DJ Nori, DJ Alex from Tokyo, Fukuba, Kenji Hasegawa 「Sunday Afternoon Session - Gallery」

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 今回は、先週に紹介しようと思っていた作品紹介です・・・

 本来ならば、先週の方が良かったのかもしれないですが、中途半端に書くよりも、ちゃんとした形で紹介した方が、天国にいる恩師が喜んでくれるかな~と思い、先週は更新をお休みしました・・・
 ただ、少し時間が頂けたので、しっかりと作品を聴きこみ、準備も出来たので・・・この作品を通して、恩師のことを紹介しますね・・・


david - respect for your soul

 まず、作品の紹介をする前に、今回の作品を紹介する理由から紹介します・・・

 既にご存知の方も多いかと思いますが、ダンス/クラブ文化の開祖とも言える「David Mancuso(デイビッド・マンキューゾ)」さんが11月14日にお亡くなりになられました。

 享年72歳、今の時代であれば、まだまだ現役な年齢です・・・残念です・・・

 Davidさんについては、知らない方が多いと思いますので、少し紹介をしましょう・・・

 Davidさんは、60年代よりNYの自宅で音楽を主としたパーティーを開催し、その後、このプライベートなパーティーが発展し、「The Loft(ロフト)」という名前で素晴らしいパーティーを運営されておりました。
 Davidさんの元には、Larry LevanやFrankie Knucklesなど、多くの音楽を愛する者が集い、彼らの多くはDavidさんから多大な影響を受け、その後のDance/House Musicが作られていきました・・・

 そう、Davidさんは、今、私達が愛している「クラブ」や「パーティー」という概念を作ったと言えるお方になります。

 それは、室内の音響の作り方や雰囲気、ジャンルにこだわらない選曲とDJの在り方、そしてダンスをしながら「音楽を自由に楽しむ」という観点を推し進めていたことなど、今のクラブに欠かせない要素を生み出したとも言え・・・考えれば考えるほど、この「文化」を生み出したと言っても過言ではありません。

 Davidさんのもっと詳しい情報を知りたければ、以下の情報等をご参考にしてくださいね・・・
 
Resident Advisor ニュース RIP David Mancuso
ele-king R.I.P David Mancuso 長谷川賢司(gallery)

 また、Dance/House Musicの歴史については、嬉しいことに様々な本やドキュメントムービーがありますので、Davidさんのことを更に深く知りたいのであれば、是非、手にとって学んでくださいね・・・

・参考 Mixtape Troopers DJ関連書籍 「ダンスカルチャー 歴史・紹介本」


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 そして、Davidさんの影響において、DJミックスという観点ではDavidさんの「選曲」と「DJプレイ」が重要になり、一般からすると特異的でありながら、結果として多くの影響を与えたと思います。

 まず、選曲については、いわゆる「ジャンルレス」な選曲ですが・・・そんな言葉では収まらない「音楽愛」があっての選曲がありました。

 ほんと多種多様な音楽を選曲し、Davidさんがプレイしていた曲は、敬意を込めて「The Loft Classics」として受け継がれています・・・ある程度レコードを買われている方なら、お店が付けるキャプションに「Loft」と書かれているレコードを手に取った方はいますよね。
 どんな曲を選曲していたかは、なかなか短くまとめられないのですが、どの曲も豊かな音楽性があり、凛とした曲が多いかな・・・ただ、聴いてると心も体も動きだし、そしてリラックスもする曲が多いですかね?

 そして、DJプレイについては・・・今となっては独特になるかもしれません。

 DavidさんがDJプレイするときは、いわゆる「DJミックス」を一切行わず、プレイする曲をフェードイン・フェードアウトでプレイします・・・それも、プレイする曲を頭から最後まで、何もDJ的な加工を行わずプレイを行います。
 こういったDJスタイルは、Davidさんのプレイスタイルから、今となっては「Loft スタイル」と呼ばれており、DJ的にはメジャーではないですが、このスタイルにこだわってプレイしている方もおられますよね・・・

 今の時代なら、DJという存在は、ミキサーをイジりながら派手に音を混ぜ合わせる存在と認識されているので、Davidさんのプレイを見ると地味すぎて「これがDJなのか?」と思う方もいるかもしれません・・・

 ただ、Davidさんのプレイにおいては、ミックスはしないものの、聴いてる人をその音楽の「ストーリー」に乗せていくことや、プレイする曲を最良の音響で聴かせることで価値が発揮することなどに主眼点を置いており・・・本当のDJは「DJミックスをしなくてもDJが出来る」ことを表していたのだと思います。
 特に、ストーリー性の部分だったり、あえてDJミックスをしないことで、プレイしている曲に「しっかりと入りこんでもらう」要素が生まれる点などは、DJが標準化した今となっては逆説的に重要な視点ですね・・・
 
