私も、2005年頃のMUROさんのクラブでのDJプレイで、今回の作品のようなSuper Disco Breaks的なDJを体験したことがありますが、MUROさんは素晴らしい選曲をアグレッシブなDJミックスで盛り上げていて、MUROさんのDJとしての素晴らしさを体感しました! 特に、当時は3~4時間ぐらいのロングセットでDJプレイをされていて、選曲を重ねることで少しづづ盛り上げていき、テンションが高まったところで盛り上がる曲をガツっと入れてくるのがカッコよかったです・・・まさに、この音源のようなピークタイムを作っていました!
それは、時代の変化やお客さんのニーズの変化を踏まえながら、クラブやラジオといった様々な場所を渡り歩く中で、常にその場所(現場)を盛り上げるための選曲とDJミックスが精錬され、その結果がこの作品になるのだと思います。 それこそ一番最初の表に戻ると、Super Disco Breaks自体、1998年のいつにリリースされたかは明確に分かりませんが、紹介した2つの音源の頃は、現場で「盛り上げるための選曲とDJミックス」を洗練していた時期とも言え、その後の完成版がSuper Disco Breaksになると考えられます。
そう、このSuper Disco Breaksは、その当時のMUROさんの「現場」をギュッと詰め込んだ作品なのです!
なかなか定義が難しいジャンルではありますが、Hip Hop側からすると「2枚使いをしたらカッコよくなる曲」とも言え、私としてはBボーイの血肉になっている曲~ジャンルだと思っています。 それこそ、上記写真の「Incredible Bongo Band / Apache」はBボーイの国歌と言われるぐらいで、聴いたら「つい踊ってしまう曲」ですよね・・・これは疑いのない定義だと思います。
そして、このSuper Disco Breaksでは、これらのBreakbeatsが前述したHip HopにおけるOld SchoolやMiddle Schoolの元ネタであること、Breakbeats自体が曲としてカッコいいことを念頭に置いて選曲し、さらにMUROさん流のDJプレイでファンキーに彩っています。
例えば、Lesson 1では、「James Brown / Funky Drummer」や「Funkadelic / You'll Like It Too」といった有名Breakbeatsの良さを前に出した選曲を行っており、実際にこの2曲は選曲されていないものの、これらの曲をサンプリングした曲を巧みに使い、これらの曲の「ドラムの良さ」を強調したミックスを披露しています。 また、Lesson 1以外では、カッコいいBreakbeatsが含まれたFunkやDiscoの曲を真っすぐに選曲しており、肝となるドラムの部分を2枚使いしたり、曲の良さを前に出した選曲をしたり、MUROさんにしかできない手の込んだ選曲とDJミックスが施されています。
例えば、写真はFrontの1997年5月号に掲載された80年代~90年代初期までの歌モノを紹介する特集において、MUROさんが紹介したお勧め曲のリストになり、青枠の曲は1997年頃までにリリースされたDiggin' IceやDiggin' Heatにおいて選曲された70年代末~80年代のR&B、Soul、Dance Classicsの曲になります。 一方でこのリストを詳しく見ると、Discoの代名詞とも言われる12inchの曲も数曲見かけ、Lessn 2の最後の方で選曲されている「Bumblebee Unlimited / I Got A Big Bee」(赤枠)が確認できます。
【トラックリスト】 01 Sirocalot / Sirocalot 02 Hot Day (D.Franklin) / Hot Day Master Mix 03 Trouble Funk / Let's Get Small (Special Mix) 04 Curiosity Killed The Cat / Name And Number 05 Experience "E.U." Unlimited / It's Family Affair 06 DJ Flexxx / The Water Dance 07 Cold Cut / Say Kids What Time Is It ? [Play : Side B-1(Funky Drummer Loop)] 08 Kev-E-Kev & AK-B / Listen to The Man 09 Massive Attack feat. Daddy Gee and Carlton / Any Love 10 Power Cut Crew / Powercuts 11 Whitsle / Just Buggin' 12 Tommy Stewart / Bump And Hustle Music 13 TD Records (Mr.K) / Feelin' James 14 Area Code 605 / Stone Fox Chase ('87 Remix) 