の本当の素晴らしさ」が味わえることも出来、Diggin' Iceを抜きにして、DJによる「ミックス作品」としても相当優秀な作品だと思います。

 また、ミックス作品として、しっかりとした「ストーリー」があるところも素晴らしいですね!

 今回、その点は「起承転結」という形で紹介してみましたが、やっぱり聴く側としては、選曲のストーリーがあると聴きやすいし、何より聴いていて「グッ」とくるんですよね・・・
 まるで、良質な本を読み切ったあとの爽快感や満足感と言うんでしょうか・・・DJミックスほど、聴き方によったらBGMになりがちな音楽を、しっかりと「楽しめる」内容にするのは「ストーリー」があっての効果で、この作品では、シンプルだけど何度も聴きたくなるストーリーがイイですね!


 そして・・・ここが、この作品の一番重要なところです。

 この作品が、しっかりと権利をクリアーした「メジャー作品」として制作されたことです!

 まず、少し話がズレますが、DJの選曲とミックスは「自由な発想」があって、初めて成立をするものと思います・・・

 ただ、メジャーという世界では、楽曲を持っているアーティストやレコード会社が存在するため、その「自由な発想」を全て実行することはできません。

 それこそ、この作品であれば、レコード会社「ユニバーサル」がライセンスできる音源だけが使用でき、ユニバーサルがライセンスを持っていない曲を選曲することは、ほぼ出来ません・・・つまり、結果的にDJ側の「選曲の自由」を奪っている訳です。

 しかし、MUROさんにおいては、膨大なレコード知識を駆使し、その制約をもろともしない選曲と、その曲達を引き立てるDJミックスを駆使し・・・素晴らしいDJミックスを作り上げました!

 この点は、ネットで自由にDJミックスがアップできるご時世、本当にリスペクトしないとイケない点です・・・MUROさん、やっぱり凄いよ!


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 そんなわけで、これで終わりにしましょう・・・

 とりあえず、今週発売された新作(2016)もヤバいですね・・・2015とガラッと方向を変え、直球は投げない選曲でありながら、要所要所で憎い演出が施されてあり、ヤバすぎです・・・
 う~ん、この夏のヘビーローテーションは確定ですね・・・今年もお世話になります(^0^)

 そして、今月末にはElegant Funkとしてメジャー新作が出るとのこと・・・選曲は聴くまでのお楽しみなのでアレですが、事前情報では吉●美奈子さんを選曲したらしく、またメジャーの制約の壁をぶち破ってくれましたね!
 
 あと、今回の紹介にあたって、この2015版を相当聴きこみましたが・・・おかげさまで、また「MUROさんから教わった曲」が増えてしまい、収録曲を探し始めています・・・
 これはゆっくりと探していきますが、この点もMUROさんを説明するときに重要ですね・・・MUROさん、これからもイイ曲を沢山教えてくださいね!!

 ではでは、気になる方は新作と合わせて聴いてみてくださいね!!




<Release Date>
Artists / Title : DJ MURO 「Diggin' Ice 2015 - 30years and still counting」
Genre : Soul、Funk、Jazz、JazzFunk、RareGroove、R&B、Pops・・・
Release : 2015年6月
Lebel : Universal PROT-5002(テープ)  ※CDはPROT-1155
Notice : タワーレコード限定商品


Notice : CD版とテープ版について

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 前述したとおり、テープ版の方が尺が長いのでテープ版を紹介しましたが、CD版は下記の点がテープ版と異なります。

①一番最初のRoy Ayersのプレイの際、テープ版ではRoy Ayers本人からのシャウトアウト(!)が入る
②テープのB面の最初に「Ohio Players / Sweet Sticky Thing」が収録されている。つまり、CD版では、Ohioの前の曲(Nancy Willson / I'm In Love)からDeBargeにミックスされている
③CD版では「The Gap Band / Outstanding」で終わり、Gapの次の「Meli'sa Morgan / Fool's Paradise」以降が収録されていない

 平たく並べると、そこまで変わってないように思いますが、CD版だと、私が力説したTa Maraが入っていないので、個人的にはテープ版の方が好きですかね?
 ただ、CD版だと、DeBargeを大きなピークにしてて、最後のOutstandingを熱のこもった選曲になり、これはこれで気持ちいい・・・とにかく、テープ版もCD版も最初のRoy Ayersが大きすぎますね!

 なお、こういった違いがあるので、テープ版とCD版を2枚買いするのはマストになっています・・・ある意味でテープとCDは別物の作品(アウトテイクみたいな感じ?)と思っていて、2倍楽しんでいますよ(^0^)






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コメント
この記事へのコメント
お久しぶりです
こんにちわ、ご無沙汰しております!
Diggin'ice今年も発売され、毎年夏の大きな楽しみになり嬉しい限りですよね!2015年も勿論買ってました。もちろんtape盤です、後半のaffectionやらmary janeやらdiggin'iceクラシックが収録されてるとなると当然テープで買ってしまいます(^^;)mary janeがあえて長めでaffectionに繋がるとこすごく分かります!
話は変わりますが2016年版もテープで買ったのですが、自分のものはa面冒頭10分ほど片チャンネル音が小さい現象が出ます。mixtapetrooperさんはそういった現象は出ませんか?
Tapeの味として割りきってますが、やはりしっかりステレオで聞きたいのですが何か対策とかありましたらご教授頂きたいですm(__)m

あと余談ですが、新しくmix作りましたのでよろしければ聴いてみてください!和モノブギーメインで選曲してみました。
https://www.mixcloud.com/ryotarohonda98/city-pop-mix-all-vinyl-live-mix-vol5-/
2016/07/11(月) 18:39:13 | URL | りょう #-[ 編集]
Re: お久しぶりです
>りょうさん

コメント、ありがとうございます!
個人的には、事前にテープとCDがどう違うかを知らずにテープとCDを購入して、なんとなく聴いてたらテープの方が優勝で・・・そこからの分析でしたが、タマラの犯罪級のミックスにはヤラれますね!
結構、皆さんが聴く機会の多い作品、特に新作だと、私が思ったことが本当に該当するかはどうかがドキドキなので、同じ思いを感じていて嬉しいです!

そして、2016の件ですが、私のテープはちゃんんとLとRが均等に出ているようです・・・
まれに、再生機のテープの収まる位置がずれると、こういった片チャンの鳴りが変になることがありますが、こればかりは、テープが原因か、デッキが原因かが読めないっすね・・・何台かのデッキで試してみて、同じだったらテープの原因があるかな?
なお、私のここ最近の自宅でのメインラジカセの片割れであるソニー君1号は、片方のスピーカーが壊れてて、強制的に「モノラル」で聴いてますが、あまり問題に感じないどころか、結構「味」が出てイイんですよね・・・ここまで来ると達観したか、病気ですね(^^;)

ではでは、今後ともよろしくお願いいたします!



追伸
なんと、1か月もコメントが無かったんですね!
なんとなく、コメントをしてないな~と思いましたが、オッサンになると、1か月が一瞬で終わるので、全然気づきませんでした(^^;)
コメントを書くことは、このSNS時代には「手軽ではない」ことは承知していますが、何か思うところがあれば、是非書いてみてくださいね~




2016/07/13(水) 00:10:02 | URL | mixtapetroopers #EK3m6DHM[ 編集]
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