 僭越ながらまとめると、DJも選曲も、そして全てのことが「音楽愛」があることで生まれており、それがDavidさんの素晴らしさになると思います。

 変にショーアップせず、とにかく「音楽を愛して、パーティを楽しもう!」という博愛が背景にあり、それが全てに表れていたのだと思います。


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 そして、話を今回の作品紹介に進めます・・・

 DavidさんのDJやパーティーは、結果として様々な人に影響を及ぼし、今の「クラブ」や「ダンス」を形成していきました・・・

 それこそ、故Larry Levanが、Davidさんのパーティーに熱心に通い、そこでDJ、いや「音楽」を学び・・・そして、LarryがDJをしていた「Paradise Garage」は、Davidさんの「The Loft」を大いに参考にして作られたクラブであることは有名ですね。
 その他にも、DavidさんのDJだったり、Loftのパーティーに影響を受けた方は多く、今のクラブ系と言われる音楽の大部分は、Davidさんの影響があると考えられます。

 そして、日本においても大いに影響を及ぼしてくれ・・・その「一つの結晶」が今回の作品かもしれません。

 今回の作品は、現在は不定期で開催をしてるパーティー「Gallery(ギャラリー)」の参加DJ達が2003年に発表したコンピレーションアルバムになります。

 Galleryは、青山にある「Cay」というクラブ/レストランで行われていたパーティーで、いわゆる「House」のカテゴリーになるパーティーでしたが、今回の主役でもあるDavidさんが考えていた「音楽愛」をある意味で「受け継いだパーティー」とも言われています。

 参加メンバーからして、DJ Noriさんを筆頭に、AlexさんやFukubaさん、そして長谷川賢司さんなど、本当に「音楽とパーティーを愛している」方が集い、参加をしていたお客さんも同じ気持ちを抱えながら集まっていたそうです。
 また、パーティーでは、音響にこだわっていたり、心を満たすフードが出たり、DavidさんがLoftで実践していたことを模倣していた部分もあるようで、記憶だと、ある時期はLoftの日本版みたいな紹介もされていた時期があったかと思います。

 残念ながら、私自身はGalleryに参加をしたことがないのですが、きっと、パーティーという「私達の共同体」で皆がニコニコしながら踊っていたのでしょう・・・
 過去の資料を調べると、アフターヌーンパーティーなので、ダンサーのお子さんも入れて、かなりフレンドリーなパーティーだったようです・・・パーティーと言う存在の「理想形」の一つかもしれませんね・・・


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 そして、実際にもDavidさんとの繋がりが深く、このGalleryは、90年代の終わりぐらいから1年に1回はDavidさんを呼び、パーティーを行っていました。

 私の憶測も含みますが、この「Davidさんが来てくれる」ことは凄い重要なことだと思います。

 それは、Davidさん自身は、完璧主義的なところがあったり、お金を稼ぐことよりも自分の理想を貫く姿勢があったりするので・・・よほどDavidさんの考えと合致しないと「来ない」からです。
 つまり、Davidさんに「認められる」パーティーでないと来ないわけで・・・このことを踏まえると、GalleryがDavidさんに認められた存在だったことが分かります。

 Galleryを考えると、DJや音楽関係者からの信頼は非常に高く、Dimitri From ParisやDaniel Wangなどがゲストで参加していたり、他のパーティで来日の際、遊びに来るDJが多かったり・・・このパーティーの「雰囲気」が他にはないことを認めている方が大変多かったようです。

 そう、Loftがそうだったように、Galleryだけにしかない「空気」が素晴らしかったのだと思います。


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 やっと、作品紹介に移ります。

 この作品は、2003年にGalleryの開始5周年を祝う形でリリースされたアルバムで、Galleryで実際にプレイされ、Galleryに集った方々に愛された曲をコンパイルした作品になります。

 まず、先に指摘したいのが、この作品は「DJミックスされていない」ことで、いわゆる「コンピレーション(=普通のアルバム)」ということです。

 実際に収録された曲は、Galleryの参加者自身も深く関わっている「Flower Records」からの音源、そして海外のレーベルの音源が半々で、僅か9曲になります。

 それこそ、Japanese House Classicである「Su-Paka-Pooh / くらげ」(収録はアンリリース版)や、永遠の名曲の一つである「Louie Vega feat BLAZE / Elements of Life」などが収録されており・・・普通に聴いたら割と地味なHouseのコンピに聞こえるかもしれません。
 特に、大半がHouseの曲なので、それぞれの曲のイントロブレイクも入っているので、1曲が異様に長く収録されていることもあり、聴きなれない方にとっては面白さを感じない部分もあると思います。

 ただ、ただ・・・心を開いて聴くと、とても素晴らしい音楽旅行を与えてくれます!