15 Eric B & Rakim / I Know You Got Soul (The Richie Rich Megamix) 16 M.C.Tee & Lord Tasheem / Gangster Nine (Inst) 17 Divine Force / My Uptown Beat 18 The Bizzie Boyz / Hold The Lafta (Inst) 19 Boogie Down & Keyboard Band / Free Our Brother (Inst) 20 The B Boys / Rock The House 21 The Magic Disco Machine / Scratchin' 22 Reuben Howell / You Made Your Bed 23 Majestic Productions / Majestic Control's Music (Inst) 24 Coke Escovedo / I Wouldn't Change A Thing 25 Eastside Connection / You're So Right For Me 26 Brooklyn Express / Love Is The Message (Tee Scott Edit) [Play : Middle of the song] 27 Grand Master Chilly-T & Stevie G / Rock The Message Rap 28 Rick James / Fire It Up 29 Denroy Morgan / I'll Do Anything For You [Play : Inst~Vocal]
Lesson 1をよく聴くと「大ネタなBreakbeats」をネタにした曲を多く選曲していて、それこそ「James Brown / Funky Drummer」や「Funkadelic / You'll Like It Too」等をネタにした曲を選曲し、これらの曲で段々と盛り上げていきます。 ただ、そこはMUROさんらしく、これらの選曲をカッコいいDJミックスによりさらに輝かせ、テーマである「Breakbeats」を前面に出したミックスとなっています。
では、序盤から説明です・・・序盤はBPM100程度でゆっくりと進めていきます。
その中で白眉なのが「Go-Go(ゴーゴー)」の曲を中心に選曲してて、3曲目では「Trouble Funk / Let's Get Small (Special Mix)」、4曲目を挟み5曲目では「Experience "E.U." Unlimited / It's Family Affair」をテンポよく繋いでいきます。 また、Go-Goの流れで、Washington, D.C.産のマイナー90's Hip Hop「DJ Flexxx / The Water Dance」(※1)を6曲目で選曲し、少しづつテンションを上げていきます。
特に「Experience "E.U." Unlimited / It's Family Affair」は、MUROさんが選曲したことでシーンに知れ渡った1曲で、一時期は万越えの高値の華でした!
やっぱり、MUROさんの凄いところは、注目されない曲やジャンルを、MUROさん流の素晴らしい選曲とDJミックスでプレイした曲を彩ることですよね・・・ このGo-Goの選曲でも、3曲目はあえてインスト(Special Mix)を選曲していたり、4曲目は、実はEU系のポップス(Curiosity Killed The Cat / Name And Number)をGo-Go的な要素を強調して選曲したり、5曲目と6曲目はグルーブを上げるために+3ぐらいのピッチアップをしていたり、Go-Goのカッコよさを引き立てる技が光っています!!
(※1)「DJ Flexxx / The Water Dance」 掲載したレコードは1994年の後発プレスで、MUROさんが使用したと思われるバージョンが入っていないようです。どうやら、1993年のプレスの方(Radio Version??)でDJプレイをしていたようです。
7曲目では、スクラッチカットインでUKのCut Up クラシックな「Cold Cut / Say Kids What Time Is It ?」(※2)を選曲します。ただ、よく使われるA面の本編ではなく、B面の「James Brown / Funky Drummer」をループしているトラックをプレイしています。 そして、この7曲目に対して絶妙なタイミングで、同じFunky Drummerネタの8曲目「Kev-E-Kev & AK-B / Listen to The Man」をビートミックスで繋いでいきます・・・この選曲とDJミックスの上手さといったら最強ですね!!
まず、ここでは「Kev-E-Kev & AK-B / Listen to The Man」の選曲に尽きるでしょう・・・言わずとしれたMUROクラシックの1つです!!
この曲は、MUROさんのフェイバリットとして有名で、2002~3年頃に日本で企画されたJames BrownのRemix集においては、MUROさんは真っ先に「Funky Drummer」のRemixに手を挙げ、この曲のオマージュとも言えるRemix(タイトルはListen To The Muro Mix!)を制作しました。
話をLesson 1に戻すと、12曲目の頃合いの良いところで、13曲目の「TD Records (Mr.K) / Feelin' James」のYou'll Like It Tooのブレイク部分を気持ちよくカットインし、数ブレイク後の声ネタ(♪One, Two, Three, Four, This !)から絶妙なタイミングで14曲目「Area Code 605 / Stone Fox Chase ('87 Remix)」に違和感なく繋いでいきます。 14曲目は、70年代のロック曲(Area Code 615 / Stone Fox Chase)をYou'll Like It Too等のブレイクでマッシュアップしたRemix曲で、You'll Like It Tooのブレイクの気持ちよさが出た名Remixですね。
You'll Like It Too・・・ほんとカッコいいBreakbeatsですよね!!
この曲は聴いているだけで気分が高揚する曲で、B-Boy Discoを象徴するものだと思います。 MUROさん自身もフェイバリットな曲のようで、よくクラブでは原曲の「Funkadelic / You'll Like It Too」を選曲し、イントロのブレイク部分を2枚使いしたり、そのままカッコいい本編に進み、KODPクルーの若手MCがサビ部分で煽ってたり・・・ほんとカッコいい曲です!!
なお、その次の15曲目(Eric B & Rakim / I Know You Got Soul )は、原曲はYou'll Like It TooネタのHip Hopクラシックですが、あえてYou'llのブレイクを使っていないレアRemix(The Richie Rich Megamix:UKのLPのみのボーナス12inchに入っているRemix)を選曲してくるあたりに、MUROさんの奥深さを感じます!!
【16曲目~22曲目】
15曲目のEric B & Rakim以降は、17曲目で「Divine Force / My Uptown Beat」といったMiddleを連続選曲し、ファンキーにグルーブを盛り上げていきます。
21曲目では「The Magic Disco Machine / Scratchin'」を選曲し、同曲のファンキーなメロディーを強調した展開に進めます。
いやいや、Scratchin'はファンキーなメロディーが素敵で、つい気分が高揚してしまいますね!!
ここでも上手いなぁと思うのが、前曲の20曲目(The B Boys / Rock The House)で少しグルーブを落としつつ、タイミングの良いところで21曲目をカットインし、同曲の華やかなイメージを強調させています。 また、同曲の躍動感を維持するためか、同曲の後半にあるブレイク部分は使わず、その手前で同曲と同じトラックのボーカル曲である22曲目(Reuben Howell / You Made Your Bed)に繋いでくる点も上手いです。 そして、BPMを詳しく確認すると、この21曲目~22曲目で大胆なBPM操作も行っていて、110程度だったBPMが22曲目では116まで上げています。
そして、24曲目のメロディーとラテンタッチな雰囲気を受け取って、ベイエリアの好Disco曲である25曲目「Eastside Connection / You're So Right For Me」に違和感なく繋いでいくのも上手いです!! まさに「ピークタイムの作り方の基本」というのでしょうか、クラブのフロアーで踊っている人の足を止めない選曲の工夫があり、ついついメロディーを口ずさんでしまいます。
なお、「Coke Escovedo / I Wouldn't Change A Thing」については、盟友である故Dev Largeさんが1998年7月にリリースした「Lunch Time Speax / 止マッテタマッカ (Dev Large Remix)」のブレイクネタとして注目を浴びた曲であることから、同じ年にリリースしたSuper Disco Breaksにおいて、MUROさんがこの曲を選曲していたことにはグッときます・・・ 当時は、LPの隠れた1曲としてのイメージが強かったですが、ブレイクとしての良さはDev Largeさんが、曲としての良さはMUROさんが紹介し、今となっては「最高に素敵な1曲」になりました・・・これは、両者の友情の賜物かもしれないですね・・・
【26曲目~29曲目】
そして、26曲目~27曲目では、前曲で高めたDisco的な多幸感を踏まえ、実はブレイクが強力な「MFSB / Love Is The Message」ネタの曲に進んでいきます。
それこそ、26曲目「Brooklyn Express / Love Is The Message (Tee Scott Edit) 」では、曲の中頃にある、一瞬だけCut Up的な声ネタの掛け声がある部分のみを切り取り、そこからMFSBネタの27曲目(Grand Master Chilly-T & Stevie G / Rock The Message Rap)に進んでいく展開は上手すぎです! 繰り返しになりますが、この作品では「ある曲の一部にあるCut Up的なところを上手く切り取る技」が冴えてて、このTee Scott Editの使い方はまさにそうです・・・実際にレコードを聴いて使用した部分に気付き、かなりヤラれました!!