 なぜなら、DJミックスはしていないものの、全ての曲が繋がっており、さながら「Loftスタイル」で作られたといっても過言ではない内容になっているからです。

 それこそ、選曲の統一感が半端なく、聴いてるだけで「Galleryの空気」に魅了されてしまう点は、選曲にLoftのスピリット(魂)が入っている証拠ですよね・・・
 なかなか上手く説明できないですが、それぞれの音に「優しいグルーブがある」というのでしょうか、House的なボトムの強さがありながら、ギターなどの生音系の優しさが加わっている感じで、どの曲にも「Galleryの空気感」でまとめられてて、聴いてて凄い癒されます。

 また、ある人にとっては苦痛になるかもしれない、長ったらしいHouseの曲をそのまま収録することは、その「Galleryの空気感」と折り重なると、逆になくてはならない「音」になっています。
 なんでしょう、Loftスタイルにも通じる話ですが、フェードイン・フェードアウトをすることで生まれる「静寂」を音楽として利用していたり、原曲の世界観を素直にプレイすることだったり・・・とにかく味わいが違います。

 そして、選曲の進め方と配置の仕方も秀逸で、まさに「Loftスタイル」で作られているのが分かります。

 1曲目は、パーティーのテイクオフというんでしょうか、ゆったりと立ち上がる感じで、先ほど紹介した「Su-Paka-Pooh / くらげ」からスタート・・・
 ここを聴いただけで、フロアーを愛するものだったら、パーティーが始まった直後の広いフロアーで、まるで「くらげ」のように、ゆらゆらとフロアーを回りながら踊っているイメージが湧き、Galleryの世界に入っていきます。

 そして、その後も、同じグルーブを保ちつつ、下品な派手さは出さず、気品のある飾り方で音色を高めていく感じで、中盤に配置された「Louie Vega feat BLAZE / Elements of Life」の映え方が上手いですね!
 きっとフロアーで聴いてたら、徐々に空気感を上げてきてるので、気分も高まり、イントロのブレイクを聴いただけで反応しちゃう感じですね・・・


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 あまり上手く紹介ができませんでしたが、作品自体はDavidさんが求めた「音楽」が含まれており、大変素晴らしいです。

 それこそ、Davidさんが日本に来た時、開いたパーティーは「Music is Love」と銘打たれていましたが、その「音楽は愛」に通じる世界観が含まれた作品になっているかと思います。

 この作品自体、Davidさんが作ったものではありませんが、Davidさんが生み落とした「音楽」がしっかりと表現された作品であり、間接的ではありますが「David Mancusoという音楽家の素晴らしさ」を教えてくれる作品だと思います。


 最後は天国におられるDavidさんに感謝の言葉を・・・

 Davidさん、私達に「素晴らしい音楽」を残してくれてありがとうござます。天国でもパーティーを続けてくださいね!!
 




 <Release Date>
Artists / Title : DJ Nori, DJ Alex from Tokyo, Fukuba, Kenji Hasegawa 「Sunday Afternoon Session - Gallery」
Genre : House、Dance・・・
Release : 2003年7月
Lebel : Flower Records FLRC-020






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<独り言>

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 まさか、この流れでこの「紙」が出るとは思わないですよね(^^;)

 ただ、セールの報告なので仕方が無い(?)のと、少しだけDavidさんに繋がる話も含まれているので安心してください・・・

 え~、今回はいつもお世話になっているユニオンの下北沢クラブ店で、年末セールの口火を切るセールとして、かなりゴツいテープセールが開催されるとあり、参加をしてきましたよ!

2016/11/26(土)HIPHP USED TAPE SALE!!


 以前も少しお話しましたが、ここ最近のテープ熱は高く、お店側もしっかりと仕入れてくれるので、嬉しい限りですね・・・
 特に下北は、頼れる御大N村さんがおられるので、仕入れが半端なく、今回も事前情報を見ただけで「ヤバい」のが一目瞭然でした・・・

 そんなわけで、どうしても欲しい、いや「俺が買わないとイケないテープ」があったので、朝の6時30分にはお店の外で並んでいました・・・11月と言えど、凄い寒かったです(^^;)

 そして、整理券配布の時点では6名で、私は安定の1番をゲット・・・

 ただ、ここ最近、これだけ並ぶようになったのは嬉しい半面、同時に敵が増えていることも意味しているので、逆に気合いが入りました・・・

 んで、11時30分には開戦・・・とりあえず、目的の物は速攻で回収し、鉄火場な餌箱からブンドリ合戦でした・・・

 結果は以下の通りです・・・


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 今回も嬉しい30本オーバーで大豊漁でした(^0^)

 まず、報告しないといけない「俺が買わないとイケないテープ」は下の写真の左側の青いテープですね・・・MUROさんが選曲したコンピレーションのア●バン●テープです!