そして、この2曲でさらにBPMを120程度に上げ、28曲目「Rick James / Fire It Up」のブレイクを熱く2枚使いしつつ、テンポよく29曲目「Denroy Morgan / I'll Do Anything For You」に繋ぎ、カッコよくLesson 1を終わらせていきます。
【トラックリスト】 01 The Big One Crew feat. Cut Master M.C. / Reggae Got Soul (The Scratch-mix Showdown) 02 Tall Dark & Handsome / Tall, Dark And Handsome 03 Unit B. 3 / Turn Your Radio On (Inst) 04 The B Boys / Two, Three, Break 05 Jazzie B/ London Beats Volume 1 [Play : Side A] 06 Afrika Bambaataa & The Jazzy 5 / Jazzy Sensation (Bronx Version) 07 Gwen McCrae / Funky Sensation 08 Don Baron / Action (Inst) 09 Nice & Nasty 3 / The Ultimate Rap 10 Jimmy "Bo" Horne / It's Your Sweet Love 11 Grandmaster Caz with Whipper Whip / To All The Party People 12 Chuck Brown & The Soul Searchers / Bustin' Loose (Part 1) 13 T.S. Monk / Bon Bon Vie 14 Dazz / Brick 15 Dismasters / Black And Proud (Inst) 16 Malcolm McLaren presents The World Famous Supreme Team Show / Aladdin's Scratch 17 Double Dee & Steinski / Lesson 2 (James Brown Mix) 18 Busy Bee / Old School 19 Grandmaster Flash and The Furious Five / Superappin' 20 Freedom / Get Up And Dance 21 Bumblebee Unlimited / I Got A Big Bee 22 Risco Connections / Ain't No Stopping Us Now
まず、1曲目~4曲目では、ネタ感の強いMiddle Schoolを選曲しており、4曲目では「Cerrone / Rocket In The Pocket」をネタにした「The B Boys / Two, Three, Break」を緩く選曲し、首を振らせます。 このLesson 2も、序盤はBPM100程度の立ち上がりとなり、ゆったりと進みますが、「Manzel / Midnight Theme」ネタの3曲目(Unit B. 3 / Turn Your Radio On)を結構なピッチアップ、それもインストをプレイする等、MUROさんらしいアイデアが含まれています。
そして、4曲目の掛け声(♪Two, Three, Hey !)を利用して、カットインで5曲目「Jazzie B/ London Beats Volume 1」を選曲します。
そして、15曲目、16曲目と、Disco的な流れの谷(たに)を作るため、BPM早めなMiddle~Cut Upの流れに展開し、17曲目では、この作品のインスピレーション元と言える「Double Dee & Steinski / Lesson 2 (James Brown Mix)」を選曲します!!
まず、Lesson 2で「Lesson 2 (James Brown Mix)」を選曲しているのは偶然だと思いますが、改めてDouble Dee & Steinskiが広めた「Cut Up」がこの作品のインスピレーションになっているんだなぁと思います。
例えば、17曲目はイントロ付近から選曲し始め、「James Brown / Sex Machine」ネタが終わって、「Incredible Bongo Band / Apache」のブレイクネタになる部分を狙い、Apacheネタの18曲目(Busy Bee / Old School)にカットインしています。 普通に「Double Dee & Steinski / Lesson 2 (James Brown Mix)」を知っている、いや、体に馴染むぐらいこの曲が好きな人であれば、18曲目にカットインしたことを気付かないぐらいのDJミックスです・・・気づいたら首を振っています。
ただ、ここで思うのは、「Double Dee & Steinski / Lesson 2 (James Brown Mix)」をダラダラとかけるのではなく、この曲ですら「Cut Up」の一部として選曲とDJミックスしてくるところに、MUROさんなりのリスペクトがあるのだと思います。
まず、18曲目の最後の歌詞で「♪Old School, I'm Outta Here~」と終わりを宣言したところで、スクラッチカットインでスピーディーに19曲目「Grandmaster Flash and The Furious Five / Superappin'」のMC陣のハーモニーが素敵なイントロに繋ぎます。 そして、約6小節のハーモニーが終わり、本来は「Whole Darn Family / Seven Minutes Of Funk」のループが始まるところで、スクラッチカットインで鬼クラシックな20曲目「Freedom / Get Up And Dance」に繋ぎます・・・またもや大爆発です!!
【トラックリスト】 01 The Boogie Boys / Rappin' Aint No Thing 02 Kurtis Blow / Do The Do 03 Little Royal & The Swingmasters / Razor Blade 04 Pharcyde / Soul Flower (2 tha 3 Remix Inst) 05 Michael Jackson / Remember The Time [Blend Mix : Run-D.M.C. / Sucker M.C.'s (Inst)] 06 MC EZ & Troup / Just Rhymin' 07 Boo-Boo "B" / Boo-Boo's Break 08 Greg Nice & Smooth Bee / Dope On A Rope 09 The Sunshine Band / Black Water Gold 10 United 8 / Getting Uptown (To Get Down) [Play : Disco-Trek LP (Tom Moulton Mix)] 11 Trickeration / Western Gangster Town 12 Pleasure / Joyous 13 Super-Wolf / Anybody Can Do It 14 Denise LaSalle / I'm So Hot 15 Sugar Hill Gang / The Lover In You (Inst) 16 Kurtis Blow / The Breaks 17 Terri Gonzalez / Caught Up (In One Night Love Affairs) 18 Mel Brooks / It's Good To Be The King Rap (Inst) 19 Sylvia / It's Good To Be The Queen 20 The Universal Robot Band / Dance And Shake Your Tambourine 21 General Johnson / Can't Nobody Love Me Like You Do 22 Silvetti / Spring Rain [Play : Salsoul Jam 2000 LP (Grandmaster Flash Mix)] 23 R.E.M. feat. KRS-One / Radio Song (Monster Remix) 24 Seville feat. Jazzy J and Shameek / Make It Funky 25 Aleem / Release Yourself [Play : Mix-Trix #3 The Break Mixer (Kut-Up Records)] 26 Think Tank/ Hack One 27 Pigbag / Papa's Got A Brand New Pigbag
そして、5曲目のインスト(Sucker M.C.'s)の流れを受けて、6曲目には「MC EZ & Troup / Just Rhymin'」を選曲し、その後10曲目には前述した「United 8 / Getting Uptown (To Get Down)」(※6)を選曲し、上手くMiddleとDeep Funkを混ぜながら、段々とBPMを115ぐらいまで上げていきます。 その中では、余裕でスーパーレアなNice & Smoothのデビュー曲(8曲目:Dope On A Rope)を選曲する等、掘りの深さを出している点も素晴らしいです。
(※5)Michael Jackson / Remember The Time この曲のアカペラは、よく見かける写真の正規12inchには収録されておらず、プロモの2×12inchにのみ収録されています。こういう細かい掘りもMUROさんの素晴らしいところです!!
14曲目では、MUROさんクラシックな「Denise LaSalle / I'm So Hot」を選曲し、フロアーが大爆発します!!
それも、14曲目のシンガーDenise LaSalleの旦那さんであるSuper-Wolfがラップカバーした13曲目「Super-Wolf / Anybody Can Do It」(実際のラップ曲のインスト)を先にプレイし、そこから14曲目「Denise LaSalle / I'm So Hot」のイントロをロングミックスしていく「MUROさんの十八番(おはこ)」とも言えるミックスで爆発させます!!