 この作品についてはご記憶がある方が多いかと思います・・・

 ちょうど9月に元となるCDの作品紹介をしたのもあるし、長年探し続けて写真の右側のテープをゲットした経緯があるので、ご存知ですかね?

 少しテープのことを整理すると、まず右側のは、写真奥のCDがリリースされた際、CDのノベルティーとして作られたテープで、CDで収められた曲を、選曲者のMUROさんがDJミックスをしている内容で・・・私の中ではレア中のレアテープと考えているものになります。
 そして、今回の左側のは、この作品がリリースされる際に、販売店舗に対してオーダー用の事前資料として配布されたテープになり、俗に言う「●ドバ●ステープ」になります。

 本当は、これらのテープのことを書くのはアレなんですが、まず、この作品にもア●●ンスが存在していたことが衝撃的で、この情報が出て腰を抜かしました・・・
 なぜなら、左側のDJミックスされている方が「裏テープ」であれば、更に「裏の裏」があったのが衝撃的で・・・冷静に考えれば存在することは当然なんですが・・・なんでしょう、登りきった山の上に更に山があったみたいな感じでした・・・

 そして、このテープは「既に山を登った人しか手にしてはいけない」とも感じました・・・

 つまり、これは「俺が買わないとイケないテープ」です・・・私以外の人の手には渡ってはイケないテープです・・・

 そんな思いがあったので、無駄に朝の6時30分に並び、無事にゲットできて良かったです・・・こちらも結構な金額を出しましたが、また山を制覇できて何よりです(^0^)

 なお、テープ自体はCDと全く同じでしたが、テープで聴くと「更に良い」ですね!!

 ちょうど、今回の記事を準備してたことで、体が「Loft」になってたこともあり、この作品の「Loft」的な部分に激しく反応したのもありますが、テープ特有の丸みがヤバくって、惚れ惚れしながら聴いちゃいました(^^;)
 テープ特有の暖かさが、この作品の「Loft」的な部分を高め、DJミックスが無いコンピレーションなんだけど、しっかりと「ミックステープ」になってるのが奇跡でした!

 あと、多分セール的には本丸である左側のテープは、心ある方に渡ってくれてよかった・・・そして、その方は私よりもたくさん買っていたので、テープ馬鹿がまた一人増えたことも嬉しいです(^0^)


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 その他にも、全然見かけないテープや、欲しかったけど買えなかったテープなども沢山買えてニンマリです(^0^)

 ちょっと蛇足になりますが、今回のセールについては、別角度で嬉しかったこともあります・・・

 それは、遂にお店側が「私のテープ知識を上回るテープを出してきた」ことです。

 私自身、相当テープに詳しいと思いますが、未だに知らないテープは沢山あり、新しいテープを発見する度に興奮をしています・・・
 ただ、それらの新しい発見は、お店側が気付かずに出していることが多く、お店側の知識が追い付いていないことも意味します・・・

 その限りにおいて、今回のMUROさんのテープは、下北のN村さんがテープに対して知識を持ち、かつ、テープのトレンドだったり相場を理解して、市場に対して「提案」をしてきたと感じました。

 つまり、このテープがニューディスカバーであり、絶対に価値があると踏んで出品してくれたことが嬉しく、お店側でもテープに情熱を持ってくれていることが素直に嬉しかったです!

 N村さんと下北店さんにはホント頭が上がりません・・・これからもゴツいのを仕入れてバンバンと私に売りつけてくださいね(^0^)


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 ユニオン的にはセールシーズン突入で、実は今日も下北に行ってDiscoを掘ってきた(!)のですが・・・レコード稼業は本当に「体力勝負」ですね(^^;)

 来週は渋谷でテープセールがあり、これも喧嘩覚悟で攻めることが確定しました・・・
 渋谷も凄い頑張っていて、今回もかなりゴツいのが出ますね・・・ただ、同日は新宿でディスコのセールが被ってるので、ディスコの方がゴツいのが出ないといいな~と願っています(^^;)


 最後に、セールでお会いした皆様には感謝感謝です!

 来週の渋谷も頑張りますよ!!






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