14曲目「Denise LaSalle / I'm So Hot」は、長めのプレイでしっかりと曲を聴かせつつ、印象的なサビの途中で絶妙なカットインで15曲目「Sugar Hill Gang / The Lover In You」を選曲します。
まず、このカットインが絶妙で、15曲目の「♪This Is For The Lover In You~」と歌うサビでカットインするのですが、14曲目と15曲目のメロディーが完全にシンクロしており、14曲目の盛り上がりをしっかりと引き継いでいます。 また、14曲目のグルーブを繋げつつも、そのグルーブをさらに広げるためか、サビだけが強調されている「インスト」をあえてプレイし、15曲目のもつ「夜の華やかさ」みたいなグルーブを軽く演出している点が上手いです。
そして、15曲目が間奏になったタイミングで、Old Schoolの名口上「♪Clap Your Hands Everybody, If You Got What It Takes・・・」から始まる16曲目「Kurtis Blow / The Breaks」(※7)を選曲し、今度はOld Schoolのグルーブを伸ばします。
(※7)Kurtis Blow / The Breaks これも調べきれなかったことですが、MUROさんはどうやら写真のオリジナルではないバージョンでプレイしていた可能性があります。 Lesson 3では、同曲のイントロの部分から入るのですが、同曲のイントロのクラップ音ではない「ベース音」のようなものが聴こえます。それは、16曲目「Sugar Hill Gang / The Lover In You」にはないベース音です。そして、このことを踏まえて、25曲目「Aleem / Release Yourself」がマスターミックスのレコードでプレイしていたことを考えると、同曲もオリジナルではなく、マスターミックス~メドレー等のレコードからプレイしていた可能性が高いと判断してしまいます。 なお、この曲を詳しく調べてみると、当時の人気曲だけあってマスターミックス~メドレーでよく利用されていて、Kurtis Blowの曲だけのメドレーもあるぐらいなので、この線のレコードでプレイしていると妄想してしまいます・・・もし、ご存知の方がおられましたら教えてください!!
まず、17曲目のサビ終わりを狙った、スクラッチカットインで「♪It's Good To Be The King」のフレーズとともに、華やかな18曲目「Mel Brooks / It's Good To Be The King Rap」を選曲します。
ただ、MUROさんらしいのは、18曲目はインストをプレイし、華やかなメロディーで空気感を盛り上げたら、クイックで19曲目「Sylvia / It's Good To Be The Queen」に優しくカットインします。 そう、18曲目の元ネタである19曲目に繋ぐ、聴いてて「ニヤっ」とする選曲を行っています!!
そのため、次の21曲目「General Johnson / Can't Nobody Love Me Like You Do」はファンキーな曲ではあるものの、ピークに繋げるための谷(たに)として選曲しています。 特に、この曲のちょっと哀愁を帯びた歌声とメロディーが絶妙で、拳を握りながら歌ってしまうのですが、次に「何かある」という期待感も生まれます。
そして、Lesson 3のピークタイムのオーラスに向かいます・・・
【22曲目】
21曲目の熱いサビが終わったタイミングで、歯切れのよいOld School調のMCの声をスクラッチカットインし、バックにはSalsoulクラシックである「First Choice / Love Thang」のブレイクが聴こえます・・・ そして、味のあるMCが入ってきて気分を盛り上げつつ、気づいたら印象的なピアノリフが鳴り始め、絶妙なタイミングで22曲目はスタートします。
私自身の話をすると、Super Disco Breaksがリリースされた1998年には、ラジオでもこの盤を使った選曲をしていて、当時はこのLPからプレイしていることに気付きませんでした。 特に、このミックスCDが醸し出す「Old Schoolっぽい古臭さ」があり、このミックスCD自体を当時はスルーしていましたが、あるタイミングでこのLPから使っていることを知り、買ってみたらメチャクチャカッコよく、MUROさんの凄さを知りました!
【トラックリスト】 01 Fantasy Three / It's Your Rock 02 Cloud One / Patty Duke 03 Troy Rainey / Tricky Tee Rap 04 Super 3 / When You're Standing On The Top 05 Risco Connection / Sitting In The Park 06 Trilark / Check It Out 07 Melba Moore / Standing Right Here 08 Radiance feat. DJ "R.C." / The Micstro 09 Robin Beck / Sweet Talk 10 Positive Force / We Got The Funk 11 Cerrone feat. Jocelyn Brown / Hooked On You 12 Edwin Starr / I Just Wanna Do My Thing 13 Solo Sound / Get The Party Jumpin 14 Blondie / Rapture (Guru's Fly Party Mix) 15 Brenda & The Tabulations / Let's Go All The Way (Down) 16 T.J. Swann & Peewee Mel & Barry B. / Are You Ready 17 Millie Jackson / I Had To Say It 18 The Urban All Stars / It Began In Africa
まず、序盤の選曲で目を引くのは、2曲目と3曲目はPatrick Adams絡みのレアなOld School等を選曲しつつ、4曲目「Super 3 / When You're Standing On The Top」で、気持ちいい空気感を演出しています。 4曲目は「Maze / Before I Let Go」を引き直したトラックに、「Keni Burke / Risin' to the Top」のサビを引用した曲となり、なんとなく朝方に近い空気感を醸し出し、素敵な出だしとなっています。
そして、この気持ちいい流れを少し上向きにする意味で、5曲目には「Risco Connection / Sitting In The Park」をゆっくりと選曲します。
言わずと知れた名曲のカバーで、今回のSuper Disco Breaksで大活躍なRisco Connectionによるレゲエ・ディスコカバーですね・・・ 朝方の雰囲気にトロピカルな雰囲気も加え、まるで綺麗な朝を迎えたような印象を作り、大変素晴らしい選曲です!
そして、9曲目のサビの切れ目を利用して、9曲目のグルーブを上手く引き継ぐカットインで10曲目「Positive Force / We Got The Funk」を選曲します。
Old School~Discoの大定番曲で、9曲目までの哀愁さを若干残しつつも、ポジディブさがあるファンキーな曲を選曲することで急に空気感が変わります。 この曲もそうですが、MUROさんのSugar Hill使いの上手さといったら最高ですね・・・この曲も少しピッチアップをし、ファンキーに彩っています。
ただ、実は次の11曲目を盛り上げるための「フリ」だったことに気付きます・・・
10曲目の後半では、間奏となり、ブレイクダウンしながら「♪We Got The Funk~」というサビを繰り返します・・・この瞬間は、まるでジェットコースターが地上に向かって滑空する前に、頂上であたりをウロウロしている状況のようです。
12曲目~13曲目あたりでは先が分からない展開ではありますが、この後もさらにBPMを少しづつ上げていき、15曲目「Brenda & The Tabulations / Let's Go All The Way (Down)」ではBPMが117まで上げています。
もしかしたら、段々とダンサンブルな空気感を作っているのかな・・・
さて、次の展開とはなんだろう・・・
【16曲目~18曲目】
16曲目でレアなOld Schhol(T.J. Swann & Peewee Mel & Barry B. / Are You Ready)を挟みつつ、17曲目では女性シンガーがOld School Rapに挑んだと言われる「Millie Jackson / I Had To Say It」を選曲し、Old School~Discoの両方の良さを引き出した展開に進めます。
そして、頃合いの良い頃に、高らかなフォーンフレーズのカットインで18曲目「The Urban All Stars / It Began In Africa」を選曲します。 Norman Cook(Fatboy Slim)作のCut Upの名曲で、James BrownやJackson Sisters等を活用したファンキーな1曲ですね。
<Release Date> Artists / Title : DJ MURO 「Super Disco Breaks Lesson 1-4」 Genre : Hip Hop、Disco、Soul、Funk、Rare Groove、R&B・・・ Release : 1998年 Lebel : KODP/Savege No Number
コメント
原題
MTTさんの再考察回は、当時スルーしていた作品の購入や所持しているが改めて聴き込む発見になりますので大変感謝してます ありがとうございます
2022/04/25 URL 編集
mixtapetroopers
コメントをいただき、ありがとうございます!!
「B-Boy Disco」という、なかなか定義が難しいものを提案してみましたが、気に入っていただき、ありがとうございます!
ぜひ、作品も聴いてみてくださいね~
また、ストリートダンスの部分は、これも確かに重要ですね!!
アップテンポな曲は踊りには最適・・・こういった流れも、この作品に影響し、この作品がダンスシーンに影響したこともあり得そうだ・・・重要なご指摘をいただき、ありがとうございます!!
では、今後とも宜しくお願いします!!
次回をお楽しみに~♪
2022/04/30 URL 編集